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謎の男と少女たち 手掛かりを求めて調査開始
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朝。
太陽が島全体を照らす。
鳥たちが一斉に羽ばたき始めた。
風が強い。
嵐の予感。
ビーチ。
「そうかそうか。上手く行ったか」
「はい。まったく疑う様子はありません」
「はっはは! 俺も馬鹿だが奴は相当だな」
太陽光に照らされた男。
その姿を捉えることはできない。
「思い出さないか? 」
「はい。素振りもありません」
「よし引き続き頼む」
「分かりました」
「それから皆に伝えろ! しっかり監視をするようにとな」
「はい」
「宝も博士も絶対に思い出させるな! 分かったな! 」
少女は行ってしまった。
「ふふふ…… 少しはこちらの苦労も理解してくれよな」
ビーチから姿を消す。
昼。
あーよく寝た。
少女たちの姿が見えない。
どうしたのだろうか?
「ゲンジさん? 」
空蝉だ。
「起きてたんですね」
他の者は外に集まって砂に何かを描いている。
この島の全体図らしい。
「あっ…… お兄ちゃん! 」
開始。
さっそく宝さがしに取り掛かる。
まずはどこにあるかだが……
誰も見当がつかない。だがこの島のどこかにあるのなら片っ端から掘って行けばいい。
それだけのこと。簡単ではないか。
「待って! 宝を隠したならその地図か暗号を残したはずよ」
「ゲンジは見てない? 」
「だから俺はまったく覚えてないんだって。アイミたちは何も知らされていないのか? 」
皆、順に首を振る。
「何でもいい。覚えていること、知っていることを言ってくれ! 」
誰も答えない。
「あのね…… お兄ちゃん。思い出したことがあるの」
これはいいぞ。
「船があったよ。バラバラになって壊れた船」
「それ私も見ました」
空蝉が反応する。
「どこだ? 」
「えっとねえ…… たぶんね…… 」
はっきりしないリンを無視して空蝉に迫る。
「思い出してくれ。手掛かりになるはずだ! 」
肩を掴み上下に揺らす。
「興奮しないでください。言いますから」
焦ってはいけない。冷静に冷静に。
「確かこの海の右。方角で言うと東」
「こっちだな。よし…… 」
「真っ直ぐの道があるでしょう。そこを歩いて行くと崖にぶつかります。崖下の端っこに隠すように船が置かれていました」
「よしいいぞ。さっそく探そう」
「待って! あそこは危ないですよ」
ムーちゃんが注意する。
「知ったことか! 手掛かりはそこにしかないんだ」
「ゲンジさん…… 」
「では参加する奴? 」
「ハーイ」
何も考えずに手を上げるリン。
「私も」
亜砂が案内役を引き受ける。
残りの者は夕食準備とコテージの掃除に分かれた。
「よし行こう! 」
リンと亜砂を連れ崖に向かう。
直線距離はさほどないが海に沿った道の為、大回りすることに。
あってないような緑の道を切り開いていく。
さっきからリンが大声で歌うのでうるさくて敵わない。
「静かにしろ! 頭に響く。暑いだろうが! 」
「だって…… 明るく元気に行こうかなあって…… 」
リンが落ち込んでしまった。
「暑いのはリンのせいじゃないもん」
泣きそうになったので慰めてやる。
「いいよ。好きにしていいぞ。許可する」
「わーい。やった! 」
大声で再び歌いだした。
暑さと騒音でどうにかなりそうだ。
「ゲンジ! 早く行こう! 」
一番後ろを歩いている亜砂。
水着一丁でうろついているが大丈夫だろうか。
痒さもそうだがサンダルでは足に負担がかかる。
「きゃあ! 」
足を滑らした。
「うわ! 」
亜砂に押される形で転びそうになる。
どうすることもできずにリンにしがみつく。
「止めてよお兄ちゃん! 」
リンのふざけた表情が凍り付く。
崖っぷち。
このまま行けば崖下にダイブすることに。自然のアトラクション。
ずいぶん涼しく楽しそうでもあるが安全はまったく保障されていない。
「危ない! 」
「お兄ちゃん! 」
「うおおお! 」
なんとか持ちこたえ崖ギリギリでストップ。
危機一髪のところだった。
「お兄ちゃん酷いよ! 」
「いや…… 亜砂が押すもんだから…… 」
「ええっ? 私? 」
「履きづらいサンダルなんかで来るからだ! 」
「私それしか持ってないし! 」
キレだした。
何をするか分からない。ここは大人しく謝る。
「君は悪くない! 悪いのは絡まった草と枝。そう君はちっとも悪くない」
しっかり否定してやる。
「ゲンジ…… 」
いい雰囲気。大人の時間の始まり。
しかしここにはリンがいる。
「さあ行こうお兄ちゃん! 」
無理矢理引っ張っていく。
「おい止めろ! 危ないだろ? リン! 」
リンを落ち着かせ崖の前で立ち止まる。
目的地に到着。
「俺…… 」
「ゲンジ! 見てきてよ! 」
「お兄ちゃん頑張って! 」
「おい嘘だろ」
崖の下を覗く。
「どうお兄ちゃん? 」
知るかよ!
何が悲しくて崖下など覗くか。
覗くならやっぱり……
おっと…… まずいまずい。
自分の世界に入り込んでしまった。
前回は気づかなかったが確かにある。
崖下の奥の方に船のようなシルエットが。
一目で壊れているのが分かる。大きさから推測すると小型船のボートみたいだ。
どういうことだろう?
「リン何か知ってるか? 」
「分かんない! 」
何も考えずに即答。
少しは考えてもいいものだ。
「ちなみに亜砂は? 」
「さあ…… 興味ない」
「降りようよお兄ちゃん」
一ミリの恐怖も感じていないリン。
大丈夫かこいつ?
リンが笑う。
「いや俺は実は…… 」
「ゲンジ? 」
「すまん。どうやら高所恐怖症みたいなんだ」
「ええっ! お兄ちゃん変なの! 」
一人でも行こうとするので必死に止める。
蹴った小石が落ちて崖下に吸い込まれていく。
想像しただけで血の気が引く。
「なあ。今日はこれくらいにしないか? 」
「ええっ? どうして面白そうなのに」
「危険すぎるよ。俺はいいけどお前らまで危ない目に遭わすわけにはいかない」
「お兄ちゃん…… 」
「さあ帰ろう」
亜砂とリンを説得し戻ることに。
【続】
太陽が島全体を照らす。
鳥たちが一斉に羽ばたき始めた。
風が強い。
嵐の予感。
ビーチ。
「そうかそうか。上手く行ったか」
「はい。まったく疑う様子はありません」
「はっはは! 俺も馬鹿だが奴は相当だな」
太陽光に照らされた男。
その姿を捉えることはできない。
「思い出さないか? 」
「はい。素振りもありません」
「よし引き続き頼む」
「分かりました」
「それから皆に伝えろ! しっかり監視をするようにとな」
「はい」
「宝も博士も絶対に思い出させるな! 分かったな! 」
少女は行ってしまった。
「ふふふ…… 少しはこちらの苦労も理解してくれよな」
ビーチから姿を消す。
昼。
あーよく寝た。
少女たちの姿が見えない。
どうしたのだろうか?
