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四分咲き
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自己紹介を済ますとパーティー開始。
「ほらまず一杯」仲間の一人が紙コップに日本酒を注いでくれた。
僕も相棒もまだ未成年。断ろうとするもお構いなし。促されるままに一口。
悪くない味だ。
相棒は観念したのか紙コップを空ける。僕も負けじと飲み干す。
「良い飲みっぷりだね! 」リーダーが見直したと言い、褒めてくれる。
彼は気持ちよくなったのか笑い出す。そうすると周りの者も自然と笑う。
僕らもつられえて笑顔を作る。リーダーの機嫌を損ねないのは良いことだ。
この中で一番であろう体つき。襲いかかられたらたまったものではない。
他の者も僕らよりも年上で体格も申し分なくいわゆるアスリート系。
いや、ストリート系かな。
この中で一番厳ついのがこのサークルのリーダー。
それ以外は雑魚と言うことだ。敢えて光を当てる必要はないだろう。
「よし今度は俺の番だな」雑魚の一人が僕たちのコップに満杯まで注ぐ。
手を振って拒否するも注ぐが先で断れない。
他の奴らはその様子を面白がって眺めている。
嬉しいのか。気持ちいいのか。からかっているのか。親しみを込めてなのか。
悪意を持って笑っているのか。判断がつかない。とにかく皆笑っている。
僕たちもつられて苦笑い。
よし次は俺だと三杯、四杯と注ぎそれをすぐに飲み干す。
いくら紙コップとは言え四杯もとなればかなりの量で酔いが回ってくる。
相棒の頬も赤くなっているのがライトアップの光で確認できる。
彼の様子から察するに僕も似たような状態。
大げさな相棒の物言いでは酷く酔っぱらっているのだとか。
もう二人とも酔っぱらい。
しかし奴らに変化はない。そう見えるだけなのか。ただ我慢しているのか。
強いらしい。そこだけは尊敬できる。
辺りを見回す。
桜が綺麗だ。
しかし主役の桜はただ存在するだけ。誰も見ていない。
周りの客も似たようなもので大声を上げて騒いでいる。
何がそんなに楽しいのか分からないがよくそんなテンションでと驚く。
驚くし関心もする。だが呆れるが正しいのかもしれない。
僕らはついていけない。いや相棒はそうでもなさそうだ。
元来、陽気な奴で。緊張もほぐれて上手くやっている。
かわいがられるタイプ。それに比べて僕は変に冷静なのだから困る。
ほらよ。
再び勧めてくる。悪気が無いので厄介だ。
もう無理だときっぱり断るが全く動じない。慣れている。
「ほらこれ一杯だけ。これを飲み干したら良いことを教えてやる」
酔っぱらいの戯言を真に受けてもと思うがリーダーの鋭い視線を感じ五杯目へ。
「よしいいぞ。良いかこれは内緒だぞ」
首を縦に振る。
「あと少ししたら来るぞ。ハハハ」
誰が来るのかは謎のまま。
詳しく聞いてみる。
「あと三十分」六杯目へ。
促す。
「女性陣が追加を用意してくるのさ」
「本当ですか? 」ついつい興奮する。
「嘘なんか吐くかよ」七杯目。
テニスサークルは事実らしく後から参加するメンバーが二十人近くいるそうだ。
男女比は六対四。残りはほぼ女性だとか。
信用はできないが期待は膨らむ。
と言うよりもその計算間違ってないかと。
僕がバカなのか。彼らがバカなのか。ただの出任せなのか。
相棒はやったと赤い顔をこちらに。
紙コップとは言えこれで七杯目。もうそろそろ限界。
「それからな今日は他のテニスサークルと合同の飲み会がある。
あと一時間もしたら始まる。もちろんお前らも参加するよな」
「へー。まあいいか」八杯目。
「そこにはなんとお前らを誘った二人も来ることになってんだ。嬉しいか? 」
来れないんじゃなかったっけ? どうも信用できない。
「うおー! ラッキー! 」相棒は九杯目へ。
「それからよ…… 」この言葉を最後に僕は酔い潰れてしまう。
後は途切れ途切れの記憶しかない。
「おう! ダウン! 」
「こっちも」二人同時に酔い潰れてしまう。
リーダーが指示を出す。
それから少ししてぞろぞろと集団がブルーシートの前へ。
「遅くなりました」
合流メンバーが姿を現した。
夜桜パーティーは第二部へ。
「おい、誰かこの二人を駅まで送ってやってくれ」
さすがにまずいと判断したのか面倒なことを押し付けるリーダー。
意識が薄れる中、両肩を抱えられて駅の方へ。
親切にも送ってくれた者。
一人は男性。もう一人は女性。
薄っすらとした記憶と匂い。そこまでが限界。後は何も覚えていない。
せっかく楽しみにしていたのに第一部で脱落とは情けない。
