言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

文字の大きさ
3 / 200

契約 妖精と口づけを

しおりを挟む
アンのことを考えていたばかりに前を見ていなかった。
「ぶっ殺すぞ! 」
興奮した輩が絡んでくる。
「ぶっ殺すぞ! 」
使用禁止用語を使うとは何て頭の悪い奴なのか? しかも何度も繰り返す。
もはや天然記念物級の生物。
どうやら言葉は通じるようだ。
無視をする。
もう! ふざけるな……
心に秘めた不快感を露わさずに処理するのが大変。

うぎゃああ!
ただの輩と無視していたら襲ってきやがった。
だが剣はおろか何も持っていない。このままやられるだけ。
「ぶっ殺す! ぶっ殺す! 」
下品な言葉で罵る。
どうする? どうする? 正義の味方でも呼ぶか?

「何をやってるの! ワードホルダーを使って! 」
どこからともなくか声がする。天の声?
「誰? 今は取り込み中。後にしてくれ! 」
「もう本当に困った子なんだから」
呆れてため息を一つ吐く謎の物体。
「まさか…… 」

言われるままワードホルダーを取り出しカードを一枚。
【ふざけるな! 】
怒りの言葉を発しモンスターを消滅させる。

トラブルを引き起こす放送禁止用語の【ぶっ殺すぞ! 】を手に入れた。
レアワードではなくどこの輩も使う一般的な言葉。
ただお子様がいる前では控えるべきとされているワード。

どこだ? 誰だ?
見回してみても姿が見えない。
まさか幻聴? 
この辺りには人の姿など見えはしないし……
「ちょっとあんた私の話を聞いてるの? 」
小さな羽根の生えた妖精さんが姿を見せる。

「君は? 」
「私はエクセル。あなたのお世話係です」
エクセルは閃きと計算能力に長けた妖精だそう。
孤独な旅のお供には丁度いい。

「あなたお名前は? 」
「俺は言右衛門。世界に散らばった村人捜索と幼馴染アンに告白する為に旅立った」
「言右衛門って長いからゲンでいいでしょう? 」
妖精が続ける。
「いい? よく聞いてゲン。あなたは村を出た。だったらもうこの世界の住民。
この世界はあなたが平和に暮らしていた三年前とは違う。まったく違うの!
私はあなたが困らないように世話係を任された。
それと同時にこの世界を乱す者を事前に把握し注意を与える役割があります。
あなたは今モンスターを一匹倒しましたね? 」
「ああよく分からなかったけどな」

ワードフォルダーから一枚取り出しそれを投げつける。
これが攻撃? 随分いい加減な気がするのは俺だけか?
どうも俺の頭ではすべてを理解するのは無理らしい。
とにかく協力を得たい。
このイカレタ妖精さんを利用してアンのもとへ。
ああこれも放送禁止用語だった。

「今あなたの手元にあるそれは何? 」
そう言えばこれは何だ?
「モンスターが落としていった戦利品だ。文句あるか! 」
まさかこの妖精、俺のものを取り上げるつもりか?

「あんた馬鹿ね。田舎者はこれだから…… 」
そう言って馬鹿にする妖精。
「誰が田舎者だ! 」
「田舎者でしょう? 違うの? 」

三年近く村から出れずに世界は変わっていった。
認める認めないの問題じゃない。
事実そうなのだから認めるしかない。

「ああ、そうだよ。俺は田舎者さ! 」
「ふふふ…… 分かればいいのよ。私に逆らっても後悔するだけよ」
そうだ。ここで言い争いをしても始まらない。
序盤の序盤に何をしてるんだ俺は?

「いいよく聞いて。この世界はさっきも言った通り想像を遥かに超えた世界な訳。
歩けば棒に当たるのは三年前まで。今はモンスターに当たる。
ここは人間とモンスターが共存してる。
と言ってもどちらかと言えばモンスターが人間を支配してるんだけどね。
これは秘密だから誰にも言ってはダメ。
私から聞いたと言ってももちろんダメ」

「ああ、分かったよ。でもなぜお前がそんなことを知ってるんだ? 」
たかが妖精なのに。
「私の仕事は異人を取り締まること。速やかに排除するか世界に馴染ませるか。
それが私の主な任務。ここで言うところの異人はもちろんあなたのこと。
知らない外の世界から来た生物ですからね。
私としてはあなたを消滅させたりや排除させたくない。
この世界に馴染ませ適応させようと考えてるの。私はあなたの可能性を信じてる。
だからお願い! 私の指示に従って。これは一種の契約よ」

契約と来やがったか。
ぐんと怪しくなる。俺を嵌める為に何かしようって魂胆じゃないだろうな?
疑わしい。見た目も妖精だしな。
「契約したらなぜ私がこれほど詳しいのかを教えてあげる。
謎めく美少女も悪くないでしょうけど信頼関係も大事」

「分かったよエクセル。契約してやる」
「だったらちょっと目を瞑ってね」
「ああ良いけど。うわ何をしやがる! 」
無防備な唇に口づけしやがった。

「はい契約成立」
「ちょっと待て…… 俺にはアンが…… 」
「うるさいわね。これくらい何でもないでしょう? 」
「まあ確かに…… それでお前、年はいくつだ? 」
「それはその…… ああ人が近づいてきた。今度はしっかりやってね」

                 続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。

もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
 ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...