10 / 122
明後日探偵
しおりを挟む
ついに追い詰められる。
「私は高校生探偵の…… 」
「そんなはずありませんよね。お二人とも昨夜お酒を召し上がっていたはずです」
鋭い。これは助手にはもってこい。
「ははは…… ばれましたか。よろしいお教えしましょう」
「私は探偵の明後ニチルと言います。
明後日探偵と呼ばれてます。
そして彼はハンタ。私の相棒です。
以後よろしく。ではそろそろお暇しまして」
この流れなら自然だ。
事件は起きたが我々の管轄外。
だからここは挨拶を済まし館を出るべき。
急げば暗くなる前に依頼人の元に辿り着けるはず。
さあ振り返らずに前に進もう。
目の前の事件を逃げだすこの愚かな探偵をお許しください。
ホテルを後にする。
下山開始。
全速力で山を下り再び登る。もう想像しただけで疲れる。
あれあいつは?
相棒の姿が見えない。
まずい。捕まっちまったか?
まったく世話の焼ける。
結局ロビーに集められる。
「あなた方はなぜここに? 」
メイドらしき人物の尋問を受ける。
バスガイドだとか。お婆さんがバスガイドさんと言っていたっけ。
「なぜって。間違えちゃってはい…… 」
「どう言うことか分かるようにご説明願いますか? 」
随分と強気だ。メイドの分際で生意気な。
さっきまであわわわ…… と腰を抜かしていたくせに。
「ここは薄曇り山ではないんですか? 」
「はあ? ここはドスグロ山ですけど」
確証を得る。やはり間違っていたか。
「うんお隣でしたか。どうもおかしいと思ったんだよな」
ドスグロ山と薄曇り山はお隣の山。
名前が似ているので間違ったと見ていいだろう。
ただこれは私の落ち度ではない。
相棒が大丈夫だと言うからただ着いてきたのだ。
間違っても自分のミスではない。
あーもう本当に情けない。
「それであちらでは資産家の親族による定番の醜い争いが起きてまして……
その一人から依頼があり代理人として向かった次第。
実は助手を先に向かわせたんですがね。ほらここもあそこも圏外でして。
それで連絡は取れずじまい。連絡と言えば警察にはもう通報しました?
もちろんしているとは思いますが一応は念の為」
まずは現状を理解してもらうところから始めよう。
そうすれば急いでここを離れることも理解してもらえるだろう。
「もちろん警察に連絡を取ろうとしましたがなぜか繋がらないんです」
電話の故障でなければ意図的に誰かが切ったことになる。
それはここが危険だと言う合図。急いで脱出するのが賢明。
後はどう説得するかだが。
「このホテルの電話は一か所だけでしょうか? 」
「ええさほど広くありませんので一台だけ。もちろん内線も。たぶん繋がってない」
「非常用の無線は備え付けてないんですか? 」
女は首を振る。
あればとっくに使っていると語気を強める。
「これはまずい。閉じ込められる前に脱出しなくては。それでは急ぎましょう」
「申し訳ありません。無理なんです。車が一台では皆さんをお連れ出来ない」
どうやら話しぶりからこのツアーの責任者で従業員と言ったところか。
「全員で脱出する必要はないのでは? 我々だけでも先にその車で下山すべきです。
そうでないなら皆さんで歩いて下山するか」
迫るが決してうんとは言わない。
今は一大事だと言うのに決断できずにいる。
その優柔不断さが命取りになる。
もう一人殺されているのだ。
ここでじっとしてるよりはいくらかマシなはず。
だがバスが来る明日まで待つようにとしか言わない。
そのバスとて来るとは限らない。
もし犯人の罠であるならば用意周到に計画されてるはずだ。
「いいですか。待つのは構いません。私も待つのは得意な方ですからね。
ただこれが犯人の仕組んだことであるなら間違いなく次も事件が起こる。
しかも殺人だ。一人とは限らない。あと何人殺されるかさえ不明。
もしかしたら皆殺しにする気かも知れない」
とんでもなく恐ろしい話だがあり得ないことではない。
「一刻も早くここを立ち去りましょう。せめて自分たちだけでも」
懇願する。これ以上依頼人を待たせられない。
信用に関わる。いくら明後日探偵と言えども笑ってごまかせない。
続く
「私は高校生探偵の…… 」
「そんなはずありませんよね。お二人とも昨夜お酒を召し上がっていたはずです」
鋭い。これは助手にはもってこい。
「ははは…… ばれましたか。よろしいお教えしましょう」
「私は探偵の明後ニチルと言います。
明後日探偵と呼ばれてます。
そして彼はハンタ。私の相棒です。
以後よろしく。ではそろそろお暇しまして」
この流れなら自然だ。
事件は起きたが我々の管轄外。
だからここは挨拶を済まし館を出るべき。
急げば暗くなる前に依頼人の元に辿り着けるはず。
さあ振り返らずに前に進もう。
目の前の事件を逃げだすこの愚かな探偵をお許しください。
ホテルを後にする。
下山開始。
全速力で山を下り再び登る。もう想像しただけで疲れる。
あれあいつは?
