変態暗殺令嬢Mは王子を守りたい! 王子暗殺に巻き込まれた女たちのレクイエム 

二廻歩

文字の大きさ
55 / 70

スーテルとピンチラ

しおりを挟む
スーテルとピンチラ。
最近派手に動き回ってる殺し屋の二人組。
王子暗殺の件まで嗅ぎつけやって来た。
「ねえスーテル。何色がいい? 」
「ピンチラの好きにしな」
スーテルは貧しい生まれ。
生まれた時には両親がおらず近所で悪さをするピンチラに憧れて仲間に。
スーテルとピンチラは海沿いの町で育ったこともあり泳ぎは得意。
悪さをする時は決まっていつもまだ暗い海に逃げ込むのだった。

身長は両方とも百五十を超えるかぐらいで小さい。
ただピンチラの方がスタイルはよく胸も出ていて足も長い。
お尻だって大き過ぎず。理想の体型と言えなくもない。
そのせいでピンチラの魅力に惹かれ寄って来る男が後を絶たない。
甘い言葉を囁き掛ければ男などイチコロ。好きなだけ贅沢をさせてくれる。
ケチな奴は体の身を求める。その代償にスーテルの荒いお仕置きを受けることに。

ピンチラとスーテルのコンビは名も顔も知られることはない。
おかしな噂だけが飛び回るプロの殺し屋だ。

そんな時に交易の港町ラクエラに王子がやって来るとの情報をキャッチ。
それと共に腕利きの暗殺者を求めてるとの噂を。
しかも女限定と来たので浮かれるばかり。自分たちに持って来いの仕事。
急いで血塗られた招待状を奪い去る。

「だったら紫。気品があるから」
「嘘? 似合わないだろう? 俺たち殺しに来たんだぜ。目立ってどうする? 」
「ダメだってスーテルも言葉遣い。殺しも厳禁ですよ」

「申し訳ありません。数字の色でお願いします」
係の者が勝手に入って来て選ばせない。私たち一応女性なんですけど?
人殺しだけどさ。ははは……

「スーテル。声が漏れてる。もう少し抑えて。それから感情を表に出さないで」
ピンチラからの再三の要求にもう我慢の限界を迎える。
「だってこう言うの苦手で。一気に片を付けようぜ。ははは…… 」
係の男が行ってもう二人っきりだと言うのにピンチラは声を落としたまま。
もうどこまで臆病なのか? 見つかったら見つかったで始末してしまえばいい。

それにしても服を着替えさせる用意周到さ。
どこにナイフを隠せばいいのか迷うでしょう?
招待されてるのはか弱き令嬢でナイフなど見たこともない。
あああったか。ショーや演劇で笑いながら見るのか。
どいつもこいつも下劣な最低なブタ野郎だからな。

「さあスーテル行きましょうか? 」
「ああピンチラ」
俺たちは二人一組。招待状にもそう書いてあったからな。
だが晩餐会では初めての振りをする必要がある。
ピンチラが言うには敵は王子護衛隊だけじゃない。俺たちの仲間。
ははは…… 誰が仲間だよな。真っ暗な中でほんの少し顔を会わせたライバルだ。
あん時は本当にビビったぜ。ちょっと反抗的な姉妹を無慈悲に銃殺しやがった。
俺たちのいる目の前で。それこそまるでショーを見せられてるかのように。
何の躊躇もなくだからな。震えたぜ。それがワクワクするほどな。
俺がおかしいんだろうな? こんな感覚の奴はきっといないんだろうよ。

「ピンチラ…… 失礼しました」
もう本番だ。予行練習は嫌と言うほど。イメージトレーニングは繰り返した。
面倒臭いから王子をやっちまえばいいのに依頼人は別の奴を消せと。
まどろっこしいよな。そこにいるクソガキ王子をぶっ殺しちまえばいいと言うのに。
頭が悪いんだろうな。回りくどい馬鹿どもだ。

さあターゲットはどこにいるのかな? 見つけた!
ではどさくさに紛れてあの世に行ってもらいましょうか。
王子に仕えるような立派な方だからきっと天国に行けるさ。

ピンチラはまたしても自分の武器を使って会場にいる僅かな男どもを誘惑している。
俺だってそれが出来たらこんな裏方に回ってないさ。
ううう…… 気持ち悪い。さっき景気づけにウェルカムドリンクを一気飲みした。
しかも二本。派手なことして目をつけられたか?
だが構うことはないさ。ただのお酒好きでどうにかなるさ。
お酒好きな令嬢だっていくらだっているさ。仮面をはぎ取れば醜い本性を現す。
しかし俺ってば酒は飲むが強くないんだよな。すぐに酔いが回る。

「大丈夫ですか? 」
うずくまってるところを優しい箱入り娘に介抱される。
「ごめんなさい。俺…… 私ったら言葉遣いも直らなくて。
それで王子に会えるって緊張しちゃって。だから飲めないお酒をつい口にしたの」
まあこれは事実だからいいか。しかしなぜターゲットは俺の存在を無視した?
目の前でうずくまったっていうのに。どこかに行きやがった。
そう言えばピンチラはどこに? 相棒がピンチなら助けろよな。

「大丈夫。立ち上がらなくていい。ちょっとの間この椅子に座っていましょうね」
そう言って一旦晩餐会場から離れ隣の部屋に連れて来られる。
「ちょっと! 何をやってるんだ? 」
勝手に動き回れては困ると男が文句を言う。しかし体調不良だぜ?
「すみません。この方が体調を崩したようだから」
隊長? まずい。悟られたか? そんなはずないよな。
「分かった。では上に伝えておく。指示があるまで勝手にそこを動くな! 」
そう言うと男は行ってしまった。

                  続く
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜

鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。 誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。 幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。 ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。 一人の客人をもてなしたのだ。 その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。 【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。 彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。 そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。 そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。 やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。 ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、 「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。 学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。 ☆第2部完結しました☆

【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました

ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。 名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。 ええ。私は今非常に困惑しております。 私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。 ...あの腹黒が現れるまでは。 『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。 個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

優しい雨が降る夜は

葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン 無自覚にモテる地味子に 余裕もなく翻弄されるイケメン 二人の恋は一筋縄ではいかなくて…… 雨降る夜に心に届いた 優しい恋の物語 ⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡ 風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格 雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...