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連続殺人
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ついに第三の犠牲者が。
被害者は小駒さんが怪しいと睨んでいたあのインチキ鑑定士。
彼は販売員の千田とグルだったとみてまず間違いない。
要するに詐欺師グループの一員の可能性が高い。
これもすべて殺されて初めて分かったこと。
今回も第一、第二の事件同様に撲殺体であった。
凶器はおそらく壺。その破片も散らばっているので間違いないだろう。
三度起きるとはまったくやはりこのドスグロ山は呪われてるのか?
見回りを欠かさず警戒に当たったのにこれでは無駄な努力。
ああ、この困難にどう立ち向かっていけばいいのか? もはや打つ手なし。
自信喪失。私はどうしたらいいのだろう?
気を取り直して話を聞く。
「私が来た時にはもうこの状態で…… 信じてください。私は犯人じゃない! 」
潔白を主張するガイド。信じたいが三回目ではどうも…… あれほど注意したのに。
うん…… じっとこちらを見つめる者。龍牙だ。どうも様子がおかしい。
「あああ…… 」
騒ぎ始める。それを奈良が必死に制止する。
「どうしたんですか龍牙さんは? 」
「ははは…… ちょっと精神的に不安定になってるんだ。でも心配ない」
確かに震えてるようだし。これはもう限界か?
頭を抱える龍牙。まさか何か知ってる?
うん? 何か忘れてるような……
そうだ! 山田さんだ。まずは山田さんに確認だ。
まさか抜け出してないよな?
三〇二号室。
呼びかけると反応があった。
「どど…… どうしたんですか? 先程悲鳴が聞こえた気が…… 」
閉じ込められていたため何が起きたのか分からずに震えている。
自分のすぐ近くで何が起きたか分からないほど怖いものはない。
「誰がどうして? まさか! 」
焦っている様子の山田さん。
「今開けます。離れていてください。皆さん手伝ってください」
全員で机と椅子を退かしてバリケードを取り除き山田さんを解放してやる。
「何があったんですか探偵さん? 」
山田さんは血相を変え迫る。
「それが…… 鑑定士の雑見さんが亡くなりました」
「まさかそんな…… 」
「残念ですが事実です」
犯行を止められなかった。
分かっていながら三度撲殺される。
愚かとしか言いようがない。
ただこれで一つだけ分かったことがある。
連続殺人だと言うこと。
三つの事件は偶発的に起きたのではなく真犯人によって巧妙に計画された連続殺人。
「一応聞きますがアリバイは? 」
「あるはずがないでしょう! 一人閉じ込められていたんですよ」
山田さんは語気を強める。
無実の者を閉じ込めるなど。それで殺人事件が起きれば世話はない。
「そうですね。この状況ではさすがにあなたに犯行は不可能だ」
当てが外れた。真犯人は彼を除いた誰かと言うことになる。
殺害現場に戻る。
相棒と二人で念入りに見て回る。
何か手掛かりがあるといいのだが。
「どうだ? 」
「窓も閉まってるし鍵もベットの脇にあるよ。完全な密室と言うことになるかな」
相変わらず真犯人に繋がる手掛かりなし。これはどう言うことだ?
いくら考えても思い当たらない。
犯人がいるとしてもこの密室の謎を解かない限り真犯人を追い詰められない。
言い逃れられるだけ。
「あの…… 集まりましたが」
ガイドには食堂に皆を集めるように言ってある。
現場を荒らされる訳にも行かない。
相棒に後を任せて食堂へ。
食堂では皆落ち着かない様子。
「遅くなりました」
様子を窺う。おかしな動きをしてないか確認。
案の定震えてる奴が三人程。もちろん一人は龍牙だ。山田さんは治まったらしい。
残る二人は身に覚えがあるのだろう。
出来るだけ気付かれないように大人しくしてるが甘い。
それだけ震えていればターゲットが誰かすぐに分かってしまう。
もちろんとっくに犯人は気づいてるだろうが。
今各自で朝食を終えたところ。
と言っても予定の食料はもう食い尽くした。
あるのは常備してある缶詰と非常食。
ブロック状の栄養補助食品にゼリータイプもある。
飴にクッキーにチョコなどのお菓子も置いてある。
これらすべて彼女たちが用意したもの。
即ちこれでどうにか凌げと言うことらしい。
まあ我慢すれば一週間は持ち堪えられるだろう。
それまでにどうにか脱出する。
一週間。
これが我々の目標でありタイムリミットでもある。
もはや二泊三日の楽しいバス旅行の雰囲気はどこにもない。
クッキーを一つまみしてコーヒーで流し込んでから話に入る。
続く
被害者は小駒さんが怪しいと睨んでいたあのインチキ鑑定士。
彼は販売員の千田とグルだったとみてまず間違いない。
要するに詐欺師グループの一員の可能性が高い。
これもすべて殺されて初めて分かったこと。
今回も第一、第二の事件同様に撲殺体であった。
凶器はおそらく壺。その破片も散らばっているので間違いないだろう。
三度起きるとはまったくやはりこのドスグロ山は呪われてるのか?
見回りを欠かさず警戒に当たったのにこれでは無駄な努力。
ああ、この困難にどう立ち向かっていけばいいのか? もはや打つ手なし。
自信喪失。私はどうしたらいいのだろう?
気を取り直して話を聞く。
「私が来た時にはもうこの状態で…… 信じてください。私は犯人じゃない! 」
潔白を主張するガイド。信じたいが三回目ではどうも…… あれほど注意したのに。
うん…… じっとこちらを見つめる者。龍牙だ。どうも様子がおかしい。
「あああ…… 」
騒ぎ始める。それを奈良が必死に制止する。
「どうしたんですか龍牙さんは? 」
「ははは…… ちょっと精神的に不安定になってるんだ。でも心配ない」
確かに震えてるようだし。これはもう限界か?
頭を抱える龍牙。まさか何か知ってる?
うん? 何か忘れてるような……
そうだ! 山田さんだ。まずは山田さんに確認だ。
まさか抜け出してないよな?
三〇二号室。
呼びかけると反応があった。
「どど…… どうしたんですか? 先程悲鳴が聞こえた気が…… 」
閉じ込められていたため何が起きたのか分からずに震えている。
自分のすぐ近くで何が起きたか分からないほど怖いものはない。
「誰がどうして? まさか! 」
焦っている様子の山田さん。
「今開けます。離れていてください。皆さん手伝ってください」
全員で机と椅子を退かしてバリケードを取り除き山田さんを解放してやる。
「何があったんですか探偵さん? 」
山田さんは血相を変え迫る。
「それが…… 鑑定士の雑見さんが亡くなりました」
「まさかそんな…… 」
「残念ですが事実です」
犯行を止められなかった。
分かっていながら三度撲殺される。
愚かとしか言いようがない。
ただこれで一つだけ分かったことがある。
連続殺人だと言うこと。
三つの事件は偶発的に起きたのではなく真犯人によって巧妙に計画された連続殺人。
「一応聞きますがアリバイは? 」
「あるはずがないでしょう! 一人閉じ込められていたんですよ」
山田さんは語気を強める。
無実の者を閉じ込めるなど。それで殺人事件が起きれば世話はない。
「そうですね。この状況ではさすがにあなたに犯行は不可能だ」
当てが外れた。真犯人は彼を除いた誰かと言うことになる。
殺害現場に戻る。
相棒と二人で念入りに見て回る。
何か手掛かりがあるといいのだが。
「どうだ? 」
「窓も閉まってるし鍵もベットの脇にあるよ。完全な密室と言うことになるかな」
相変わらず真犯人に繋がる手掛かりなし。これはどう言うことだ?
いくら考えても思い当たらない。
犯人がいるとしてもこの密室の謎を解かない限り真犯人を追い詰められない。
言い逃れられるだけ。
「あの…… 集まりましたが」
ガイドには食堂に皆を集めるように言ってある。
現場を荒らされる訳にも行かない。
相棒に後を任せて食堂へ。
食堂では皆落ち着かない様子。
「遅くなりました」
様子を窺う。おかしな動きをしてないか確認。
案の定震えてる奴が三人程。もちろん一人は龍牙だ。山田さんは治まったらしい。
残る二人は身に覚えがあるのだろう。
出来るだけ気付かれないように大人しくしてるが甘い。
それだけ震えていればターゲットが誰かすぐに分かってしまう。
もちろんとっくに犯人は気づいてるだろうが。
今各自で朝食を終えたところ。
と言っても予定の食料はもう食い尽くした。
あるのは常備してある缶詰と非常食。
ブロック状の栄養補助食品にゼリータイプもある。
飴にクッキーにチョコなどのお菓子も置いてある。
これらすべて彼女たちが用意したもの。
即ちこれでどうにか凌げと言うことらしい。
まあ我慢すれば一週間は持ち堪えられるだろう。
それまでにどうにか脱出する。
一週間。
これが我々の目標でありタイムリミットでもある。
もはや二泊三日の楽しいバス旅行の雰囲気はどこにもない。
クッキーを一つまみしてコーヒーで流し込んでから話に入る。
続く
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