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未確認飛行物体16
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アメリアの幻術により魔王の間を脱した三人は城の外へ出る為に下へと急ぐ。
「アメリアさんの幻術で何とか逃げられましたけど外は大丈夫ですかね?」
「分からん。だが今はここを出ることに集中しろ」
「はい」
それから来た道を戻り下へ――下へ――下り続ける。
そして無事に何事もなく一階正面入り口付近まで来た三人は眼前の光景に思わず足を止めた。大きな正面ドアの前で彼らを待ち構えていたのは大勢の仮面人型。手に剣を握っていたその軍勢が三人を外に出さないようにしていることは明らかだった。
「途中に誰もいなかったのはこの為だったんですね」
「こいつらとはお前は一度戦ったことがあるんだろ?」
「はい」
「俺とお前で一気にドアまで道を開けそうか?」
マルクはアーサーの実力を全て把握している訳ではなかったが、先の戦闘だけでもそれには自信を持って答えられた。
「はい。すぐ外に出れば最小限の戦闘で済むかと」
「よし。俺とマルクで道を開き一気に外に出る。離れるなよアメリア」
「分かりました」
そして剣を構えたアーサーとマルクは横目でアイコンタクトを取ると同時に走り出した。倒せる敵は倒しそうではない敵はその場から退け、立ち止まることなく勢いに身を任せながら道を切り開いていく。
その勢いは凄まじくあっという間にドアへと到着。未だ後方では大量の敵が三人を仕留めようと後を追っていた。
だが、そんな敵など相手にせずすぐさまドアを開けたアーサーとマルクはアメリアが出てきたのを確認するや否やドアを閉め押さえ付ける。そして中からドアを開けようとする力に二人が耐えている間に、呪文を唱えたアメリアの魔術が代わりにドアを固く閉ざした。
雷の唸る黒雲が空を覆う外へ無事に出られはホッと安堵の溜息を零すマルク。
「二人と合流し一度セルガラに向かう。それまでは気を抜くなよ」
そんな彼の気を引き締めるようなアーサーの言葉にアメリアとマルクは頷いて返事を返した。幸いにもルルディとクーリオの待つ場所まであの仮面人型は現れずその道中はスムーズ。
だが二人の待っていた場所は違ったらしい。円を描くように転がる死体の中心には今も血の滴る剣を握ったルルディとクーリオが並んで立っていた。そして三人の足音に新手かと思ったのかクーリオは横目で音の方を見遣る。それはあのおちゃらけた雰囲気のクーリオからは想像が出来ない程に鋭い眼光。
しかし足音が三人のものだと分ると表情は一変し、バツが悪そうに手を頭の後ろにやった。
「いやぁ、これは何というか。知らないうちに囲まれちゃってて戦わざるを得なかったかったんすよねー。だから決して指示に背いたわけじゃないんすよ」
少し逃げ腰で理由を説明するクーリオとその一歩後ろで『そうです』と言わんばかりに必死に頷くルルディ。
「気にするな。お前らが無事ならそれでいい。それより敵はこれだけか?」
「はいっす! 襲ってきたのはこれだけっすね」
「よし。ならセルガラまで戻るぞ」
「了解っす」
そして五人がセルガラへ向け足を進めようとしたその時。背後から重い足音が振動と共に響き渡った。
その足音に振り返った五人の目には、同じ仮面をつけてはいるが仮面人型の倍以上はある巨体が映る。手にはそれ相応の戦斧を持っており地震でも起こしてしまいそうな一歩一歩に呼応し、大きく出た腹の肉が揺れていた。しかもその仮面巨体型は一体ではなく十数体と数も備えている。
「チッ。面倒だな」
アーサーはその光景に舌打ちをすると剣を抜いた。
「お前らは先に行け」
「俺っちも残るっす」
透かさずクーリオがそう申し出るとルルディも彼に続いた。
「必要ない。それに一人の方が退きやすいからな」
「了解っす……」
渋々と言った様子だったが二人は素直に頷いた。
「合流はセルガラ。それまではクーリオお前が指揮を取れ」
「了解っす」
「行け」
その指示通りアーサーを残して四人は死の森を走り出した。アーサーと別れ幾分か走った所で後方から戦闘の音が響く。
その激戦を思わせる音に思わずマルクは足を止め振り返った。それと同時に一本の落雷が轟音と共に地面へ。
「アーサー騎士王なら大丈夫っすよ。恐ろしく強いんすから」
「そうですよね」
一抹の不安を心に残しながらもマルクはセルガラ王国へと急いだ。
アーサーのお陰で追手はなく死の森を抜けられた四人は足を止めることなくセルガラ王国へ向かい――そして無事に辿り着いた。
王国に着くや否や謁見の間へ向かいヴァレンスの元を訪れる一行。クーリオとルルディが片膝を着きマルクとアメリアがその後ろに立つと、クーリオが代表して状況を説明した。
「そうであったか。ではアーサーが戻るま――」
「その必要はない」
ヴァレンスが言い切るより先に謁見の間ドアが開き中へ入って来たのは、アーサー。
「無事戻ったか」
「あぁ。ヴァレンス、至急国王会議を始めたい」
「ではあの場所へと行くとするか。丁度集まっておったところじゃ」
「お前らは先にログロットに戻れ」
アーサーはクーリオとルルディにそう告げるとアメリアの方を向いた。
「今日はご苦労だった。偵察はこれで終わりだ」
「お疲れさまでした」
その言葉に深く頭を下げるアメリア。
