24 / 31
第四章 精霊と呪い
偽りの愛と母の愛(1)
辺りはすでに闇の瀑布が降りていた。
ラップラントの村はすでに人通りも絶え、鎧戸も固く閉ざされていた。
少し欠けた歪な丸い月明かりとゲオルグの杖が照らす青白い光だけが、ほんのりと辺りを認識させる程度だった。
さらに一里ほど過ぎたところで、馬車はようやく止まった。
シグルンはお尻を摩りながら馬車を降りると、いててと小さく呻いた。
相変わらず馬車の旅路は快適ではないが、ゲオルグもヨハンナも割と平気そうにしているのが不思議だ。
「ではシグルン様、我々はここまでです」
つと呟くように言ったのはゲオルグだった。
シグルンははっとする。
そうだった。二人とはこのままお別れだった。
出会ってからたったの数日のことだった。
過ごした時間は大したことないくらい、むしろちっぽけなものなのに、シグルンはすっかりゲオルグとヨハンナのことが好きになりかけていた。いや、結構好きだと思う。
昨晩は自分が傷付きたくないばかりに、後先考えずに逃げることを優先させてしまったが、王宮にはゲオルグ、ヨハンナ、フロスティー、そして大好きだと気付いてしまったアレクだっていた。
後悔したって後の祭りだが。
「あの、送っていただきありがとうございます」
「いいえ、此度はシグルン様のお力になれず申し訳ありません」
「……そんなことはありません! 親切にしていただきありがとうございます。ゲオルグさんとヨハンナさんがいなかったら、私も今頃もっと大変だったと思います。本当にお世話になりました」
シグルンは慌ててお辞儀したが、ゲオルグは苦虫を潰したように言った。
ヨハンナは控えめにゲオルグの後ろに立ったまま静かに首を振る。
「今夜はここでゆっくりしていきな」
だが、シグルンが本当にお別れなんだなと感慨深く耽っていると、背後から聞き慣れた声が割って入ってきた。
一瞬シグルンは自分にかけられた言葉かと思って振り返ったが、ややあってゲオルグとヨハンナが返事をしたので、そうでないことを理解する。
振り返った先には、いつからそこにいたのだろうか、丘の上に建った懐かしの我が家の前にゾーイが立っていた。
ゾーイの杖の頭からは橙色の光が灯り、群青色の空を小さく照らしている。
ゾーイの赤い髪と目がゆらゆら揺れているように見えた。
「……お母さん!」
言うが早いか、シグルンは駆け出した。
揺れていたのはゾーイではなくシグルン自身だと気付く頃には、シグルンの目には涙が溢れんばかりに溜まっていた。
ぶわり、風とともに無数の白い蝶が舞った。
シグルンは蝶に驚くよりも先にゾーイに抱きついた。
ゾーイは嫌がる素振りを見せることなく、むしろ嬉しそうに受け入れる。
ゾーイのふふふと笑う声が上から聞こえた。
「分かったかい?」
ゾーイは唐突に聞いてきた。
「何が、よ。全然分からない」
そこは真っ先にお帰りなさいでしょう。
もしくは突然追い出すように王都にやってごめんねとか。
シグルンは涙声で返し、また始まったと心の中で突っ込んだ。
ゾーイお得意の、分からないことは自分で考えて答えを見つけなさい、が。
お陰で大変な目に遭ったんだ。
冷たくされたり、親切にされたり、好きな人に出会えたり……
シグルンはたった何日間かの出来事が走馬灯のうに頭に駆け巡り、ずきずきと心が痛んだ。
「……全然分からないよ、お母さん。ちゃんと教えてよ……」
視界に映るちらつく蝶を隅に捉えながら、シグルンは子供っぽく口を尖らせた。
せめてもの嫌味にとゾーイを睨めつければ、ゾーイはさも気にしてないとばかりに喉を鳴らし返す。
ゾーイの真意は未だ分からないままだった。
それもそのはず。シグルンは尻尾を巻いて王都から逃げ出したのだから。
『可愛い子には旅をさせよ』などという言葉があるが、シグルンのはとてもじゃないが旅に片足を突っ込んだ程度で、何か成長できた気などしなかった。
「でも、お前はもう答えたを見つけてきたようじゃないか。自分では気付いていないかもしれないが」
「答えって?」
(私の人生の課題は何? 答えは?)
「それは私の口からは言えない」
「それじゃ意味が分からないわ」
「答えはもうお前の胸にあるんだよ」
ゾーイは満足気によくやったと言ったが、シグルンは理解に苦しんだ。
尚も食い下がるがやっぱり分からない。ゾーイは何が言いたいんだ。
二人の話は噛み合わず平行線を辿った。
微妙な沈黙が流れる。
するとゾーイは観念したように両手を上げ、顰めっ面で口を開いた。
「いつかくると分かっていたよ。だから、そのときがくるまでは黙っていようと思っていたのさ……」
「……そのとき?」
「ああ、そのときだとも。それまでは自分の足で、目で、頭で考えなくちゃいけない。私が物事の本質をあらかじめこうだと説いたところで、それが正しいことだとどうして分かる? お前は曇りなき眼で見定め、自分で幸せを見つけなきゃならない」
シグルンは居た堪れずゾーイから目を逸らした。
ゾーイはシグルンが答えをすでに見つけたと言うが、シグルンからすれば問題から逃げ出した敵前逃亡も同然だ。
何が何だかやっぱり分からない。
「シグルン、この白い蝶は何だと思う?」
ゾーイは囁くようにシグルンに問いかける。
シグルンはゾーイの指差した先で、無数に舞う白い蝶をしっかりと見た。
魔法の残滓が月明かりに反射してきらきらと光っている。
「お母さんの魔法、ではない?」
「これは精霊の魔法だよ、精霊の」
ゾーイは語尾を強調すると、今度は何もない空中に手を突っ込んだ。
一瞬宙が歪んで手が呑み込まれたかと思うが、ゾーイは捜し物をする手付きで腕を揺らした後、少しして手を引き抜く。
手にしていたのは小さな木箱。宝石箱というよりかは質素で、片手に収まるくらいの大きさの箱だ。
ゾーイは突然それをシグルンの前に差し出した。
「え? 何これ?」
シグルンが疑問に思ったのも当然だ。
見たことのない木箱を何の気なしに出されてもどうすればいいか分からない。
シグルンはゾーイと木箱を交互に見て、ゾーイの説明を待った。
「これはお前の本当の母親から預かったものだよ」
雷に打たれたような衝撃がシグルンの全身を貫いた。耳のずっと奥で心臓の音がドクッと聞こえる。
本当の母親……
ゾーイが養母であることは幼い頃から聞かされてきたが、本当の親については聞いたことがなかった。
子どもの頃は多少なりとも気になったことはあったが、ゾーイ以上の親はいないという気持ちもあったし、何より聞くこと自体に申し訳なさもあり、シグルンは本当の両親について聞くことはなかったのだ。
寝耳に水だが、それでも聞けるものなら話を聞きたい。
「お母さんは私の本当のお母さんを知ってるの?」
シグルンは身を乗り出して尋ねた。
自分はずっとどこかの森で拾ってきた子なんだと思っていた。
なぜ捨てられたのか。
母親もシグルンと同じ醜い顔をしていたのか。
愛されていなかったのか。
聞くのは怖いが、知りたい気持ちの方が大きい。
シグルンの問いにゾーイは深く頷いた。
「お前の母親については、私もよく知っているわけではないんだよ。ただ、シグルンを産んですぐ私のところにやってきてね、赤ん坊のお前とそれを遺していったのさ」
「じゃ、じゃあ……本当のお母さんは……生きてる?」
「いいや、お前を預けてすぐ亡くなったよ。産後の肥立ちが悪くてね」
シグルンは『死』という言葉に身を竦めた。
薬師の真似事をしているシグルンにとって死はとても身近なものだが、できることなら立ち会いたいものではない。
「箱の中を開けてごらん」
シグルンはゾーイから木箱を受け取り、鍵のかかっていないただ被さるように覆っただけの蓋を開けた。
「わぁ、綺麗!」
「それはお前の母親が遺したものだ」
「私のお母さんが?」
「そうだよ」
箱の中に入っていたのは小さな指輪だった。
何年も手入れもされずに仕舞われていたためか、指輪は艶を失い白っぽい鼠色をしている。だが、目を凝らせば精緻な意匠が施されており、王冠のように真ん中に乗った大振りのルビーは、時を忘れさせない輝きを持っている。
シグルンは指輪を月明かりに翳し、反射して赤く煌めく宝石に魅入った。
外見は老婆で似合わないと言われたらお終いだが、世の女性がそうであるようにシグルンもまた美しいものは好きだ。
ふいに一頭の蝶が指輪の頭に乗った。
忘れていたわけではないが、この蝶を見る度に少しずつ驚きは減っていた。
シグルンはぼんやりと眺めていると、不思議なことに視界も曖昧に霞んでくる。
(……あれ?)
シグルンは疑問を口にしたつもりだったが、言葉にならずに心の中で押し止まったようだ。
気が付けば、シグルンはたなびく霞に包まれ、真っ白な世界に朧に浮かんでいた。
ラップラントの村はすでに人通りも絶え、鎧戸も固く閉ざされていた。
少し欠けた歪な丸い月明かりとゲオルグの杖が照らす青白い光だけが、ほんのりと辺りを認識させる程度だった。
さらに一里ほど過ぎたところで、馬車はようやく止まった。
シグルンはお尻を摩りながら馬車を降りると、いててと小さく呻いた。
相変わらず馬車の旅路は快適ではないが、ゲオルグもヨハンナも割と平気そうにしているのが不思議だ。
「ではシグルン様、我々はここまでです」
つと呟くように言ったのはゲオルグだった。
シグルンははっとする。
そうだった。二人とはこのままお別れだった。
出会ってからたったの数日のことだった。
過ごした時間は大したことないくらい、むしろちっぽけなものなのに、シグルンはすっかりゲオルグとヨハンナのことが好きになりかけていた。いや、結構好きだと思う。
昨晩は自分が傷付きたくないばかりに、後先考えずに逃げることを優先させてしまったが、王宮にはゲオルグ、ヨハンナ、フロスティー、そして大好きだと気付いてしまったアレクだっていた。
後悔したって後の祭りだが。
「あの、送っていただきありがとうございます」
「いいえ、此度はシグルン様のお力になれず申し訳ありません」
「……そんなことはありません! 親切にしていただきありがとうございます。ゲオルグさんとヨハンナさんがいなかったら、私も今頃もっと大変だったと思います。本当にお世話になりました」
シグルンは慌ててお辞儀したが、ゲオルグは苦虫を潰したように言った。
ヨハンナは控えめにゲオルグの後ろに立ったまま静かに首を振る。
「今夜はここでゆっくりしていきな」
だが、シグルンが本当にお別れなんだなと感慨深く耽っていると、背後から聞き慣れた声が割って入ってきた。
一瞬シグルンは自分にかけられた言葉かと思って振り返ったが、ややあってゲオルグとヨハンナが返事をしたので、そうでないことを理解する。
振り返った先には、いつからそこにいたのだろうか、丘の上に建った懐かしの我が家の前にゾーイが立っていた。
ゾーイの杖の頭からは橙色の光が灯り、群青色の空を小さく照らしている。
ゾーイの赤い髪と目がゆらゆら揺れているように見えた。
「……お母さん!」
言うが早いか、シグルンは駆け出した。
揺れていたのはゾーイではなくシグルン自身だと気付く頃には、シグルンの目には涙が溢れんばかりに溜まっていた。
ぶわり、風とともに無数の白い蝶が舞った。
