64 / 122
黒木の行方
しおりを挟む
小駒さんの違和感は果たして事件解決に役立つのか?
「では小駒さんはその方が犯人だと? 」
「馬鹿言うんじゃないよ! 犯人は黒木さ。それは間違いない。
ただ会のメンバーではない部外者が居るのはどうも気持ちが悪くてね。
それがガイドだったり得体が知れないとは言え探偵だったり。
偶然には出来過ぎてるけどおかしくないのさ。ではその人はどうか? 」
誰のことを言ってるのか大体分かった。
でもその人には犯行は不可能だった気がする。
もはや無関係であれば真犯人候補から外すべきだ。
うん…… いや待てよ。抜け道を使えばもしかしたら……
「あの…… お婆さんは会長さんに会ったことないんですよね?
でしたらその方は会長さんではないですか? 」
大人しく耳を傾けていたガイドさんが口を挟む。
「それはないよ。副会長が分からないはずないさ。そんな話も聞いてないしね。
まあ追及した訳ではないから正確なところはちょっと…… 」
被害者の会の代表は別にいるとのこと。
「龍牙さんに聞けば詳しいことは分かりますよね。まさか奈良さんが? 」
二人は行動を共にしていた。ならば代表は奈良でもおかしくない。
「さあどうだろうね。想像に任せるよ」
私の追及を難なくかわした。
「お婆さんはあのマジシャンの方ともお知合いですよね」
ガイドが突っ込む。
「いいから行方不明の黒木を捕まえな! 奴が犯人に間違いないさ」
決して意見を曲げない。
「黒木さんがどこに行ったか心当たりはありませんか? 」
「ある訳ないだろ! まあどうせ一人で下山しようとしたんだろうさ。
逃げ切れると思ってるのかね」
仲間割れによる黒木逃亡説を強く推す。
あまりにも彼のせいにしようとするので逆に怪しい。
ただ黒木の証言を失えば動機の解明が難しくなるのも事実。
真犯人が他に居たとして動機が彼らにあるなら黒木は最後の生き証人。
十分後。
食堂に全員集合。
「すぐに帰れるんですよね? 」
奈良が騒ぎ出す。
「集まりましたね皆さん」
「もう探偵さん。我々に何の用ですか? 」
「どうか落ち着いて。集まってもらったのは黒木さんの件です。
先ほど黒木さんが失踪しました。彼を探さなくてはなりません」
「ふざけるなあんな奴知るものか! 」
奈良に続いてマジシャンが騒ぎ出す。
二人は彼の正体をもう知っている。ここにいる者全員が聞かされている。
それは全員が彼の人間性を理解したことになる。
「あんな奴を探す必要ない! 居なくなったら居なくなったでいいじゃないか。
もうどうせ逃げられないさ」
「そうですよ。今は大人しくここで待つのが得策です」
龍牙が震えた声を出す。
「駄目です。彼がいかなる人物であろうと見捨てられません。
どうか落ち着いて私の指示に従ってください。二つに分けようと思います」
「私とガイドさんにマジシャン、龍牙さんに山田さんが外を探します。
その他の人は彼と一緒に中を探してください」
相棒に後を任せ捜索隊を結成する。
比較的協力的で素直なメンバー。不満を漏らしながらもどうにかついてきた。
「探偵さん。手分けして探しましょう」
マジシャンの提案。
「駄目です。これ以上勝手に動かれては二次被害が出ます」
黒木が遭難したのではないことぐらい分かっている。
もう山を下りたかもしれない。だがそれならそれでいい。道は一本道。
そこが塞がっていたので救助隊が来れなかった訳だから早晩発見されるだろう。
問題はどこかに身を隠そうとした場合。
最後のターゲットを仕留めようとしてる可能性もある。
そうではなくただ逃れようと隠れた場合、自由行動を許せば黒木殺害が容易に。
どうしてもそれは避けなければならない。
真相が見えてこない状況ではどっちつかずになる。
そうすると余計に指示も行動もしづらくなる。
「黒木さんはきっとホテル内ですよ。もう戻りましょう」
龍牙が震えながら訴える。
もういい加減演技は止めて欲しい。
「陽動作戦のつもりですか龍牙さん? 」
ついイライラして本音が出る。
「いえ…… 私は怖いんです。いつ黒木に襲われるか」
