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初体験
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翌日。
昼過ぎ。
「起きてよお兄ちゃん」
リンのはしゃぐ声で目が覚める。
「リン…… 今までどこに? 」
「ええっ? 」
さも不思議といった表情を見せる。
まあいいか。
「行こう! こっちだよ」
「おいまだ飯も食ってないんだぞ。少しはゆっくりさせてくれ! 」
「いいから。いいから」
服を引っ張る。
これではリンと同様ヨレヨレになってしまう。
「止めてくれ! 服が伸びる! これしかないんだぞ! 」
そう、着替えは無い。
あるのは防寒着のみ。真夏の今これを着れば一発で倒れる。
地獄のような代物。
今着れるはずもないし仮に切るにしてもまだ早い。
できたら夏服があればなあ……
いや、ない物ねだりは止めよう。虚しいだけだ。
今欲しいのは脱出用の船。
それさえあれば家に帰れる。
もともとここに住んでいたのでなければだが……
リンに言われるまま海に向かう。
あれ……
人影が見える。
一人、二人…… 計四人。
「ゲンジさんお久しぶり」
「ゲンジ元気? 」
手を振る少女たち。
リンを入れて五人の少女が集結。
にぎやかでいい。
「お前ら今までどこにいたんだ? 」
「ちょっとね…… 」
誰も正直に話してくれそうにない。
秘密の隠れ家でもあるのだろうか?
空蝉が笑っている。
「大丈夫かい? 暑くないか? 」
夏の暑さに弱いと聞いた。心配で仕方がない。
「大丈夫です。少しの間なら問題ありません」
無理しているようには見えない。ひとまず安心だが油断はできない。
コテージから漂流物の傘を持ってくる。
「ありがとうございます」
とりあえずこれで大丈夫。
「それでお前たち何の用だ? 」
アイミが前に出る。
「今日からお世話になります」
「はああ? 」
「これも命令なんだって」
「博士のか? 」
「ええ。そんなところ」
はち切れそうな胸を揺らし迫る。
無意識に目が行く。
「それで博士は? 」
「博士ねえ…… 亜砂お願い! 」
「ええっと。今朝戻ってきたよ」
「戻ってきた? 」
「うん。すぐに行っちゃった。どうやらまだ見つからないらしい」
「おいおい。それはおかしいだろ! 近くに島ぐらいあるはずだ。人に会えば救助ぐらい。いや漁船だっていい」
「それは…… 」
「私から話します」
ムーちゃんが割り込んだ。
「博士はこの島から脱出したくて船を動かしてるわけではないんです。この近くに眠るお宝を探しに動き回っているんです。ですから誰も助けには来ませんよ」
「嘘だろ? 俺は家に帰りたい。ただそれだけなんだ」
「それは博士に言ってください! 」
「だって行っちまったんだろ? 」
「はい伝言を残して」
「いつ戻ってくるって? 」
「さあ…… 」
亜砂は首を振る。
「とにかくそれまでの間にこの島の調査をお願いだそうよ」
「無茶を言いやがる! 」
「ゲンジ! 」
「ゲンジさん! 」
「私たちはその為に呼ばれたんです。今日から一緒に頑張りましょう」
空蝉が話をまとめる。
要するにこの島は補給地点。
宝探しには時間も金も人もかかる。
これでようやく分かってきたぞ。
博士が俺たちを雇って宝さがしをさせていた。
彼女たちは地元の者で良く分からずに連れて来られた。
俺は博士の助手か隣か親戚。そんなところか。
釣りの時にでも足を滑らせ頭を打ったのだろう。
かなり無理があるし飛躍してる感もあるが辻妻はあう。
「そうかそうか。そういうことだったのか! 」
「どうしたのお兄ちゃん? 」
屈んでのぞき込むリン。俺は堪らなくヨレヨレの服から見える物を凝視する。
「ねえどうしたのお兄ちゃん? 」
「うるさい! あっちに行ってろ! 」
リンはびくっとして笑顔を取り繕う。
あれ? 強く言い過ぎたか。
こうして五人との不思議な共同生活が始まった。
目的は二つ。
この島に眠るお宝を見つけること。
ここから脱出すること。
「解散! 」
後ろからぞろぞろとついてくる。
「お前らまさか…… 」
コテージに何の断りもなく入ってくる。
「自分のところに帰れ! 」
「ごめんなさい。これも命令なんです」
ムーちゃんが謝る。
「でもここは狭くてさあ」
「大丈夫。何とかなるよ」
亜砂は水着のまま床に座る。
彼女は水着以外持ってきてないそうだ。
まったくどうしたものか? 目のやり場に困ることこの上ない。
薄っすら見える体のライン。いやそんなレベルではない。
白の水着は要注意だ。
隣で呑気に笑っているリン。
マシな格好をしているのは空蝉ぐらいなもの。
後は見ていられない。
「飯はどうする? まだなんだろ? 」
「お願いします」
仕方がないか。
「今日はこの缶詰で凌ぐとして明日以降はお前らに任せた」
「えええ? 」
「その代わり俺は魚を釣るからそれ以外を用意してくれ」
「水係はリン」
「そんなお兄ちゃん…… 」
「甘えるな! 俺も一緒に手伝ってやるから! 」
リンは渋々受け入れる。
缶詰パーティーを終え就寝。
やはり帰ってくれそうにない。
仕方がない。ベッドには俺とリンが寝ることにして他は床にでも寝てもらおう。
荷物置き場となっている奥の部屋に二人。
アイミとムーちゃんに行ってもらう。
他二人は床で寝てもらうことにした。
リンはベットの中央で寝息を立てている。
「こらリン! 」
反応が無い。
もう寝てしまったのか?
リンを左に寄せ寝るスペースを確保。
俺は抱きしめることもおやすみのキスをすることもなく背を向ける。
いくらなんでも今日は早すぎるよな。
眠れない夜を過ごす。
結局寝たのは十一時過ぎ。
これではまた……
明日も間違いなく寝坊するだろう。
【続】
昼過ぎ。
「起きてよお兄ちゃん」
リンのはしゃぐ声で目が覚める。
「リン…… 今までどこに? 」
「ええっ? 」
さも不思議といった表情を見せる。
まあいいか。
「行こう! こっちだよ」
「おいまだ飯も食ってないんだぞ。少しはゆっくりさせてくれ! 」
「いいから。いいから」
服を引っ張る。
これではリンと同様ヨレヨレになってしまう。
「止めてくれ! 服が伸びる! これしかないんだぞ! 」
そう、着替えは無い。
あるのは防寒着のみ。真夏の今これを着れば一発で倒れる。
地獄のような代物。
今着れるはずもないし仮に切るにしてもまだ早い。
できたら夏服があればなあ……
いや、ない物ねだりは止めよう。虚しいだけだ。
今欲しいのは脱出用の船。
それさえあれば家に帰れる。
もともとここに住んでいたのでなければだが……
リンに言われるまま海に向かう。
あれ……
人影が見える。
一人、二人…… 計四人。
「ゲンジさんお久しぶり」
「ゲンジ元気? 」
手を振る少女たち。
リンを入れて五人の少女が集結。
にぎやかでいい。
「お前ら今までどこにいたんだ? 」
「ちょっとね…… 」
誰も正直に話してくれそうにない。
秘密の隠れ家でもあるのだろうか?
空蝉が笑っている。
「大丈夫かい? 暑くないか? 」
夏の暑さに弱いと聞いた。心配で仕方がない。
「大丈夫です。少しの間なら問題ありません」
無理しているようには見えない。ひとまず安心だが油断はできない。
コテージから漂流物の傘を持ってくる。
「ありがとうございます」
とりあえずこれで大丈夫。
「それでお前たち何の用だ? 」
アイミが前に出る。
「今日からお世話になります」
「はああ? 」
「これも命令なんだって」
「博士のか? 」
「ええ。そんなところ」
はち切れそうな胸を揺らし迫る。
無意識に目が行く。
「それで博士は? 」
「博士ねえ…… 亜砂お願い! 」
「ええっと。今朝戻ってきたよ」
「戻ってきた? 」
「うん。すぐに行っちゃった。どうやらまだ見つからないらしい」
「おいおい。それはおかしいだろ! 近くに島ぐらいあるはずだ。人に会えば救助ぐらい。いや漁船だっていい」
「それは…… 」
「私から話します」
ムーちゃんが割り込んだ。
「博士はこの島から脱出したくて船を動かしてるわけではないんです。この近くに眠るお宝を探しに動き回っているんです。ですから誰も助けには来ませんよ」
「嘘だろ? 俺は家に帰りたい。ただそれだけなんだ」
「それは博士に言ってください! 」
「だって行っちまったんだろ? 」
「はい伝言を残して」
「いつ戻ってくるって? 」
「さあ…… 」
亜砂は首を振る。
「とにかくそれまでの間にこの島の調査をお願いだそうよ」
「無茶を言いやがる! 」
「ゲンジ! 」
「ゲンジさん! 」
「私たちはその為に呼ばれたんです。今日から一緒に頑張りましょう」
空蝉が話をまとめる。
要するにこの島は補給地点。
宝探しには時間も金も人もかかる。
これでようやく分かってきたぞ。
博士が俺たちを雇って宝さがしをさせていた。
彼女たちは地元の者で良く分からずに連れて来られた。
俺は博士の助手か隣か親戚。そんなところか。
釣りの時にでも足を滑らせ頭を打ったのだろう。
かなり無理があるし飛躍してる感もあるが辻妻はあう。
「そうかそうか。そういうことだったのか! 」
「どうしたのお兄ちゃん? 」
屈んでのぞき込むリン。俺は堪らなくヨレヨレの服から見える物を凝視する。
「ねえどうしたのお兄ちゃん? 」
「うるさい! あっちに行ってろ! 」
リンはびくっとして笑顔を取り繕う。
あれ? 強く言い過ぎたか。
こうして五人との不思議な共同生活が始まった。
目的は二つ。
この島に眠るお宝を見つけること。
ここから脱出すること。
「解散! 」
後ろからぞろぞろとついてくる。
「お前らまさか…… 」
コテージに何の断りもなく入ってくる。
「自分のところに帰れ! 」
「ごめんなさい。これも命令なんです」
ムーちゃんが謝る。
「でもここは狭くてさあ」
「大丈夫。何とかなるよ」
亜砂は水着のまま床に座る。
彼女は水着以外持ってきてないそうだ。
まったくどうしたものか? 目のやり場に困ることこの上ない。
薄っすら見える体のライン。いやそんなレベルではない。
白の水着は要注意だ。
隣で呑気に笑っているリン。
マシな格好をしているのは空蝉ぐらいなもの。
後は見ていられない。
「飯はどうする? まだなんだろ? 」
「お願いします」
仕方がないか。
「今日はこの缶詰で凌ぐとして明日以降はお前らに任せた」
「えええ? 」
「その代わり俺は魚を釣るからそれ以外を用意してくれ」
「水係はリン」
「そんなお兄ちゃん…… 」
「甘えるな! 俺も一緒に手伝ってやるから! 」
リンは渋々受け入れる。
缶詰パーティーを終え就寝。
やはり帰ってくれそうにない。
仕方がない。ベッドには俺とリンが寝ることにして他は床にでも寝てもらおう。
荷物置き場となっている奥の部屋に二人。
アイミとムーちゃんに行ってもらう。
他二人は床で寝てもらうことにした。
リンはベットの中央で寝息を立てている。
「こらリン! 」
反応が無い。
もう寝てしまったのか?
リンを左に寄せ寝るスペースを確保。
俺は抱きしめることもおやすみのキスをすることもなく背を向ける。
いくらなんでも今日は早すぎるよな。
眠れない夜を過ごす。
結局寝たのは十一時過ぎ。
これではまた……
明日も間違いなく寝坊するだろう。
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