夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

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暗号解読 振り出しに戻る

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八日目。
発掘作業は大詰め。
「ありませんね」
「ああ。こっちも手応えなしだ」
掘れるだけ掘ってもう残すところ僅か。
「ダメです全滅です」
「同じく」
やっぱり無いのか。それとも……
「博士。その暗号は間違ってるんじゃないですか? 」
「馬鹿な! 」
「でも全て掘り返してもありませんでしたよ」
「仕方がない。ここも掘るしかない」
山小屋を指す。
「ええっ? 」 
「考えられるのはもうここしかない」
止めるのも無視して掘り始めた。
「待ってください! 」
「どうした? 」
「分かったんです。その暗号の意味が」
「ほう、では一応見解を聞こうか」
「暗号だからと言って答えがあるとは限りません。
もしかしたら繋がるヒントがこの小屋に隠されているのかもしれません」
「ほう。面白い説だな。ならば聞こう。どこにあるんだ? 」
「それは…… 」

「これなんかどうです。カレンダー」
おかしい。ここにカレンダーがあるのは不自然だ。
買って持ってきたことになる。
だがカレンダーを隈なく調べたがやはり手掛かりは見当たらなかった。

ではこの時計は?
電池式の時計。
もう動かなくなっているが電池さえあれば問題ない。
うーん。これもダメか。

ではこの箱は……
茶色の箱を持ち上げる。
「うーん」
まったく手掛かりが見つからない。
暗号自体が間違っていたとか?
箱を開く。
何もなさそうだ。
箱をひっくり返す。
やっぱり何も……
ヒラヒラ
一枚の紙。
茶色の紙切れ。
同色でカモフラージュされておりただ中を覗いただけでは気づかない。
これはトリックだ!

「博士! 」
「どうした? ゴミは要らん! 」
「これは暗号ですよたぶん」
「どれどれ」
有無を言わせずに奪い取り見せてはくれない。
俺の手柄だと言うのに。
「どうです博士? 」
「どうと言われてもなあ」
『ST』
アルファベット二文字。
「どうだね? 」
「俺に分かる訳ないでしょう」
「くそ! 振り出しだ! 」
「諦めないで博士。一つ前進ですよ」
「いやスタートに戻された気分だ」
「うん。スタート? 」
「どうした? 」
「いえ…… 」
『ST』
『START』
「もしかして…… 」
「どうした。答えが分かったのか? 」
「はい。閃きました! 」
「早く教えろ! 」
「いいですか…… 」
「何! ST=STARTだと! そんな単純なわけあるか! 」
「いいんですよこれで」

振り出し。
スタート。
始まりの場所。
アダムとイブ?

「博士分かりますか? 」
始まりとは何か?
「哲学的過ぎる。私にはさっぱり」
「そんな難しく考えなくていいんじゃないんですか。もっとシンプルに」
「ならばシンプルにどう解釈する? 」
「この島の始まりの場所と言えば海。船。ビーチ。または小屋」
「小屋っていうと我々が暮らしているあれか? 」
「そうですよ。間違いない! 上陸してすぐに目に留まったでしょう。何の疑いもなく使っていたが一番怪しいじゃないですか。一体誰が何のために用意したと言うんです? 」
博士は首を捻る。
「確かに君の言う通りだ。私としたことがこのとんでもない違和感に気付かなかった。便利な建物としか…… 」
「それは俺も。変だなんて普通思いませんよ」
「よし戻ろう! 」
博士の目の色が変わった。

相変わらず重い荷物を持たせ先を行く。
しかし急げとは言わない。
ちょっとは反省したと見える。
「博士。少しは…… 」
どんどん先を進む。まるで無邪気な子供のように。
「博士? 」 
いくら呼びかけても止まってはくれない。
ついには走り出した。
「待ってください! 下りを急ぐと危ないですよ! 」 
何を言っても聞かない。
忠告を無視してまるで人が変わったように一心不乱に下る。
これはおかしい。絶対に何かある。

山を下り元来た道を戻ると海岸沿いの道に出た。
さあもうすぐ着く。
博士は一人先に行ってしまった。
見えないぐらいだからもう着いたのかもしれない。
重い荷物を担ぎビーチまで戻る。
さあ後は帰るだけ。
疲れた。

小屋に到着。
まだ昼過ぎ。暑くて敵わない。
はあはあ
はあはあ

ザクザク
ザクザク
中から土を掘る音がする。
「博士帰りました! 」
返事が無い。
ザクザク
ザクザク
奇妙な音がする。
「博士! うわっ! 」
もはや俺の知っている博士はそこには居なかった。

「私のだ! 誰にも渡すものか! 」
予備のスコップを持ち出し景気よく掘る。
腰がどうだとか年だとか言ってなかったか?
呼びかけてもすぐには反応しない。
聞こえないのかただ無視しているだけなのか。
目の色を変え一心不乱に動かす。
「博士? 何やってるんですか? 」
「見て分からないか! 掘り返している」
「それはそうですけど…… 」
手掛かりもなく全部を掘り返すなんて…… しかも本当にあるとも限らないと言うのに。
「ああ! こんなにしちゃって。今日どうやって寝る気ですか? 」
「うるさい! 知るかそんなこと! 」
「はいはい。どこからそんな道具を…… 」
予備の発掘道具一式は錆びついて役に立ちそうにない。
「大丈夫ですか? 手伝いますよ! 」

ザクザク
ザクザク
ちっとも反応しない。ただ掘り続けている。
おかしなものだ。
「手伝いますって! 」
大声で呼びかける。
「お前はいい! この宝は私の物だ! 」
もはやいつもの博士ではない。
もはや人間ではない。
裏切りの博士。
我慢の限界。

                    【続】
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