言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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仲間を集めて南に進め

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『スターフィッシュ』にて夢占い中。
「はい良くできました。ではもう少し幻想的に行きましょうね」
夢を見た俺の代わりになぜかアトリが占ってもらっている。
何度も同じことを繰り返させる夢師。アトリも困惑気味。
明後日の方向に脱線するばかり。一体何をやらせてるんだ?
全く信用できやしない。

「はああ? 何を言ってるんだ? 夢占いはどうした? 」
「はいそこ静かに。最初ではなく一昨日にしましょうね。一昨日は? 」
俺を無視しておかしなことを続ける。どうしちまったんだこのおばさん?

「一昨日はシカを見たの」
「昨日は? 」
「ウサギを見たの」
「では今日は? 」
「今日はあなた」
「よしもう完璧だね。ではもう一度一昨日から一人でやってみて」
なぜか目を輝かす夢師。これはお遊びじゃないんだけどな。
「一昨日はシカを見たの。昨日はウサギを見たの。
そして今日はあなた」
「うんかわいい。すごくよく出来ました。これであなたは完璧な妖精よ。
よく頑張りました」

第何回目かの妖精講座が行われそれに見事合格したアトリさん。
これで心置きなく妖精のお仕事が出来るって…… いやもう妖精だから。
確かにロボット疑惑はあった。だからって妖精を証明する必要は無い訳で。
まあいいか。アトリが楽しいなら。俺も楽しいし嬉しい。普通逆だがそこはいい。
楽しいはずなのになぜかイライラが溜まる。
これはアトリのせいとかではなくすべてこのおかしな夢師が悪い。

「アトリが…… ご主人様。やりましたよ」
興奮して自慢するが興味ない。
「だからそれが何? 」
「ご主人様が疑っていたでしょう? 」
「ああロボット疑惑ね。気にしてたのか。どっちでもいいって」
「そんなご主人様! 」
まずいアトリを傷つけてしまった。俺は何てことを! まあいいかロボットだし。
「ご主人様! またロボットって思いましたね? 分かるんですよ」
「いや思ってない。そんな風に人の頭を覗けるなんてお前はロボットかよ」
「ほらやっぱり! ご主人様の意地悪」
アトリはロボットと言われるのが嫌らしい。でも可愛いからつい言いたくなる。

「はいはい。では夢占いの結果を発表しますね。
仲間を集め明日ここから出港する船に乗りなさい。
とにかく南に向かうのです。そこにはあなたの目的のものが存在するでしょう」
ようやくまともなアドバイス。これで支払いは免れない?

「具体的には? 」
「さあそこまではちょっと…… ではお行きなさい! 」
強引に締める夢師。格好をつけ過ぎ。

『スターフィッシュ』を離れる。
あれ…… 俺たち騙されたのかな?
でもタダで占ってもらったんだしまあいいか。

「ご主人様手伝ってください! 」
お近くのドンテで爆買い。
安いのでついたくさん。でもほぼ役に立たない代物ばかり。
俺が悪いのか? 店が上手いのか? アトリが暴走するからか?
「なあ買い過ぎだぞ。要らないものは戻して来い! 」
「だって船で長旅ですよ。ご飯も出ずに飲まず食わずなんて嫌ですよ」
確かにそうだが。ロボットって食べるの? それにしても余計なものが多い。

サンダル? 渚でカニでも食おうってか。
「ああそれはビーチで。必需品です」
水着? 
「海でのドレスコードです」
もっともらしいことを言うがただ泳ぎたいだけだろ?
でもちょっと待てよ。サルトティを一口も飲まなかったよな。
だったら海水はまずいんじゃないか。泳ぐなんてもっての外。
ロボットは重い上に塩で錆びてしまうだろう?
本家はなぜかその問題には触れていないがやはり性能の問題?

「浮き輪は? 溺れたらどうする? 」
「ああ忘れてた! でも船にもありますよ」
いらないものばかり買って肝心なものを忘れるんだから頭が痛いよ。
「だが俺たちはいわゆる貧しい者だ。俺たちの分まで用意してないかもしれない。
それに浮き輪はいくらあったっていい」
夏とは言え氷山に当たって沈没しないとも限らない。
「では店にあるのを全部」
「馬鹿! そう言う意味じゃない。まったくロボットなんだからしっかりしろ! 」
「だから違いますって! では浮き輪一つ」
「二つ分用意しろ! 俺を忘れたか? 」
「まあまあ。では最後にお菓子を! 」
そう言って走り出す。
これは貧しい食事になりそうだ。

では会計。

                     続く
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