「それは大丈夫だと思いますよ龍牙さん。彼は一人。こっちは四人ですから。
不意打ちでもされなければ問題ない。お互い頑張りましょう」
いつも静かで穏やかな山田さんが口を開いた。
冷静で頼りになる。それにしても彼も犯罪被害者の会のメンバーだろうに。
なぜまだ関係を隠そうとするのか。
「そうですよ。山田さん良いこと言いますね。落ち着いてください。
きっとすぐに見つかります」
見つかったら見つかったで厄介なのだが。
続く
「では小駒さんはその方が犯人だと? 」
「馬鹿言うんじゃないよ! 犯人は黒木さ。それは間違いない。
ただ会のメンバーではない部外者が居るのはどうも気持ちが悪くてね。
それがガイドだったり得体が知れないとは言え探偵だったり。
偶然には出来過ぎてるけどおかしくないのさ。ではその人はどうか? 」
誰のことを言ってるのか大体分かった。
でもその人には犯行は不可能だった気がする。
もはや無関係であれば真犯人候補から外すべきだ。
うん…… いや待てよ。抜け道を使えばもしかしたら……
「あの…… お婆さんは会長さんに会ったことないんですよね?
でしたらその方は会長さんではないですか? 」
大人しく耳を傾けていたガイドさんが口を挟む。
「それはないよ。副会長が分からないはずないさ。そんな話も聞いてないしね。
まあ追及した訳ではないから正確なところはちょっと…… 」
被害者の会の代表は別にいるとのこと。
「龍牙さんに聞けば詳しいことは分かりますよね。まさか奈良さんが? 」
二人は行動を共にしていた。ならば代表は奈良でもおかしくない。
「さあどうだろうね。想像に任せるよ」
私の追及を難なくかわした。
「お婆さんはあのマジシャンの方ともお知合いですよね」
ガイドが突っ込む。
「いいから行方不明の黒木を捕まえな! 奴が犯人に間違いないさ」
決して意見を曲げない。
「黒木さんがどこに行ったか心当たりはありませんか? 」
「ある訳ないだろ! まあどうせ一人で下山しようとしたんだろうさ。
逃げ切れると思ってるのかね」
仲間割れによる黒木逃亡説を強く推す。
あまりにも彼のせいにしようとするので逆に怪しい。
ただ黒木の証言を失えば動機の解明が難しくなるのも事実。
真犯人が他に居たとして動機が彼らにあるなら黒木は最後の生き証人。
十分後。
食堂に全員集合。
「すぐに帰れるんですよね? 」
奈良が騒ぎ出す。
「集まりましたね皆さん」
「もう探偵さん。我々に何の用ですか? 」
「どうか落ち着いて。集まってもらったのは黒木さんの件です。
先ほど黒木さんが失踪しました。彼を探さなくてはなりません」
「ふざけるなあんな奴知るものか! 」
奈良に続いてマジシャンが騒ぎ出す。
二人は彼の正体をもう知っている。ここにいる者全員が聞かされている。
それは全員が彼の人間性を理解したことになる。
「あんな奴を探す必要ない! 居なくなったら居なくなったでいいじゃないか。
もうどうせ逃げられないさ」
「そうですよ。今は大人しくここで待つのが得策です」
龍牙が震えた声を出す。
「駄目です。彼がいかなる人物であろうと見捨てられません。
どうか落ち着いて私の指示に従ってください。二つに分けようと思います」
「私とガイドさんにマジシャン、龍牙さんに山田さんが外を探します。
その他の人は彼と一緒に中を探してください」
相棒に後を任せ捜索隊を結成する。
比較的協力的で素直なメンバー。不満を漏らしながらもどうにかついてきた。
「探偵さん。手分けして探しましょう」
マジシャンの提案。
「駄目です。これ以上勝手に動かれては二次被害が出ます」
黒木が遭難したのではないことぐらい分かっている。
もう山を下りたかもしれない。だがそれならそれでいい。道は一本道。
そこが塞がっていたので救助隊が来れなかった訳だから早晩発見されるだろう。
問題はどこかに身を隠そうとした場合。
最後のターゲットを仕留めようとしてる可能性もある。
そうではなくただ逃れようと隠れた場合、自由行動を許せば黒木殺害が容易に。
