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三つの袋
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発掘作業中。
ザクザク
ザクザク
一人で掘り進める。
疲れたな……
やはりリンにも手伝ってもらうべきだったかな。
いやこれは俺の役目だ。
他の者に任せる訳にはいかない。
財宝を目の前にすればどんな人物だって我を失い独り占めしようとするはず。
それは俺も例外ではない。
だから彼女たちにそうはなって欲しくない。
これが親心と言うものか?
きれいなままでいて欲しい。
お宝はもう目の前。
現実的な考えが浮かぶ。
待てよ。このまま財宝を見つけたとしてまさか六当分なんてことはないよな?
確認するのを忘れた。
リンはどうにでもなる。
空蝉も分かってくれるだろう。
問題はアイミと亜砂だ。
きっちり要求してきそうだ。
当然の権利だと主張されるかも。
そんな時ムーちゃんが割り込んで来たら厄介だぞ。
彼女に言い負かされるかもしれない。
誤魔化すのは不可能に近い。
六当分は仕方がないか。
潔く諦めて六等分を受け入れるしかない。
いや待てよ。楽観的すぎるか?
俺には寄越さない恐れだってある。
もし俺が博士を殺害していたら余計不利になる。
どうする?
「ありましたか? 」
空蝉が様子を見に来た。
俺を心配して? それとも…… 狙っている?
くそ! 俺の物だ! 誰にも渡さない! この宝は俺の物だ!
うおおお!
発掘に力が入る。
そろそろだろうか?
ガンガン
ガンガン
何かに当たった音。
間違いない。お宝だ。
取り出せるように周りを掘っていく。
お宝が傷つかないように慎重に掘る。
よし。もういいだろう。
土を取り除く。
さあ見えてきた。
お宝の一部がお目見えになった。
感動の瞬間。
今までの苦労が報われる時。
土を完全に取り除き重い袋を引っ張り上げる。
無数の金属がこすれる音がする。
これはすごい! 大量だ。
袋を取りだしナイフで切り裂く。
金貨と銀貨が飛び出してきた。
コインが辺りを埋め尽くす。
どうやら海外の貴重な硬貨らしい。
「やった! 見つけたぞ! 」
嬉しくなってついつい呼んでしまう。
さすがに独り占めはできない。
「ゲンジさんあったんですか?」
「お兄ちゃん! 」
「やったねゲンジ! 」
皆と喜びを分かち合う。
「宝だ! 財宝だ! やった! やったぞ! 」
いつの間にか飛び跳ねていた。
「お兄ちゃんやったね! 」
リンが飛び込んできた。
二人で抱き合う。
「あれこれだけなのゲンジ? 」
さすがは冷静なムーちゃん。これだから侮れない。
「まさかこれは序の口だ。近くに埋まっているはずだ。よく探せ! 」
皆で手分けして回収にかかる。
「お宝! お宝! 」
「ゲンジ浮かれすぎ」
「ははは! 」
「さあ次のお宝は何かな? 」
合計三つの袋が見つかった。
「ははは! 三つの袋だって…… 」
「三つの袋って何? 」
「それはもちろん堪忍袋とお袋と…… おいおい何を言わせるんだまったく」
リンによって脱線させられる。
「ねえお兄ちゃん? 」
「知るか! 空蝉にでも教えてもらえ」
「それはですね…… 」
リンを空蝉に押し付けてお宝を拝む。
一つ目の袋には金銀の硬貨。
袋一杯に詰め込まれていた。
これだけでも相当な価値がある。
さあ二つ目を開けてみるか。
ずっしりと重い。
これは当たりかも知れない。
「おい誰か手伝ってくれ! 」
リンと空蝉以外の者に助けを求める。
「行くぞ! 」
勢いに任せてばら撒く。
ゴンと音がする。
「ま…… 眩しい」
金塊が姿を現した。
ついにお目見えした超大物。
これは凄い。
軽く億は超える。
ついに金銀財宝を拝むことができた。
この為に今まで苦労したのだ。
ようやく報われる時が来たのだ。
うーん。遠かった。長かった。
でも……
自分を信じて今日まで来たのだ。
さあお祝いをしようじゃないか。
「ねえゲンジ。もう一個あるよ」
「開けようよ。お兄ちゃん」
袋を開く。
「あれ軽いな。何だこれ? 」
ガラクタか?
