夏への招待状 失われた記憶と消えゆく少女たち 無人島脱出お宝大作戦

二廻歩

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最後の謎解き 犯人は俺?

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目当てのカニも取れたことだし潮干狩りと行こう。

貝採り。
ザクザク
ザクザク
傷つけないように慎重に掘る。
「お兄ちゃん! 」
リンがはしゃぎまわる。
教えるのも一苦労。

うん? 頭が! 頭が!
封印された思い出がよみがえる。
ザクザク
ザクザク
何だ? 何かを掘っている?
ここは建物の中。
山小屋ではないようだ。
だとしたらコテージ?
いや違う。違和感がある。
ここはどこだろう?
俺は一体何を?
土をかぶせる。
まさか死体?
フラッシュバック?
こちらを睨んでいる。
何を恨めしそうに見ていやがる!
俺が悪いんじゃない。
お前が悪いんだ! お前らが……
うおおお!
止めてくれ! もう思い出したくない。
「誰か助けてくれ! 」
「お兄ちゃん? お兄ちゃん? 大丈夫? 」
リンが心配そうにのぞき込む。
「俺は誰だ? 誰なんだ? 教えてくれ! 」
「お兄ちゃん…… 」

落ち着きを取り戻した。
何とか夕飯には足りそうだ。
間抜けにものこのこ歩いていたカニをキャッチ。
これで文句ないだろう。
戻る。

「ゲンジさん」
アイミと空蝉が戻っていた。
話は飯の時にでも。
リンゴとココナッツもある。
デザートが楽しみだ。

カニと貝のスープを味わう。
うん。出汁が効いている。
「うんうまい。うまい」
たまらずにお代わり。
さすがは空蝉だ。頼りになる。
続いて貝の残りを焼く。
満足満足。
本題に入るとするか。

「なあアイミ。PTって何か分かるか? 」
アイミがムーちゃんを見る。
ムーちゃんが頷き、促す。
「PTに特別な意味はないよ」
「嘘だ! そんなはずはない! 」
なぜ断定できる。なぜ知っているのか?
いくら俺が細かいことを気にしないからと言ってその違和感は払拭できない。
「ほら落ち着いてゲンジ」
「これが落ち着いてられるか! 」
「いい? これはあなたを混乱させるために仕掛けた罠。時間稼ぎの意味もある」
「どういうことだ? 」
「もうしょうがないなあ。本当はPTじゃなくてSTだったの」
「ST? 本当か? なぜ知っている? 」
「私もそう聞いております」
空蝉がデザートを持ってきた。
遠慮なくリンゴを丸かじり。
さほど大きくないミニリンゴなので食後にはもってこい。

「PTに意味はありません」
空蝉が言うと説得力がある。
「そんなことないよ! 意味はあるもん! 」
リンが反論する。
「PTは…… 」
アイミが睨む。
リンは下を向いてしまった。

「まあいいや。それでSTだと」
「はい」
「STってまさか? 」
「もうお分かりになりましたか? そうです。その通りです」
「やっぱり…… 」
「ですが今日はもう遅いですし明日にでも」
「それがいい。ゲンジそうしなよ」
財宝は逃げはしない。
大人しく言うことを聞くか。
楽しみは明日に取っておく。

翌日。
最後の総仕上げ。
ST
青空教室に全員を集める。
「それでは始めようか」
「どうしたのお兄ちゃん。真剣な顔しちゃって」
リンのおふざけが始まった。いちいち付き合ってられない。
無視を決め込む。
「まるで探偵みたいですね」
「そうそうムーちゃんの言う通り」
「誰が犯人なの? 」
「お前ら黙ってろ! 調子が狂う」
「では発表してもらいましょう。おっと失礼。披露してもらいましょうでしたね」
空蝉までふざける。
これでは収拾がつかない。

「犯人は? 探偵さん」
「犯人は俺かな? 」
「おおお! 」
歓声が上がる。
「違う違う。そんな単純なものか。と言うよりもジャンルが違う。
これは宝さがしではないか」
「早くしてよお兄ちゃん! 」
リンは我慢できない。
「では冗談はこれくらいで。STの意味が分かった者? 」
「はーい! 」
「はい! はい! 」
全員分かったようだ。
一晩あったのだ誰でも分かるか。
「では発表しよう」
皆の顔を順に見ていく。
「STとは…… STARTのことだ! 」
「お兄ちゃん凄い! 」
どうやらリンはまだ理解してなかったようだ。
それはそれで立派とも言える。

「STARTとはどこか? 
始まりの場所。
振り出し。
出発地。
この島に当てはめるとそれはコテージになる」

「凄いよお兄ちゃん! 」
「何だ分かったんだ…… 」
「早くしましょう」
リンだけが褒めてくれる。
「よしコテージを掘り返すぞ! 」
「おう! 」

発掘開始。
ザクザク ザクザク
ザック ジャッブ
ザックザック ジャパン
事前に邪魔なベッドを退かしスペースができた。
そこに走り込んでシュート。
「ゴール! 」
リンの悪ふざけだ。
こんな大事な時に何をやらせようと言うのか。
「遊ぼうよお兄ちゃん」
「もうすぐなんだから邪魔をするな! 」
「ええっ? つまんない! 」
地味な発掘作業に飽きたようだ。
リンらしいが笑ってはいられない。

ザクザク
ザクザク
掘り進めていく。
近い。もうすぐだ。
金銀がもう目の前だ。
オイルマネーで潤った?
莫大な金銀。
「お兄ちゃん? 」
「そこは危ないからどっかに行ってようね」
簡易式の床なので簡単に取り外すことができた。
まあ畳みたいなもの。
ボロ小屋にはお似合いだ。

「リン! 」
危険だから近寄るなと言っているのだが言うことを聞かない。
「手伝うよ」
「良いから! 大人しくしてろ! 」
「はーい」
渋々引き下がった。
リンはまだましだ。
他の奴らは姿を見せようともしない。
まあ穴掘りなんて疲れるだけなので楽しくもない。
リンが稀なのだ。

さあ最後の仕上げといこう。


                 【続】
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