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開幕の辞(プロローグ)
開幕の辞(プロローグ)~人工天体都市「輝夜(カグヤ)」市
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開幕の辞(プロローグ)
それは、存在したかもしれない歴史、そして、異なる宇宙――。
西暦2060年代後半、人類は「太陽系開拓時代」、または「烈風鉄火の季節」とも呼ばれる、激しく揺れ動き、唸りをあげて回転する日々の中で、それぞれの舞台における役割をもって未来へと走り続けていた。
その「舞台」のひとつが、近地球軌道宙域……通称NEOS(Near Earth Orbit Space の略)、すなわち地球と月を中心とする宇宙空間に建造された、太陽系連合で重要な存在を占める列強各国の人工天体都市群であり、さらにそれら人工天体都市内外において、たとえその形に違いがあろうとも、まぎれもなく「舞台」の上――時代の最先端で生きていると自他ともに認める存在こそ〝新世界人〟呼ばれ、また、そう名乗るる男女なのである。
……そんな時代と舞台、そしてそこで自身の命と魂の火花を散らし続ける人々の姿。この物語は、少なくともそれらを描いたものであるはずだ。
0:人工天体都市「輝夜」市
地球と月の間に存在する第1重力均衡点(L‐1)……。それが人工天体都市「輝夜」市が浮かぶ宙域の天文学的名称である。
この宙域は、太陽系連合の中でも屈指の強国のひとつと目される、新生日本皇国――通称「日本」が入手し、「星海道」と名づけられていた。そして、そこに建造された直径数十キロメートルにもおよぶ人工球体は、本来、「日本」が宇宙進出の足がかりとして、また人材育成・技術開発のためなどの拠点としてNEOSに打った、きわめて重要な布石であるハズだった。
むろん、その役割はそれだけにとどまらず、際限なく増え続ける人口、特に移民・難民問題の解決と彼らの労働環境としてもこの人工天体都市は期待されていた。というより、地球上の本国である日本政府としては、国内外のさまざまな問題をまとめて軌道上に放り投げ、あとは宇宙の現場で処理させてゆくつもりなのは明白であった。だからこそ、事実上の内政自治権まで与えて一見、実に寛大な態度を示しつつも、別の見方と表現をするなら非常に無責任きわまりない措置を取っていたのである。その結果が、現在の「輝夜」市の実態なのだった。
最先端の技術研究機関としての産学共同都市。巨大多国籍企業から軍・治安警察・特務機関、さらには彼らの裏側で生きる大小の非合法組織による闘争や人材獲得の最前線。あるいは自治政府高官から都市開発の現場で働く労働者までの生活の場。そして、星間開拓者にとっては、その〝夢〟の始まりにして終わりを迎える場所……。あまりにもさまざまな顔を持った巨大宇宙都市、それが「輝夜」市なのである。
(以下、「主要登場人物 紹介など」に続く)
それは、存在したかもしれない歴史、そして、異なる宇宙――。
西暦2060年代後半、人類は「太陽系開拓時代」、または「烈風鉄火の季節」とも呼ばれる、激しく揺れ動き、唸りをあげて回転する日々の中で、それぞれの舞台における役割をもって未来へと走り続けていた。
その「舞台」のひとつが、近地球軌道宙域……通称NEOS(Near Earth Orbit Space の略)、すなわち地球と月を中心とする宇宙空間に建造された、太陽系連合で重要な存在を占める列強各国の人工天体都市群であり、さらにそれら人工天体都市内外において、たとえその形に違いがあろうとも、まぎれもなく「舞台」の上――時代の最先端で生きていると自他ともに認める存在こそ〝新世界人〟呼ばれ、また、そう名乗るる男女なのである。
……そんな時代と舞台、そしてそこで自身の命と魂の火花を散らし続ける人々の姿。この物語は、少なくともそれらを描いたものであるはずだ。
0:人工天体都市「輝夜」市
地球と月の間に存在する第1重力均衡点(L‐1)……。それが人工天体都市「輝夜」市が浮かぶ宙域の天文学的名称である。
この宙域は、太陽系連合の中でも屈指の強国のひとつと目される、新生日本皇国――通称「日本」が入手し、「星海道」と名づけられていた。そして、そこに建造された直径数十キロメートルにもおよぶ人工球体は、本来、「日本」が宇宙進出の足がかりとして、また人材育成・技術開発のためなどの拠点としてNEOSに打った、きわめて重要な布石であるハズだった。
むろん、その役割はそれだけにとどまらず、際限なく増え続ける人口、特に移民・難民問題の解決と彼らの労働環境としてもこの人工天体都市は期待されていた。というより、地球上の本国である日本政府としては、国内外のさまざまな問題をまとめて軌道上に放り投げ、あとは宇宙の現場で処理させてゆくつもりなのは明白であった。だからこそ、事実上の内政自治権まで与えて一見、実に寛大な態度を示しつつも、別の見方と表現をするなら非常に無責任きわまりない措置を取っていたのである。その結果が、現在の「輝夜」市の実態なのだった。
最先端の技術研究機関としての産学共同都市。巨大多国籍企業から軍・治安警察・特務機関、さらには彼らの裏側で生きる大小の非合法組織による闘争や人材獲得の最前線。あるいは自治政府高官から都市開発の現場で働く労働者までの生活の場。そして、星間開拓者にとっては、その〝夢〟の始まりにして終わりを迎える場所……。あまりにもさまざまな顔を持った巨大宇宙都市、それが「輝夜」市なのである。
(以下、「主要登場人物 紹介など」に続く)
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