38 / 61
最期の晩餐
しおりを挟む
パーティー開始。
さあ今日は楽しもう。
どこからか持ち出した酒を振る舞う空蝉。
「これは? 」
「置いてあったのを失敬してきました」
パーティーには酒は付き物だが勝手に持ってきてはいけない。
空蝉らしくない。浮かれているのか?
「まずくないか? 」
「大丈夫ですよ。品質に問題はありません」
そう言うことではないんだが……
「さあゲンジも一杯飲もうよ」
アイミが絡んできた。
酒癖がいいとは言えない。
それにしても未成年じゃなかったのか?
「しょうがないなあ」
前回のような二日酔いにならない程度に抑えて。
久しぶりのお酒。うまくないはずがない。
「ゲンジさん! 全然飲んでいないじゃないですか? 」
ムーちゃんが心配する。
俺は彼女たちの方が心配だ。
この勢いで飲まれては皆二日酔いだ。
「俺はちょっと…… 」
「ゲンジ楽しくなさそう」
亜砂も出来上がっている。
「いやそんなことは無いが…… それよりも踊らないか? 」
「うん。うん。賛成! 」
「お兄ちゃん! 」
「ゲンジさん」
「ゲンジ! 」
「困ったな…… しょうがないみんなで踊ろう」
「誰か歌ってくれ。 リンは? 」
「リンは音痴だから代わりに私が」
亜砂が節をつけて歌い始めた。
よし。乗って来たぞ。さあ踊ろう!
リンはムーちゃんと。
俺は三人で即興のダンス。
アイミが左手を。
空蝉が右手を掴む。
「もうリンも! 」
「私だって! 」
「ああもう暑苦しい! みんな離れろ! 」
贅沢過ぎる悩み。
「もう限界。疲れた。よし踊りはこれくらいで」
「皆さん! お食事にしましょう」
お待ちかねの魚が焼けた。
「お兄ちゃん。リンの魚おいしい? 」
リンが甘えた声を出す。
「うまいうまい! 」
「リンも! 」
あーいい気分だ。楽しい。楽しい。
うん。満足満足。
積極的で素直な少女たち。
いつもこうだといいんだが……
幸せな時間を過ごす。
控え気味に飲んでいた俺と元々ジュースしか飲まないリンと下戸の空蝉を除く三人は酔い潰れてしまった。
仕方ない。そろそろお開きにするか。
他の者は空蝉に任せアイミをベッドに寝かせる。
「おやすみゲンジ」
「ああ。早く寝ろ! 」
「えへへへ ゲンジ! 」
酔っぱらいその者。
「吐くなよ! 」
仕方なく眠りにつくまで見守ってやることにした。
夜が更けていく。
翌朝。
「何度言ったら分かるんだ! 」
男の怒りが爆発する。
「酒を飲ますな! それから昨日お前たちは何をした? 」
「その…… 何とか記憶を消そうと…… 」
「馬鹿野郎! お前らのは殺人だ。滅茶苦茶じゃないか! 」
「空蝉! 」
「はい」
「お前はまだいい。だが他の者は一歩間違えれば死んでしまっているぞ。そんなに殺したいのか? 」
「いえ。多少荒くても目的が果たせればと…… 」
「それで結果は? 」
「全てかわされました」
「偶然だと思うがお前らは警戒されているぞ」
「では今度はばれないように慎重にやります」
ふう……
ため息が漏れる。
「もういい! 違う手を考える」
ざわざわ
ざわざわ
「分かっていると思うが奴が亡くなればお前らも消える。
それぐらい理解できると思っていたがな…… 次はないぞ! 」
「はい。肝に銘じます」
「よろしい。では次の作戦だ」
「待ってました! 」
ここぞとばかりに騒ぐリン。
「もう時間の問題と言ったな? 」
「はい」
「しかし手が無い訳じゃない」
考えられる手立て。それは……
「新たな手を打つ」
「新たな手? 」
「即ち財宝を掘り出すんだ」
「ええっ? うそ…… 」
皆一様に驚く。
「邪魔をするのではないのですか? 」
「いや。今はもうその段階ではない」
何を言っているのか訳が分からないと顔を見合わせる少女たち。
「奴に協力してやれ」
「協力? しかしどうやって? 」
「それとなく教えるんだ」
方向転換。
「よし。分からないことはあるか? 」
「PTとは何でしょう? 」
「それを俺に聞くか? まあいい。答えてやろう。PTに意味はない。ただの続きでしかない」
「本当ですか? 」
「ああ。二度と誰にも見つからないように偽の暗号を仕込んでおいた」
「ではPTではないと? 」
「ああ。PTだろうとETだろうとTTだろうと何でもいいんだ。暗号だと思わせればな」
「PTに意味が無い? そんな…… 」
「本当の答えはSTだ」
「ST? 」
「ああ。それが最後のヒントだ」
PTからSTへ。
「これ以上は俺の口からは言えない。奴に解いてもらえ。分かったな? 」
「はい」
「よし。行け! 」
歩き出す。
しかしリンだけは動こうとしない。
「何だ? 何か用か? 」
「PTって何? 」
相変わらず意味不明なガキだ。
「意味など無いって言ったろ! 」
「本当? 」
「俺を疑ってんのか? ふざけやがって! 」
「リン早く! 」
「ほら呼んでるぞ。早く行っちまえ! 」
睨みつける。
リンは動じない。
くそ!
