言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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スターフィッシュ

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港に停泊してある夢占いの館『スターフィッシュ』へ。
怪しげな女性に夢占いをしてもらうことに。

「あら元気な坊やだね。迷子だって言ってなかったかい? 」
「だからそれは誤解です。俺が迷子って言ったのは比喩。
実際は迷子になんかなってない。
ただ行き先が決められないからつい迷子って言っただけで」
「何だやっぱり迷子じゃないか。まあいいや。言いたいことは分かったよ。
さあ早く夢占いを始めようか」
さすがは夢師。強引に話を進める。
ただこの人が特別マイペースなだけな気もするが。

古くて錆びついた小型船を住処に。
貧しい生活に耐えどうにか暮らしてるようだ。
やっぱり夢占いって儲からないのかな?
中は道具でグチャグチャ。足の踏み場もないほど。
これは昔流行った汚部屋スタイル。懐かしい。

「そこら辺に適当に座ってね」
「はあ…… 」
お茶の代わりにサルトティ―を振る舞ってくれるがこれが物凄くしょっぱい。
アトリは一口もつけない。賢いがこれはこれで失礼なのでは?
「さっそく始めようか。夢を見たんだろ。ここに来る者は皆そうさ」
喰いつきの良いおばさん。分かってらっしゃる。

「お願いします」
目的を告げ夢の内容一緒にを見て行く。
「最初は何を見たんだい? 」
「それがシカなんです」
「シカっと。まさかシカにシカトされたとか? 」
つまらない冗談でお茶を濁す女性。それでもしょっぱいまま。
「それからお爺さんを見ました」
「爺はいいよ。面倒だから。次は? 」
「マタギのようでどうも銃を…… えっとウサギを見ました」
「ウサギ? それで。それで」
「続いて車を見ました」
「ああ人がいたのね」
「そうです。降りて来たのは男女数名」
「ああん? 」
あれ何か引っかかってる? それとも気に喰わないことでも?
「恐らく動物保護団体の方かと」
「ううん? 夢でしょう? あんたの好きに言えばいいさ」
「そこでお爺さんと言い争いになって」
「あんたが撃ち殺されそうになった? 」
「はい、そこで夢から覚めました」
「ではもう一度繰り返してみて」

「シカを保護し…… 」
「説明下手ね。要するにシカもウサギも逃した。それでいいかい? 」
「ええ一兎を追う者はどうとかこうとかで」
「分かった。あんたこの世界に来たばかりできっと緊張してるんだよ」
はあとため息を漏らす。
「何か分かりましたか? 」
「恐らくそのどれかと遭遇するはずだから…… まあ頑張りなさい」
あれやる気がないぞ。どうしたんだろう?

「もっとこうアドバイスを。どうすればいいとか」
粘る。そしてまとわりつく。
「ちょっと…… 私を頼らないで! あくまで夢占い。
もう仕方ないわね。だったらその後は誰に会ったの? 」
「誰って…… すぐにここへ」
「ではその間は誰にも会わなかった? 」
おかしな質問ばっかりするな。本当にこんなことで分かるのか?
「はいあなたぐらいですよ」
夢師は完全にやる気を失ってしまった。

「スターフィッシュクラブに登録すればいつでもどこでも出張サービス致します。
ではまたのご来店をお待ちしてます」
勝手に話を打ち切ろうとする。
まだ何も解決してない。夢に何の意味があるのか具体的に教えてもらわないと。
俺たちはどうすればいいんだ?

「ちょっと! それはないよ」
文句をつける。
「もう面倒だね。だったらそっちの妖精に変わりな」
アトリを指名。俺では役不足らしい。

「はい。妖精のアトリです」
「一昨日は何を見たんだい? 」
「知りません。寝てましたから」
正直に答え困らせる無邪気な妖精。
「違う! 代わりに答えるんでしょう? 最初は何を見たの? 」
「えっと…… シカですかね」
「もっと可愛く。一人で繰り返して。ほら! 」
「最初はシカを見たんです」
「違う! もっと可愛らしく天然に」
「やってみます。最初はシカを見たの」
「次は? 」
「それからウナギを見たの」
「違う。違う! ウナギではなくウサギでしょう? 」
夢師は細かい。まだアトリには難しいよたぶん。
「ウサギを見たの」
「うん。その調子。最後は? 」
「怖い! 睨まないで」
「うん。アドリブも悪くない。続けなさい」
「えっと…… それからあなた」
「はい良くできました。ではもう少し幻想的に行きましょう」

はああ? 何を言ってるんだ? 夢占いはどうした? 
ちっともまじめにやろうとしない夢師。
お願いだから俺たちを導いてくれよ。
考えるのが面倒で誰かに頼るのが楽だからこの館に来たのに。
これでは時間の無駄ではないか。

                 続く
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