「ゲンジさん? 」
空蝉だ。
「起きてたんですね」
他の者は外に集まって砂に何かを描いている。
この島の全体図らしい。
「あっ…… お兄ちゃん! 」
開始。
さっそく宝さがしに取り掛かる。
まずはどこにあるかだが……
誰も見当がつかない。だがこの島のどこかにあるのなら片っ端から掘って行けばいい。
それだけのこと。簡単ではないか。
「待って! 宝を隠したならその地図か暗号を残したはずよ」
「ゲンジは見てない? 」
「だから俺はまったく覚えてないんだって。アイミたちは何も知らされていないのか? 」
皆、順に首を振る。
「何でもいい。覚えていること、知っていることを言ってくれ! 」
誰も答えない。
「あのね…… お兄ちゃん。思い出したことがあるの」
これはいいぞ。
「船があったよ。バラバラになって壊れた船」
「それ私も見ました」
空蝉が反応する。
「どこだ? 」
「えっとねえ…… たぶんね…… 」
はっきりしないリンを無視して空蝉に迫る。
「思い出してくれ。手掛かりになるはずだ! 」
肩を掴み上下に揺らす。
「興奮しないでください。言いますから」
焦ってはいけない。冷静に冷静に。
「確かこの海の右。方角で言うと東」
「こっちだな。よし…… 」
「真っ直ぐの道があるでしょう。そこを歩いて行くと崖にぶつかります。崖下の端っこに隠すように船が置かれていました」
「よしいいぞ。さっそく探そう」
「待って! あそこは危ないですよ」
ムーちゃんが注意する。
「知ったことか! 手掛かりはそこにしかないんだ」
「ゲンジさん…… 」
「では参加する奴? 」
「ハーイ」
何も考えずに手を上げるリン。
「私も」
亜砂が案内役を引き受ける。
残りの者は夕食準備とコテージの掃除に分かれた。
「よし行こう! 」
リンと亜砂を連れ崖に向かう。
直線距離はさほどないが海に沿った道の為、大回りすることに。
あってないような緑の道を切り開いていく。
さっきからリンが大声で歌うのでうるさくて敵わない。
「静かにしろ! 頭に響く。暑いだろうが! 」
「だって…… 明るく元気に行こうかなあって…… 」
リンが落ち込んでしまった。
「暑いのはリンのせいじゃないもん」
泣きそうになったので慰めてやる。
「いいよ。好きにしていいぞ。許可する」
「わーい。やった! 」
大声で再び歌いだした。
暑さと騒音でどうにかなりそうだ。
「ゲンジ! 早く行こう! 」
一番後ろを歩いている亜砂。
水着一丁でうろついているが大丈夫だろうか。
痒さもそうだがサンダルでは足に負担がかかる。
「きゃあ! 」
足を滑らした。
「うわ! 」
亜砂に押される形で転びそうになる。
どうすることもできずにリンにしがみつく。
「止めてよお兄ちゃん! 」
リンのふざけた表情が凍り付く。
崖っぷち。
このまま行けば崖下にダイブすることに。自然のアトラクション。
ずいぶん涼しく楽しそうでもあるが安全はまったく保障されていない。
「危ない! 」
「お兄ちゃん! 」
「うおおお! 」
なんとか持ちこたえ崖ギリギリでストップ。
危機一髪のところだった。
「お兄ちゃん酷いよ! 」
「いや…… 亜砂が押すもんだから…… 」
「ええっ? 私? 」
「履きづらいサンダルなんかで来るからだ! 」
「私それしか持ってないし! 」
キレだした。
何をするか分からない。ここは大人しく謝る。
「君は悪くない! 悪いのは絡まった草と枝。そう君はちっとも悪くない」
しっかり否定してやる。
「ゲンジ…… 」
いい雰囲気。大人の時間の始まり。
しかしここにはリンがいる。
「さあ行こうお兄ちゃん! 」
無理矢理引っ張っていく。
「おい止めろ! 危ないだろ? リン! 」
リンを落ち着かせ崖の前で立ち止まる。
目的地に到着。
「俺…… 」
「ゲンジ! 見てきてよ! 」
「お兄ちゃん頑張って! 」
「おい嘘だろ」
崖の下を覗く。
「どうお兄ちゃん? 」
知るかよ!
何が悲しくて崖下など覗くか。
覗くならやっぱり……
おっと…… まずいまずい。
自分の世界に入り込んでしまった。
前回は気づかなかったが確かにある。
崖下の奥の方に船のようなシルエットが。
一目で壊れているのが分かる。大きさから推測すると小型船のボートみたいだ。
どういうことだろう?
「リン何か知ってるか? 」
「分かんない! 」
何も考えずに即答。
少しは考えてもいいものだ。
「ちなみに亜砂は? 」
「さあ…… 興味ない」
「降りようよお兄ちゃん」
一ミリの恐怖も感じていないリン。
大丈夫かこいつ?
リンが笑う。
「いや俺は実は…… 」
「ゲンジ? 」
「すまん。どうやら高所恐怖症みたいなんだ」
「ええっ! お兄ちゃん変なの! 」
一人でも行こうとするので必死に止める。
蹴った小石が落ちて崖下に吸い込まれていく。
想像しただけで血の気が引く。
「なあ。今日はこれくらいにしないか? 」
「ええっ? どうして面白そうなのに」
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