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連想ゲーム
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【ドスグロ山】
なぜ真犯人はドスグロ山と残したのか?
そうせざるを得ない理由とは何なのか?
ダイイングメッセージに隠された雑見の想いとは?
今ようやくダイイングメッセージの本当の意味が分かる。
探偵にとってこの上ない瞬間。夢心地? 至福の時とでも言えばいいのだろうか?
見回すと小駒さんを筆頭にただイライラするばかりであまり嬉しくなさそう。
この喜びを皆で分かち合えたらと思ったが難しいようだ。
いや相棒にさえ分かってくれればそれでいい。多くは望まない。
あれ…… 欠伸し目を擦ってるよ。興味ないってか?
「他に? 気紛れとか? 」
「あーもう! 早くしようよ! 」
小駒さんには漏えい防止の観点から詳しく語らなかった。
どうやら自力で答えに辿り着いたらしい。
まあここまで分かれば誰でも出来るか。
「ダイイングメッセージは本来真犯人に繋がる何かを残すもの」
「まさか…… 」
料理人は閃いた。ガイドさんはまだらしい。
「もういいだろ探偵さん。ケチケチせずに俺らにも教えろよ! 」
黒木は我慢の限界。これ以上引っ張っても良いことはない。
小駒さんが指摘したように彼は殺される側の人間。内心穏やかではないのだろう。
時間もないことだからお望み通りに披露しよう。
「では…… 」
「この男の言う通りさ。引っ張り過ぎだよあんた。これではだらけるだけ」
小駒さんも我慢の限界らしい。せっかく披露しようと思ったのに恨み節が炸裂。
これだからお年寄りは困る。せっかちは命取りだと第一の事件で習わなかったのか?
「いいでしょう。では【山】と言えば何です? 」
もうただの連想ゲーム。これではふざけてるようにしか聞こえない。
「山なら川だろう。いや海かな…… 」
決して悪ふざけをしようとしてる訳ではないだろうが黒木は明後日の方向に話を。
まさかここまでとは。逆に真犯人ではと疑いたくなる。
共犯者の可能性もまだ残っている。であるならば黒木が狙われたのは仲間割れ?
そんなはずはないよね。
「もういいよ! 【山】の後に縦棒が一つあったんだ。それが流れた。
山の後に何か加えようとして力尽きたんだろうさ。この中で山が付くのは一人。
もう分かるだろこの意味が? 」
小駒さんでは余計に話がこんがらがる。説明が下手なのだろうか?
「【山】と言えばそれはあなたですよね。真犯人さん」
ついに追い詰めた。もう言い逃れは出来ない。
「いや…… 」
言葉を発した。今までの不気味な笑みは消え不安そうに見つめる。
もう無理だ。これ以上は限界のはず。
「もういいのではありませんか? 」
それでも沈黙で返す真犯人。
「分かりました。では最後の現場へと向かいましょう」
九号室へ。
「ここは第四の被害者、千田氏が殺害されました。
第三までの殺人と同様今回も壺を使っての撲殺。
破片が散らばってますので気をつけてください。
踏んづけたり触ったりすれば怪我します」
ガイドさんに頼んで掃除してもらいたいがまだ警察が来ない。
現場をそのままにするしかない。
どうです臭いも強烈でしょう? 今朝殺されたんです。
どうぞ覆いを取ってご覧ください。あなたが殺した千田さんですよ。
死に様を見てやるのがせめてもの供養。確かに彼も悪い。
しかし無慈悲に殺す必要はなかった。どうです真犯人さん? 」
「そんなこと…… 」
怒りに身を任せ告白してくれると思ったがギリギリで留まった。
あまりに冷静な真犯人に恐怖さえ覚える。もう追い詰めたはず。
まさかまだ奥の手があるのか? 切り札は最後まで取っておくものだがどうか……
まずい。言い逃れてしまう。ここはやはり強く迫るしかないな。
「あなたのしたことは彼ら詐欺師たちより重い。なぜ思い留まらなかったんですか?
人を傷つけるだけでなく命まで奪う。あなたはやり過ぎました。
どうしてこんな愚かしい真似を? 」
さあもういいだろう。自分の罪を認める時だ。これ以上長引かすのはお互い辛い。
「探偵さん私は…… 」
よし素直になった。説得した甲斐がある。罪を認めればそれでいい。
「そんなことあるもんか! 彼が復讐してくれなかったら私が仇を取っていたさ」
我慢しきれずに小駒さんが暴走。もう滅茶苦茶。悉く邪魔をする。
これなら大人しくお部屋に籠っていてくれたらなと願うばかり。
もちろんそんなタマではないのは百も承知だが。
これに加えて黒木までいるからやってられない。
続く
なぜ真犯人はドスグロ山と残したのか?
