天才詐欺師は異世界で無双する!

アリス

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ホットケーキ

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「とりあえずメープルの方から片付けますか」

あの後、笑いがおさまると一旦果物のことは忘れ屋敷に帰った。

メープル作りをしないといけないから。

もう糖分不足で限界だった。

「じゃあ、みんな指示通りに動いてね」

私がそう言うと料理人達は元気よく「はい!」と返事をする。

教えるのは面倒くさいが、一回教えればあとは毎回作ってもらえる。

最初だけ私が作りながら教えればいい。

そう思い説明しながら作っていく。


[メープルシロップのレシピ]

1.カエデの木からメープルウォーターを調達する。

2.メープルウォーターを大きな鍋に入れる。

3.糖度66%になるまで煮詰める。

4.不純物を取り除けば完成!


これを繰り返し全部で200mlのメープルシロップができた。

次にメープルシュガーを作る。


[メープルシュガーのレシピ]

1.鍋にメープルシロップを入れ弱火で温める。

2.焦がさないよう10分程度混ぜる。

3.粘り気が出てきたら火から離したり、戻したりして様子をみながら混ぜる。

4.固まり始めたら火から離して混ぜていくと砂糖になる。

5.完成!



「……できた!メープルシロップと砂糖を手に入れたわ!」

私の言葉に料理人達は歓声を上げる。

甘い匂いが厨房を包む。

早く食べたくて仕方ない。

料理人達は私が食べてもいいと言うのを今か今かと待つ。

私はそんな彼らの様子に気づいていたが、無視して味見をする。

「あま~い!」

久しぶりの糖分に顔が綻ぶ。

糖が脳に染み渡る。

このまま眠りについていいと思うほど満たされた。

それほど体が糖を欲していた。

もう一口食べようと手を伸ばすが、視線を感じ手を止める。

仕方ないので、今ある材料で甘いものを作ることにした。

「わかったわ。甘いものを作るからその目をやめなさい。アスターとオリバー。今から使用人と騎士達の様子を見に行ってきて」

「……」

二人は私の言葉に返事をしない。

自分達にはくれないつもりかと睨む。

その甘味料を作るための材料を集めたのは自分達だぞ、と恨みがましく。

「違うわ。そういう意味じゃない」

二人が何を言いたいのかわかり訂正する。

「彼らが真面目に働いているか見てきて欲しいの。真面目に働いているのなら彼らにも甘いものを食べさせてあげようと思ってね。もちろん。ここにいる人達は毎日真面目に働いているのを知ってるから全員食べる資格があるわ」

私がそう言うと全員の顔が輝き出す。

「そういうことならわかりました。もし、真面目に働いてないものがいたら、どうしますか?」

オリバーはやっと口を開く。

アスターは黙っているが。

「どうするも食べる資格はないわ。働かざる者食うべからずって言葉があるくらいだしね」

'働かざる……なんだって?'

全員初めて聞く言葉に首を傾げるも、自分達は食べれるしいっかと考えるのを放棄する。

「わかりました。真面目に働いているものだけ連れてきます」

「うん。よろしく。あ、アスター。騎士達だけはシャワーを浴びてからくるように言って」

彼らは今私の指示で土掘りをしているので、間違いなく汗臭い。

そんな匂いの中食べるのはごめんだった。

「もちろん。そのつもりです」

私に言われる前からシャワーを浴びらせるつもりだった。

風呂に入る習慣ができてから匂いに敏感になり、食事中に臭い匂いがするのは耐えられないから。

絶対に体を洗わせてからではないと食堂に連れて行かないつもりでいた。

「あ、そうなのね。じゃあ、二人共よろしくね」

「はい」

私は二人を見送ると、料理人達に今から作るスイーツを発表した。

「では、今から作るスイーツを発表します」

「……」

料理人達は早く言ってくれと私の言葉を待つ。

「それは……」

「……」

「ホットケーキです!」

「おおお~っ!」

ホットケーキが何か誰も知らないが、私の作る料理は美味しいとインプットされたためとりあえず歓声を上げた。

「では、作り方を教えます。まずは私が作るので、その後はみんなが作ってね」

「はい」

私は説明しながらホットケーキを作る。


[ホットケーキのレシピ(小麦粉バージョン)]

[材料]
卵、小麦粉、砂糖、牛乳、バター、メープルシロップ

1.卵を卵黄と卵白に振る。小麦粉をふるいにかける。

2.メレンゲを作る。卵白に砂糖を入れて混ぜる。

3.卵黄と牛乳を入れて泡立たせる。

4.3に2で作ったメレンゲを数回に分けて混ぜる。

5.フライパンにバターをいれる。温まったら、4を入れる。

6.焦げないよう注意しながら両面焼けたら完成!

7.好みでバター、メープルシロップをかけて食べる。


「どう?簡単でしょう?じゃあやってみて」

私は焼いた一枚をシロップをかけて食べる。

'あ~、まじ最高だわ~'

一口食べるたびに顔が緩んでいく。

それをみていた料理人達はどれだけ美味しんだとゴクンッと音を立てながら唾を飲む。

早く自分達も食べたいと思い、言われた通り作っていくが難しい。

料理人達はローズが一人一人みてアドバイスをくれるのでなんとか作れた。

それを繰り返し、大量のホットケーキを作る。

最初に作ったのは冷めてしまったので、簡単に温められるという魔法陣を使って温めた。

この知識はアイリーンから教えてもらった。

さすが妖精王。長年、生きていて知識は豊富だ。



その頃のオリバーは使用人全員の働きをチェックしていた。

元々、男爵家の使用人は男爵が優しい人なのもあり真面目に働く人は少ない。

だから今もサボって適当に仕事しているものは結構いるが、ローズが風呂を作ってからはその恩に報いろうと真面目に働きはじめる者たちもいた。

だが、今日はどうかわからないと思い働き振りを確認する。

結果は……

今まで真面目に働いていた者たちは問題ない。

今までの行いを反省し、真面目に働きはじめた者たちも問題ない。

どちらでもないサボっている者たちは、使用人の休憩室で話をしていた。

さすがにこれは注意しなければと思い扉を開けようとするも、今注意すればスイーツを食べるのが遅くなると思い後ですることにした。

オリバーはその場から離れ、真面目に働いていた使用人を引き連れ食堂へと向かう。



その頃の騎士達の様子を見にいったアスター。

騎士達は、いまローズの指示で山から屋敷までに川を作り、その後下水道を作るため土を掘っていた。

ここ数日、毎日のようにスコップで土を掘っているので筋肉がつきはじめた。

騎士に相応しい体つきになってきた。

昔のだらけた生活より、今の汗を流しながらやりがいを感じる生活に幸せを感じていた。

そのため、騎士達は文句の一つも言わず真面目に作業をしていた。

「合格ですね」

アスターは騎士達の働き振りを見て、全員を食堂に連れていった。

もちろんシャワーをしたあとに。
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