奴らの物言いだとずいぶん良さそうに言っていたが果たして本当なのか。
続く
「ほらまず一杯」仲間の一人が紙コップに日本酒を注いでくれた。
僕も相棒もまだ未成年。断ろうとするもお構いなし。促されるままに一口。
悪くない味だ。
相棒は観念したのか紙コップを空ける。僕も負けじと飲み干す。
「良い飲みっぷりだね! 」リーダーが見直したと言い、褒めてくれる。
彼は気持ちよくなったのか笑い出す。そうすると周りの者も自然と笑う。
僕らもつられえて笑顔を作る。リーダーの機嫌を損ねないのは良いことだ。
この中で一番であろう体つき。襲いかかられたらたまったものではない。
他の者も僕らよりも年上で体格も申し分なくいわゆるアスリート系。
いや、ストリート系かな。
この中で一番厳ついのがこのサークルのリーダー。
それ以外は雑魚と言うことだ。敢えて光を当てる必要はないだろう。
「よし今度は俺の番だな」雑魚の一人が僕たちのコップに満杯まで注ぐ。
手を振って拒否するも注ぐが先で断れない。
他の奴らはその様子を面白がって眺めている。
嬉しいのか。気持ちいいのか。からかっているのか。親しみを込めてなのか。
悪意を持って笑っているのか。判断がつかない。とにかく皆笑っている。
僕たちもつられて苦笑い。
よし次は俺だと三杯、四杯と注ぎそれをすぐに飲み干す。
いくら紙コップとは言え四杯もとなればかなりの量で酔いが回ってくる。
相棒の頬も赤くなっているのがライトアップの光で確認できる。
彼の様子から察するに僕も似たような状態。
大げさな相棒の物言いでは酷く酔っぱらっているのだとか。
もう二人とも酔っぱらい。
しかし奴らに変化はない。そう見えるだけなのか。ただ我慢しているのか。
強いらしい。そこだけは尊敬できる。
辺りを見回す。
桜が綺麗だ。
しかし主役の桜はただ存在するだけ。誰も見ていない。
周りの客も似たようなもので大声を上げて騒いでいる。
何がそんなに楽しいのか分からないがよくそんなテンションでと驚く。
驚くし関心もする。だが呆れるが正しいのかもしれない。
僕らはついていけない。いや相棒はそうでもなさそうだ。
元来、陽気な奴で。緊張もほぐれて上手くやっている。
かわいがられるタイプ。それに比べて僕は変に冷静なのだから困る。
ほらよ。
再び勧めてくる。悪気が無いので厄介だ。
もう無理だときっぱり断るが全く動じない。慣れている。
「ほらこれ一杯だけ。これを飲み干したら良いことを教えてやる」
酔っぱらいの戯言を真に受けてもと思うがリーダーの鋭い視線を感じ五杯目へ。
「よしいいぞ。良いかこれは内緒だぞ」
首を縦に振る。
「あと少ししたら来るぞ。ハハハ」
誰が来るのかは謎のまま。
詳しく聞いてみる。
「あと三十分」六杯目へ。
促す。
「女性陣が追加を用意してくるのさ」
「本当ですか? 」ついつい興奮する。
「嘘なんか吐くかよ」七杯目。
テニスサークルは事実らしく後から参加するメンバーが二十人近くいるそうだ。
男女比は六対四。残りはほぼ女性だとか。
信用はできないが期待は膨らむ。
と言うよりもその計算間違ってないかと。
僕がバカなのか。彼らがバカなのか。ただの出任せなのか。
相棒はやったと赤い顔をこちらに。
紙コップとは言えこれで七杯目。もうそろそろ限界。
「それからな今日は他のテニスサークルと合同の飲み会がある。
あと一時間もしたら始まる。もちろんお前らも参加するよな」
「へー。まあいいか」八杯目。
「そこにはなんとお前らを誘った二人も来ることになってんだ。嬉しいか? 」
来れないんじゃなかったっけ? どうも信用できない。
「うおー! ラッキー! 」相棒は九杯目へ。
「それからよ…… 」この言葉を最後に僕は酔い潰れてしまう。
後は途切れ途切れの記憶しかない。
「おう! ダウン! 」
「こっちも」二人同時に酔い潰れてしまう。
リーダーが指示を出す。
それから少ししてぞろぞろと集団がブルーシートの前へ。
「遅くなりました」
合流メンバーが姿を現した。
夜桜パーティーは第二部へ。
「おい、誰かこの二人を駅まで送ってやってくれ」
さすがにまずいと判断したのか面倒なことを押し付けるリーダー。
意識が薄れる中、両肩を抱えられて駅の方へ。
親切にも送ってくれた者。
一人は男性。もう一人は女性。
薄っすらとした記憶と匂い。そこまでが限界。後は何も覚えていない。
せっかく楽しみにしていたのに第一部で脱落とは情けない。
奴らの物言いだとずいぶん良さそうに言っていたが果たして本当なのか。
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