シグルンは蝶に驚くよりも先にゾーイに抱きついた。
ゾーイは嫌がる素振りを見せることなく、むしろ嬉しそうに受け入れる。
ゾーイのふふふと笑う声が上から聞こえた。
「分かったかい?」
ゾーイは唐突に聞いてきた。
「何が、よ。全然分からない」
そこは真っ先にお帰りなさいでしょう。
もしくは突然追い出すように王都にやってごめんねとか。
シグルンは涙声で返し、また始まったと心の中で突っ込んだ。
ゾーイお得意の、分からないことは自分で考えて答えを見つけなさい、が。
お陰で大変な目に遭ったんだ。
冷たくされたり、親切にされたり、好きな人に出会えたり……
シグルンはたった何日間かの出来事が走馬灯のうに頭に駆け巡り、ずきずきと心が痛んだ。
「……全然分からないよ、お母さん。ちゃんと教えてよ……」
視界に映るちらつく蝶を隅に捉えながら、シグルンは子供っぽく口を尖らせた。
せめてもの嫌味にとゾーイを睨めつければ、ゾーイはさも気にしてないとばかりに喉を鳴らし返す。
ゾーイの真意は未だ分からないままだった。
それもそのはず。シグルンは尻尾を巻いて王都から逃げ出したのだから。
『可愛い子には旅をさせよ』などという言葉があるが、シグルンのはとてもじゃないが旅に片足を突っ込んだ程度で、何か成長できた気などしなかった。
「でも、お前はもう答えたを見つけてきたようじゃないか。自分では気付いていないかもしれないが」
「答えって?」
(私の人生の課題は何? 答えは?)
「それは私の口からは言えない」
「それじゃ意味が分からないわ」
「答えはもうお前の胸にあるんだよ」
ゾーイは満足気によくやったと言ったが、シグルンは理解に苦しんだ。
尚も食い下がるがやっぱり分からない。ゾーイは何が言いたいんだ。
二人の話は噛み合わず平行線を辿った。
微妙な沈黙が流れる。
するとゾーイは観念したように両手を上げ、顰めっ面で口を開いた。
「いつかくると分かっていたよ。だから、そのときがくるまでは黙っていようと思っていたのさ……」
「……そのとき?」
「ああ、そのときだとも。それまでは自分の足で、目で、頭で考えなくちゃいけない。私が物事の本質をあらかじめこうだと説いたところで、それが正しいことだとどうして分かる? お前は曇りなき眼で見定め、自分で幸せを見つけなきゃならない」
シグルンは居た堪れずゾーイから目を逸らした。
ゾーイはシグルンが答えをすでに見つけたと言うが、シグルンからすれば問題から逃げ出した敵前逃亡も同然だ。
何が何だかやっぱり分からない。
「シグルン、この白い蝶は何だと思う?」
ゾーイは囁くようにシグルンに問いかける。
シグルンはゾーイの指差した先で、無数に舞う白い蝶をしっかりと見た。
魔法の残滓が月明かりに反射してきらきらと光っている。
「お母さんの魔法、ではない?」
「これは精霊の魔法だよ、精霊の」
ゾーイは語尾を強調すると、今度は何もない空中に手を突っ込んだ。
一瞬宙が歪んで手が呑み込まれたかと思うが、ゾーイは捜し物をする手付きで腕を揺らした後、少しして手を引き抜く。
手にしていたのは小さな木箱。宝石箱というよりかは質素で、片手に収まるくらいの大きさの箱だ。
ゾーイは突然それをシグルンの前に差し出した。
「え? 何これ?」
シグルンが疑問に思ったのも当然だ。
見たことのない木箱を何の気なしに出されてもどうすればいいか分からない。
シグルンはゾーイと木箱を交互に見て、ゾーイの説明を待った。
「これはお前の本当の母親から預かったものだよ」
雷に打たれたような衝撃がシグルンの全身を貫いた。耳のずっと奥で心臓の音がドクッと聞こえる。
本当の母親……
ゾーイが養母であることは幼い頃から聞かされてきたが、本当の親については聞いたことがなかった。
子どもの頃は多少なりとも気になったことはあったが、ゾーイ以上の親はいないという気持ちもあったし、何より聞くこと自体に申し訳なさもあり、シグルンは本当の両親について聞くことはなかったのだ。
寝耳に水だが、それでも聞けるものなら話を聞きたい。
「お母さんは私の本当のお母さんを知ってるの?」
シグルンは身を乗り出して尋ねた。
自分はずっとどこかの森で拾ってきた子なんだと思っていた。
なぜ捨てられたのか。
母親もシグルンと同じ醜い顔をしていたのか。
愛されていなかったのか。
聞くのは怖いが、知りたい気持ちの方が大きい。
シグルンの問いにゾーイは深く頷いた。
「お前の母親については、私もよく知っているわけではないんだよ。ただ、シグルンを産んですぐ私のところにやってきてね、赤ん坊のお前とそれを遺していったのさ」
「じゃ、じゃあ……本当のお母さんは……生きてる?」
「いいや、お前を預けてすぐ亡くなったよ。産後の肥立ちが悪くてね」
シグルンは『死』という言葉に身を竦めた。
薬師の真似事をしているシグルンにとって死はとても身近なものだが、できることなら立ち会いたいものではない。
「箱の中を開けてごらん」
シグルンはゾーイから木箱を受け取り、鍵のかかっていないただ被さるように覆っただけの蓋を開けた。
「わぁ、綺麗!」
「それはお前の母親が遺したものだ」
「私のお母さんが?」
「そうだよ」
箱の中に入っていたのは小さな指輪だった。
何年も手入れもされずに仕舞われていたためか、指輪は艶を失い白っぽい鼠色をしている。だが、目を凝らせば精緻な意匠が施されており、王冠のように真ん中に乗った大振りのルビーは、時を忘れさせない輝きを持っている。
シグルンは指輪を月明かりに翳し、反射して赤く煌めく宝石に魅入った。
外見は老婆で似合わないと言われたらお終いだが、世の女性がそうであるようにシグルンもまた美しいものは好きだ。
ふいに一頭の蝶が指輪の頭に乗った。
忘れていたわけではないが、この蝶を見る度に少しずつ驚きは減っていた。
シグルンはぼんやりと眺めていると、不思議なことに視界も曖昧に霞んでくる。
(……あれ?)
シグルンは疑問を口にしたつもりだったが、言葉にならずに心の中で押し止まったようだ。
気が付けば、シグルンはたなびく霞に包まれ、真っ白な世界に朧に浮かんでいた。
あなたにおすすめの小説
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
遺産は一円も渡さない 〜強欲な夫と義実家に捨てられた私、真の相続人と手を組み全てを奪い返す~ (全10話)
スカッと文庫
恋愛
「お前の価値なんて、その遺産くらいしかないんだよ」
唯一の肉親だった祖父を亡くした夜、夫の健一と義母から放たれたのは、あまりにも無慈悲な言葉だった。
四十九日も待たず、祖父が遺した1億2000万円の遺産をアテに贅沢三昧を目論む夫。だが、彼には隠し通している「裏切り」があった――。
絶望の淵に立たされた由美の前に現れたのは、亡き祖父が差し向けた若き凄腕弁護士・蓮。
「おじい様は、すべてお見通しでしたよ」
明かされる衝撃の遺言内容。そして、強欲な夫たちを地獄へ叩き落とすための「相続条件」とは?
虐げられてきた妻による、一発逆転の遺産争奪&復讐劇がいま幕を開ける!