言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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最終回後編 ゲンの選択

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嫉妬竜去ってまた嫉妬竜。
アトリを失い絶望する俺のもとに新たな嫉妬竜が現れる。
二体目と言うことは…… まさかエクセルなのか?

「ギャアギャア! 」
いくら言葉が通じ話が出来たとしても錯乱していれば意味がない。
ここはとにかく落ち着くように宥める。
「ほらエクセル。俺だよ。ゲンだ! 」
「ゲン…… 」
エクセルにもほんのちょっとだけ改善の兆しが見られる。
「そうだ。俺はいつだってエクセルのことを考えていた」
「ゲン! ゲーン! 」
「いや…… 確かにここまで出会いと別れを繰り返した。
だからエクセルだけを思っていた訳じゃない。
だがそれでも気持ちはあの頃のままだ。
お願いだエクセル。元の君に戻ってくれ! 」
嫉妬竜になったエクセルに呼びかけても無駄なのは分かってる。
でもどうしても俺の手で元に戻してやりたい。
そして再び一緒に冒険できたらな。

「アン…… 」
「そうだ! エクセルのおかげで俺たちはようやく結ばれたんだ」
アンを呼び立派になった俺たちを見せる。
だが嫉妬竜にとってアンはタブーでしかない。
分かっていたのについ自慢を…… 最低だな俺…… 

「ぎゃああ! 」
再び錯乱したエクセルはただの嫉妬竜と化してしまう。
「ダメだ! 俺はエクセルとまた一緒に旅がしたいんだ! 
お願いだからエクセル…… 」
だがいくら説得しても元のエクセルに戻ってはくれない。
それどころかアンを睨みつける始末。
「なぜだエクセル? どうして俺を苦しめるようなことを? 」
嫉妬竜は翼を広げ突撃態勢を取る。
もうこれ以上は無理らしい。
嫉妬竜となったエクセルの魂の叫びが聞こえてくるかのよう。

「分かったよエクセル。お前はよくやってくれたよ。もう充分だ。
パックもアプリンもどこか行っちまった。お前だけはと…… 
さあもうゆっくりしていてくれ」
二つ目の砂時計を割り中身を捨ててこれで準備完了。

翼を広げ向かって来る嫉妬竜。
最後の言葉をかける。

「ありがとうエクセル! 」

空っぽの砂時計をエクセルに向ける。
そうするとあっという間に吸い込まれていく。
すぐに砂を被せフタをして封印。
こうしてエクセルを封じ込め最後の戦いを終える。

第六世界。
ついに嫉妬竜を倒し元の世界に戻された。
「おいお前たち大丈夫だったか? 」
ウイルが駆け寄ってきた。
「あれ…… リナは? 」
「済まない…… やはり止められなかった」
「まさか俺への思いから嫉妬竜に? 」
これは必然。俺がリナを傷つけてしまった。
「ああゲンが言うのが正しかった…… 」

「何を嘘ついてるのよあんたは! 」
嫉妬竜になったはずのリナが鬼の形相でウイルに迫る。
「あれなんでリナが? 」
「まったく。ゲンもゲンよ! 誰があなたに何か! 」
そこまでムキになって否定しなくてもいいじゃないか。
俺が傷つかないとでも?

「へへへ…… ちょっと驚かそうと」
「あなたはやり過ぎです! もう一緒に謝ってあげないから! 」
「それはないよ! 俺一人じゃ帰れないって! 」
どうやらリナはウイルのために一肌脱ぐらしい。

監視と案内役の妖精・リナは役目を終える。

「ごめんなさいねゲン。だから私たちここでお別れね。さあ行くわよ! 」
「へーい! うわ…… ちょっと待ってくれよ」
「ホラ早く! さようならゲン。いつまでも二人でお幸せに」
「そうだぞ。たまには俺の家に遊びに来い! じゃあな。あばよゲン! 」

こうしてリナとウイルのコンビは第五世界へ。

帰れるかは微妙だがウイルがカギを持ってる以上何とかなるだろう。
統べる者の力もどうやら弱ってきたようだしな。

「アン? どこだアン? アン! アーン! 」
いつの間にか姿を消したアン。
「ゲン…… 」
「良かったアン! またいなくなるかと思ったよ」
「ごめんなさい。私もお礼を言いたかった。でも邪魔をしたら悪いと思って」
どうやらアンは砂時計に封じ込めた二人のように親しい関係と勘ぐってるらしい。
まあそっちの方が安全か。俺だって二度と嫉妬竜を生み出したくないからな。

「さあ行こうかアン」
「どこへ? 」
「ははは…… どこだろう? 」
それが問題なんだよな。やっぱり第六世界に留まるしかないのかな?

「アン! アーン! 」
「ふふふ…… どうしたのゲン? 」
「ちょっと呼んでみたかったんだ」
「もうゲンったら…… 」
「アン! アン! 俺帰りたくなったよ。君のいる場所に。俺たちのいる場所に」
「それを持って? 」
「うん。この砂時計は手放せないよ」
出来るなら今すぐ故郷の言の葉村に戻りたくなった。
「ゲン…… ゲン! 」
「アン! アン! アーン! 」
こうして誰にも邪魔されることなくいつまでもいつまでも抱き合った。

おしまい?

ははは!
どこからともなく聞こえた。
「まさかここまでやるとはな。少々見くびっていたようだな」
「お前は…… 統べる者? 」
「ははは! そうだ。ゲン君だったかな? 」
「言右衛門だ! 馴れ馴れしくゲンと呼ぶな! 」
「威勢がいい。そんな君にプレゼントだ」

突如二つの道が開かれる。

「何だこれは? 」
「プレゼントと言ったろ? 右はこの私のいる城につながっている。
左はお前らの故郷・言の葉村につながっている」
「本当か? 」
「今さら嘘はつかん! お前の好きにしろ。
もしまだ戦い足りないなら相手してやる。迷わずに右を選ぶんだな。
もう充分だと言うなら大人しく故郷に戻るがいい」

統べる者は二つの道を示した。
俺は仮にも勇者だ。そんなことは考えるまでもない。

「ゲンどうする? 」
「俺を信じてくれアン! 」
「分かった。選択はゲンに任せるわ」
こうして統べる者の挑発に惑わされることなく己の道を進む。

最後の選択。
「では行こうかアン? 」
「はい! 」

ついに二人は歩き出した。

              エピローグへ続く
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