相棒の姿が見えない。
まずい。捕まっちまったか?
まったく世話の焼ける。
結局ロビーに集められる。
「あなた方はなぜここに? 」
メイドらしき人物の尋問を受ける。
バスガイドだとか。お婆さんがバスガイドさんと言っていたっけ。
「なぜって。間違えちゃってはい…… 」
「どう言うことか分かるようにご説明願いますか? 」
随分と強気だ。メイドの分際で生意気な。
さっきまであわわわ…… と腰を抜かしていたくせに。
「ここは薄曇り山ではないんですか? 」
「はあ? ここはドスグロ山ですけど」
確証を得る。やはり間違っていたか。
「うんお隣でしたか。どうもおかしいと思ったんだよな」
ドスグロ山と薄曇り山はお隣の山。
名前が似ているので間違ったと見ていいだろう。
ただこれは私の落ち度ではない。
相棒が大丈夫だと言うからただ着いてきたのだ。
間違っても自分のミスではない。
あーもう本当に情けない。
「それであちらでは資産家の親族による定番の醜い争いが起きてまして……
その一人から依頼があり代理人として向かった次第。
実は助手を先に向かわせたんですがね。ほらここもあそこも圏外でして。
それで連絡は取れずじまい。連絡と言えば警察にはもう通報しました?
もちろんしているとは思いますが一応は念の為」
まずは現状を理解してもらうところから始めよう。
そうすれば急いでここを離れることも理解してもらえるだろう。
「もちろん警察に連絡を取ろうとしましたがなぜか繋がらないんです」
電話の故障でなければ意図的に誰かが切ったことになる。
それはここが危険だと言う合図。急いで脱出するのが賢明。
後はどう説得するかだが。
「このホテルの電話は一か所だけでしょうか? 」
「ええさほど広くありませんので一台だけ。もちろん内線も。たぶん繋がってない」
「非常用の無線は備え付けてないんですか? 」
女は首を振る。
あればとっくに使っていると語気を強める。
「これはまずい。閉じ込められる前に脱出しなくては。それでは急ぎましょう」
「申し訳ありません。無理なんです。車が一台では皆さんをお連れ出来ない」
どうやら話しぶりからこのツアーの責任者で従業員と言ったところか。
「全員で脱出する必要はないのでは? 我々だけでも先にその車で下山すべきです。
そうでないなら皆さんで歩いて下山するか」
迫るが決してうんとは言わない。
今は一大事だと言うのに決断できずにいる。
その優柔不断さが命取りになる。
もう一人殺されているのだ。
ここでじっとしてるよりはいくらかマシなはず。
だがバスが来る明日まで待つようにとしか言わない。
そのバスとて来るとは限らない。
もし犯人の罠であるならば用意周到に計画されてるはずだ。
「いいですか。待つのは構いません。私も待つのは得意な方ですからね。
ただこれが犯人の仕組んだことであるなら間違いなく次も事件が起こる。
しかも殺人だ。一人とは限らない。あと何人殺されるかさえ不明。
もしかしたら皆殺しにする気かも知れない」
とんでもなく恐ろしい話だがあり得ないことではない。
「一刻も早くここを立ち去りましょう。せめて自分たちだけでも」
懇願する。これ以上依頼人を待たせられない。
信用に関わる。いくら明後日探偵と言えども笑ってごまかせない。
続く
0
あなたにおすすめの小説
芙蓉は後宮で花開く
速見 沙弥
キャラ文芸
下級貴族の親をもつ5人姉弟の長女 蓮花《リェンファ》。
借金返済で苦しむ家計を助けるために後宮へと働きに出る。忙しくも穏やかな暮らしの中、出会ったのは翡翠の色の目をした青年。さらに思いもよらぬ思惑に巻き込まれてゆくーーー
カクヨムでも連載しております。
忘れ去られた婚約者
かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』
甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。
レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。
恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。
サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!?
※他のサイトにも掲載しています。
毎日更新です。
あやかし警察おとり捜査課
紫音みけ🐾書籍2冊発売中!
キャラ文芸
※第7回キャラ文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
二十三歳にして童顔・低身長で小中学生に見間違われる青年・栗丘みつきは、出世の見込みのない落ちこぼれ警察官。
しかしその小さな身に秘められた身体能力と、この世ならざるもの(=あやかし)を認知する霊視能力を買われた彼は、あやかし退治を主とする部署・特例災害対策室に任命され、あやかしを誘き寄せるための囮捜査に挑む。
反りが合わない年下エリートの相棒と、狐面を被った怪しい上司と共に繰り広げる退魔ファンタジー。
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
夫に捨てられた私は冷酷公爵と再婚しました
香木陽灯
恋愛
伯爵夫人のマリアーヌは「夜を共に過ごす気にならない」と突然夫に告げられ、わずか五ヶ月で離縁することとなる。
これまで女癖の悪い夫に何度も不倫されても、役立たずと貶されても、文句ひとつ言わず彼を支えてきた。だがその苦労は報われることはなかった。
実家に帰っても父から不当な扱いを受けるマリアーヌ。気分転換に繰り出した街で倒れていた貴族の男性と出会い、彼を助ける。
「離縁したばかり? それは相手の見る目がなかっただけだ。良かったじゃないか。君はもう自由だ」
「自由……」
もう自由なのだとマリアーヌが気づいた矢先、両親と元夫の策略によって再婚を強いられる。相手は婚約者が逃げ出すことで有名な冷酷公爵だった。
ところが冷酷公爵と会ってみると、以前助けた男性だったのだ。
再婚を受け入れたマリアーヌは、公爵と少しずつ仲良くなっていく。
ところが公爵は王命を受け内密に仕事をしているようで……。
一方の元夫は、財政難に陥っていた。
「頼む、助けてくれ! お前は俺に恩があるだろう?」
元夫の悲痛な叫びに、マリアーヌはにっこりと微笑んだ。
「なぜかしら? 貴方を助ける気になりませんの」
※ふんわり設定です
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
腹黒薬師は復讐するために生きている
怜來
ファンタジー
シャルバリー王国に一人の少女がいた。
カナリヤ・ハルデリス
カナリヤは小さい頃から頭が冴えていた。好奇心旺盛でよく森に行き変な植物などを混ぜたりするのが好きだった。
そんなある日シャルバリー王国に謎の病が発生した。誰一人その病を治すことができなかった中カナリヤがなんと病を治した。
国王に気に入れられたカナリヤであったが異世界からやってきた女の子マリヤは魔法が使えどんな病気でも一瞬で治してしまった。
それからカナリヤはある事により国外追放されることに…
しかしカナリヤは計算済み。カナリヤがしようとしていることは何なのか…
壮絶な過去から始まったカナリヤの復讐劇
平和な国にも裏があることを皆知らない
☆誤字脱字多いです
☆内容はガバガバです
☆日本語がおかしくなっているところがあるかもしれません
追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─
石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」
貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。
「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」
かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。
ときどき舞い込んでくるトラブル。
慌ててミーナを探しているルカ。
果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。
甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。
*サイトより転載になります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる