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三分咲き
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4月某日
入学式を終えた翌日。
高校からの友人と二人でキャンパス内を歩いていると突然声をかけられる。
「やあ君たち。うちのサークルに入らないか」
興味を持ったようだ。しかしこちらにはその意思はない。
「結構です」
厳つい男に呼び止められ、恐怖を感じながらもしっかりと断る友人。
僕はそれを横で大人しく見守るだけだ。
「ねえ、話だけでも聞いて行かない」
後ろからしつこく勧誘されるが相手にせずその場を立ち去る。
もちろん友人にくっついているだけなのだが。
一難去ってまた一難。
今度は綺麗なお姉さんの二人組。
僕は無視しようとしたが相棒が落ち、ついでに僕も引きずられていく。
「私たちテニスサークルなの興味ない? 」
その見た目には興味があるものだからどうしても断り切れない。
口ごもっていると彼女たちが一つ提案をする。
「今夜桜を見るの。興味ある? 夜桜と飲み会を兼ねたイベントがあるんだけどな」
セクシーなコスチュームで迫る彼女たちに成す術なく約束してしまう。
夕方。
欲望丸出しの相棒の顔を見ているとこちらまで同類に思われるから困る。
しかし薄笑いを浮かべて顔に締まりが無くなっていく自分を自覚しつつもある。
時間にはまだ早いが待ち合わせ場所に向かう。
軽やかな足取り。妄想が止まらない。
もうコントロールできない。
しかし我を失った二人には厳しい現実が……
「おう! 君たち来てくれたのか」
そこにいたのはなぜかしつこく僕らを誘っていた厳つい男だった。
「へ? 」我に返った二人。しかしもうどうしようもない。
ジ・エンド
嵌められた。どうする?
「ようこそ。我がサークルへ。歓迎するぞ」
「あのー。僕たちは違うんです。何かの手違いで。お邪魔しました」
「おい! 何を言ってやがる! 良いから座れ! 」
厳つい男が興奮している。怒らせてしまった。これはまずい。
「ですから…… 」緊張と恐怖で口ごもる相棒。
気付いたのだろう。騙されたと。嵌められたのだと。
男の表情が変わった。
このままだと僕らの未来が……
「おい、どうした! 」
花見を始めていた仲間がしびれを切らし迎えに来た。
「だから僕たちは彼女たちに誘われてテニスサークルへ…… 」
本当のことを言ってみる。
「だからここでいいんだって言ってるだろう! 」
「勧誘してた彼女たちは? 」
「ああ、それなら今日は来れないってよ。それに他のサークルの子でさあ手伝ってもらっただけ」
悪びれることなく男だらけの飲み会に連れて行く。
厳つい男の正体はこのサークルのリーダー。
男だらけの飲み会に強制的に参加させられた。
出来たら女だらけの飲み会に参加したかったな。
「没!」
聞き違えか。もう酔っぱらっているのか。
「弱そうじゃん。へへへ」
弱そうとはどういうことだろう。先輩だろうが態度が気に食わない。
「おいおい。せっかくのお客様に何を言ってやがる」
リーダーとしては有能らしい。
「実際お前ら強くないだろ? 」
別に見た目で判断されるのは構わない。
しかしいきなり絡んでくるとは面倒な奴に違いない。一癖ありそうだ。
「どうなんだ? 」
「そんなこと…… 」見抜かれてしまったので言い訳できない。
確かに高校では運動をしてこなかった。だから体力にも運動神経にも自信がない。
あるのは知能のみ。それも今となっては奴らと同じ大学なのだから…… 笑える。
「まあいいから座れ! 」
強風で飛ばされないようにブルーシートの四隅を転がっていた大きな石で固定。
そこに厳ついリーダーを含めた四人の集団。
もちろん皆体力には自信がありそうないわゆる筋肉系。
どうも彼らはこのサークルの主要人物のようで態度もでかい。
彼らの中心には酒と大きな紙皿。花見セットが揃っている。
まだ始まったばかりなのか空けられたビール缶が数本転がっている程度。
ほとんどつまみには手をつけられていない。
さあ恐怖の飲み会の始まりだ。
続く
入学式を終えた翌日。
高校からの友人と二人でキャンパス内を歩いていると突然声をかけられる。
「やあ君たち。うちのサークルに入らないか」
興味を持ったようだ。しかしこちらにはその意思はない。
「結構です」
厳つい男に呼び止められ、恐怖を感じながらもしっかりと断る友人。
僕はそれを横で大人しく見守るだけだ。
「ねえ、話だけでも聞いて行かない」
後ろからしつこく勧誘されるが相手にせずその場を立ち去る。
もちろん友人にくっついているだけなのだが。
一難去ってまた一難。
今度は綺麗なお姉さんの二人組。
僕は無視しようとしたが相棒が落ち、ついでに僕も引きずられていく。
「私たちテニスサークルなの興味ない? 」
その見た目には興味があるものだからどうしても断り切れない。
口ごもっていると彼女たちが一つ提案をする。
「今夜桜を見るの。興味ある? 夜桜と飲み会を兼ねたイベントがあるんだけどな」
セクシーなコスチュームで迫る彼女たちに成す術なく約束してしまう。
夕方。
欲望丸出しの相棒の顔を見ているとこちらまで同類に思われるから困る。
しかし薄笑いを浮かべて顔に締まりが無くなっていく自分を自覚しつつもある。
時間にはまだ早いが待ち合わせ場所に向かう。
軽やかな足取り。妄想が止まらない。
もうコントロールできない。
しかし我を失った二人には厳しい現実が……
「おう! 君たち来てくれたのか」
そこにいたのはなぜかしつこく僕らを誘っていた厳つい男だった。
「へ? 」我に返った二人。しかしもうどうしようもない。
ジ・エンド
嵌められた。どうする?
「ようこそ。我がサークルへ。歓迎するぞ」
「あのー。僕たちは違うんです。何かの手違いで。お邪魔しました」
「おい! 何を言ってやがる! 良いから座れ! 」
厳つい男が興奮している。怒らせてしまった。これはまずい。
「ですから…… 」緊張と恐怖で口ごもる相棒。
気付いたのだろう。騙されたと。嵌められたのだと。
男の表情が変わった。
このままだと僕らの未来が……
「おい、どうした! 」
花見を始めていた仲間がしびれを切らし迎えに来た。
「だから僕たちは彼女たちに誘われてテニスサークルへ…… 」
本当のことを言ってみる。
「だからここでいいんだって言ってるだろう! 」
「勧誘してた彼女たちは? 」
「ああ、それなら今日は来れないってよ。それに他のサークルの子でさあ手伝ってもらっただけ」
悪びれることなく男だらけの飲み会に連れて行く。
厳つい男の正体はこのサークルのリーダー。
男だらけの飲み会に強制的に参加させられた。
出来たら女だらけの飲み会に参加したかったな。
「没!」
聞き違えか。もう酔っぱらっているのか。
「弱そうじゃん。へへへ」
弱そうとはどういうことだろう。先輩だろうが態度が気に食わない。
「おいおい。せっかくのお客様に何を言ってやがる」
リーダーとしては有能らしい。
「実際お前ら強くないだろ? 」
別に見た目で判断されるのは構わない。
しかしいきなり絡んでくるとは面倒な奴に違いない。一癖ありそうだ。
「どうなんだ? 」
「そんなこと…… 」見抜かれてしまったので言い訳できない。
確かに高校では運動をしてこなかった。だから体力にも運動神経にも自信がない。
あるのは知能のみ。それも今となっては奴らと同じ大学なのだから…… 笑える。
「まあいいから座れ! 」
強風で飛ばされないようにブルーシートの四隅を転がっていた大きな石で固定。
そこに厳ついリーダーを含めた四人の集団。
もちろん皆体力には自信がありそうないわゆる筋肉系。
どうも彼らはこのサークルの主要人物のようで態度もでかい。
彼らの中心には酒と大きな紙皿。花見セットが揃っている。
まだ始まったばかりなのか空けられたビール缶が数本転がっている程度。
ほとんどつまみには手をつけられていない。
さあ恐怖の飲み会の始まりだ。
続く
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