言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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第六世界の真実

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サバサバビジネス妖精のリナと王子待ちのアンもどきのパワポ。
仲間も増えてようやく形になってきた。
そろそろチーム名を考える頃だろう。
何がいいかな? 
『ゲンちゃんと怖いお姉さんたち』
これだと長過ぎるよな。それにクレームも来そうだ。
だったら大胆にアレンジしてこうだ。
『恐怖のゲン姉』
うん。これならインパクトあるよね。
でも提案するかと言えばしない。却下されそうだし怖いから。
それにまだ案の段階だしな。

「それでパワポは何か知ってる? 」
まずは情報共有だ。
「噂では失踪した男の人は相当な酒飲みだったそうよ」
「ああそれなら昨日話してたな」
閉門しても粘っていた俺を無視して二人の世界に入っていた。
気をつけろと注意されていたな。

「他には? 」
「そう言えば失踪した男の人には奥さんと娘がいるってさ」
「へええ…… それなのに姿を消したんだ」
「ちょっとゲン! その言い方? 」
リナに注意を受ける。

「では今度は私から。第五世界はとても狭い世界。
手分けして探せば数日で全部回れるそう」
「リナはそう言うけど外へ逃げたらどうしようもないわよ」
パワポはより現実的な考えを持っている。
確かに俺も考えていたことだ。
「それはたぶんないでしょう。外に抜けるには見張りをどうにかしなくては。
夜であれば多少逃げやすいと思うけど何と言ってもモンスターの巣窟。
ゲンみたいに暴言カードがあっても容易ではないと思うの。
あの人はただの門番。そんな力もないしそんなことするメリットもない」

「おいおい。だったらアンはどこに行ったんだよ? 」
「ハイ焦らないのゲン。しかも人が違いますよ」
リナは冷静だ。恐ろしく冷静だ。
「ははは…… バレた? だって面倒臭いんだもん」
「真面目にやってゲン! あなたが探すんですよ。主人公でしょう? 」
「確かに急いで見つけたいけどさ。それが本音だよ。
でも今日中に第六世界に入らなかったらもうアンには追い付かない。
だったら無理して急がなくてもさ。最悪一か月後でもいいかなって」

アンを追いかけたいのはもちろんある。でもどにもならないことだってあるさ。
今までだってただ闇雲にアンを追いかけていた訳ではない。
それにアンを追いかけたって肝心の愛の言霊がなければ告白もできない。

「あの…… アンさんって誰? 」
アンもどきのパワポは当然アンについて知ってると思ったが違ったらしい。
一応一通りの情報を得ているリナがアンを詳しく解説。
「そうですか? 私によく似た可愛い女の子ですね」
大体合ってるけど後ろ姿だけなんだよな。ただそれを指摘すると怒りそう。
「そう。俺の最終目標はアンを探し出し告白をする。
ついでに離れ離れになった村人とともに故郷へ連れ帰ることだ」
それは第一世界の時から変わってない。ただ告白に自信がない。
これまでチャンスをつぶしてきたからな。

「了解。だったら呑気にしていられないわ」
パワポが第六世界の真実を教えてくれた。
「いいですか? 第六世界はとても厳しいところなんです。
旅をしてきた異人は十日以内に住居を定めなければなりません」
「ああ統べる者に近いからね。納得だ」
「そしてそれから十日以内に結婚しなければなりません」
「ちょっと待ってよ。それだとあと二十日でアンは誰かと? 」
「そうだから私も王子様と」
これがパワポの狙いらしい。
しかしこれには欠陥が。王子が居なければ当然無理。
何を考えてるんだろう? 

それよりも今はアンか。このままでは誰かと幸せを築くことに。
俺が今までやってきた努力が無駄になってしまう。

「おい本当かよパワポ? 」
「ええ第六世界に永住する条件が婚姻してること。
それが無理なら住処を決めて十日以内に結婚すること。
それが絶対条件。怪しげな者を近づけないための方策らしいの」
「だったら俺たちも最低でも二十日以内に第六世界に」
「焦らないでゲン。それは期限で実際はもっともっと早くでしょう。
十日以内が限界だと思うの」
「うわああ! アン! アン! 」

「もうパワポ。ゲンを焦らせてるのはあなたじゃない? 」
リナは大丈夫だからと落ち着くように言うがとてもじゃないがやってられない。
実質リミットが十日。しかもそれも早まる可能性が高い。
だから一日も早く第六世界へ行かなければ。
まったくもう冗談じゃないよ。

                  続く
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