変態暗殺令嬢Mは王子を守りたい! 王子暗殺に巻き込まれた女たちのレクイエム 

二廻歩

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フレイトの行方

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再びの地下室。初日に騙されて? 連れて来られた忌々しい場所。
それは私たちを閉じ込める装置としての意味だけではない。
夢も希望も打ち砕かれ記憶に深い傷として刻まれたあの地獄絵図。

「ふふふ…… マリオネッタお嬢様! 順調ですよ」
疲れが見えるビアンカを気遣いたいが笑顔だから何もしてあげられない。
こんな時に気が紛れると掃除する習慣もない。お嬢様ですからね。
「ビアンカ! 」
「お静かに。ここはなるべく慎重に。彼らはこちらの動きを監視しています。
余計に騒げば疑われ動きづらくもなります。これからのことを話し合いましょう」
意外にも元気らしい。王子やフレイトの件で心労が重なったかと思ったが案外タフ。
まあここに来てはそれではやってられないですが。

「これからのこと? 」
今度の暗殺計画についてほとんど何も知らされてない。ただ王子を暗殺するとだけ。
それだけではさすがに不満が爆発する。やってられない。それでもビアンカは冷静。
「はい。私たちで陰謀を暴き事前に回避させるのです」
「でもどうやって? 何も知らないし知らされてない」
「私だってまったく何も。でも王子たちと出会い気づいたことがあるのでは? 」
ビアンカには私の考えが手に取るように分かるらしい。どうやら単純なのだろう。
そこがいいところと褒めてるんだか貶してるんだか。ただ笑顔なので不安はない。

「恐らくあのうるさい爺ではなく…… お付きの方が一枚噛んでるのでは?  」
きっとビアンカだって気になったはず。それぐらいしか思いつかない。
あの場面では周りの動きをつぶさに観察していた。
でもおかしな行動を取った者はいない。王子以外は……
ただ見られてるような監視されてるような嫌な感じがした。
あの船に少なくても一人混じっていたのだろう。
奴らの仲間。裏切り者で王子に害を為す者。
実際報告してよくやったと褒められた以上間違いない。
ふふふ…… 何を言ってるんだろう? 裏切りも何も私自身暗殺者じゃない。
罪悪感が消えない。頭がおかしくなりそう。

「何らかの意図がない限り王子が溺れては居ても経ってもいられないでしょうね。
私だってマリオネッタお嬢様が同じような目に遭われたら慌てふためく」
そう言うが助けるつもりはないと? 
助かるには早めの投入がいい。それなのに慌てふためいてどうするの?
まさか本気で見捨てる気? 冗談? それとも本気?

「ちょっとビアンカ! 」
「もう冗談ですよ。助けますって。全力で助ける所存です」
畏まる。それでこそ専属のメイド。
ただ彼女に詳しくないのでどうしても全幅の信頼が置けない。
メイドになって一年も経ってない。気が利くからつい重用してしまう。
彼女がメイドになる前はどこで何をしていたか…… まあどうでもいいこと。
ビアンカの過去など詮索してる暇はない。今は信頼するしかないか。
それがお嬢様とメイドの深い繋がりだ。

「ねえビアンカ。フレイトは無事だと思う? 」
私が知り得ないことは彼女だって知らない。でも直感が働くはず。
「それは難しいかと。彼が裏切ってない限り生きてる可能性は低いでしょう」
はっきりと答える。もちろんそれが正しいとは限らないが。
「やはり奴らによって始末された? 邪魔だから? 」
返事の代わりに頷くに留める。どうやらもっと声を落とすように促しているよう。

「今回の作戦は大成功? 」
「はい。だから彼らも大喜びしてるのでしょう。私たちは見守る役目。
余計なことをせずにただ立っていればいい。そして運がよければ王子の懐にと。
ただ本当の作戦はこれから。フレイトさんは事故とも殺しとも。
未だに行方不明。元々王子主催の晩餐会がメインのはずですから」
ビアンカがつきつける。それは言いっこなしなのに。震えてしまうではないか。

堪らない。どうしてこんなことに? 後悔と恐怖から震えが堪らない。
私たちはこれから王子暗殺に向かう。その事実は変わらない。
どんなにきれいごとを言っても王子の前で告白せずに奴らの動きに身を任せた。
フレイトを亡き者にしたのは奴らでありそれは私たちと言うことになる。
その現実から目を背けることはできない。

王子暗殺まではまだ時間が。その間に重要人物を手当たり次第排除していく。
それが恐らく彼らのやり方。一気に王子をやればいいのに。
つい本音が。自分が助かる為には王子さえ犠牲にする。
予定通り成功すれば…… ただそれだと暗殺者のマインド。
犠牲は少ないに越したことはないが作戦を失敗させるには時間も犠牲も必要。
もう逃れられない。そんな現実に直面している。

さあ間もなく血塗られた晩餐会がスタートする。
あの招待状のようにどれだけの血が流されることか。気が重い。
これが悪い夢なら覚めて…… でもきっと現実なんでしょうね。
もはやため息さえ出ない。

                  続く
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