言葉の暴力で世界最強! 消えたヒロインを追い求めて世界へ! 幼馴染に告白するつもりがなぜかモンスターに愛の告白を

二廻歩

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最終回前編 再びの嫉妬竜

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ついに念願のアンへの告白を遂げ後は故郷の言の葉村に戻るだけだったのに……
モンスターを操り世界を支配する統べる者の妨害を受ける。

第七世界。
いつの間にか招待されたらしい。
「アン! アン! どこだ? 」
「ゲンこっち! 」
どうやら無事だったようだ。
「あれ…… リナは? ウイルは? パワポは? ついでに王子は? 」
仲間の姿が見えない。どこへ行った? すぐに不安になる。
「私たち二人だけこの世界に引き込まれた。ゲンは何も覚えてないの? 」
「うーん。そうだっけ…… 」
何と言っても気が付いたら第七世界だったからな。
再会してすぐに試練が訪れるとはな。
今こそ二人の愛が試される時。

「くそ! 俺たちが何をした? ふざけやがって!
ちょっと悪ふざけしただけじゃないか神父様! 」
遠くから見守っているであろう統べる者に直接語りかける。
「大馬鹿者! 神父ではない! すべての世界を支配する統べる者だ! 」
怒りっぽい統べる者だな。それしても大馬鹿者はないよな。感情的なんだから。

「今日お前たちはめでたく結ばれた」
「へへへ…… そうですよ神父様」
「だから違う! お前のせいで話が先に進まないではないか」
「あんたが巻き込むから」
「うるさい! 口答えをするな! 統べる者であるぞ! 」
正体を見せない声だけの統べる者。

「へへい! 」
「今日はそう特別な日だ。だからお前たちにプレゼントをやろうと思う」
話が見えてこない口下手な統べる者。誰かサポートしてやれよ。
「ありがたき幸せ」
ここまでへりくだれば文句ないだろ。プレゼントもあるみたいだしな。
機嫌を損ねるのはまずいよね。

「プレゼントはこれだ。受け取るがよい愚か者! 」
統べる者は調子に乗り出した。
愚か者って酷いな。まだ田舎者の方がマシだな。
「はい? どこにも見当たりませんが? プレゼントどこ? 」
「ふふふ…… すぐに分かるさ。では幸運を祈る」
そう言うと静かになった。

嵐の前の静けさって奴かな。
どこからともなく叫び声がする。
これは人間じゃないな? まさか……
「ゲンこれ…… 」
「アンは危ないから隠れてろ! 」
「待って。これリナさんから預かったの」
そう言って砂時計を二つ手渡された。
これで時間を早めたり遅くしたりできる。
果たしてこんなので奴らに立ち向かえるのか?

バサバサ
バサバサ
翼を広げた巨大ドラゴンが現れた。
その名も嫉妬竜。
「アンは影に隠れてろ! 俺がいいと言うまで絶対に出てくるな! 」
「うん…… 何だか分からないけど頑張ってね」
そう言うと離れて姿を消す。どうやらうまく隠れられたようだ。
これで心置きなく戦える。

ギャアギャア
ギャアギャア
何か喚いてるが俺にはちっとも理解できない。
そうだ。これがあったよな。
ノコタンから継承したコミュニケーションツール。

「ギャアギャア! 」
「あれ…… お前はアトリ」
「はいご主人様。ですが今は嫉妬竜です…… 」
「そんなことどうだっていい。俺とアトリの関係は嫉妬竜になろうとも変わらない」
「はい。前回もそのような戯言をおっしゃっておりました」
「戯言なものか! 今も変わらない」
「そんな無茶を…… 」
「助けてくれ。ご主人様が困ってるところを指をくわえて見てるつもりか? 」
「そんなご主人様…… 」
アトリを困らせてしまう。

「俺とアトリの仲じゃないか。頼むよ」
「分かりました。何なりとご主人様」
「お前の弱点は? 」
「それはさすがに教えられません! 」
きっぱりと断るらしくないアトリ。
「お願いだ! 」
「ダメです! 」
「泣いちゃうよ? 」
「もう困ったご主人様なんだから。弱点は教えられませんが使い方なら…… 」
嫉妬竜となっても忠誠を誓うアトリ。
「うんうん。それでいい」

「まずはその砂時計を割って中身を全部空けてください」
「ふんふん。それでそれで」
「次に私に向けて呪文か何か唱えてください」
「呪文か…… 何でもいいの? 」
「はい。好きにどうぞ」
「それから? それから? 」
「以上です。では実践してみてください」

アトリに言われるまま砂時計の中身を捨てアトリに向ける。
一言。一言っと。
「愛してるぞアトリ! 」
空になった砂時計に吸い込まれるアトリ。
仕上げに砂を被せ動けなくなったところでフタをする。
こうして嫉妬竜を一体倒すことができた。
アトリは再会してすぐに砂時計に封じ込められる。
これで危機は去ったかと思われたが甘い考えだったらしい。

遠い空から再び奇声をあげ翼を広げる嫉妬竜。
完全に狂っており呼びかけには応じない。
ここは仕方ない。アトリに言われとおりもう一度やってみるか。

                  続く
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