どうしてもそれは避けなければならない。
真相が見えてこない状況ではどっちつかずになる。
そうすると余計に指示も行動もしづらくなる。
「黒木さんはきっとホテル内ですよ。もう戻りましょう」
龍牙が震えながら訴える。
もういい加減演技は止めて欲しい。
「陽動作戦のつもりですか龍牙さん? 」
ついイライラして本音が出る。
「いえ…… 私は怖いんです。いつ黒木に襲われるか」
「それは大丈夫だと思いますよ龍牙さん。彼は一人。こっちは四人ですから。
不意打ちでもされなければ問題ない。お互い頑張りましょう」
いつも静かで穏やかな山田さんが口を開いた。
冷静で頼りになる。それにしても彼も犯罪被害者の会のメンバーだろうに。
なぜまだ関係を隠そうとするのか。
「そうですよ。山田さん良いこと言いますね。落ち着いてください。
きっとすぐに見つかります」
見つかったら見つかったで厄介なのだが。
続く
0
あなたにおすすめの小説
〈銀龍の愛し子〉は盲目王子を王座へ導く
山河 枝
キャラ文芸
50人もの侍女をクビにしてきた第三王子、雪晴。
次の侍女に任じられたのは、異能を隠して王城で働く洗濯女、水奈だった。
頬に鱗があるため疎まれている水奈だが、盲目の雪晴のそばでは安心して過ごせるように。
みじめな生活を送る雪晴も、献身的な水奈に好意を抱く。
惹かれ合う日々の中、実は〈銀龍の愛し子〉である水奈が、雪晴の力を覚醒させていく。「王家の恥」と見下される雪晴を、王座へと導いていく。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
大正ロマン恋物語 ~将校様とサトリな私のお試し婚~
菱沼あゆ
キャラ文芸
華族の三条家の跡取り息子、三条行正と見合い結婚することになった咲子。
だが、軍人の行正は、整いすぎた美形な上に、あまりしゃべらない。
蝋人形みたいだ……と見合いの席で怯える咲子だったが。
実は、咲子には、人の心を読めるチカラがあって――。
ゲームのシナリオライターは悪役令嬢になりましたので、シナリオを書き換えようと思います
暖夢 由
恋愛
『婚約式、本編では語られないけどここから第1王子と公爵令嬢の話しが始まるのよね』
頭の中にそんな声が響いた。
そして、色とりどりの絵が頭の中を駆け巡っていった。
次に気が付いたのはベットの上だった。
私は日本でゲームのシナリオライターをしていた。
気付いたここは自分で書いたゲームの中で私は悪役令嬢!??
それならシナリオを書き換えさせていただきます
カモフラ婚~CEOは溺愛したくてたまらない!~
伊吹美香
恋愛
ウエディングプランナーとして働く菱崎由華
結婚式当日に花嫁に逃げられた建築会社CEOの月城蒼空
幼馴染の二人が偶然再会し、花嫁に逃げられた蒼空のメンツのために、カモフラージュ婚をしてしまう二人。
割り切った結婚かと思いきや、小さいころからずっと由華のことを想っていた蒼空が、このチャンスを逃すはずがない。
思いっきり溺愛する蒼空に、由華は翻弄されまくりでパニック。
二人の結婚生活は一体どうなる?
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
秘花~王太子の秘密と宿命の皇女~
めぐみ
BL
☆俺はお前を何度も抱き、俺なしではいられぬ淫らな身体にする。宿命という名の数奇な運命に翻弄される王子達☆
―俺はそなたを玩具だと思ったことはなかった。ただ、そなたの身体は俺のものだ。俺はそなたを何度でも抱き、俺なしではいられないような淫らな身体にする。抱き潰すくらいに抱けば、そなたもあの宦官のことなど思い出しもしなくなる。―
モンゴル大帝国の皇帝を祖父に持ちモンゴル帝国直系の皇女を生母として生まれた彼は、生まれながらの高麗の王太子だった。
だが、そんな王太子の運命を激変させる出来事が起こった。
そう、あの「秘密」が表に出るまでは。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる