言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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ロボット疑惑

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第三世界。
あれ…… 俺はどうなったんだ?
「ご主人様? ご主人様大丈夫ですか? 」
目の前には酷く焦った様子のアトリの姿が。
どうやら夢だったらしい。しかも悪夢。
汗がびっしょりでもう着替えたいよ。
お近くのドンテでおかしな服を買い漁るしかなさそうだ。
毎度のように新世界に行くと手荒い歓迎を受ける。
嫌な儀式だ。いい加減やめてくれないかな。
心にも体にも良くない。

「変な夢を見た? 」
「そうなんだ。これは予知夢に違いない」
大げさに告げる。前回もそうだったから今回だってそうに違いない。
もちろん思い込みは禁物だが。
「変な夢が予知夢? 」
思考回路がショート寸前のアトリ。
「もう訳の分からない話は止めてください! 壊れたらどうするんです? 」
やっぱりロボットじゃないか。指摘したらどうせ怒るんだろうな。

そんな風に気にしてるとふとアンのことを思い出す。
今どこにいるのか? 元気してるかな? 怪我の具合は?
ああアン。今すぐ会いたいよ。
出来るならロマンチックな夜に月の光に導かれて。
ふふふ…… 最高だろうな。
おっと目の前のことに集中しなくちゃ。確か下手な言い訳をしてたな。

「お前変な奴だな! ついでに面倒くさい」
「ご主人様。アトリはアトリです」
「おかしな言い訳はせんでいい。それよりもこれからどうするかだが」
もうエクセルもいない。俺が引っ張って行かなくては。
これでも少しは成長したんだから。
身長だって伸びたしあれだって伸びた。もう立派な大人だ。
もう小学生だなんて誰にも言わせない。

「気になるようでしたら夢師にご相談されてはいかがでしょう? 」
アトリにしてはまともな意見を言う。
何だ少しは考えてるんじゃないか。
少しは人間の心を理解してるんだな。安心した。
上手くすれば二人はいいコンビになれる。

「夢師か…… 癖が強いんだよな。あのタイプの人って」
「さあさあ。ご遠慮なさらずに行きましょうご主人様」
偏見かもしれないがアトリも女の子。
エクセル同様占いが大好きなんだろうな。
占いか…… 俺はちっとも興味がない。
そう言えばアンもおかしな占い師に嵌っていたことがあったな。
今はその気配はないが。気をつけないと不幸せな結婚生活が待ってることに。

「ほらこっちですよ」
館にご案内。
「ちょっとここって…… 」
目の前には海が広がる。第三世界は港町からスタートらしい。
波の音が心を落ち着かせてくれる。
うわ…… 潮風が目に。しょっぱいなもう。
「ほらご主人様早く! 」
妖精と言っても普通の女の子だな。身長だって妖精にしては大きい。
ロボットにしては想像よりも小さい。本来等身大のはず。
それこそ小学生ぐらいあるかな。

「おい待てよアトリ! ご主人様を置いて行くなって! 」
ロボット妖精アトリ。
これからの旅は俺のかけがえのない思い出になるだろう。
なんちゃって……

停泊中の小型船に乗り込む。
錆びついて動きそうにない。
恐る恐る中へ。
『スターフィッシュクラブ』
「はーい。坊やたちどうしたのかな? 」
昼間からハイテンションな女性が現れた。
危うく攻撃するところ。

サングラスとおかしなカツラと濃い化粧で正体を分からないようにしている。
肌や声から推測するに恐らく五十過ぎかと。
装飾過多の怪しい夢師が登場。強烈すぎる印象を残す夢師。
その見た目からまったく信用出来ない。

「あの迷ってしまいまして」
どうすればいいか困っている。
東に行けばいいのか? 西に行けばいいのか?
まさか引き返せなんて言わないよね? 海に突っ込めもなしにして欲しいな。
アトリとだとどうしても海洋世界を冒険する羽目になりそう。
「お導き下さい! 」
こう言っておけば気持ちよく占ってくれるだろう。全然信用はしてないけれどね。

案内役のアトリはご主人様の言うことは聞くが自ら積極的に動かない困った妖精。
指示がないと何も出来ないと言う欠点が。俺は俺で指示を受けないと動けない性分。
まあ欠点とか弱点は克服すればいいさ。アトリが。
「何だ迷子かい。ママのところに帰りたいんだね? 」
うわ滅茶苦茶失礼な人だ。
「だから坊やでもありませんし小学生でもありません!
俺は立派な大人。言右衛門です。ゲンって呼んでくれると嬉しいな」
「はい良く言えましたね。ではここにお名前と住所を。難しいかな? 」
「だから違うって! 大人だって言ってるだろうおばさん! 」
つい興奮して失礼な暴言を吐いてしまった。
これはまた警告が出る? アプリンがいない今命取りに。
どうせならピッキングよりもアプリンの能力を継承すべきだった。
ハックの奴め気が利かないな。

                  続く
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