転生先は小説の‥…。

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第十三章

親子三人・第一側妃視点ー2

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相応しくあれ。
筆頭婚約者候補となった日から。
定められた責務として研鑽と努力を重ねる日々。
王妃となることを期待された。
国のため家のため親のため役に立てと。それが己の価値だと教え込まれた。
親の期待を一身に受け、存在を肯定され大切に扱われた。
それを愛だと誤解した。
あの日に取り残された少女時代の夢。



「ローデリア。貴女は充分に役に立っています。母は嬉しく思いますよ」



相応しくなかったのか。
いや、相応しくない女が出しゃばっただけ。
だから取り戻した。
邪魔者は闇に葬った。
一度我が手から離れた手を。
再びこの手に。
だから手を下した。
従わない者は従わせるだけ。
邪魔者はこれからも闇に葬るだけ。




「元第一王子の側近候補だというのに愚かな男を貴女の婚約者に据えてしまったのは母の落ち度です。あちらの陣営と良き橋渡しになるかと考えたのが仇になりましたね。貴女には辛い思いをさせて、母親失格ね。ごめんなさいローデリア」


第一王子クリスフォードの廃嫡と側近候補者達の放逐。あの愚か者のお陰で王妃派、第一王子派は一掃された。
自分の手を汚すことなく邪魔者は自滅した。喜ばしいことだが同時に娘を悲しみの淵に堕とした。
アレ王妃は我が娘まで苦しませるのか。
憎しみが募る。
どこまでも、どこまでも、ある一つの考えが付き纏う。

あの女王妃さえと。




「お母様、そんな謝らないでください。わたくしは大丈夫ですわ。それにあの婚約はお父様のご命令でもありましたもの。‥‥お母様は悪くはないわ、だって身分の低い女に現を抜かしたのはニコルソンだもの。責めは彼と、女の色香に負けた異母兄クリスフォード様にあるわ」


少し拗ねた表情で元婚約者に未練はないと言い切った。初恋の相手と結ばれる未来を、恋に浮かれた少女は思い描いていただろうに。元婚約者は恋愛に呑まれた情けない男。か弱き女の魅力に負けた。
娘よ、この経験を糧とし強くしたたかに生きて欲しいと切に願った。
ニコルソン。トヴァイトヘルマン公爵の次男だった男。
ヴァンダイグフ家に囲わせた。
浅慮でプライドの高い男はいろいろ勝手がよい。
利用価値のある間は生かしておく。




あの日、王太子現陛下が手を取ったのは格下の女王妃
侯爵家の娘が、伯爵家の娘に負けた日だ。
内定は取り消され、長年の努力も己の矜持も踏み躙られた。
両親の期待を失望に変え、劣った者と見做され、愛を失った。
悲しかった。
苦しかった。
自分は役立たずだと現実を見せられた。

もともと…‥愛はなかった。





「ローデリア、この場には私達だけだよ。辛い気持ちを口にしても誰も聞いていない。ローデリア、苦しい想いをしたね、よく頑張ったね」

労りに満ちた兄の顔で、ライムフォードは妹に向き合っていた。
虚を突かれ、目をパチパチと瞬いたローデリアは、兄に慰められているのだと気付き、頬を綻ばせた。
兄の思いやりと愛情を感じたのだろう。華が咲いたかのような愛らしい笑顔で、

「お兄様‥‥ふふ、慰めてくださるのですね。ありがとうございます。辛くないと言えば嘘になりますが、もう過ぎた話なのです。わたくしたち王族は国のため我が身を捧げるのが責務ですわ。わたくしはわたくしの矜持のために‥‥前を向いて歩みますわ」

誇り高き我が娘。

「よくいいましたローデリア。母は貴女を誇りに思います。貴女の献身のお陰でこの度ヴァンダイグフと縁付きになりました。王妃派と元第一王子派だった貴族を取り込むことができたのです。よくやりました」
「お母様とお兄様のお役に立てたのでしたら、わたくしも嬉しゅうございます」



あれほど邪魔だと感じたヴァンダイグフと縁付くとは。時の流れは人知を軽く凌駕する。
王妃派と元第一王子派を従えていた老人は、我が陣営に降った。
昨日の敵は今日の友に成り下がった。



「これで残すは第二側妃と第三王子の勢力です。今、彼等は帝国皇女の婚約者候補として勢いづきました。帝国に尻尾を振る小賢しい犬どもに王国は渡せません。神が守りし王国です。国を従えさせるのは神に選ばれた者です」


邪魔者は速やかに舞台から降りていただこう。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ミキール・ギャティギルソンは第二王女殿下の元婚約者です。
申し訳ございません、記載ミスです。
第一王女から第二王女に訂正しました。(12/12)

ローデリア第一王女の元婚約者はニコルソン・トヴァイトヘルマン公爵の元次男坊です。
エリックに高位貴族の立ち振る舞いを教えた人です。

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