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忍者の私の一夜。

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「ねぇ。待って。」
彼の裾を引っ張り引き止める。

彼は忍者の生まれ変わりかな?
そう思ってしまうことがある。
屋根を伝って部屋に上がってきて

『よっ!』
と言いながら
隣の弟の部屋へ行く。
いつもなら弟と二人で
また屋根から出ていって
忍者の様に足音もたてずに消えていく…
おまけに、彼らの合図は指笛で
鳥の鳴き声ようなきれいな音がする。
割と好きな音。
何度も聞いているとどっちの音か
聞き分けられるようになってくる。
絶対にこの二人の前世は忍者だと思う。
玄関から出ればいいのに。
そう思う人もいるだろうが
彼らは只今、反抗期男子。
玄関に行くには親の部屋の前を
通らないといけないし
おまけに床がギシギシとうるさい。
古い家で建付けも悪いし、ドアの開け閉めも
音がならないことがない。
そこで彼らが編み出したのが
屋根を上がってくるという斬新な方法。
私の部屋の窓を開けると
父の経営している1階の理容室の屋根。
駐車場の方へ進むと軒がある。
その下には良い所にガスのボンベがあって
それに足をかけてヒョイヒョイって
昇り降りしている。

まぁ、そんな事はどうでもいいけど…。
今日は、寝太郎の弟が
寝てしまって起きないらしい。
忍者が弟の部屋に行って15分程かな…。
少し、肩を落としたした忍者が
向こうのふすまから静かに入ってきた。
夜中の2時前だ。
この時間は普段から私の部屋も
薄暗くなっている。
電気をつけていると親がうるさいからね。
小さなライトと月明かりで
眠くなるまで恋愛小説を読むのが日課だ。
大体は忍者が家を出てから布団に入るけど
今日は違う。
ラッキーな出来事が
舞い込むんできてるんだもん。
密かに思いを馳せていた忍者が
一人で帰ろうとしてるんだよ?
普段から積極的なわけでもないが
このチャンスを逃すわけには
行かないよね?

忍者は“キョトン”とした顔で
こちらに目を向ける。
少し低い声で

『何?どうしたの?』
と言う。
まぁ、当たり前の反応だよね…
彼からしたらただの友達のお姉ちゃんで
二人きりで話すことなど滅多にないし。

「今日は遊びに行かないの?」

『うーん。起きないもん。』

「アハハッ!これからどうするの?
 帰るの?」

『うーん。ボチボチ帰ろーかな
 することないし…。』

(まぁ、そうだろうね…)
と思いながら、少し声を小さくして
俯いて躊躇いながら

「…ねぇ…。もぅ帰らないとダメなの…?」
と聞きながら少しだけ顔を上げる。
上目遣いというやつ。
わざとじゃない。
そんな、恋愛上級者のような
あざとさも持ち合わせてないしね。
ただ、自分から誘っているようで
恥ずかしかったから俯いてはみたものの
どんな顔をするのか気になっただけ。
目は合わせられない。
ギリギリ表情が確認
できるくらいまで顔を上げた。
目がいつもより
大きく開いているように見える。
少しびっくりした表情…

(引かれたかな…?)
って思ったけど

『別に?大丈夫だよ。
いつも、朝帰りだし
最悪5時までに帰れば。』

「そうなの?
 少しだけ話に付き合ってくれない?
 まだ、眠れないの…」

『いいよ?どうした?』
意外とすんなり受け入れてくれた事に
ビックリしたけど、嬉しかった。

この忍者には、数回
身体を触られたことがある。
でも、セックスはしたことが無いし
私は彼の体に触った事もなければ
お互いの裸も見たことも無いし
キスすらもしたことがない。
そんな、不思議な関係。

数ヶ月前に遠距離恋愛の彼氏が
出来てからというもの忍者とは
そんな関係は無くなってた。
というより、避けるようにしてた。
だけど、最近彼氏が素っ気なくて
どうやら向こうで新しい恋を
始めているような感じがしていた。
まだ、確信はついていないけど
おそらく90%間違いはないはず。
某SNSをフォローはしていないものの
確認はしている。
鍵は付いていなかった。
彼は、私がそんなの確認しているなんて
夢にも思ってないのかもしれないけど
だからといって、女性と
仲睦まじく写っている
写真を普通堂々と載せるか…?
そう思っていたけどなかなか言い出せずに
悩んでいた。
それなりに好きだったし
そこまで恋愛経験がない私は
なんて切り出したらいいかもわからないし
どうしたらいいのかもわからなくて
相談できる友達もいない。
意気消沈した日々が続いていた。
そして、その数日間それとは別に
ふと思い出すこともあったんだ。
それが、忍者の指だったの。
優しく触れる指。

(こんな時に何を考えているの?)
自分でも呆れてしまうけど
その時の事を思い出している時だけが
嫌な事を忘れられる瞬間で
日に日にその行為を思い出す頻度が
増えてて思い出すたびに彼よりも
忍者に対する気持ちが徐々に
大きくなっているのが自分でもわかってた。
だけど、彼にも大切な子が居たから
今まで我慢していたけど
今日は寂しさに勝てなかった。
夜だったのもあると思う。

「座って…?」
ベットの上に腰掛けて床に
もたれ掛かっていたいた私は
隣に座るように彼を誘導した。

『ん?彼氏いるんじゃなかったの?』
って言いながらも
誘導されるままに腰掛ける優しい彼。

『元気なくない?どうかした?』
普段通りの彼の声。

「うーん。あのさぁ…
 付き合ってる子がいて他の子とも
 そーゆー関係になった時って
 もぅ、元々の彼女は
 好きじゃないのかな…?」

『うーん…?もしかして彼氏の事?』

「うん…。」

『うーん。オレはその人じゃないから
 分からないけど、どっちも
 好きなんじゃない?
 遠距離なんでしょ?
 寂しいのもあるんじゃない?
 分かんないけどね?』

「そっか…。女の子と男の子は
 やっぱり違うのかな…?
 写真とか見つけちゃっしさ…
 ぶっちゃけちょっと冷めてるんだよね。
 多分。
 でも、なんて言ったらいいか
 わかんないんだよねぇ…。
 電話とかしても普通だしさぁ。」

『そっか。難しいね?
 普通に別れよう。って言っちゃえば?』

「理由とか聞かれるでしょ…?
 写真とか見たって言っても
 好きな人ができたって言っても
 怒るだろうし…
 理由もなくってわけにも
 いかないでしょ…?」

『うーん。まぁね…?』
お互い、言葉がなくなった。
なんだか、冷めたとは言っても
こんな話を口に出せばそれなりに
辛いんだね?
確かに、嫌いにはなれないけどさぁ…
でも、それとは裏腹に
隣に居る忍者に甘えたい。
あの時みたいに優しく触れて
忘れさせてほしい。
そう思ったりもして…
まぁ、そんな事恥ずかしくて
言えるはずもないんだけど…

っと、そんなことを考えてたら
忍者が“フゥーッ”とため息をついた。
少しだけ身体をこっちに向けて
あぐらをかいていた足の
左足だけを立てて不意に右腕を引かれた。
ビックリして“ハッ”と
顔を上げて彼を見つめる。
拒否はせず自然と引かれる方に…
彼の足の間に少しだけ体を持っていった。
だけど…彼も私も
お付き合いしている人が居るから
こんなことしたらいけないのに…
って後ろめたい気持ちと
久しぶりの彼のぬくもりからの緊張とで
彼の身体に身を寄せることが
できなかった…。
要するに、期待して引き止めたのに
いざとなるとビビったんだよね。

「えっ…?でも…ダメだよ…。
 彼女…いるでしょ…?」
小さい絞り出すような声。
かなり震えていた。

『はいはい。言わなければ
 バレないでしょ?
 それに、君の彼もしてるんでしょ?
 じゃぁ、いいじゃん。』
って言って、右腕を左肩に
左腕を右腰にまわしてギュッと
力強く抱きしめられながら
耳元で囁いた。

正直、何がいいのかよくわかんないけど
彼の持つ妖艶な雰囲気に
いつも翻弄させられて“いっか”って
思っちゃう。
忍者の言葉と忍者の手によって
催眠術にかかった私の脳は
正常ではない判断を下す。
何かが一瞬で溶ける様に
忍者に身を寄せて全体重を預ける。
忍者に触られた所はビックリする程に
素直に反応して熱を帯びて気持ちよくなる。
氷がゆっくり溶けていく様に…。
左肩にあった手が頬を撫で左耳の後に行き
頭を撫でていく。
今、私は彼に包まれている。
これだけでも、天に登るほど幸せだった。
右頬を彼の胸に当てて
両膝を立て少しだけ右を向く形で
彼の中に入っていく…
頭を撫でられているだけなのに
次を期待してか身体は徐々に
熱を帯びて熱くなって心臓も主張するように
うるさく鳴り響いて身体が震える。
彼の顔なんて見れない…
俯いてすがるように両手で彼の
胸の下あたりの服を握る。

『忘れちゃえば?』
そう言って頭を撫でていた手が
顎の方に移動する。
世間一般で言う“顎クイ”。
目があってより一層ドキドキして
目を閉じようと思ってるのに
固まって閉じれない。
彼の顔がゆっくり近づいてきて
今にも唇が触れそうで恥ずかしくて
心臓が痛くなって息ができない。
自分の心臓の辺りをギュッと
両手で握りしめた瞬間彼の唇と
私の唇が重なった。
硬直していた身体が小刻みに震えて
力が抜けていった。
力無く彼の腕に身を任せる。
息ができなくて苦しくて
意識が飛びそう…

“いっその事…すべてを奪ってよ…”
そう思った。
唇が離れた瞬間恥ずかしくて
彼の胸に顔をうずめた。
それもそのはず。
コレが彼との初キスだったから…
たった一回キスをしただけなのに
息が上がって上手く呼吸ができない。

『フフッ。大丈夫?』
彼は意地悪くそう言って
また包み込んで頭を撫でてくれる。
小刻みに体を震わせながら
“ハァハァ”と息を漏らしている私を
ただ抱きしめてくれている彼。
熱くて意識が飛びそうな私は
“とにかく息を整えなきゃ。”
と思い焦る。
あせれば焦るほど上手く息が
出来なくなって心臓が痛くて苦しくなる。

『フッ。落ち着いて?
 ゆっくり深呼吸するんだよ?』
って言って、微笑みながら
大きく息を吸う彼。
釣られて大きく息を吸ってみる私。
二人で“フゥー”と息を吐いて。
また、彼は頭を撫でる。
数回、深呼吸を繰り返して少し落ち着いた。
死んでしまうかと思うくらいの苦しさと
今までに無いほどの快感を得た。

『少しは落ち着いた?』

「うん…ありがとぉ…」
相変わらず体は小刻みに震えていて
声もかすかに出る程度。
いつの間にか彼の胸に
しがみついていることに気が付いて
“ハッ”として一瞬力を緩めたけど
少しでも離れるのが惜しいと思って
再度胸にしがみついて顔をうずめた。

『触っていい?』
そんな事いつもは聞かないから
なんて言えばいいかわからなくて困惑する。
頭がグルグルして、何も考えられない。
身体が硬直して何も反応できないし
声も出せない。
身体は震えを増して熱を帯び
自分の股の間が期待で熱を帯び
濡れているのに気がついた…
右腰に回された腕は腰が離れないように
しっかり固定されたまま
頭を撫でる手が下に下に移動する。
頬を伝い、首を通って唇に触れる。
また、ドキドキして心臓が苦しくなる。
膝を曲げて自分の胸のあたりを握りしめ
気持ち丸くなる。

『ほら…それじゃ触れない。』
冷酷に耳元で囁きながら私の背中を
彼の胸の方に押し返される。
彼の胸にピッタリと背中を預けて
支えきらない頭を彼の左肩に預け
少し上を向く体制。
力の入らない私の体は
彼の足に誘導され力無く
左右に少し開いた状態で投げ出される。
凄く無防備な格好になった。
力は入らず、息は荒い私とは裏腹に
余裕な表情の彼。

彼の少しの指の動きにも
大袈裟にビクビクと反応したり
クネクネと身をよじったりしてみる。

下から服の中に手が入ってきて
まず、鎖骨に指を滑らせる彼。

「ァッ…ンン…ハァ…ハァ…」
思わず声が漏れて恥ずかしい。

『かわいいよ?』
耳が熱くなって身体に電気が走る。

みぞおちを通って左胸へ。
既に勃起している乳首。
最初は大きく円を描きながら
少しずつ中心へ移動する。
“ビクンッビクンッ”と何度も体が跳ねる。
いつ突起物に触れてもおかしくない
緊張と期待…。
不意に

「アァッ!」
っと、少し大きめの声が漏れる。
乳首を“ピンッ”と1回弾かれた。
また、ガクガクと震える体。

『大きな声出したらみんなが
 起きてきちゃうよ?
 バレてもいいの?静かにしてて。』
責められるような低い声で
言われているのに…
それだけでも気持ちよくなる。

「ゴメン…ナサイ…」
やっと、絞り出したような声で答えた。
これが精一杯の答え。

そのまま、左脇を伝い下に下に移動する。
スボンの縁に手がかかる。
自然と足が少し内股になったけど
彼の足でまた開かれてしまった。

『閉じちゃだめでしょ?
 誰が閉じていいって言ったの?』

「ァァッ…」
この言葉だけでも
イってしまいそうになるのを
必死にこらえる。
“ごめんなさい”って言おうとしたけど
今度は、声にならなかった。

ズボンの中に手を入れて
内腿を数回なぞる彼は

『このズボン邪魔だね?』
って言ってズボンを下にずらして
腰を上げさせる。
もぅ、既に私の体に拒否権はない。
促されるがままに腰を少し上げると
“スッ”と下に降ろされる。
パンツは履いたまま。
足を器用に使って完全にはぎ取る。
恥ずかしくて近くにあった
毛布を足にかけた。

『エッチな匂いがする気がするんだけど…?
 もしかしてもぅ、濡れてるの?
 エッチだね?』

「ちっ、ちがぅ…」
そう言って足を閉じようとしたけど
彼の足に阻まれる。

『へぇ~。じゃぁ、確かめてみよっか?』

「ダメッ!…ィャァ…ッ」
イってしまいそうになりながら
身体を振るわせる。

『嫌なの?やめる?』
“スッ”と手が離れる。

瞬間的に彼の手を掴んだ。
「ダメ…。」

彼の顔を見る。まるで小動物の様に。
『して欲しいの?』

恥ずかしくて俯いた。
言葉がてなかったけど
彼がやめてしまわないように
首を縦に振る。

彼の手の力が抜けて
また、足の間に行って内腿をなぞる。

『どこを触ってほしいの?』
静かに囁く彼。

「ッ!…」
(なんていえばいいの?
 そんなハレンチなこと…
 言えるわけないよ…。
 だけど言わないと…触ってもらえない…)

『どこ?』
冷酷に淡々と急かされる。

「ウゥッ…ウゥ…ン…」
言葉にならない。
ただ、焦りで声が漏れて
目が泳ぐ。

『ほら。言ってごらん?』

「うぅ…ん…えっ…と…えっと…した…」

『したってどこ?
 ここも下だよ?
 ここでいいの?』

「ちがう…そこ…じゃなくて…ん~…」
なかなか言い出せないでいると

『お』
とだけ言う彼。
不思議に思って顔を上げると
もう一度真っ直ぐに私の目を見て

『お』
と言われた。

「お…?」

『ま』
流石に気づいた。
言わせようとしてるんだ。
巧妙な誘導だ。
でも、逆らえない。
顔を伏せて、小さな声で
「まァ…」

『ん』

「ん…」
身体がプルプルと震えてくる。

『こ』

「こぉ…」
やっと、触ってもらえると思って
“ハァハァ”と息が荒くなる。
だけど、すぐに期待は裏切られた…

『いやらしい…
 そんないやらしいこと言うんだ?
 触ってほしいんだ?
 でも、誰のどこを触ってほしいの?
 ちゃんとお願いできたら触ってあげる。』
(どうして…?
 触ってくれるんじゃないの…?)
また、焦らされる。

(触ってもらえると思ったのに…
 凄くもどかしくて切ない。
 それに、さっきのだけでも
 かなりの体力と気力を使ったから
 もぅ、言える気がしない…
 でも、言わないと…
 触ってもらえない…
どうしたらいいの…?)
胸の奥が痛くて、切なくて
涙が出そうになって
唇を噛み締めて俯く。
そんな、心とは裏腹に
内腿をなぞる右手や
いつの間にか
腰からの右胸に移動している
左手の感覚に身体は火照りを増して
ジッとしていられない。
胸を触っている左腕を両手でぎゅっと握る。
息が苦しくて心臓が痛くて
どうしょうもない。

“助けて…お願い…触ってよ”
そう思ってるのに
言葉がてない。

彼の手の動きにあわせてクネクネと
体を動かしながら
何も考えられずに荒々しく
息をしている私に彼がため息をつきながら
ゆっくりとだけどどこか優しく
また、私の言葉を誘導していく。

『私のいやらしい』

「わっ…わたし…の…
 わたしの…」

『い や ら し い』

「ぃっ…いや…ら…しぃ…///」
どんどん声はか細くなって
また、身体が震え始める。

『ビチャビチャのおまんこを』

「ビッ…ビシャ…ビッ…ビッ
 ビシャビシャ…ぁ…ハァ…ハァ…」
焦りがで始める。

“言わなきゃ。恥ずかしい。
 こんなこと言うなんて…
 でも、早く…早く言わなきゃ…
 早く…触ってほしい”

『のおまんこ。』

「のぉ…お…お…おま…ン…こぉ…////」

『触ってください。』

「さっ…さわって…くださぃ…////」
もぅ、これ以上に無い達成感と
やっと触ってもらえる期待感で
身体の震えが増していって
勝手に足が開いていく。

『よく言えたね。偉いよ。』
そう言って右の
乳首をコリコリしていた手を服から出して
わたしの頭を撫でる。
褒めてもらったのが素直に
ものすごく嬉しくてぎこちないながらも
今まで強ばっていた顔に
自然と照れ笑いがこぼれる。
頭を撫でた温かい大きな手が頬から
顎に移動して彼の方を向かせる。
恥ずかしくて顔を伏せようとするけど
彼の手はそれを許してはくれない。
内腿を触っていた右手の指が股関節の
脇の方からパンツの中に入ってくる。
でも、まだ触らない。

『ご褒美』
そう言って彼の顔がまた近づく
彼の胸元を掴んでギュッと目を閉じた。
彼の唇が重なった瞬間彼の太い指が
体の奥まで一気に入ってきた。

「んん~っ!!」
塞がれた唇から
声にならない叫びが溢れ出て
大きく体を仰け反らせてイっちゃった。
唇を離して指を抜かれた後もガクガクと
身体を震わせて焦点が
合わない目で彼を見つめて

「ぁぁ…っ…ぅぅ…ぁっ…ぁっ」
って勝手に声がもれていた。
そんな私を見下すような瞳で微笑みながら
頭を撫でてくれる彼。
落ち着いた頃

『イったの?』
って、またイジワルな質問をしてくる。
(答えなくてもわかってるくせに…)
俯いて頷く。

『そぅ…』
そう言いながら彼の服を
めいいっぱい握りしめている
私の手首を掴んで彼の股間へと持っていく。
初めて触る彼の物。
嬉しいのと、怖さがあって
手が震える。
ズボンは履いている。
最初は“チョンチョン”って感じで
次に掌で撫でてみる。
変な感触…
少し硬いけどブニョブニョしてて
妙に生温かい…
彼がチャックを降ろして
ズボンを少しおろしてくれた。
ボクサーパンツの布一枚の上から
もう一度撫でてみる。
やっぱり、弾力があって硬い。
少しだけ動いた気がしてビックリして
手を離して彼の顔を見た。

『咥えてくれる…?』
少し戸惑った声で
苦笑いをしながら聞いてきた。
多分…拒否されるかもしれないと
思ったのかもしれない。
だけど、私からしたら
やっと触らせてもらえた物。
怖いけど妙に愛おしくて
なぜだか口の中の奥の方から
“ジワッ”とヨダレが出てきた。
上手にできるか分からなくて不安だったけど
嬉しくてまた、ぎこちない笑顔で頷いて
目線を下にうつした。
“咥える”とは言ったものの
どうやってパンツを下げたらいいのか
分からなくて指を一本だけかけて
少しだけ下に引っ張って
もう一度彼の顔を見つめる。
彼は察してパンツをおろしてくれた。
初めて見た彼のもの。
できるだけ優しく握ってみる。
少し、ピクッっとなった。
彼の物はこっちを
見つめているような気がした。
ゆっくりと顔を近づけて少しだけ
口を開けて先の方だけ咥えてみる。
頭に手が添えられる。
不思議な匂いと味がした。

“嫌いじゃない。寧ろ好きかもしれない。
これが彼の味…?”
なんだか、嬉しくなって
一気に奥まで咥えてみる。
少しだけ頭に添えられた手に
力が入った気がした。
それと同時に

“ハァ…”
とも

“アァ…”
ともとれるような吐息が
彼の口から漏れた。
頭の中に響き渡る彼の吐息。
不思議と

“ボーッ”
とする。
1、2回上下に動いて口を離して顔を見た。
頭を撫でていた微笑んでくれた。
それが嬉しくて胸の奥がキュンキュンして
それからは夢中だった。

“彼が喜んでくれてる。
私の口で気持ちよくなってくれてる。
もっと…もっと…気持ちよくなってほしい”
ただそれだけだった。

どのくらいしていたかわからない
上手に出来てたかもわからない。
しばらくして、顎に手を添えて
顔を持ち上げられた。

『ありがとう。気持ちよかったよ?』
そう言って私の唇にキスをした。

“あれ…?まだイってないのに…
 もういいのかな…?”
そう思って不思議な顔をしていると

『もぅ、そろそろ帰らなきゃ。』

「えっ??」
そう言って時計を見ると5時過ぎていた。

「イってないよ…?」
そうつぶやくと

『大丈夫だよ?ありがとう。
 また今度続きしてくれる?』
って言われた。
次の約束ができて舞い上がった。

“また、できるんだ”

「うん!」
大きく首を縦に振って返事をした。
ニコッと微笑んでまたキスをしてくれた。
頭を撫でて

『弟との連絡手段って名目で
 連絡先交換しておこう?
 そしたらいつでも連絡取れるでしょ?』

そう言って連絡先を交換したんだ。

“なんて頭が良いんだろう”
とおもった。

『アイツに夕方連絡する
 って言っておいてくれる?
 また連絡するね?』

「わかった。」

そう言ってもう一度だけ
彼の温もりを確かめるように
彼の胸に顔を押し当てた。

“もう一度だけ抱きしめて…”
想いが届いたのか
彼は一度だけ優しく
でも、力強く抱きしめて
頭をポンポンと優しく叩いて
『またね?』

と、また忍者の様に少しだけ顔を出した
朝日に向かって帰っていった。

彼が帰ったあとには
なんだか身も心もスッキリしていて
なんか、どうでもいいや。
行事ごとから帰ったら普通に話して
終わりにしよう。
不思議と寂しさもなくそう思いながら
仕事に行く準備をし始めた。
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