ストーカー体質は異世界でも治らない

希彩(kiiro)

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第1章

ストーカー、予感する。

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恥ずかしい。これは予想以上に恥ずかしい!
私に恥ずかしいという感情が存在していたことに驚く人も多いだろうが、レオン様も私も意識が覚醒しているときに、この体勢はとにかく恥ずかしい。

「…悪い。」

レオン様まで恥ずかしくなっちゃってるよ!
彼は私の腰に抱きつき心臓の辺りに耳を寄せるとよく眠れるらしい。つまり、そのぐらい密着しているわけで。

私は1人で距離に焦ったり、レオン様の綺麗な顔に悶えたり、とても忙しい。のに、彼は私に抱きついて数分で眠りについてしまった。

しばらくの間、彼の髪を弄び、黒子を数えたりしていて私もいつの間にか眠っていたようだ。

私が起きるとすでにレオン様はおらず。自室で支度をして、朝食をいただく。朝食は私の寮よりも豪華で胸焼けをしそうだった。美味しかったけどね!

学園に行こうと外に出ると、レオン様がいた。

「遅い。」

え?待ってたの?ええ!嬉しい!

「ついて行ってもよろしいのですか?」

「駄目だと言っても来るんだろうが。」

さっすがー!わかってるー!どうゆう心境の変化かは分からないままだけど、確実にいい方向に進んでる。
夢のウエディングまで、あと少しだぜ!

まぁそのあとはいつもの通り、オール無視でしたね。私の大きな独り言コースです。はい。

学園について、イツメンの集まる部屋に向かうとロイドとイリスが待ち伏せていた。

「ヴィー!心配しましたわ!」
「3日も休むなんて、なんかあったのか!?」

「かくかくしかじかで…」

徹夜をし続けたために眠り続けてしまったことを伝えると結構な勢いで怒られた。心配してくれたのか、ありがとよ。

「そうですわ、ヴィー!貴方を探してた殿方が…」

私を探してた殿方?なんで?と思った瞬間、部屋のドアが勢いよく開く。私の周りの人は皆、ドアの開け方が雑だと思う。ロイド腰の剣に手をかけるのは止めなさい。

「見つけたぞ!ヴィオラ・クロンキスト!」

漫画だったらドーンっと効果音がついてそうな感じで堂々とそこに立っていたのは、オレンジ色の頭をした知らない人だった。

「失礼ながら、どちらさまでしょうか?」

ロイドと似た緑の目が自信のなさそうに変わる。

「俺はカイルだ。覚えて、ないのか…?」

コロコロと変わる表情と声色がなんだか面白い。にこやかに肯定の意を込めた頷きをかえす。

「その、だな。昼餉を共に食わないか?」

「へ?」

思わず、変な声がでた。ランチのお誘い?なんでわざわざ?

「2人きりはちょっと…」

こっちには婚約者もいる。結構有名なんだけど知らないのだろうか。

「違う!2人ではない!少し、話がしたいんだ。」

駄目か?と問う顔が圧倒的ワンコだ。ロイドより害のないワンコじゃん。

「そうでしたか、なら了承しますわ。」

「そうか!では!ここに迎えに来るぞ!」

あからさまにテンションの上がったカイルはすごい元気そうで可愛かった。

台風のように去って行った彼のこと、確かに覚えがあるような気もするけど、なんだったけ?

「何かされないように、気をつけろよ。」
「私が陰から見守りますわね!」

ロイドは相変わらず過保護だし、イリスはストーカー脳になっちゃってる。害なんてなさそうだったじゃないか。いい感じに馬鹿そうで。いや、本当にいい意味でだよ?

昼までの授業は結構きつかった。予習しているし、私が独学的に知識を増やしたものもあるけど、3日授業に出てないと流石に、疲れる。ちゃんと復習しとかないとなぁ。

バンッという音が響きドアが開く。だから開け方雑なんだって。

「ヴィオラ・クロンキスト!迎えに来たぞ!」

やっぱり、どんっていう効果音がついてるな、この人。
あと、なんでフルネーム?ちょっと嫌なんだけど。

「ヴィオラで構いませんわ。カイル様。」

「そ、そ、そうか?それなら私もカイルでいい。」

何故か、ものすごく焦り出すカイル。顔もほんのり赤くなってるし、照れてんのか?

「カイル君ー?話ってなぁに?」

カイルの初心さにニマニマしていたところに突然の衝撃。この甘い声、すっごい聞いたことあるよ!?

「アンナ、待っていろと言っただろ?」

はい~!やっぱりヒロインちゃんだよね!!
これは大荒れのランチタイムが始まりそうな予感だ。
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