夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

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意味なんてない!

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昼。
飲み過ぎにより不覚。昼過ぎまで寝てしまった。
まあいつものことだが。
うーん。気持ちが悪い。
頭が痛い。二日酔いだ。
これでも抑えたつもりなんだが。
うわああ!
遅刻だ遅刻だ! やってしまった!
これはまずい。どうしよう。怒られる……
などと焦る必要はない。
ここは無人島。
時間は無限にある。
暗号解読もあと一歩。
PTの意味さえ分ればいいのだ。

PT・PT・PT
考えても考えても何のことだか見当もつかない。
自分の力だけではどうにもならない。
降参だ。誰か助けてくれ!

あーあ。博士を生かしておくんだった。
しかしなぜ俺は手をかけてしまったのか。
確か尊敬していたはずだよな?
もしかして俺は博士を殺してない?
感覚が無いんだよなあ。
もし殺したなら感覚が残っていてもおかしくないんだが。

どうやって殺した?
毒殺か?
銃などないが銃殺とか?
扼殺が一般的か。
刺殺?
まあ何でもいいや。
過去のこと。過去のことだ。
忘れよう。
人間、過去は振り返らない。
未来だけを見続けよう。
さあ今日ものんびりいくか。

まずはPT。
あーあ。博士が居なくても資料ぐらいあればまだ何とかなるんだけど。
ここには辞書さえない。
PT載ってないかなあ……
いくら時間があると言ってもただ無駄に過ぎていくのは耐えられない。

「お困りですね? 」
突然姿を現したムーちゃん。
「二日酔いか? 」
「いえ大丈夫です。ご心配なく」
「PTって分かるか? 」
「いや、やっぱりいい。空蝉に聞くわ」
「ちょっと待ってください! 私だと信用ならないって言うんですか? 」
「当たり前だ! 昨日のこともあるしな」
「昨日? 何のことですか? 」
ムーちゃんはさも不思議といった態度。
「とぼけても無駄だ! お前俺を突き落しただろ? 」
「ああ。まだ覚えていたんですか。でもあれはたまたま偶然起きてしまったことで。
そもそもゲンジさんが私の足ばかり見ていなければ起こりませんでしたよ」
「ふん。しらじらしい奴だ」
「私では信用できませんか? 」
「いや…… ごめん言い過ぎた」
確かに偶然には出来過ぎだが…… 証拠は何もない。
「こちらこそ疑われるような真似をしたみたいで申し訳ありません」
謝られては黙るしかない。
ムーちゃんをもう一度信じることにしよう。

「そうだPT…… 」
「お兄ちゃん? 」
「ゲンジ! 」
リンと亜砂のコンビが駆けてきた。
「一緒に泳ごうよ! 」
強引に連れていかれる。
まあ気分転換にちょうどいいか。
「ムーちゃんどうしたの? 」
「それが亜砂…… ゲンジさんが私たちのことを疑っているみたい」
「ゲンジ! 」
「お兄ちゃん! 」
「いやだって…… 」
俺が悪いのか?
三対一では分が悪い。

一時間ほど海へ。
浅瀬で鬼ごっこ。
リンが鬼。
「待ってよ! 」
広いビーチと海を逃げ回る。
「それでゲンジ。まだ信じないの? 」
「いやそうじゃないが。昨日のお前らは異常だったぞ。まるで何かに操られているようだった。
まさか暗殺指令でも下ったとか? 」
様子を見る。
「お兄ちゃん! 」
バチャ バチャ
「来たぞ! 」
「もう! 逃げないでよ! 」
リンが無茶を言う。
はあはあ
はあはあ
「馬鹿! ゲンジ。あなたが居なければ私たちはもう…… 」
「亜砂…… 」
「疑うようなことをしたなら謝るね。でも本意じゃなかったの」
「いや、いいんだ。俺の勘違いだ」
有り得ないことだが勘違いでいいじゃないか。
過去のことに拘るなんて無意味。
俺がいて皆がいる。それだけでいい。
「お兄ちゃん捕まえた! 」
リンが抱き着いてきた。
「もちろんリンもわざとじゃないんだよね? 」
「ううん」
「リン? 」
「リン子供だから分かんない! 」
ダメだこりゃ。
鬼ごっこを終えコテージに戻る。

さっそく。暗号解読へ。
「PTって分かるか? 」
「ははは! 意味なんてないんだよお兄ちゃん」
「そうそう」
「簡単に言えばそういうことになりますね」
リンのいい加減な答えになぜだか同意する二人。
「おいふざけてるのか? 」
「ううん。本当のことだよ」
「リン! 」
「他の人に聞いてみたら? 」
確かに…… 亜砂の勧めを受け入れる。

とりあえずアイミに聞いてみるか。
アイミ。アイミ。
肝心な時に見つからない。
どこに行ったのだろう?
「アイミ? あれ空蝉もいないや」
「あーそう言えば…… 果物を取りに行くって」
「仕方ない後だな。晩飯の調達でもするか。リン手伝え! 」
「分かったよお兄ちゃん」

毎日魚だと飽きてしまうので今日はカニと貝で変化をつけてみる。
「お兄ちゃんでっかいの! 」
カニと言ってもヤシガニの一種で海岸をうろついているため仕留めるのは簡単。
ナイフで一突き。
興奮したリン。
「よし真似してみろ! 」
「分かった。やってみる」
「ほらそっちに行ったぞ」
「早いよう…… 」
「動きをよく見ろ! どこに向かっているか考えろ! 」
ブン!
空を突く。
「惜しい! 頑張れ。そっちに行ったぞ! 」
「きゃあ! 」
「ダメだこりゃ」
「もうお兄ちゃん…… 」
「ははは! リンにはまだ難しかったかな」
獲物はすり抜けてどこかへ行ってしまった。
リンに捕まる間抜けはいないらしい。
リンの初体験は苦いものとなった。

                 【続】
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