変態暗殺令嬢Mは王子を守りたい! 王子暗殺に巻き込まれた女たちのレクイエム 

二廻歩

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市長の娘

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会場に戻ると一変。何かあったのか異様な雰囲気。
ピンチラ? もちろん心配もあるが俺まで処分されるからな。
ビアンカ? 後ろの方で警戒してる。地味で目立たないから誰も見向きもしない。
いや一人チラチラと見てるのがいる。何が気になるらしい。
疑ってるのか心配で見てしまうのか?
どのみちこの女は俺たちの仲間でありライバル。
今はとりあえず役目がはっきりしてないのだから手を出せない。
もどかしいが暗殺者に求められてるものがある。個人で動かず集団行動を心掛けよ。
まったくガキでもあるまいし情けない話だ。

ピンチラはターゲットの二つ隣。上手い位置取り。これならすぐに仕留められる。
そして疑われるのはすぐ後ろにいる派手な黄色か紫色のお嬢様たち。
可哀想に。ただ晩餐会に参加しただけで犯人と疑われ危険な目にも遭うのだから。
同情する気はないが多少可哀想だなと思うことも。
どうやら俺にもまだ人間の心があるのかもしれないな。

合図があるまではじっと待機。ターゲットからつかず離れずを心掛ける。
そう今回の暗殺はピンチラに任せている。
俺だとがさつでいい加減だから目につきやすい。
腕は落ちるが彼女だって立派な暗殺者。普段は餌でしかないが仕上げもやれる。
奴らだってそのことは承知してるどころか俺には大人しくしてろだからな。
でも気持ち悪くなってうずくまって結果的には目立っちまったが。
まあこの程度の粗は誰にでもあるさ。
失態とは行かない。だからこそ作戦は続いてる訳で。
だが晩餐会は異様な雰囲気。どうしたのだろう? 何かあったか?

トラブル発生!
クソガキ? 王子ではないクソガキ二人組が晩餐会に乱入。
それを咎められないとはどう言うことだ?
「ちょっと! 失礼ではありませんか? 子供とは何事ですの? 」
大きなドレスが似合わないので仕方なく自前のドレスでやって来たガキ?
迷惑を掛けずに大人しく寝てろっての。作戦の邪魔でしかない。
晩餐会には相応しくないし暗殺に巻き込まれても知らないぞ。

「しかし晩餐会は子供の遊びではないのだ。出て行ってもうらおう! 」
入口で追い返さなかったならきっと正式に招待されたお嬢様。恐らく姉妹。
しかしだからって周りの目があるとどうしてもこのような対応になる。

「それであなた方は? 」
「失敬な! 私どもは正式に招待を受けたラクエラ市長の娘ですよ」
市長が仕事でラクエラを離れてるので代理で娘がやって来た。そう主張する。
あり得ない話ではないだけに慎重さが求められる。

「どう致します王子? 」
「うーんそうだな…… 」
ハッチ王子が頭を抱える。
見た目はクソガキでももう立派な青年のハッチ王子とそのままクソガキの市長の娘。
お似合い同士。いっそのこと三人仲良くってのは…… 無理か。

王子としては無下に扱えない。市長もそれが分かっているから娘を寄越した。
恐らく王子の相手に相応しいのは自分の娘だとそう言う考えなのだろう。
だがどっちみち一人はあぶれるがそれは構わないのか?
その辺のことは頭にないらしい。それともこれも奴らによる陽動作戦の一つか。
何一つ詳しい計画を知らされてないのでどちらか判断できない。
ただ刺客にしては幼い。あまりに幼過ぎる。これが送り込まれたとは到底思えない。
だとすれば彼女たちの言うように市長の娘。
混乱は続きそうだ。指示を待つ。

さっき様子を見に来た怖そうなお姉さんを見るが視線を逸らす。
どうやらこれは予定にないらしい。当たり前だが思い通りに行くとは限らない。
緊急事態発生って奴だ。これで暗殺のタイミングを逃した?
どうやら場が落ち着いてから改めて動き出すしかない。
俺は今回見てるだけだから気楽だがピンチラは大変だろうよ。
今のうちに仲間と言うかライバルを探っておくかな。
やらなければやられるだろうからな。
あいつらだってそれはよく分かってるから目を光らせてるはずだ。

「どう致します王子? 」
「仕方ないだろう。市長は正式に招待したのだ。
その代理で来たと言うなら丁重に扱うしかない。
騒ぎもせず迷惑を掛けてる訳でもあるまい。好きなようにさせておけ」
王子は皆がいる手前めったな行動には出れない。
排除すれば市長が文句を言うに決まっている。目に見えている。
ラクエラは第三の都市だから強硬な姿勢には出れない。

もし事実なら下手すれば無能王子と揶揄される。それは王子としても避けたいはず。
これはすべてピンチラが得た情報を元に推測している。
俺だってタダの始末屋じゃない。ここまで生き残れたのは多少頭が回るから。

それにしてもラクエラの市長は喰えない奴だ。その娘も相当なもの。
まあ正式に招待されたのなら仕方ないさ。
俺たちみたいに非公式に招待されたことになってる奴よりよほど正当性がある。
結局俺たちはその正当性を殺し合いで奪い合ったに過ぎない。
だからこそ絶対にこのチャンスを逃せない。失敗はどのみち命取りになる。
逃げても奴らは地の果てまで追って来るだろう。だから成功あるのみ。


「はは! ではお嬢様二人はそのままで。どうかお寛ぎください」
小さな乱入者はこうして再び立派な令嬢の仲間入りを果たした。
一騒動あったがどうやら正式に認められた形。

                  続く
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