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見回り
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昨夜はお酒の力と登山に長旅の疲れから相棒と二人で前後不覚に。
もはやどうやって部屋に辿り着いたか覚えてない。
だから繰り返さない為にもお酒は控えた。
相棒にも抑えるように言ったがこの通り。
見てない間にたらふく呑みやがった。
本当にやる気あるのか?
「おい見回りを頼む」
「駄目眠いんだ」
睡眠薬を飲んだかのように眠気がと。あーあまた横になりやがった。
食ったら眠くなる。お酒が入れば余計だ。
「分かったよ。だったら留守番しててくれ。俺が見回りをするから」
相棒がどうにか返事をする。
一人で見回りは危険だ。事件に巻き込まれる恐れがある。
だが一流の探偵がこんなことでびくついてなるものか。
犯人は恐らく鈍器を持っているはずだからさすがに分かるよな。
これがナイフや拳銃だったらひとたまりもないが。
「あら探偵さん。あんたも寝れないのかい」
五号室のお婆さん。
「気を付けてください。殺人鬼がうろついてるんですよ」
「大丈夫。この年になれば怖いものなし。それより今日は本当にお買い得だったね」
ダイヤを五つも買ったらしい。
三十パーセントオフを二個と定価を三つ。
自慢する。
生憎その時は帰ってきたところだったから詳しくは知らない。
勢いで結局一個購入したので気持ちはよく分かる。
「でも比べるとどうも輝きが違うのよね。ほらこれ」
さも不思議と言った感じ。
「いいから早く寝てください! 」
これでも心配してるが伝わってなさそう。
「そんなに邪険に扱わなくてもいいじゃないか。とっておきの情報があるのにさ」
「はい? 何か知ってるんですか? 」
「大したことじゃないの。あの男は私たちを騙していた」
「騙していた? あの海老沢氏が? 」
「他に誰がいるんだい僕? 」
子ども扱いするお婆さん。アメをあげるよと言うので遠慮なく。
「そうするとあなたは動機があることになりますが…… 」
「ええそうなるね。残念だけど」
「私たちと言いましたが他には? 」
首を振るお婆さん。
「仲間を売るような真似が出来るものかい。
それこそお得意の推理で解き明かしてごらんよ」
「望むところです」
つい挑発に乗るが大事件はまだ解決したことがない。
実を言うとまだ一人で解決したことがない。
いつも優秀な助手が先に事件を解決し私たちは置いてけぼりを喰う。
何と言っても明後日探偵なので。
そこら辺はご容赦願いたい。
ここでは警察もいないし素人探偵もいないし高校生探偵も見当たらない。
だから心置きなく捜査に当たる。
警察が来れば一般人が邪魔をするなと言われるのが関の山。
いつもそう言われる前に立ち去ってるので目立ったトラブルはなし。
ただ警察の知り合いもいない。これはどちらかと言うと孤独探偵に近いのかな。
眠れないお婆さんを部屋まで送り見回りに戻る。
今のところ異常は感じられない。
第二の事件は果たして?
廊下を行ったり来たりを繰り返す。
なるべく静かに安眠を妨げないようにする。
まあこれで起きるような敏感な者はいないだろうな。
バタン!
いきなりドアが開く。
302号室の住人は確か山田さんだったかな。お客さんでも?
「おやすみなさい」
女が騒ぐ。
「もう何なのあの男? ちっとも誘いに乗ってこないじゃない」
ブツブツと卑猥なことを言っている。
絡まれては面倒。離れて遠くから様子を窺うだけにする。
女は隣の自分の部屋に消えていった。
それにしても綺麗な人だ。
今朝資産家の奥さんと間違えたっけ。
化粧が濃く若作りをしてるが本当はいくつぐらいなのだろうか?
魔性の女ってとこだな。
そうすると今の独り言から行けば相手はターゲットと言う訳だ。
まあどうでもいいか。勝手にやってください。
タイプじゃないもんな。あのガイドさんぐらい可愛いといいんだけど。
酒に酔ってだらしないのは男女関わりなく嫌な気分にさせられる。
俺たちも昨夜は同じだったので文句は言えないが。
異常は特になし。そろそろ見回りも限界だな。
探偵として出来る限りのことをした。もう今夜は何も起きないさ。
戻るとするか。
「おやすみなさい」
誰に言うでもなく挨拶をする。
続く
もはやどうやって部屋に辿り着いたか覚えてない。
だから繰り返さない為にもお酒は控えた。
相棒にも抑えるように言ったがこの通り。
見てない間にたらふく呑みやがった。
本当にやる気あるのか?
「おい見回りを頼む」
「駄目眠いんだ」
睡眠薬を飲んだかのように眠気がと。あーあまた横になりやがった。
食ったら眠くなる。お酒が入れば余計だ。
「分かったよ。だったら留守番しててくれ。俺が見回りをするから」
相棒がどうにか返事をする。
一人で見回りは危険だ。事件に巻き込まれる恐れがある。
だが一流の探偵がこんなことでびくついてなるものか。
犯人は恐らく鈍器を持っているはずだからさすがに分かるよな。
これがナイフや拳銃だったらひとたまりもないが。
「あら探偵さん。あんたも寝れないのかい」
五号室のお婆さん。
「気を付けてください。殺人鬼がうろついてるんですよ」
「大丈夫。この年になれば怖いものなし。それより今日は本当にお買い得だったね」
ダイヤを五つも買ったらしい。
三十パーセントオフを二個と定価を三つ。
自慢する。
生憎その時は帰ってきたところだったから詳しくは知らない。
勢いで結局一個購入したので気持ちはよく分かる。
「でも比べるとどうも輝きが違うのよね。ほらこれ」
さも不思議と言った感じ。
「いいから早く寝てください! 」
これでも心配してるが伝わってなさそう。
「そんなに邪険に扱わなくてもいいじゃないか。とっておきの情報があるのにさ」
「はい? 何か知ってるんですか? 」
「大したことじゃないの。あの男は私たちを騙していた」
「騙していた? あの海老沢氏が? 」
「他に誰がいるんだい僕? 」
子ども扱いするお婆さん。アメをあげるよと言うので遠慮なく。
「そうするとあなたは動機があることになりますが…… 」
「ええそうなるね。残念だけど」
「私たちと言いましたが他には? 」
首を振るお婆さん。
「仲間を売るような真似が出来るものかい。
それこそお得意の推理で解き明かしてごらんよ」
「望むところです」
つい挑発に乗るが大事件はまだ解決したことがない。
実を言うとまだ一人で解決したことがない。
いつも優秀な助手が先に事件を解決し私たちは置いてけぼりを喰う。
何と言っても明後日探偵なので。
そこら辺はご容赦願いたい。
ここでは警察もいないし素人探偵もいないし高校生探偵も見当たらない。
だから心置きなく捜査に当たる。
警察が来れば一般人が邪魔をするなと言われるのが関の山。
いつもそう言われる前に立ち去ってるので目立ったトラブルはなし。
ただ警察の知り合いもいない。これはどちらかと言うと孤独探偵に近いのかな。
眠れないお婆さんを部屋まで送り見回りに戻る。
今のところ異常は感じられない。
第二の事件は果たして?
廊下を行ったり来たりを繰り返す。
なるべく静かに安眠を妨げないようにする。
まあこれで起きるような敏感な者はいないだろうな。
バタン!
いきなりドアが開く。
302号室の住人は確か山田さんだったかな。お客さんでも?
「おやすみなさい」
女が騒ぐ。
「もう何なのあの男? ちっとも誘いに乗ってこないじゃない」
ブツブツと卑猥なことを言っている。
絡まれては面倒。離れて遠くから様子を窺うだけにする。
女は隣の自分の部屋に消えていった。
それにしても綺麗な人だ。
今朝資産家の奥さんと間違えたっけ。
化粧が濃く若作りをしてるが本当はいくつぐらいなのだろうか?
魔性の女ってとこだな。
そうすると今の独り言から行けば相手はターゲットと言う訳だ。
まあどうでもいいか。勝手にやってください。
タイプじゃないもんな。あのガイドさんぐらい可愛いといいんだけど。
酒に酔ってだらしないのは男女関わりなく嫌な気分にさせられる。
俺たちも昨夜は同じだったので文句は言えないが。
異常は特になし。そろそろ見回りも限界だな。
探偵として出来る限りのことをした。もう今夜は何も起きないさ。
戻るとするか。
「おやすみなさい」
誰に言うでもなく挨拶をする。
続く
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