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夜明けと共に
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黒木を許す? 山田さんは一体何を考えてるのだろう?
あの黒木を? 詐欺グループのリーダーで間違いなくすべてを知ってる黒幕。
そんな黒木を許すなんてどうかしてる。嫌な予感しかしない。
何かを隠してませんか山田さん? 嫌な予感しかしない。
人が良いもほどほどに。そこまで来れば犯罪ですよ。やはり嫌な予感しかしない。
「それでは黒木さん。到着次第、警察に洗いざらい告白してください。
あなた方が犯した罪をすべて包み隠さずに。
そう約束するなら私はあなたを許そうと思います。私はね。
もう一度…… 警察に自首して罪を償うと言うならあなたを許します。
どうかそれだけは忘れずに。いいですね黒木さん? 約束しましたよ」
山田さんが念を押すがオウとしか返ってこない。
どうしたと言うのだろう? もう許すと言うのに何を迷う必要がある?
簡単に許そうとする山田さんも山田さんだがはっきり答えない黒木も黒木だ。
まあ平和に解決出来るのが一番ではあるがどうも嫌な予感がする。
「まったくあんたははっきりしないね! 」
「うるせい! 」
小駒さんが挑発する。
ようやくこの連続殺人事件の真の動機が見えて来た。
息子が殺されたのだ。山田さんが恨むのも当然。だが一つだけ解せないことが。
「なぜ雑見氏を殺す必要があったんですか? 当時彼はまだ仲間になってなかった。
調べればすぐ分かること」
「それは…… 後でお話します。彼がこのホテルを出るまで待ってください」
やけに慎重な山田さん。一体何を隠してるのか?
「ではオーナについてお伺いします」
「申し訳ない。それも後で話しますんで」
「ならばこの連続殺人事件を思いついたのは? 」
「それも…… すべては彼がホテルを出てから」
頑なに譲ろうとしない山田さん。
「最後に捕まる気でいたんですか? 」
「ははは…… どうでしょう? 神のみぞ知るってところですかね」
結局真面目には答えてくれない。
「なあ待ってくれよ! まさか俺たちに依頼したのはあんたか? 」
黒木たちの依頼人が山田さん?
「何のことでしょう? 」
「とぼけないでくれ! おかしなコスプレした依頼人はあんたじゃないのか? 」
「そうですね。今さら隠す必要もないか。
確かにあなた方を脅迫してこのドスグロホテルに誘ったのはこの私です」
「やっぱりそうか。あの依頼がなければ俺たちだって詐欺をしてなかった。
足を洗おうとしていたんだ」
白々しいことを。これはまったく反省してないな。
「確かに脅迫しました。ですがこの界隈で商売させないぞと脅しただけ。
足洗おうとしていたなら脅しに屈する必要もなく無視すればよかったのでは?
あなたたちはあくまで詐欺を働くために従っただけ。
今さらそんな言い訳は通用しませんよ黒木さん」
山田さんは黒木たちの考えを見抜いている。
「そうですよ黒木さん。いい加減に自分の罪に向き合うべきだ」
「分かってるって探偵さんよ。だがはっきりさせておきたいだろうが」
「まったくもう! 山田さんもしっかり罪に向き合ってくださいね」
「私は復讐を果たすことが出来て満足してます。黒木さんは残念でしたが」
もうどうすることも出来ない。山田さんは復讐の鬼に。
だが黒木が誠心誠意謝罪したことで許される。
やはり気持ちの問題なのだろう。ただ山田さんの復讐の炎が消えたとは思えないが。
「そうですか残念…… 」
真犯人山田さんの告白に耳を傾けていると異音が館内に響き渡る。
まさか伝説のドスグロ山の雷人が現れたか?
「これは? 」
龍牙が震える。それを奈良が落ちつかせる。
マジシャンと小駒さんは微動だにしない。
山田さんは逃げるタイミングを測っている。
だがもちろん後ろで相棒がしっかり待機。
黒木は笑っている。おかしくなったか?
「これはベルの音では? 」
田中さんが指摘。
「ガイドさんご確認お願いします」
「ちょっと待って。探偵さんもついてきて」
渋々付き合うことに。
ドンドン
ドンドン
異音と共に扉が叩かれる音が。
「探偵さんこれは一体? 」
「さあ…… 風のいたずらかな? 」
「そんなはずありません! 」
田中さんが鋭い。
外から声がする。
「開けてください! 先生! 先生! 」
どこかで聞いたことのある声。
まさか……
ガイドさんの制止を振り切って鍵を開け招き入れる。
外はまだ薄暗く本当に化け物の仕業かと。
「先生! 僕です! 」
助手の姿が見えた。
その後ろでは警察隊が突入の準備を進めている。
ようやく助けが。もう危機は去ったのだ。後は山田さんを逮捕すればいい。
「先生! お久しぶりです! 」
なぜかここに助手の姿が?
まったく理解できない。
「あれ君は薄曇り山にいたんじゃ? 」
「何を言ってるんです先生。もうとっくに解決しましたよ」
助手の報告によりまたしてもやってしまった。
せっかく今回は行けると思ったのに手間取ったせいで終わっていた。
これでまた依頼人からのクレームとお叱りを受けることになるだろう。
「はい皆さん動かないで! 」
ついに警察隊が中へ雪崩れ込む。
真犯人の山田さんを確保。
こうして悪夢のバス旅は終わりを迎えることに。
続く
あの黒木を? 詐欺グループのリーダーで間違いなくすべてを知ってる黒幕。
そんな黒木を許すなんてどうかしてる。嫌な予感しかしない。
何かを隠してませんか山田さん? 嫌な予感しかしない。
人が良いもほどほどに。そこまで来れば犯罪ですよ。やはり嫌な予感しかしない。
「それでは黒木さん。到着次第、警察に洗いざらい告白してください。
あなた方が犯した罪をすべて包み隠さずに。
そう約束するなら私はあなたを許そうと思います。私はね。
もう一度…… 警察に自首して罪を償うと言うならあなたを許します。
どうかそれだけは忘れずに。いいですね黒木さん? 約束しましたよ」
山田さんが念を押すがオウとしか返ってこない。
どうしたと言うのだろう? もう許すと言うのに何を迷う必要がある?
簡単に許そうとする山田さんも山田さんだがはっきり答えない黒木も黒木だ。
まあ平和に解決出来るのが一番ではあるがどうも嫌な予感がする。
「まったくあんたははっきりしないね! 」
「うるせい! 」
小駒さんが挑発する。
ようやくこの連続殺人事件の真の動機が見えて来た。
息子が殺されたのだ。山田さんが恨むのも当然。だが一つだけ解せないことが。
「なぜ雑見氏を殺す必要があったんですか? 当時彼はまだ仲間になってなかった。
調べればすぐ分かること」
「それは…… 後でお話します。彼がこのホテルを出るまで待ってください」
やけに慎重な山田さん。一体何を隠してるのか?
「ではオーナについてお伺いします」
「申し訳ない。それも後で話しますんで」
「ならばこの連続殺人事件を思いついたのは? 」
「それも…… すべては彼がホテルを出てから」
頑なに譲ろうとしない山田さん。
「最後に捕まる気でいたんですか? 」
「ははは…… どうでしょう? 神のみぞ知るってところですかね」
結局真面目には答えてくれない。
「なあ待ってくれよ! まさか俺たちに依頼したのはあんたか? 」
黒木たちの依頼人が山田さん?
「何のことでしょう? 」
「とぼけないでくれ! おかしなコスプレした依頼人はあんたじゃないのか? 」
「そうですね。今さら隠す必要もないか。
確かにあなた方を脅迫してこのドスグロホテルに誘ったのはこの私です」
「やっぱりそうか。あの依頼がなければ俺たちだって詐欺をしてなかった。
足を洗おうとしていたんだ」
白々しいことを。これはまったく反省してないな。
「確かに脅迫しました。ですがこの界隈で商売させないぞと脅しただけ。
足洗おうとしていたなら脅しに屈する必要もなく無視すればよかったのでは?
あなたたちはあくまで詐欺を働くために従っただけ。
今さらそんな言い訳は通用しませんよ黒木さん」
山田さんは黒木たちの考えを見抜いている。
「そうですよ黒木さん。いい加減に自分の罪に向き合うべきだ」
「分かってるって探偵さんよ。だがはっきりさせておきたいだろうが」
「まったくもう! 山田さんもしっかり罪に向き合ってくださいね」
「私は復讐を果たすことが出来て満足してます。黒木さんは残念でしたが」
もうどうすることも出来ない。山田さんは復讐の鬼に。
だが黒木が誠心誠意謝罪したことで許される。
やはり気持ちの問題なのだろう。ただ山田さんの復讐の炎が消えたとは思えないが。
「そうですか残念…… 」
真犯人山田さんの告白に耳を傾けていると異音が館内に響き渡る。
まさか伝説のドスグロ山の雷人が現れたか?
「これは? 」
龍牙が震える。それを奈良が落ちつかせる。
マジシャンと小駒さんは微動だにしない。
山田さんは逃げるタイミングを測っている。
だがもちろん後ろで相棒がしっかり待機。
黒木は笑っている。おかしくなったか?
「これはベルの音では? 」
田中さんが指摘。
「ガイドさんご確認お願いします」
「ちょっと待って。探偵さんもついてきて」
渋々付き合うことに。
ドンドン
ドンドン
異音と共に扉が叩かれる音が。
「探偵さんこれは一体? 」
「さあ…… 風のいたずらかな? 」
「そんなはずありません! 」
田中さんが鋭い。
外から声がする。
「開けてください! 先生! 先生! 」
どこかで聞いたことのある声。
まさか……
ガイドさんの制止を振り切って鍵を開け招き入れる。
外はまだ薄暗く本当に化け物の仕業かと。
「先生! 僕です! 」
助手の姿が見えた。
その後ろでは警察隊が突入の準備を進めている。
ようやく助けが。もう危機は去ったのだ。後は山田さんを逮捕すればいい。
「先生! お久しぶりです! 」
なぜかここに助手の姿が?
まったく理解できない。
「あれ君は薄曇り山にいたんじゃ? 」
「何を言ってるんです先生。もうとっくに解決しましたよ」
助手の報告によりまたしてもやってしまった。
せっかく今回は行けると思ったのに手間取ったせいで終わっていた。
これでまた依頼人からのクレームとお叱りを受けることになるだろう。
「はい皆さん動かないで! 」
ついに警察隊が中へ雪崩れ込む。
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こうして悪夢のバス旅は終わりを迎えることに。
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