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パワポ
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忽然と姿を消したと噂の門番。
結局昼になっても姿を見せることはなかった。
どこに消えどうしてるのかまったく分からず現在のところ消息不明。
彼の安否も気になるところだが問題は鍵の有無。
仮に発見できても鍵を紛失していたら目も当てられない。
「どうするゲン? 」
「とにかく昼にしようぜ。待ちくたびれて腹が減ったよ」
第五世界はとにかく狭い。第四世界と第六世界をつなぐだけのものらしい。
だから町は人も店も限られているのだとか。
当然のことながら宿は一軒のみだし。
レストランもない。ただ食堂が宿の隣にあるだけ。
俺たち旅行者はここの食堂で毎日顔を会わせることになる。
だから嫌でも親しくなる。それでトラブルになることも。
昨日来たばかりだと言うのに皆良くしてくれるから助かるぜ。
しかしバーもなければカジノもない。
こんな刺激の少ない不自由なところ早くオサラバしたいな。
「あれまたあんたなの? 」
アンもどきがお食事に。
「なああんたら知ってるか? あの偉そうな男消えたらしいぜ」
一人の男が話かけてきた。
「嘘? 冗談でしょう? 一体私たちどうしたらいいのよ? 」
アンもどきはパスタをすする。
不快な音を立てるが誰も気にしてる様子はない。
ここはそう言う奴らのたまり場。どうやら俺も仲間だと思われているようだ。
旅をしてる異人など似たり寄ったりなのは確かだが。
しかしどうでもいいけど食堂にパスタって似合わないな。
俺は日替わり定食で我慢。
アジフライとライスとスープにプリン。
うんうまいな。やっぱり俺って選ぶセンスあるな。
「ねえ聞いてるの? 」
アンもどきが大事な話があると迫る。
相変わらず汚い食い方だな。見てられない。
まあ俺も人のこと言えないけどさ。
「ああ聞いてるって。王子を探してるんだろ? 」
「はあ? それはそうだけど…… 今は違うでしょう? 」
「だったらパスタの食い方か? 」
「違うって! そうだ連れの妖精さんは? 」
「ああリナね。宿で休んでるよ。プライベートは関わりたくないんだとさ」
朝七時から夜八時までは一緒に行動するが。
例外があって飯を食ってる時は自由時間らしい。
何ともサバサバした女だ。どうせ俺に近づき過ぎて惚れるのが怖いんだろうな?
「だからさ! 消えたあの男を探さない? 」
アンもどきの提案はごくシンプルで自然なもの。
「ええ…… 俺が? 」
「だってあなたも困ってるんでしょう? 」
アンもどきは一日も早く第六世界に行きたいそうだ。
お忍びの王子探しならどこでも似たようなものだと思うけどな。
「他の人は? 」
「ああ兄ちゃん。それは無駄ってものさ。
突然消えた奴を探すのは骨が折れる。誰も探したがらないさ」
情報通の鋭い目つきの男が首を振る。
「問題はその人が預かっていた鍵。これが無いと門が開かないから困ってる」
「そう俺たちは新しい鍵が出来るのを待つつもりだ」
今度は痩せた隣りのテーブルの男が話に加わる。
「それには少なくて一か月掛かるそう。あなただって待てない。そうでしょう? 」
アンもどきが同意を求める。
「ああ一か月どころか一週間だって待てない。アンを完全に見失う」
「だったら一緒に? 」
「ああ分かったよ」
こうしてアンもどきが仲間に加わった。
共通の目的。第六世界に足を踏み入れること。そのための鍵。
失踪した男を探し出して鍵を取り戻す。
「そう言えばまだ自己紹介してなかったっけ?
私はパワポ―ル。パワポって呼んでね」
おかしな名前してるな。これならアンもどきでも良さそうだが。
「俺は言右衛門。ゲンって呼んでいいぞ」
「知ってるってゲン! あなたの妖精さんがそう呼んでた」
意外にも俺に関心があるらしい。でも残念だけど王子じゃないがな。
パワポと呼べと言うがやっぱりここはアンもどきか単にもどきがいいよな。
こうしてパワポを宿にお持ち帰りに成功。
「あらあらいつの間にそんな関係に? 私はお邪魔でしょうね」
リナは本気らしい。
「待ってくれ…… 俺はそんな男じゃないよ」
「冗談よ。それよりもさっそく作戦会議と行きましょうか? 」
頼れる第五世界の相棒・リナ。仕切ってくれればこれほど楽なことはない。
でもこのままだと俺の立場が危うくなる。そんな気がする。
続く
結局昼になっても姿を見せることはなかった。
どこに消えどうしてるのかまったく分からず現在のところ消息不明。
彼の安否も気になるところだが問題は鍵の有無。
仮に発見できても鍵を紛失していたら目も当てられない。
「どうするゲン? 」
「とにかく昼にしようぜ。待ちくたびれて腹が減ったよ」
第五世界はとにかく狭い。第四世界と第六世界をつなぐだけのものらしい。
だから町は人も店も限られているのだとか。
当然のことながら宿は一軒のみだし。
レストランもない。ただ食堂が宿の隣にあるだけ。
俺たち旅行者はここの食堂で毎日顔を会わせることになる。
だから嫌でも親しくなる。それでトラブルになることも。
昨日来たばかりだと言うのに皆良くしてくれるから助かるぜ。
しかしバーもなければカジノもない。
こんな刺激の少ない不自由なところ早くオサラバしたいな。
「あれまたあんたなの? 」
アンもどきがお食事に。
「なああんたら知ってるか? あの偉そうな男消えたらしいぜ」
一人の男が話かけてきた。
「嘘? 冗談でしょう? 一体私たちどうしたらいいのよ? 」
アンもどきはパスタをすする。
不快な音を立てるが誰も気にしてる様子はない。
ここはそう言う奴らのたまり場。どうやら俺も仲間だと思われているようだ。
旅をしてる異人など似たり寄ったりなのは確かだが。
しかしどうでもいいけど食堂にパスタって似合わないな。
俺は日替わり定食で我慢。
アジフライとライスとスープにプリン。
うんうまいな。やっぱり俺って選ぶセンスあるな。
「ねえ聞いてるの? 」
アンもどきが大事な話があると迫る。
相変わらず汚い食い方だな。見てられない。
まあ俺も人のこと言えないけどさ。
「ああ聞いてるって。王子を探してるんだろ? 」
「はあ? それはそうだけど…… 今は違うでしょう? 」
「だったらパスタの食い方か? 」
「違うって! そうだ連れの妖精さんは? 」
「ああリナね。宿で休んでるよ。プライベートは関わりたくないんだとさ」
朝七時から夜八時までは一緒に行動するが。
例外があって飯を食ってる時は自由時間らしい。
何ともサバサバした女だ。どうせ俺に近づき過ぎて惚れるのが怖いんだろうな?
「だからさ! 消えたあの男を探さない? 」
アンもどきの提案はごくシンプルで自然なもの。
「ええ…… 俺が? 」
「だってあなたも困ってるんでしょう? 」
アンもどきは一日も早く第六世界に行きたいそうだ。
お忍びの王子探しならどこでも似たようなものだと思うけどな。
「他の人は? 」
「ああ兄ちゃん。それは無駄ってものさ。
突然消えた奴を探すのは骨が折れる。誰も探したがらないさ」
情報通の鋭い目つきの男が首を振る。
「問題はその人が預かっていた鍵。これが無いと門が開かないから困ってる」
「そう俺たちは新しい鍵が出来るのを待つつもりだ」
今度は痩せた隣りのテーブルの男が話に加わる。
「それには少なくて一か月掛かるそう。あなただって待てない。そうでしょう? 」
アンもどきが同意を求める。
「ああ一か月どころか一週間だって待てない。アンを完全に見失う」
「だったら一緒に? 」
「ああ分かったよ」
こうしてアンもどきが仲間に加わった。
共通の目的。第六世界に足を踏み入れること。そのための鍵。
失踪した男を探し出して鍵を取り戻す。
「そう言えばまだ自己紹介してなかったっけ?
私はパワポ―ル。パワポって呼んでね」
おかしな名前してるな。これならアンもどきでも良さそうだが。
「俺は言右衛門。ゲンって呼んでいいぞ」
「知ってるってゲン! あなたの妖精さんがそう呼んでた」
意外にも俺に関心があるらしい。でも残念だけど王子じゃないがな。
パワポと呼べと言うがやっぱりここはアンもどきか単にもどきがいいよな。
こうしてパワポを宿にお持ち帰りに成功。
「あらあらいつの間にそんな関係に? 私はお邪魔でしょうね」
リナは本気らしい。
「待ってくれ…… 俺はそんな男じゃないよ」
「冗談よ。それよりもさっそく作戦会議と行きましょうか? 」
頼れる第五世界の相棒・リナ。仕切ってくれればこれほど楽なことはない。
でもこのままだと俺の立場が危うくなる。そんな気がする。
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