そうせざるを得ない理由とは何なのか?
ダイイングメッセージに隠された雑見の想いとは?
今ようやくダイイングメッセージの本当の意味が分かる。
探偵にとってこの上ない瞬間。夢心地? 至福の時とでも言えばいいのだろうか?
見回すと小駒さんを筆頭にただイライラするばかりであまり嬉しくなさそう。
この喜びを皆で分かち合えたらと思ったが難しいようだ。
いや相棒にさえ分かってくれればそれでいい。多くは望まない。
あれ…… 欠伸し目を擦ってるよ。興味ないってか?
「他に? 気紛れとか? 」
「あーもう! 早くしようよ! 」
小駒さんには漏えい防止の観点から詳しく語らなかった。
どうやら自力で答えに辿り着いたらしい。
まあここまで分かれば誰でも出来るか。
「ダイイングメッセージは本来真犯人に繋がる何かを残すもの」
「まさか…… 」
料理人は閃いた。ガイドさんはまだらしい。
「もういいだろ探偵さん。ケチケチせずに俺らにも教えろよ! 」
黒木は我慢の限界。これ以上引っ張っても良いことはない。
小駒さんが指摘したように彼は殺される側の人間。内心穏やかではないのだろう。
時間もないことだからお望み通りに披露しよう。
「では…… 」
「この男の言う通りさ。引っ張り過ぎだよあんた。これではだらけるだけ」
小駒さんも我慢の限界らしい。せっかく披露しようと思ったのに恨み節が炸裂。
これだからお年寄りは困る。せっかちは命取りだと第一の事件で習わなかったのか?
「いいでしょう。では【山】と言えば何です? 」
もうただの連想ゲーム。これではふざけてるようにしか聞こえない。
「山なら川だろう。いや海かな…… 」
決して悪ふざけをしようとしてる訳ではないだろうが黒木は明後日の方向に話を。
まさかここまでとは。逆に真犯人ではと疑いたくなる。
共犯者の可能性もまだ残っている。であるならば黒木が狙われたのは仲間割れ?
そんなはずはないよね。
「もういいよ! 【山】の後に縦棒が一つあったんだ。それが流れた。
山の後に何か加えようとして力尽きたんだろうさ。この中で山が付くのは一人。
もう分かるだろこの意味が? 」
小駒さんでは余計に話がこんがらがる。説明が下手なのだろうか?
「【山】と言えばそれはあなたですよね。真犯人さん」
ついに追い詰めた。もう言い逃れは出来ない。
「いや…… 」
言葉を発した。今までの不気味な笑みは消え不安そうに見つめる。
もう無理だ。これ以上は限界のはず。
「もういいのではありませんか? 」
それでも沈黙で返す真犯人。
「分かりました。では最後の現場へと向かいましょう」
九号室へ。
「ここは第四の被害者、千田氏が殺害されました。
第三までの殺人と同様今回も壺を使っての撲殺。
破片が散らばってますので気をつけてください。
踏んづけたり触ったりすれば怪我します」
ガイドさんに頼んで掃除してもらいたいがまだ警察が来ない。
現場をそのままにするしかない。
どうです臭いも強烈でしょう? 今朝殺されたんです。
どうぞ覆いを取ってご覧ください。あなたが殺した千田さんですよ。
死に様を見てやるのがせめてもの供養。確かに彼も悪い。
しかし無慈悲に殺す必要はなかった。どうです真犯人さん? 」
「そんなこと…… 」
怒りに身を任せ告白してくれると思ったがギリギリで留まった。
あまりに冷静な真犯人に恐怖さえ覚える。もう追い詰めたはず。
まさかまだ奥の手があるのか? 切り札は最後まで取っておくものだがどうか……
まずい。言い逃れてしまう。ここはやはり強く迫るしかないな。
「あなたのしたことは彼ら詐欺師たちより重い。なぜ思い留まらなかったんですか?
人を傷つけるだけでなく命まで奪う。あなたはやり過ぎました。
どうしてこんな愚かしい真似を? 」
さあもういいだろう。自分の罪を認める時だ。これ以上長引かすのはお互い辛い。
「探偵さん私は…… 」
よし素直になった。説得した甲斐がある。罪を認めればそれでいい。
「そんなことあるもんか! 彼が復讐してくれなかったら私が仇を取っていたさ」
我慢しきれずに小駒さんが暴走。もう滅茶苦茶。悉く邪魔をする。
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これに加えて黒木までいるからやってられない。
続く
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