16 / 33
第1章
ストーカー、閉じ込められる。
しおりを挟む
閉じ込められて、数時間はもうここにいる。
本当に眠たくなってきた。アイツらは後先考えずにこんなことをしたんだろうけど、もう許す気はない。
私がいないことに誰か気づいてくれたんだろうか。
目を閉じてレオン様のことを考える。同時に思い出す前世の様々な記憶。何年も続いた奇妙な関係は私達ならではのことだろう。
凌との出会いは中学だった。初対面の印象はお互いに最悪。私は彼を愛想が悪くて暗いなと感じ、彼は私を騒がしくて頭が軽そうだと感じたらしい。つまり、お互いに「コイツと仲良くなることはない」と感じていたのだから、人生というものはわからないものだ。
なんで?と聞かれてもわからなかった。ただ気づいたら、いつも一緒にいた。たまたま3年間クラスが同じだったとか、彼の姉が部活の先輩だったとか、共通の友達が多かったとか、何となく、そうゆう理由で共に過ごした。
恋愛対象として見たことも無かった。私より背も低くて、顔もそんなに格好良いわけでもなかったし、居心地が良すぎて、恋とかじゃないと思っていたんだと思う。
私がストーカーになったのは、彼がそれを許していたからだった。友達の中で1番でいたかった。1番彼を知っていたかったし、多くの時間をすごしたかった。それが独占欲という愛と気づいたのが、高校生の頃。
高校が別々になって、お互い部活が忙しくなって、彼の成長とか、様子とか、知らないことがどんどん増えたとき、寂しいとかじゃなくて怖くなった。私の凌じゃなくなってしまうと思ったのだ。凌の中に私の居場所が無くなることはどうしようもなく嫌だった。
そこからの私はしつこかった。会いに行っては告白し振られ、遊びに誘って告白し振られ、電話を掛けては告白し振られ…諦めなかった。 彼に私は人として好かれていることに自信があったからだ。彼はそれなりにずっと私のことを特別に扱ってくれていたのだ。
彼は高等専門学校に5年間通って就職し、私は高校から大学へ進学した。住む場所が離れた時もあったけど、連絡はずっと取り合って、よく飲みに行ったりした。付き合ってはないけど、きっとそれ以上の関係だったのだと思う。
私は大学を無事卒業後、就職し社会人となった。凌の前以外では猫をかぶっていて、身なりにもそれなりに気を使っていたのが良かったのか、突然のモテ期が到来した。まぁ、彼以外を選ぶなんてことはなかったけど。
そんなこんなで、彼と出会って13年、私の告白の記念すべき500回目が訪れた。
「凌、愛してる!」
「はいはい。」
いつも通りに流されて終わると思ったのに、彼は何処からか指輪の箱を取り出して、私の顔の前で開く。
「結婚したら、ストーキングやめろよ?」
そう言った彼は悪戯が成功したような意地悪な、でも飛び切り優しい顔で笑っていた。
「あの顔、すっごく良かったんだよなぁ。」
今じゃ絶対に見られない。でも、いつか見れるといいな。次は写真撮れるといいんだけど。
ぼんやりと妄想にふけっていたのに、大きな音と共に緊張感を取り戻した。足音からして数人?助けなのか、犯人なのか、どちらにせよまだ気を失ったフリをしてる方が得策かもしれない。
「おい、まだ気を失ってるぞ。」
「起こすか?」
「いや、顔は見られない方がいいんじゃないか。」
犯人かよ。やっぱり、コイツらだったか。目的はなんなんだろう。
「今、他の奴らがウィステリアの野郎をゆすってる。」
やっぱりロイドも巻き込まれてるようだ。馬鹿じゃないのかコイツら。バレたら終わるってわかってんのか?
ロイドも馬鹿じゃないし、無理はしないだろうから安心だろう。たぶん。
もうこの際、家の力でもなんでもいいから、うまいこと解放してくれ。
本当に眠たくなってきた。アイツらは後先考えずにこんなことをしたんだろうけど、もう許す気はない。
私がいないことに誰か気づいてくれたんだろうか。
目を閉じてレオン様のことを考える。同時に思い出す前世の様々な記憶。何年も続いた奇妙な関係は私達ならではのことだろう。
凌との出会いは中学だった。初対面の印象はお互いに最悪。私は彼を愛想が悪くて暗いなと感じ、彼は私を騒がしくて頭が軽そうだと感じたらしい。つまり、お互いに「コイツと仲良くなることはない」と感じていたのだから、人生というものはわからないものだ。
なんで?と聞かれてもわからなかった。ただ気づいたら、いつも一緒にいた。たまたま3年間クラスが同じだったとか、彼の姉が部活の先輩だったとか、共通の友達が多かったとか、何となく、そうゆう理由で共に過ごした。
恋愛対象として見たことも無かった。私より背も低くて、顔もそんなに格好良いわけでもなかったし、居心地が良すぎて、恋とかじゃないと思っていたんだと思う。
私がストーカーになったのは、彼がそれを許していたからだった。友達の中で1番でいたかった。1番彼を知っていたかったし、多くの時間をすごしたかった。それが独占欲という愛と気づいたのが、高校生の頃。
高校が別々になって、お互い部活が忙しくなって、彼の成長とか、様子とか、知らないことがどんどん増えたとき、寂しいとかじゃなくて怖くなった。私の凌じゃなくなってしまうと思ったのだ。凌の中に私の居場所が無くなることはどうしようもなく嫌だった。
そこからの私はしつこかった。会いに行っては告白し振られ、遊びに誘って告白し振られ、電話を掛けては告白し振られ…諦めなかった。 彼に私は人として好かれていることに自信があったからだ。彼はそれなりにずっと私のことを特別に扱ってくれていたのだ。
彼は高等専門学校に5年間通って就職し、私は高校から大学へ進学した。住む場所が離れた時もあったけど、連絡はずっと取り合って、よく飲みに行ったりした。付き合ってはないけど、きっとそれ以上の関係だったのだと思う。
私は大学を無事卒業後、就職し社会人となった。凌の前以外では猫をかぶっていて、身なりにもそれなりに気を使っていたのが良かったのか、突然のモテ期が到来した。まぁ、彼以外を選ぶなんてことはなかったけど。
そんなこんなで、彼と出会って13年、私の告白の記念すべき500回目が訪れた。
「凌、愛してる!」
「はいはい。」
いつも通りに流されて終わると思ったのに、彼は何処からか指輪の箱を取り出して、私の顔の前で開く。
「結婚したら、ストーキングやめろよ?」
そう言った彼は悪戯が成功したような意地悪な、でも飛び切り優しい顔で笑っていた。
「あの顔、すっごく良かったんだよなぁ。」
今じゃ絶対に見られない。でも、いつか見れるといいな。次は写真撮れるといいんだけど。
ぼんやりと妄想にふけっていたのに、大きな音と共に緊張感を取り戻した。足音からして数人?助けなのか、犯人なのか、どちらにせよまだ気を失ったフリをしてる方が得策かもしれない。
「おい、まだ気を失ってるぞ。」
「起こすか?」
「いや、顔は見られない方がいいんじゃないか。」
犯人かよ。やっぱり、コイツらだったか。目的はなんなんだろう。
「今、他の奴らがウィステリアの野郎をゆすってる。」
やっぱりロイドも巻き込まれてるようだ。馬鹿じゃないのかコイツら。バレたら終わるってわかってんのか?
ロイドも馬鹿じゃないし、無理はしないだろうから安心だろう。たぶん。
もうこの際、家の力でもなんでもいいから、うまいこと解放してくれ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
悪役令嬢の心変わり
ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。
7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。
そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス!
カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
バッドエンド予定の悪役令嬢が溺愛ルートを選んでみたら、お兄様に愛されすぎて脇役から主役になりました
美咲アリス
恋愛
目が覚めたら公爵令嬢だった!?貴族に生まれ変わったのはいいけれど、美形兄に殺されるバッドエンドの悪役令嬢なんて絶対困る!!死にたくないなら冷酷非道な兄のヴィクトルと仲良くしなきゃいけないのにヴィクトルは氷のように冷たい男で⋯⋯。「どうしたらいいの?」果たして私の運命は?
【長編版】悪役令嬢は乙女ゲームの強制力から逃れたい
椰子ふみの
恋愛
ヴィオラは『聖女は愛に囚われる』という乙女ゲームの世界に転生した。よりによって悪役令嬢だ。断罪を避けるため、色々、頑張ってきたけど、とうとうゲームの舞台、ハーモニー学園に入学することになった。
ヒロインや攻略対象者には近づかないぞ!
そう思うヴィオラだったが、ヒロインは見当たらない。攻略対象者との距離はどんどん近くなる。
ゲームの強制力?
何だか、変な方向に進んでいる気がするんだけど。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる