56 / 70
介抱
しおりを挟む
晩餐会は華やかで俺向きじゃない。この黒のドレスだってちっとも似合わねえ。
何で来ちまったんだろうな俺はよ? 場違い過ぎて嫌になる。でも命令だもんな。
まったく楽な仕事だと思ったからピンチラに付き合ったが成功報酬とはな。
招待状を奪えばそれでいいと唆されたが違ったらしい。
地下で拘束されおかしな暗殺計画を押し付けられ今どうにか晩餐会に潜り込んた。
これですぐにでも王子をやれると思ったが待ったが掛かるから嫌になるぜ。
大した警備体制も敷いてない今が絶好のチャンスだってのにのんびりしてる。
奴らの本気度を疑いたくなるがあの日の惨状を見てはな。
怖気づくような連中じゃない。暗殺には時間も金もかけてる。慎重にもなるさ。
だがそれではまどろっこしいんだよな。嫌にもなるぜ。
俺は頭よくないからピンチラに説得されてなければオサラバしていただろうさ。
「大丈夫? 気持ち悪い? 背中をさすってあげるね」
「いいよ。それよりあんた名前は? こんなことしてなくて王子を…… 」
まずい。暗殺しなくていいのか聞くところだった。まさか聞けるはずがない。
間抜けにもお世話になった女だからつい気を許してしまう。
ははは…… 俺も情けなくなったもんだぜ。
「私はビアンカ。気にしないで。誰だって体調が悪くなることはあるから。
落ち着いたらまたお話しましょう」
人の好さそうな金持ちの娘。笑っている。どうせ馬鹿にしてるんだろう?
俺たちは王子に群がる淑女の皆さんから蔑まれる為に生まれてきたようなもの。
あんただって優しくしてるけれど本質は変わらない。
どこから迷い込んだ捨て猫だと。
「ふふふ…… どうしたの? まるで光が眩しいみたい。慣れないの?
いつも明るくない。そう地下の真っ暗なところに。
まさかあなた…… そんなことないよね。ごめん忘れて。
さあ今はゆっくりして。私は晩餐会に戻るわ」
ビアンカが行ってしまった。結局お礼もできずじまい。
まあいいかそんなかったるいことできやしない。
ゆっくりしてると邪魔が入る。
「お前何をしている? 命令に背くつもりか? 」
さっそく探りを入れて来る。どうやら監視されてるらしい。
見届け人の怖そうな女が睨みつける。本当に女かよ。俺がビビっちまうほどの迫力。
これだけ美人なのにもったいない。まあ男は彼女の外見の美しさに騙されるからな。
中身までは見ない。コロッと騙されてそのままあの世だ。
そんな恐ろしい女に違いない。女の俺でさえ近づきたくない。
ピンチラも似たようなものだが仕留めるのは俺だからな。
そこまでの技術はない。そしていつも殺した相手を慈悲深く守る。
それなら殺すなよと言いたいが俺が後始末をつけてるからその感覚がない。
慈悲を掛け涙を流すことも。本気かと聞くが当たり前でしょうと涙ぐむ。
どうやら冗談ではないと。そう聞くとピンチラが凄く怖い者に見えるから不思議だ。
まあ後のことはピンチラに任せ誘い出せばいい。俺が後始末して任務完了。
難しいことは一つもない。
ビアンカが去り監視役も消えたと思ったら今度は男だ。
「おいいつまでそうしてる! お前は招待された身なのだぞ? 忘れたか? 」
高圧的。恐らく王子護衛隊の下っ端が護衛の為に急遽駆り出されたと予想がつく。
俺はそれでも慣れてるからいいが令嬢の皆さんには不評だろう。
基本的には人を見下し横柄な態度を取り言葉も汚い。
これでは王子のイメージまで悪くなるぜ。俺も本当に人のこと言えないが。
「もう大丈夫…… 申し訳ありません。すぐに戻ります」
「だったら早くしろ! 」
ああこいつをぶっ殺したい。でもムカつくからと死体を増やせば責められるのは俺。
王子暗殺にはこいつは関係ない。ただの雑魚で俺に強く当たる酷い奴なだけ。
それとも二人っきりになって嫌らしいことでもしようってんじゃないよな?
ごめんだぜこんな野郎と。冗談じゃない。あの王子だって俺の趣味に合わねえよ。
いや誰も俺の趣味に合う奴はいないか。紳士で常に見守る白馬に乗った金持ち。
ああダメだ。そう言うのこそ長く続かない。痒くて死にそう。
一か月も持たずに湖に沈めることになるだろうさ。
俺はきっと誰も愛せないんだろうな。
それにしても奴らなぜ一人やっちまったんだ?
大物の王子護衛隊長のドックなら分かるが知らない野郎を沈めて何がしたい?
今の野郎だってきっと気が立ってるのは厳戒態勢を敷いてるからだろうし。
そう言えば彼女もあの船に乗っていたような…… 勘違いでなければビアンカは……
でも仲間ならいいのか。作戦遂行中のライバルを消せばただでは済まない。
それは何度も何度も言われたこと。王子暗殺は思っている以上に複雑なのだろうさ。
俺には関係ない。隙を見てぶっ放せばいい。おっと違う違う。
このナイフを突き刺せばいいんだったな。さすがに晩餐会に銃はタブー。
すぐにも没収された上で捕らえられえる。言い訳もできずに牢屋に直行。
翌日の日の出も見れずに処刑されるだろうさ。
落ち着いたところで戻ると雰囲気が一変。何かあったのか?
ピンチラを早いところ探さなくては。
続く
何で来ちまったんだろうな俺はよ? 場違い過ぎて嫌になる。でも命令だもんな。
まったく楽な仕事だと思ったからピンチラに付き合ったが成功報酬とはな。
招待状を奪えばそれでいいと唆されたが違ったらしい。
地下で拘束されおかしな暗殺計画を押し付けられ今どうにか晩餐会に潜り込んた。
これですぐにでも王子をやれると思ったが待ったが掛かるから嫌になるぜ。
大した警備体制も敷いてない今が絶好のチャンスだってのにのんびりしてる。
奴らの本気度を疑いたくなるがあの日の惨状を見てはな。
怖気づくような連中じゃない。暗殺には時間も金もかけてる。慎重にもなるさ。
だがそれではまどろっこしいんだよな。嫌にもなるぜ。
俺は頭よくないからピンチラに説得されてなければオサラバしていただろうさ。
「大丈夫? 気持ち悪い? 背中をさすってあげるね」
「いいよ。それよりあんた名前は? こんなことしてなくて王子を…… 」
まずい。暗殺しなくていいのか聞くところだった。まさか聞けるはずがない。
間抜けにもお世話になった女だからつい気を許してしまう。
ははは…… 俺も情けなくなったもんだぜ。
「私はビアンカ。気にしないで。誰だって体調が悪くなることはあるから。
落ち着いたらまたお話しましょう」
人の好さそうな金持ちの娘。笑っている。どうせ馬鹿にしてるんだろう?
俺たちは王子に群がる淑女の皆さんから蔑まれる為に生まれてきたようなもの。
あんただって優しくしてるけれど本質は変わらない。
どこから迷い込んだ捨て猫だと。
「ふふふ…… どうしたの? まるで光が眩しいみたい。慣れないの?
いつも明るくない。そう地下の真っ暗なところに。
まさかあなた…… そんなことないよね。ごめん忘れて。
さあ今はゆっくりして。私は晩餐会に戻るわ」
ビアンカが行ってしまった。結局お礼もできずじまい。
まあいいかそんなかったるいことできやしない。
ゆっくりしてると邪魔が入る。
「お前何をしている? 命令に背くつもりか? 」
さっそく探りを入れて来る。どうやら監視されてるらしい。
見届け人の怖そうな女が睨みつける。本当に女かよ。俺がビビっちまうほどの迫力。
これだけ美人なのにもったいない。まあ男は彼女の外見の美しさに騙されるからな。
中身までは見ない。コロッと騙されてそのままあの世だ。
そんな恐ろしい女に違いない。女の俺でさえ近づきたくない。
ピンチラも似たようなものだが仕留めるのは俺だからな。
そこまでの技術はない。そしていつも殺した相手を慈悲深く守る。
それなら殺すなよと言いたいが俺が後始末をつけてるからその感覚がない。
慈悲を掛け涙を流すことも。本気かと聞くが当たり前でしょうと涙ぐむ。
どうやら冗談ではないと。そう聞くとピンチラが凄く怖い者に見えるから不思議だ。
まあ後のことはピンチラに任せ誘い出せばいい。俺が後始末して任務完了。
難しいことは一つもない。
ビアンカが去り監視役も消えたと思ったら今度は男だ。
「おいいつまでそうしてる! お前は招待された身なのだぞ? 忘れたか? 」
高圧的。恐らく王子護衛隊の下っ端が護衛の為に急遽駆り出されたと予想がつく。
俺はそれでも慣れてるからいいが令嬢の皆さんには不評だろう。
基本的には人を見下し横柄な態度を取り言葉も汚い。
これでは王子のイメージまで悪くなるぜ。俺も本当に人のこと言えないが。
「もう大丈夫…… 申し訳ありません。すぐに戻ります」
「だったら早くしろ! 」
ああこいつをぶっ殺したい。でもムカつくからと死体を増やせば責められるのは俺。
王子暗殺にはこいつは関係ない。ただの雑魚で俺に強く当たる酷い奴なだけ。
それとも二人っきりになって嫌らしいことでもしようってんじゃないよな?
ごめんだぜこんな野郎と。冗談じゃない。あの王子だって俺の趣味に合わねえよ。
いや誰も俺の趣味に合う奴はいないか。紳士で常に見守る白馬に乗った金持ち。
ああダメだ。そう言うのこそ長く続かない。痒くて死にそう。
一か月も持たずに湖に沈めることになるだろうさ。
俺はきっと誰も愛せないんだろうな。
それにしても奴らなぜ一人やっちまったんだ?
大物の王子護衛隊長のドックなら分かるが知らない野郎を沈めて何がしたい?
今の野郎だってきっと気が立ってるのは厳戒態勢を敷いてるからだろうし。
そう言えば彼女もあの船に乗っていたような…… 勘違いでなければビアンカは……
でも仲間ならいいのか。作戦遂行中のライバルを消せばただでは済まない。
それは何度も何度も言われたこと。王子暗殺は思っている以上に複雑なのだろうさ。
俺には関係ない。隙を見てぶっ放せばいい。おっと違う違う。
このナイフを突き刺せばいいんだったな。さすがに晩餐会に銃はタブー。
すぐにも没収された上で捕らえられえる。言い訳もできずに牢屋に直行。
翌日の日の出も見れずに処刑されるだろうさ。
落ち着いたところで戻ると雰囲気が一変。何かあったのか?
ピンチラを早いところ探さなくては。
続く
0
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
【完結】モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる