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彼女の未来が消えてく。
階段事件
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~次の日~
「よぉ!飴彩くん?元気ですか!?」
元気の良い零の声に
「へいへい」と適当に言葉を返す。
なんだか今日は気持ちの悪い天気で機嫌が少し悪いのだ。
明るくなったらすぐ暗くなったり、本当に気味が悪い。
そんな事を考えながら授業を受け流すのだった……
「え~次、体育じゃん??」
「まじかー嫌だよぉ」
そんな会話を聞いて着替えしないといけないことに気が付いた。
これだから、田舎高校は嫌なのだ。
男女合同体育なんて中学までだと思っていたのに。
そんな事を頭に浮かべながら、荷物を持ち、零と共に移動を始めた。
階段まで来た所で、夢李と女子達が話しているのを見つけた。ここまで来てしまったからには引き返す事も出来ない。
男子は僕達2人しかこの場にはおらず困っていた。
流石に何も知らないふりして通るわけにも行かず少しその場で見守る事にした。
「ねぇ?前にさ、私の事猿って言ったでしょ?」
「……だからなんなの。早くしてよ。着替える時間無くなるよ。」
「その事ね私まだ怒ってるんだよ。でも許してあげてもいいかなって考えてるの。」
「……で?」
「私ね中学の時飴彩君と同じ学校だったの。
でね、飴彩君が虐められてた。でも、助けられなかったの。でも、せめて力になってあげたくて。だからね、陰ながら少し頑張ってたの。飴彩君いじめてる人達に辞めて欲しいって何度もお願いしたり、飴彩君の机が汚されてたり、落書きされてたら片付けてあげたり。
なのに…彼が褒めて感謝してるのはあなただった。」
……そうだったのか。知らなかった。
彼女は同じクラスでいつもみんなの中心の女子だったから。どうせ僕を馬鹿にしているんだと思っていたが、本当に守ってくれていたのは彼女だったのだ。
つまり、全ては……僕のせい??
彼女がこうしていじめられるのも??
僕は“また”こうやって知らぬ間に人を傷付けたんだ。
「だから……なに?私は彼に感謝してなんて言ってない。」
「だからね、飴彩君を助けてくれた貴方には感謝してるのよ?でね、なんで私達がこんな事してるか……わかる??」
「そこまでいけ好かないの?」
「私ね、飴彩君の事好きなの。
貴方入学式の日。彼に言ったわよね??
“また沢山話そうね”って。
そして小さい声で言ってたわよね??
“優しくて強い女子なんて…こんな学校に求めちゃいけないよ。ここの女全員屑だから”って…この言葉が許せなかったのよ!
私は陰ながらでも少しずつ確実に飴彩君を守っていたのよ?!それなのに私も屑なの!?
それに、私達初めはあんたと話そうとした。
けど、ヘッドホンして本に視線を向けてばっかで視線合わせなかったのは誰よ?!
そして飴彩君をたまにちらちら見てた。
それって、あんたも飴彩君が好きなんでしょ?!」
夢李は叫んだ。
「違うっ。違う。そんな事有り得ない。」
やはり無表情の夢李がそう言うと彼女はすぅと息を吸って言った。
「言い訳はいらないわ。ねぇ、それを見て決めた事があるの。
“菓子餅夢李から私が悠崎飴彩君を守らなきゃ”って。飴彩君は私の物だもん。邪魔な夢李ちゃんは……消えて?それで許すから。」
ほんの刹那の出来事。
彼女に押され夢李が階段から落下していく。
ふわりと一瞬だけ浮いた体はゆっくりと落ちていく。
待て待て待て……理解が出来ないどうなっている??
焦った僕は何も考えずに飛び出し叫んだ。
「何やってんだよお前ら?!夢李に何やってんだ!!」
それからの事はよく覚えていない。ただ、
何も考えず彼女に殴り掛かりそうになる僕を必死に止める零のほんの少し同情したような顔だけははっきりと覚えていた……
「よぉ!飴彩くん?元気ですか!?」
元気の良い零の声に
「へいへい」と適当に言葉を返す。
なんだか今日は気持ちの悪い天気で機嫌が少し悪いのだ。
明るくなったらすぐ暗くなったり、本当に気味が悪い。
そんな事を考えながら授業を受け流すのだった……
「え~次、体育じゃん??」
「まじかー嫌だよぉ」
そんな会話を聞いて着替えしないといけないことに気が付いた。
これだから、田舎高校は嫌なのだ。
男女合同体育なんて中学までだと思っていたのに。
そんな事を頭に浮かべながら、荷物を持ち、零と共に移動を始めた。
階段まで来た所で、夢李と女子達が話しているのを見つけた。ここまで来てしまったからには引き返す事も出来ない。
男子は僕達2人しかこの場にはおらず困っていた。
流石に何も知らないふりして通るわけにも行かず少しその場で見守る事にした。
「ねぇ?前にさ、私の事猿って言ったでしょ?」
「……だからなんなの。早くしてよ。着替える時間無くなるよ。」
「その事ね私まだ怒ってるんだよ。でも許してあげてもいいかなって考えてるの。」
「……で?」
「私ね中学の時飴彩君と同じ学校だったの。
でね、飴彩君が虐められてた。でも、助けられなかったの。でも、せめて力になってあげたくて。だからね、陰ながら少し頑張ってたの。飴彩君いじめてる人達に辞めて欲しいって何度もお願いしたり、飴彩君の机が汚されてたり、落書きされてたら片付けてあげたり。
なのに…彼が褒めて感謝してるのはあなただった。」
……そうだったのか。知らなかった。
彼女は同じクラスでいつもみんなの中心の女子だったから。どうせ僕を馬鹿にしているんだと思っていたが、本当に守ってくれていたのは彼女だったのだ。
つまり、全ては……僕のせい??
彼女がこうしていじめられるのも??
僕は“また”こうやって知らぬ間に人を傷付けたんだ。
「だから……なに?私は彼に感謝してなんて言ってない。」
「だからね、飴彩君を助けてくれた貴方には感謝してるのよ?でね、なんで私達がこんな事してるか……わかる??」
「そこまでいけ好かないの?」
「私ね、飴彩君の事好きなの。
貴方入学式の日。彼に言ったわよね??
“また沢山話そうね”って。
そして小さい声で言ってたわよね??
“優しくて強い女子なんて…こんな学校に求めちゃいけないよ。ここの女全員屑だから”って…この言葉が許せなかったのよ!
私は陰ながらでも少しずつ確実に飴彩君を守っていたのよ?!それなのに私も屑なの!?
それに、私達初めはあんたと話そうとした。
けど、ヘッドホンして本に視線を向けてばっかで視線合わせなかったのは誰よ?!
そして飴彩君をたまにちらちら見てた。
それって、あんたも飴彩君が好きなんでしょ?!」
夢李は叫んだ。
「違うっ。違う。そんな事有り得ない。」
やはり無表情の夢李がそう言うと彼女はすぅと息を吸って言った。
「言い訳はいらないわ。ねぇ、それを見て決めた事があるの。
“菓子餅夢李から私が悠崎飴彩君を守らなきゃ”って。飴彩君は私の物だもん。邪魔な夢李ちゃんは……消えて?それで許すから。」
ほんの刹那の出来事。
彼女に押され夢李が階段から落下していく。
ふわりと一瞬だけ浮いた体はゆっくりと落ちていく。
待て待て待て……理解が出来ないどうなっている??
焦った僕は何も考えずに飛び出し叫んだ。
「何やってんだよお前ら?!夢李に何やってんだ!!」
それからの事はよく覚えていない。ただ、
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