ドスグロ山の雷人伝説殺人事件 

二廻歩

文字の大きさ
107 / 122

連想ゲーム

しおりを挟む
【ドスグロ山】
なぜ真犯人はドスグロ山と残したのか?
そうせざるを得ない理由とは何なのか?
ダイイングメッセージに隠された雑見の想いとは?

今ようやくダイイングメッセージの本当の意味が分かる。
探偵にとってこの上ない瞬間。夢心地? 至福の時とでも言えばいいのだろうか? 
見回すと小駒さんを筆頭にただイライラするばかりであまり嬉しくなさそう。
この喜びを皆で分かち合えたらと思ったが難しいようだ。
いや相棒にさえ分かってくれればそれでいい。多くは望まない。
あれ…… 欠伸し目を擦ってるよ。興味ないってか?

「他に? 気紛れとか? 」
「あーもう! 早くしようよ! 」
小駒さんには漏えい防止の観点から詳しく語らなかった。
どうやら自力で答えに辿り着いたらしい。
まあここまで分かれば誰でも出来るか。
「ダイイングメッセージは本来真犯人に繋がる何かを残すもの」
「まさか…… 」
料理人は閃いた。ガイドさんはまだらしい。
「もういいだろ探偵さん。ケチケチせずに俺らにも教えろよ! 」
黒木は我慢の限界。これ以上引っ張っても良いことはない。
小駒さんが指摘したように彼は殺される側の人間。内心穏やかではないのだろう。
時間もないことだからお望み通りに披露しよう。

「では…… 」
「この男の言う通りさ。引っ張り過ぎだよあんた。これではだらけるだけ」
小駒さんも我慢の限界らしい。せっかく披露しようと思ったのに恨み節が炸裂。
これだからお年寄りは困る。せっかちは命取りだと第一の事件で習わなかったのか? 

「いいでしょう。では【山】と言えば何です? 」
もうただの連想ゲーム。これではふざけてるようにしか聞こえない。
「山なら川だろう。いや海かな…… 」
決して悪ふざけをしようとしてる訳ではないだろうが黒木は明後日の方向に話を。
まさかここまでとは。逆に真犯人ではと疑いたくなる。
共犯者の可能性もまだ残っている。であるならば黒木が狙われたのは仲間割れ?
そんなはずはないよね。

「もういいよ! 【山】の後に縦棒が一つあったんだ。それが流れた。
山の後に何か加えようとして力尽きたんだろうさ。この中で山が付くのは一人。
もう分かるだろこの意味が? 」
小駒さんでは余計に話がこんがらがる。説明が下手なのだろうか? 
「【山】と言えばそれはあなたですよね。真犯人さん」
ついに追い詰めた。もう言い逃れは出来ない。
「いや…… 」
言葉を発した。今までの不気味な笑みは消え不安そうに見つめる。
もう無理だ。これ以上は限界のはず。
「もういいのではありませんか? 」
それでも沈黙で返す真犯人。
「分かりました。では最後の現場へと向かいましょう」

九号室へ。
「ここは第四の被害者、千田氏が殺害されました。
第三までの殺人と同様今回も壺を使っての撲殺。
破片が散らばってますので気をつけてください。
踏んづけたり触ったりすれば怪我します」
ガイドさんに頼んで掃除してもらいたいがまだ警察が来ない。
現場をそのままにするしかない。

どうです臭いも強烈でしょう? 今朝殺されたんです。
どうぞ覆いを取ってご覧ください。あなたが殺した千田さんですよ。
死に様を見てやるのがせめてもの供養。確かに彼も悪い。
しかし無慈悲に殺す必要はなかった。どうです真犯人さん? 」
「そんなこと…… 」
怒りに身を任せ告白してくれると思ったがギリギリで留まった。
あまりに冷静な真犯人に恐怖さえ覚える。もう追い詰めたはず。
まさかまだ奥の手があるのか? 切り札は最後まで取っておくものだがどうか……

まずい。言い逃れてしまう。ここはやはり強く迫るしかないな。
「あなたのしたことは彼ら詐欺師たちより重い。なぜ思い留まらなかったんですか?
人を傷つけるだけでなく命まで奪う。あなたはやり過ぎました。
どうしてこんな愚かしい真似を? 」
さあもういいだろう。自分の罪を認める時だ。これ以上長引かすのはお互い辛い。
「探偵さん私は…… 」
よし素直になった。説得した甲斐がある。罪を認めればそれでいい。

「そんなことあるもんか! 彼が復讐してくれなかったら私が仇を取っていたさ」
我慢しきれずに小駒さんが暴走。もう滅茶苦茶。悉く邪魔をする。
これなら大人しくお部屋に籠っていてくれたらなと願うばかり。
もちろんそんなタマではないのは百も承知だが。
これに加えて黒木までいるからやってられない。

                 続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...