そして謁見の間を出ていく彼女の背中からアーサーはマルクへと視線を移した。
「行くぞ」
「はい」
「アメリアさんの幻術で何とか逃げられましたけど外は大丈夫ですかね?」
「分からん。だが今はここを出ることに集中しろ」
「はい」
それから来た道を戻り下へ――下へ――下り続ける。
そして無事に何事もなく一階正面入り口付近まで来た三人は眼前の光景に思わず足を止めた。大きな正面ドアの前で彼らを待ち構えていたのは大勢の仮面人型。手に剣を握っていたその軍勢が三人を外に出さないようにしていることは明らかだった。
「途中に誰もいなかったのはこの為だったんですね」
「こいつらとはお前は一度戦ったことがあるんだろ?」
「はい」
「俺とお前で一気にドアまで道を開けそうか?」
マルクはアーサーの実力を全て把握している訳ではなかったが、先の戦闘だけでもそれには自信を持って答えられた。
「はい。すぐ外に出れば最小限の戦闘で済むかと」
「よし。俺とマルクで道を開き一気に外に出る。離れるなよアメリア」
「分かりました」
そして剣を構えたアーサーとマルクは横目でアイコンタクトを取ると同時に走り出した。倒せる敵は倒しそうではない敵はその場から退け、立ち止まることなく勢いに身を任せながら道を切り開いていく。
その勢いは凄まじくあっという間にドアへと到着。未だ後方では大量の敵が三人を仕留めようと後を追っていた。
だが、そんな敵など相手にせずすぐさまドアを開けたアーサーとマルクはアメリアが出てきたのを確認するや否やドアを閉め押さえ付ける。そして中からドアを開けようとする力に二人が耐えている間に、呪文を唱えたアメリアの魔術が代わりにドアを固く閉ざした。
雷の唸る黒雲が空を覆う外へ無事に出られはホッと安堵の溜息を零すマルク。
「二人と合流し一度セルガラに向かう。それまでは気を抜くなよ」
そんな彼の気を引き締めるようなアーサーの言葉にアメリアとマルクは頷いて返事を返した。幸いにもルルディとクーリオの待つ場所まであの仮面人型は現れずその道中はスムーズ。
だが二人の待っていた場所は違ったらしい。円を描くように転がる死体の中心には今も血の滴る剣を握ったルルディとクーリオが並んで立っていた。そして三人の足音に新手かと思ったのかクーリオは横目で音の方を見遣る。それはあのおちゃらけた雰囲気のクーリオからは想像が出来ない程に鋭い眼光。
しかし足音が三人のものだと分ると表情は一変し、バツが悪そうに手を頭の後ろにやった。
「いやぁ、これは何というか。知らないうちに囲まれちゃってて戦わざるを得なかったかったんすよねー。だから決して指示に背いたわけじゃないんすよ」
少し逃げ腰で理由を説明するクーリオとその一歩後ろで『そうです』と言わんばかりに必死に頷くルルディ。
「気にするな。お前らが無事ならそれでいい。それより敵はこれだけか?」
「はいっす! 襲ってきたのはこれだけっすね」
「よし。ならセルガラまで戻るぞ」
「了解っす」
そして五人がセルガラへ向け足を進めようとしたその時。背後から重い足音が振動と共に響き渡った。
その足音に振り返った五人の目には、同じ仮面をつけてはいるが仮面人型の倍以上はある巨体が映る。手にはそれ相応の戦斧を持っており地震でも起こしてしまいそうな一歩一歩に呼応し、大きく出た腹の肉が揺れていた。しかもその仮面巨体型は一体ではなく十数体と数も備えている。
「チッ。面倒だな」
アーサーはその光景に舌打ちをすると剣を抜いた。
「お前らは先に行け」
「俺っちも残るっす」
透かさずクーリオがそう申し出るとルルディも彼に続いた。
「必要ない。それに一人の方が退きやすいからな」
「了解っす……」
渋々と言った様子だったが二人は素直に頷いた。
「合流はセルガラ。それまではクーリオお前が指揮を取れ」
「了解っす」
「行け」
その指示通りアーサーを残して四人は死の森を走り出した。アーサーと別れ幾分か走った所で後方から戦闘の音が響く。
その激戦を思わせる音に思わずマルクは足を止め振り返った。それと同時に一本の落雷が轟音と共に地面へ。
「アーサー騎士王なら大丈夫っすよ。恐ろしく強いんすから」
「そうですよね」
一抹の不安を心に残しながらもマルクはセルガラ王国へと急いだ。
アーサーのお陰で追手はなく死の森を抜けられた四人は足を止めることなくセルガラ王国へ向かい――そして無事に辿り着いた。
王国に着くや否や謁見の間へ向かいヴァレンスの元を訪れる一行。クーリオとルルディが片膝を着きマルクとアメリアがその後ろに立つと、クーリオが代表して状況を説明した。
「そうであったか。ではアーサーが戻るま――」
「その必要はない」
ヴァレンスが言い切るより先に謁見の間ドアが開き中へ入って来たのは、アーサー。
「無事戻ったか」
「あぁ。ヴァレンス、至急国王会議を始めたい」
「ではあの場所へと行くとするか。丁度集まっておったところじゃ」
「お前らは先にログロットに戻れ」
アーサーはクーリオとルルディにそう告げるとアメリアの方を向いた。
「今日はご苦労だった。偵察はこれで終わりだ」
「お疲れさまでした」
その言葉に深く頭を下げるアメリア。
そして謁見の間を出ていく彼女の背中からアーサーはマルクへと視線を移した。
「行くぞ」
「はい」
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