根負けする。
「まったくこのガキが! 分かったよ」
降参するしかない。
「意味はあるさ。PT はな…… お前らのことだ。後は自分で考えろ! 」
男は姿を消した。
リンも釣られるように去って行った。
もう時間は残り僅か。
頑張れよ。お前ら!
ははは!
回想。
「ねえ、博士って厳しい? 」
「俺の口からは何とも」
「君からは同じ匂いがするんだ」
「匂い? 何のことだ? 」
「似た者同士ってこと」
「どこが? 」
「君も一人なんでしょう」
「お前もか? 」
「うん。ここで一人暮らし」
「そうか…… 」
「それから…… 」
「つまらない話はよそう。もっと楽しいこと。宝とか」
「そっか…… 君も昔話を信じてるんだ」
「俺がじゃないよ。あの爺だよ」
「興味はないの? 」
「ない! って断言できるほど俺は人ができてないさ。
あるんなら拝ませてもらいたいものだ。へへへ」
「それは困ったな…… 」
「何! 」
「ううん」
「もう寝ようぜ。無駄話してると明日に響く。博士がうるさいんだ」
横になる。
おやすみなさい。
【続】
さあ今日は楽しもう。
どこからか持ち出した酒を振る舞う空蝉。
「これは? 」
「置いてあったのを失敬してきました」
パーティーには酒は付き物だが勝手に持ってきてはいけない。
空蝉らしくない。浮かれているのか?
「まずくないか? 」
「大丈夫ですよ。品質に問題はありません」
そう言うことではないんだが……
「さあゲンジも一杯飲もうよ」
アイミが絡んできた。
酒癖がいいとは言えない。
それにしても未成年じゃなかったのか?
「しょうがないなあ」
前回のような二日酔いにならない程度に抑えて。
久しぶりのお酒。うまくないはずがない。
「ゲンジさん! 全然飲んでいないじゃないですか? 」
ムーちゃんが心配する。
俺は彼女たちの方が心配だ。
この勢いで飲まれては皆二日酔いだ。
「俺はちょっと…… 」
「ゲンジ楽しくなさそう」
亜砂も出来上がっている。
「いやそんなことは無いが…… それよりも踊らないか? 」
「うん。うん。賛成! 」
「お兄ちゃん! 」
「ゲンジさん」
「ゲンジ! 」
「困ったな…… しょうがないみんなで踊ろう」
「誰か歌ってくれ。 リンは? 」
「リンは音痴だから代わりに私が」
亜砂が節をつけて歌い始めた。
よし。乗って来たぞ。さあ踊ろう!
リンはムーちゃんと。
俺は三人で即興のダンス。
アイミが左手を。
空蝉が右手を掴む。
「もうリンも! 」
「私だって! 」
「ああもう暑苦しい! みんな離れろ! 」
贅沢過ぎる悩み。
「もう限界。疲れた。よし踊りはこれくらいで」
「皆さん! お食事にしましょう」
お待ちかねの魚が焼けた。
「お兄ちゃん。リンの魚おいしい? 」
リンが甘えた声を出す。
「うまいうまい! 」
「リンも! 」
あーいい気分だ。楽しい。楽しい。
うん。満足満足。
積極的で素直な少女たち。
いつもこうだといいんだが……
幸せな時間を過ごす。
控え気味に飲んでいた俺と元々ジュースしか飲まないリンと下戸の空蝉を除く三人は酔い潰れてしまった。
仕方ない。そろそろお開きにするか。
他の者は空蝉に任せアイミをベッドに寝かせる。
「おやすみゲンジ」
「ああ。早く寝ろ! 」
「えへへへ ゲンジ! 」
酔っぱらいその者。
「吐くなよ! 」
仕方なく眠りにつくまで見守ってやることにした。
夜が更けていく。
翌朝。
「何度言ったら分かるんだ! 」
男の怒りが爆発する。
「酒を飲ますな! それから昨日お前たちは何をした? 」
「その…… 何とか記憶を消そうと…… 」
「馬鹿野郎! お前らのは殺人だ。滅茶苦茶じゃないか! 」
「空蝉! 」
「はい」
「お前はまだいい。だが他の者は一歩間違えれば死んでしまっているぞ。そんなに殺したいのか? 」
「いえ。多少荒くても目的が果たせればと…… 」
「それで結果は? 」
「全てかわされました」
「偶然だと思うがお前らは警戒されているぞ」
「では今度はばれないように慎重にやります」
ふう……
ため息が漏れる。
「もういい! 違う手を考える」
ざわざわ
ざわざわ
「分かっていると思うが奴が亡くなればお前らも消える。
それぐらい理解できると思っていたがな…… 次はないぞ! 」
「はい。肝に銘じます」
「よろしい。では次の作戦だ」
「待ってました! 」
ここぞとばかりに騒ぐリン。
「もう時間の問題と言ったな? 」
「はい」
「しかし手が無い訳じゃない」
考えられる手立て。それは……
「新たな手を打つ」
「新たな手? 」
「即ち財宝を掘り出すんだ」
「ええっ? うそ…… 」
皆一様に驚く。
「邪魔をするのではないのですか? 」
「いや。今はもうその段階ではない」
何を言っているのか訳が分からないと顔を見合わせる少女たち。
「奴に協力してやれ」
「協力? しかしどうやって? 」
「それとなく教えるんだ」
方向転換。
「よし。分からないことはあるか? 」
「PTとは何でしょう? 」
「それを俺に聞くか? まあいい。答えてやろう。PTに意味はない。ただの続きでしかない」
「本当ですか? 」
「ああ。二度と誰にも見つからないように偽の暗号を仕込んでおいた」
「ではPTではないと? 」
「ああ。PTだろうとETだろうとTTだろうと何でもいいんだ。暗号だと思わせればな」
「PTに意味が無い? そんな…… 」
「本当の答えはSTだ」
「ST? 」
「ああ。それが最後のヒントだ」
PTからSTへ。
「これ以上は俺の口からは言えない。奴に解いてもらえ。分かったな? 」
「はい」
「よし。行け! 」
歩き出す。
しかしリンだけは動こうとしない。
「何だ? 何か用か? 」
「PTって何? 」
相変わらず意味不明なガキだ。
「意味など無いって言ったろ! 」
「本当? 」
「俺を疑ってんのか? ふざけやがって! 」
「リン早く! 」
「ほら呼んでるぞ。早く行っちまえ! 」
睨みつける。
リンは動じない。
くそ!
根負けする。
「まったくこのガキが! 分かったよ」
降参するしかない。
「意味はあるさ。PT はな…… お前らのことだ。後は自分で考えろ! 」
男は姿を消した。
リンも釣られるように去って行った。
もう時間は残り僅か。
頑張れよ。お前ら!
ははは!
回想。
「ねえ、博士って厳しい? 」
「俺の口からは何とも」
「君からは同じ匂いがするんだ」
「匂い? 何のことだ? 」
「似た者同士ってこと」
「どこが? 」
「君も一人なんでしょう」
「お前もか? 」
「うん。ここで一人暮らし」
「そうか…… 」
「それから…… 」
「つまらない話はよそう。もっと楽しいこと。宝とか」
「そっか…… 君も昔話を信じてるんだ」
「俺がじゃないよ。あの爺だよ」
「興味はないの? 」
「ない! って断言できるほど俺は人ができてないさ。
あるんなら拝ませてもらいたいものだ。へへへ」
「それは困ったな…… 」
「何! 」
「ううん」
「もう寝ようぜ。無駄話してると明日に響く。博士がうるさいんだ」
横になる。
おやすみなさい。
【続】
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
黒に染まった華を摘む
馬場 蓮実
青春
夏の終わりに転校してきたのは、忘れられない初恋の相手だった——。
高須明希は、人生で“二番目”に好きになった相手——河西栞に密かに想いを寄せている。
「夏休み明けの初日。この席替えで、彼女との距離を縮めたい。話すきっかけがほしい——」
そんな願いを胸に登校したその朝、クラスに一人の転校生がやってくる。
彼女の名は、立石麻美。
昔の面影を残しながらも、まるで別人のような気配をまとう彼女は——明希にとって、忘れられない“初恋の人”だった。
この再会が、静かだった日常に波紋を広げていく。
その日の放課後。
明希は、"性の衝動"に溺れる自身の姿を、麻美に見られてしまう——。
塞がっていた何かが、ゆっくりと崩れはじめる。
そして鬱屈した青春は、想像もしていなかった熱と痛みを帯びて動き出す。
すべてに触れたとき、
明希は何を守り、何を選ぶのか。
光と影が交錯する、“遅れてきた”ひと夏の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる