言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

文字の大きさ
2 / 200

ワードフォルダー

しおりを挟む
村長代理のダスケに挨拶を済ませさっそく出発するってところで止められる。
「ああ待て。一応は現在知り得るすべてのことを教えておいてやろう」
地図を広げ印をつけるダスケ。
ケチケチせずにこの勇者様が有利になるような情報を渡しておけよな。
先に済ましておくもの。気が利かない奴だ。
もう少しで出発するところだったじゃないか。
心の中でつい毒づいてしまう。これも一種の癖みたいなもの。
まさか聞こえてないよね? 

「地図って言ってもよ俺は地図など読めないしすぐ忘れる人間だ。
それなら奮発してお供の一人ぐらいつけてくれよ」
そう言うとダスケは笑いながら若者は年々減っていてこれ以上は出せない。
年寄りなら考えてやらんでもないと取り合わない。

お年寄りでは役に立たずに足を引っ張るだけ。
それに長い旅路。スピードを合わせていたらいつまで経ってもたどり着かない。
結局見捨てることになる。それが序盤か中盤かの違い。
だから遠慮する。

お供を従えることなく村を出るしかない。
仕方がないこの際動物だって構わない。
野山を駆け回ってる猿だっていい。村の畑で悪さをするようになった野犬だって。
おかしな声で鳴く鳥だって構わない。

「ここが我が村。そして少し行くと隣村になるはず。
そしてもっと行けばアンのいる街にたどり着けるだろう」
シンプルな地図を寄越す。

「良いか。これ以降はお前の目で直に確かめるがいい。
必ずアンを。そして仲間を取り戻すのだ! 良いな? 」
「分かりました。お任せください! 」
「おお、良い面構えだ。お爺のところに寄るといい」
これでようやく出発かな。

その前にお爺のところへ。
白髭の小さなお爺さん。皆からお爺と尊敬されている。
村外れに建っているボロ小屋。今にでも崩れ落ちそう。
まあ崩れ落ちても住み家が奪われるだけで大して怪我はしないはずだ。

「お爺! 」
「おお勇者や。ちょうど準備は出来ておるぞ。さあこれを受け取るが良い」
意味深なお爺。これも儀式の内らしい。
俺が旅立つのを知って村の者が盛り上げてくれる。
お爺はいつもののほほんとした感じではなく厳しい態度で接する。

お爺が用意したのはワードホルダーなるもの。
中にはカードが何枚か入ってる。

「何ですかこれ? 」
目を凝らして見てもよく分からない。ただのカード?
 これが何の意味があるの? 本当に役に立つの?
疑いの眼を向けると白髭を掻きながら説明する。
「これは…… 都会で今流行ってるゲームで大変面白いと評判じゃったかな…… 」
駄目だこれは。ボケてしまったらしい。
とりあえず役に立つお助けアイテムと見た。
「ありがとうございます」
もしただのガラクタでも何かの役には立つだろう。

ワードホルダーを手に入れた。
ついでにカバンも。

「小さ過ぎはしませんか? 」
「いやワードホルダー専用だからこれで良かろう」

「お爺は外の世界は詳しいのでしょうか? 」
「フォフォフォ…… 人がいてモンスターがいる。ただそれだけじゃ」
何ともシンプルな答え。

「おおそうじゃった。仲間は鬼に囚われている」
「鬼とはあの伝説上の鬼? それともモンスターのことでしょうか? 」
「知るか! オニとはたぶん何らかの暗号かそれとも場所そのもの」
「ではアンもそこに? 」
「ああ恐らくは…… 責任は一切持たんがな」
「分かりました。ではお元気で」
「うむ。行くがいい勇者。我が村の命運はお主の手に掛っておる! 」
とんでもないプレッシャー。

ではそろそろ出発するとするか。
故郷の村を離れる。

結界を解き、狂った世界に足を踏み入れる。
もう誰も信用できない。
そこに人がいようとそこにモンスターがいようと。
ただ自分の道を突き進むしかない。
戻れない。仲間を連れ帰るまでは戻ってこれない。

俺にはアンしかいない。
赤毛のニキビだらけだったアン。
あれ? あまり可愛くないぞ。
離れたものだからよく見えるのだろうが。
実際よく思い出すと普通の女の子だった気もする。

ブツブツ
ブツブツ
アンのことばかり考えていたせいか前から来た奴に気づくのが遅れた。
何て情けない。これでは勇者失格。

               続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...