95 / 200
ロボット疑惑
しおりを挟む
第三世界。
あれ…… 俺はどうなったんだ?
「ご主人様? ご主人様大丈夫ですか? 」
目の前には酷く焦った様子のアトリの姿が。
どうやら夢だったらしい。しかも悪夢。
汗がびっしょりでもう着替えたいよ。
お近くのドンテでおかしな服を買い漁るしかなさそうだ。
毎度のように新世界に行くと手荒い歓迎を受ける。
嫌な儀式だ。いい加減やめてくれないかな。
心にも体にも良くない。
「変な夢を見た? 」
「そうなんだ。これは予知夢に違いない」
大げさに告げる。前回もそうだったから今回だってそうに違いない。
もちろん思い込みは禁物だが。
「変な夢が予知夢? 」
思考回路がショート寸前のアトリ。
「もう訳の分からない話は止めてください! 壊れたらどうするんです? 」
やっぱりロボットじゃないか。指摘したらどうせ怒るんだろうな。
そんな風に気にしてるとふとアンのことを思い出す。
今どこにいるのか? 元気してるかな? 怪我の具合は?
ああアン。今すぐ会いたいよ。
出来るならロマンチックな夜に月の光に導かれて。
ふふふ…… 最高だろうな。
おっと目の前のことに集中しなくちゃ。確か下手な言い訳をしてたな。
「お前変な奴だな! ついでに面倒くさい」
「ご主人様。アトリはアトリです」
「おかしな言い訳はせんでいい。それよりもこれからどうするかだが」
もうエクセルもいない。俺が引っ張って行かなくては。
これでも少しは成長したんだから。
身長だって伸びたしあれだって伸びた。もう立派な大人だ。
もう小学生だなんて誰にも言わせない。
「気になるようでしたら夢師にご相談されてはいかがでしょう? 」
アトリにしてはまともな意見を言う。
何だ少しは考えてるんじゃないか。
少しは人間の心を理解してるんだな。安心した。
上手くすれば二人はいいコンビになれる。
「夢師か…… 癖が強いんだよな。あのタイプの人って」
「さあさあ。ご遠慮なさらずに行きましょうご主人様」
偏見かもしれないがアトリも女の子。
エクセル同様占いが大好きなんだろうな。
占いか…… 俺はちっとも興味がない。
そう言えばアンもおかしな占い師に嵌っていたことがあったな。
今はその気配はないが。気をつけないと不幸せな結婚生活が待ってることに。
「ほらこっちですよ」
館にご案内。
「ちょっとここって…… 」
目の前には海が広がる。第三世界は港町からスタートらしい。
波の音が心を落ち着かせてくれる。
うわ…… 潮風が目に。しょっぱいなもう。
「ほらご主人様早く! 」
妖精と言っても普通の女の子だな。身長だって妖精にしては大きい。
ロボットにしては想像よりも小さい。本来等身大のはず。
それこそ小学生ぐらいあるかな。
「おい待てよアトリ! ご主人様を置いて行くなって! 」
ロボット妖精アトリ。
これからの旅は俺のかけがえのない思い出になるだろう。
なんちゃって……
停泊中の小型船に乗り込む。
錆びついて動きそうにない。
恐る恐る中へ。
『スターフィッシュクラブ』
「はーい。坊やたちどうしたのかな? 」
昼間からハイテンションな女性が現れた。
危うく攻撃するところ。
サングラスとおかしなカツラと濃い化粧で正体を分からないようにしている。
肌や声から推測するに恐らく五十過ぎかと。
装飾過多の怪しい夢師が登場。強烈すぎる印象を残す夢師。
その見た目からまったく信用出来ない。
「あの迷ってしまいまして」
どうすればいいか困っている。
東に行けばいいのか? 西に行けばいいのか?
まさか引き返せなんて言わないよね? 海に突っ込めもなしにして欲しいな。
アトリとだとどうしても海洋世界を冒険する羽目になりそう。
「お導き下さい! 」
こう言っておけば気持ちよく占ってくれるだろう。全然信用はしてないけれどね。
案内役のアトリはご主人様の言うことは聞くが自ら積極的に動かない困った妖精。
指示がないと何も出来ないと言う欠点が。俺は俺で指示を受けないと動けない性分。
まあ欠点とか弱点は克服すればいいさ。アトリが。
「何だ迷子かい。ママのところに帰りたいんだね? 」
うわ滅茶苦茶失礼な人だ。
「だから坊やでもありませんし小学生でもありません!
俺は立派な大人。言右衛門です。ゲンって呼んでくれると嬉しいな」
「はい良く言えましたね。ではここにお名前と住所を。難しいかな? 」
「だから違うって! 大人だって言ってるだろうおばさん! 」
つい興奮して失礼な暴言を吐いてしまった。
これはまた警告が出る? アプリンがいない今命取りに。
どうせならピッキングよりもアプリンの能力を継承すべきだった。
ハックの奴め気が利かないな。
続く
あれ…… 俺はどうなったんだ?
