異国の王子と結ばれるならどんな爵位でも構いません~家出王子との二十日間

二廻歩

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エピローグ前編

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暑い…… 何て暑いのでしょう。
黒幕のポルフェを抑えたことで芋づる式に裏切り者を見つけ出すことができた。
その一人にポルフェの腹心でバロン副大臣のノールがいる。
ポルフェは口を割ることはほとんどなかったがこのノールが弱点。
ペラペラと仲間のことまでよくしゃべる。

その中には元婚約者の名まではありませんでしたがその父親が関与した証拠が。
裏切りの元お義父様はすべてを知っていながら息子の婚約者を切り捨てた。
今そのお義父様も罰を受けることに。当然の報いでしょう。
その息子も結局縁談話が破談となり残念な結果に。
これでようやく復讐を果たすことができた。

後はお父様を追放した王子に復讐すればすべて完了する。
しかしもうさすがに王子は許すべきでしょうね。
王子の行為は当然で仕方ないこと。お父様も王子に託した節さえある。
お父様は素直にすべてを告白し許された。
大事になる前に王子に見抜かれたのが幸い。

暑い…… 何て暑いのでしょう? 太陽が憎い。
私の白くてすべすべの肌が台無しになってしまう。
せめてどこかに避難できるような場所でもあればいいのですが。
そんな場所はどこにも。一面砂漠。嫌になるほどの砂漠地獄。

ボスバーチュン家も少しずつですが日常を取り戻している。
今度のことで離縁された二人のお姉様。
お父様が爵位を剥奪され追放されたことがそもそもの原因。
改めて爵位を得ることができれば名誉も回復され妙な足かせも取れるはず。
そうなればもう辛い思いをすることもない。

そうそうパンキーとお婆様は毎日元気に過ごしています。
パンキーはうるさいくらい元気にお庭を駆け回っている。
お婆様も元気いっぱいにメイドを叱りつけていて恐怖のお婆様は健在。
もう私がいなくてもやって行けるでしょう。

暑い…… 喉が渇いた。そろそろ休憩したい。
しかし前を行く王子は振り返る様子もない。
王子は王子で限界なのかもしれませんね。
このまま歩き続ければ体だけでなく心までダメになってしまいかねない。

そうだ。コーコは無事に着いたでしょうか?
自由同盟がこの国を離れて数日が経つ。
迷いなくピエール先生の後を追ったコーコは立派。
ただもう少しだけでもバロンティアに残っていればなと。
あれからマッギの元気がない。
コーコに置いて行かれたのが相当ショックだったのでしょう。
立ち直るにはまだまだ時間を要する。

「王子! そろそろ休憩にしましょう」
前を行く王子は雑音を無視して闇雲に前に進む。
とても頼りになるのですがもう少し後ろにも気を配ってもらえると嬉しい。
「王子ってば! 聞こえないの? 」
大声を張り上げるのでさえ苦しい。
それを何度も繰り返さなければならないなんて。
どこでどう間違ったのでしょう? もう引き返せない。そんな気にさえなる。

「どうしたんだクレーラ? 早く」
もう我がまま王子に付き合いきれない。
こっちは暑くて喉が渇いた上に足が痛いと来てる。
これ以上一歩だって進めない。そんな状況なのに心配さえしてくれない。
いくら我がまま王子でもそれはないでしょう? 
私はか弱きお嬢様。それくらいの配慮があって当然。
決して王子のような我がままではない。誰であれ苦しいもの。

それにしても祭りの前夜の話が本気だとは思わなかった。
思い出すだけで嫌になる。王子を止められなった。
今更新しい方を紹介されてどうしろと? なぜ王子自身ではダメなの?
「クレーラ。君の願いを叶えたい。できる限り協力するから一緒に行こう」
そう言って手を差し伸べたものだからてっきり告白してくれるとばかり。
浮かれたあの状況ならあり得ないことではない。でも違ったらしい。
現実はもっとシビアなものに。思い出すだけでも辛い。

「クレーラのために新たな王子探しを始めようと思う」
そう言って笑うがまったく意味が分からなかった。
私を思ってのことでしょうがあまりにも意味不明。
「それは王子…… 」
「ははは! 異国の王子がいいのだろう? 分かってるさ。
心配せずにきちんと紹介してやるからな」
王子は心当たりがあると自分勝手に話を進めてしまう。
これなら祭りの時に怪我でもしていたら…… こんな事態にはならなかった。
下手に勝ってしまうから…… おっとこれはさすがに言い過ぎ。
でもどうしようもなく鈍感な王子なものだからつい。
マキシミンの誘いで急遽戦うことになった。

「王子。休憩にしましょう」
渋々歩みを止める王子。もう少しだと駄々をこねるが全然先が見えて来ない。
「ふう疲れたな。クレーラも疲れただろう」
王子も結局は暑さにやられている。ただやせ我慢していただけ。
「ねえあの時どうやってマキシミンに勝ったの? 」
すべてで上回っているマキシミン。それを撃破した理由が知りたい。
目の前で見ていてもちっとも分からなかった。

「運が良かったんだよ。ただそれだけさ」
王子は謙遜するがそれでは答えになってない。
あの時王子は絶体絶命だった。
剣捌きはマキシミンが一歩も二歩も上だった。
「本当ですか? 」
「信じてくれ。確かにあの時は押されていた。
でもまるで力が抜けたように動きも鈍かった。
恐らくタルとの熱戦で体力を使ってしまい精彩を欠いたんだ。
それで押し切れずに逆に押し返されて自滅したのだろう。
彼が疲れていなければ負けていただろうさ」
それでもマキシミンは戦いたかった。

こうして一方的にマキシミンがやられ出したので国王がストップさせた。
王子対マキシミンの戦いは王子の圧勝で終える。
復活祭の目玉だった真剣勝負。
マキシミンは一年後の再戦を誓ってその場から去ってしまった。
大勢の観客も大満足し帰って行った。

          
             エピローグ後編に続く
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