倭国女王・日御子の波乱万丈の生涯

第１章 古代イト国女王【日輪の御子】崩御・昇天して、【日輪の女神】となる！！

〔５〕女王の【念動力】と【鋼鉄剣】≪２≫

　　女王は、その【念動力テレキネシス】で、剣袋の紐ヒモを解ホドき、眩マバユいまでの光沢のある抜き身の剣を取り出すと、鞘サヤの入った錦の剣袋は床に落下した。

次に、床トコの間に掲カカげてあった鉄剣の、鞘サヤはそのままにして、抜き身だけを空中静止させた。

「この鉄剣は、５０年前に崩御ホウギョされた先代国王陛下の、妾ワラワの夫の形見じゃよ！｣
「どうじゃ、毎日、手入れしておるのじゃ、錆サビひとつないであろう。｣
「されど、その光沢の違いは一目瞭然じゃ！｣
「鋼鉄剣と比ぶれば、どうしても、かなり見劣りがする。｣


空中で静止した２本の剣を、しばし見比べた後、

「皆の者は鉄剣と青銅剣の対戦はみたことがあろう。｣
「１合～３合、刃ヤイバを交えただけで、青銅剣は砕け折れる。｣
「鉄剣と鋼鉄剣の対戦は、まだ誰も見たことはあるまい・・・ん？｣
「・・・しばし待て！｣


　　チヨヒコは、この中で唯タダ１人、鋼鉄剣の凄スサまじい威力を、己自身の眼に焼き付けて帰国したので、
『鉄剣がたやすく、折れることはわかっている。』
『でも、いいのかな！？』
『先王陛下の貴重な御形見が折れてしまう・・・！！』
と、いう強い危惧キグの念が溢アフれ出た。


その危惧キグの念を【言霊交信神技テレパシー】で感知した女王の言霊がチヨヒコの頭の中に、こだました。