「ご主人様? ご主人様大丈夫ですか? 」
目の前には酷く焦った様子のアトリの姿が。
どうやら夢だったらしい。しかも悪夢。
汗がびっしょりでもう着替えたいよ。
お近くのドンテでおかしな服を買い漁るしかなさそうだ。
毎度のように新世界に行くと手荒い歓迎を受ける。
嫌な儀式だ。いい加減やめてくれないかな。
心にも体にも良くない。
「変な夢を見た? 」
「そうなんだ。これは予知夢に違いない」
大げさに告げる。前回もそうだったから今回だってそうに違いない。
もちろん思い込みは禁物だが。
「変な夢が予知夢? 」
思考回路がショート寸前のアトリ。
「もう訳の分からない話は止めてください! 壊れたらどうするんです? 」
やっぱりロボットじゃないか。指摘したらどうせ怒るんだろうな。
そんな風に気にしてるとふとアンのことを思い出す。
今どこにいるのか? 元気してるかな? 怪我の具合は?
ああアン。今すぐ会いたいよ。
出来るならロマンチックな夜に月の光に導かれて。
ふふふ…… 最高だろうな。
おっと目の前のことに集中しなくちゃ。確か下手な言い訳をしてたな。
「お前変な奴だな! ついでに面倒くさい」
「ご主人様。アトリはアトリです」
「おかしな言い訳はせんでいい。それよりもこれからどうするかだが」
もうエクセルもいない。俺が引っ張って行かなくては。
これでも少しは成長したんだから。
身長だって伸びたしあれだって伸びた。もう立派な大人だ。
もう小学生だなんて誰にも言わせない。
「気になるようでしたら夢師にご相談されてはいかがでしょう? 」
アトリにしてはまともな意見を言う。
何だ少しは考えてるんじゃないか。
少しは人間の心を理解してるんだな。安心した。
上手くすれば二人はいいコンビになれる。
「夢師か…… 癖が強いんだよな。あのタイプの人って」
「さあさあ。ご遠慮なさらずに行きましょうご主人様」
偏見かもしれないがアトリも女の子。
エクセル同様占いが大好きなんだろうな。
占いか…… 俺はちっとも興味がない。
そう言えばアンもおかしな占い師に嵌っていたことがあったな。
今はその気配はないが。気をつけないと不幸せな結婚生活が待ってることに。
「ほらこっちですよ」
館にご案内。
「ちょっとここって…… 」
目の前には海が広がる。第三世界は港町からスタートらしい。
波の音が心を落ち着かせてくれる。
うわ…… 潮風が目に。しょっぱいなもう。
「ほらご主人様早く! 」
妖精と言っても普通の女の子だな。身長だって妖精にしては大きい。
ロボットにしては想像よりも小さい。本来等身大のはず。
それこそ小学生ぐらいあるかな。
「おい待てよアトリ! ご主人様を置いて行くなって! 」
ロボット妖精アトリ。
これからの旅は俺のかけがえのない思い出になるだろう。
なんちゃって……
停泊中の小型船に乗り込む。
錆びついて動きそうにない。
恐る恐る中へ。
『スターフィッシュクラブ』
「はーい。坊やたちどうしたのかな? 」
昼間からハイテンションな女性が現れた。
危うく攻撃するところ。
サングラスとおかしなカツラと濃い化粧で正体を分からないようにしている。
肌や声から推測するに恐らく五十過ぎかと。
装飾過多の怪しい夢師が登場。強烈すぎる印象を残す夢師。
その見た目からまったく信用出来ない。
「あの迷ってしまいまして」
どうすればいいか困っている。
東に行けばいいのか? 西に行けばいいのか?
まさか引き返せなんて言わないよね? 海に突っ込めもなしにして欲しいな。
アトリとだとどうしても海洋世界を冒険する羽目になりそう。
「お導き下さい! 」
こう言っておけば気持ちよく占ってくれるだろう。全然信用はしてないけれどね。
案内役のアトリはご主人様の言うことは聞くが自ら積極的に動かない困った妖精。
指示がないと何も出来ないと言う欠点が。俺は俺で指示を受けないと動けない性分。
まあ欠点とか弱点は克服すればいいさ。アトリが。
「何だ迷子かい。ママのところに帰りたいんだね? 」
うわ滅茶苦茶失礼な人だ。
「だから坊やでもありませんし小学生でもありません!
俺は立派な大人。言右衛門です。ゲンって呼んでくれると嬉しいな」
「はい良く言えましたね。ではここにお名前と住所を。難しいかな? 」
「だから違うって! 大人だって言ってるだろうおばさん! 」
つい興奮して失礼な暴言を吐いてしまった。
これはまた警告が出る? アプリンがいない今命取りに。
どうせならピッキングよりもアプリンの能力を継承すべきだった。
ハックの奴め気が利かないな。
続く
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした
月神世一
ファンタジー
「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」
ブラック企業で過労死した日本人、カイト。
彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。
女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。
孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった!
しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。
ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!?
ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!?
世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる!
「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。
これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
病弱少年が怪我した小鳥を偶然テイムして、冒険者ギルドの採取系クエストをやらせていたら、知らないうちにLV99になってました。
もう書かないって言ったよね?
ファンタジー
ベッドで寝たきりだった少年が、ある日、家の外で怪我している青い小鳥『ピーちゃん』を助けたことから二人の大冒険の日々が始まった。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。
久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。
事故は、予想外に起こる。
そして、異世界転移? 転生も。
気がつけば、見たことのない森。
「おーい」
と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。
その時どう行動するのか。
また、その先は……。
初期は、サバイバル。
その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。
有名になって、王都へ。
日本人の常識で突き進む。
そんな感じで、進みます。
ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。
異世界側では、少し非常識かもしれない。
面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる