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新たな魔物

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 今はまだ動いてないよね。

「まだ移動はしてないけど、動いてる! 

 後ろのウルフおじさんが危ないかも」

 私は誰かが傷付くのは見たくないので、ウルフおじさんを一応心配はしたのだけど、ルシア・ダン・ゼクスの反応は違った。

 ルシアは「あんな男の事を気にしなくて良いのよ」

 冷気のように冷たい表情。

「ミオは優しすぎだが、変な奴にはついて行ったりするんじゃねぇぞ!」

 子供扱い? これでも大人なんですが?

 ゼクスは「あんな『ジジイ』の事は放っておけ!」

 そんな事言っても、人が死ぬのは見たくないから何とかしたいな。

 そんな事を考えている時だった!

「ギキィーーーーッ! ギキィーーーーッ!!」

 何の声?

 回りを見ると、ウルフおじさんの背後に! ウルフおじさんに

『風檻! ウィンドジェイル!!』の魔法をした。

「ルシアが魔法を使ってるように見せたいから、後ろに隠れてるね」

 ルシアに言うと、ダンとゼクスが頷いてくれたので遠慮なく行くわよ!

『風圧! エアブレス!!』ゴオーーグググーーッ!!

 風でトレントに圧力をかけ、動きを封じた。


『風刃! ウィンドカッター!!』

 ヒュンッ! ヒュンッ! ヒュンッ!! 「キキイイィィーーーーッ!」

 トレントの枝が伸びて来た。

 ギューーンッ! バアァーーンッ!!

 ダンとゼクスの方へ枝が伸び、叩きつけて来た!

『風壁! ウィンドウォール!!』

 私達の前に風で壁を作り、トレントの攻撃を防いだ。

 トドメよ!!

『風槍! ウィンドランス!!』

 トレントに攻撃威力を大にして射抜いた。

 ゴシャーーーーッ!! 「ギキイィィーーーーッ!!」

 ドオオォォーーンッ!! トレントを倒した。


 私は新たな敵を倒す事が出来たのが嬉しくて、ルシアの後ろで『ピョンピョン』とウサギのように跳びながらバンザイしている。

「倒せたよ! やったね!!」

 喜んで、ルシア・ダン・ゼクスの顔を見ると、ルシアに頭を撫でられた。
 
 倒した~~!!

 笑顔で喜んでいると、ダンにも頭を撫でてもらった時に、あのウルフおじさんが走って来て。

【トレント】を我が物顔で、自分のアイテムボックスに入れて逃走してしまった。


 私は今の状況を飲み込むまで放心状態で

「えっ? 倒したの私なのに!」

 悲しい気持ちになり俯いていた。

 ルシアが抱きしめてくれたから、乱れていた気持ちが少し和らいだ。

「ルシア、いつもありがとう」

 笑顔で答え、あのウルフおじさんが逃走して居なくなったって事は、ここからアビーネスが近いって事だよね?
 
 それなら、あのウルフおじさんは大丈夫だとは思うけど。

 でも、私達が倒した物を盗むなんて!

 思い出すだけでムカムカする!

 私は頬を膨らませていた。

「ミオ、獲物を盗られちまって悪かったな」

 ゼクスのせいじゃないよ、あのウルフおじさんが悪いんだし!

「ゼクスのせいじゃないよ、獲物はまた獲れば良いしね」

「もうアビーネスに着くからな」

 初めての街に着くんだ、ワクワクして来た!

 
 
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