袋の中に袋。
二重になっている。かなりのお宝かもしれない。
「よしみんな集まれ! 最後のお宝を拝むとしよう」
「何? 何? 」
袋を開けると今度は紙袋が見えた。
どれだけ厳重に保存されていたのか。
紙袋から箱が出てきた。
開けると今度は少し小さな箱が現れる。
最後に小さな木箱が出現。
「うおおお! 」
「何だこれは? めんどくさい! 」
木箱を開けると壺が現れた。
壺の蓋を外し中身を確認。
ようやくお宝の正体が見えた。
壺には白っぽい液体が。
手に取ったり舐めるのも危険だ。
臭いを嗅ぐが良く分からない。
これは鑑定してもらわなくては……
あれ…… どこかで見たことがある?
どこでだ?
確かそうだ。コテージの裏口通路に隠されるように置かれていたうちの一つだ。
まさかこれがお宝?
これが博士が言っていた莫大な価値を持ったお宝?
信じられないな。
ただの液体にしか見えないが……
「ゲンジ! 」
「ああ。一応これも戦利品だ。とりあえず預かっておこう」
「うん。それがいいよ」
皆同意する。
「ではみなさん元に戻しましょう」
空蝉が後片付けに入ろうとしたその時だった。
「ねえ! これなんだろう? 」
リンがとんでもない物を発見する。
そ…… それは……
ダメだ! その袋を開けてはいけない。
止めろ! 止めろ! 止めてくれ!
【続】
ザクザク
ザクザク
一人で掘り進める。
疲れたな……
やはりリンにも手伝ってもらうべきだったかな。
いやこれは俺の役目だ。
他の者に任せる訳にはいかない。
財宝を目の前にすればどんな人物だって我を失い独り占めしようとするはず。
それは俺も例外ではない。
だから彼女たちにそうはなって欲しくない。
これが親心と言うものか?
きれいなままでいて欲しい。
お宝はもう目の前。
現実的な考えが浮かぶ。
待てよ。このまま財宝を見つけたとしてまさか六当分なんてことはないよな?
確認するのを忘れた。
リンはどうにでもなる。
空蝉も分かってくれるだろう。
問題はアイミと亜砂だ。
きっちり要求してきそうだ。
当然の権利だと主張されるかも。
そんな時ムーちゃんが割り込んで来たら厄介だぞ。
彼女に言い負かされるかもしれない。
誤魔化すのは不可能に近い。
六当分は仕方がないか。
潔く諦めて六等分を受け入れるしかない。
いや待てよ。楽観的すぎるか?
俺には寄越さない恐れだってある。
もし俺が博士を殺害していたら余計不利になる。
どうする?
「ありましたか? 」
空蝉が様子を見に来た。
俺を心配して? それとも…… 狙っている?
くそ! 俺の物だ! 誰にも渡さない! この宝は俺の物だ!
うおおお!
発掘に力が入る。
そろそろだろうか?
ガンガン
ガンガン
何かに当たった音。
間違いない。お宝だ。
取り出せるように周りを掘っていく。
お宝が傷つかないように慎重に掘る。
よし。もういいだろう。
土を取り除く。
さあ見えてきた。
お宝の一部がお目見えになった。
感動の瞬間。
今までの苦労が報われる時。
土を完全に取り除き重い袋を引っ張り上げる。
無数の金属がこすれる音がする。
これはすごい! 大量だ。
袋を取りだしナイフで切り裂く。
金貨と銀貨が飛び出してきた。
コインが辺りを埋め尽くす。
どうやら海外の貴重な硬貨らしい。
「やった! 見つけたぞ! 」
嬉しくなってついつい呼んでしまう。
さすがに独り占めはできない。
「ゲンジさんあったんですか?」
「お兄ちゃん! 」
「やったねゲンジ! 」
皆と喜びを分かち合う。
「宝だ! 財宝だ! やった! やったぞ! 」
いつの間にか飛び跳ねていた。
「お兄ちゃんやったね! 」
リンが飛び込んできた。
二人で抱き合う。
「あれこれだけなのゲンジ? 」
さすがは冷静なムーちゃん。これだから侮れない。
「まさかこれは序の口だ。近くに埋まっているはずだ。よく探せ! 」
皆で手分けして回収にかかる。
「お宝! お宝! 」
「ゲンジ浮かれすぎ」
「ははは! 」
「さあ次のお宝は何かな? 」
合計三つの袋が見つかった。
「ははは! 三つの袋だって…… 」
「三つの袋って何? 」
「それはもちろん堪忍袋とお袋と…… おいおい何を言わせるんだまったく」
リンによって脱線させられる。
「ねえお兄ちゃん? 」
「知るか! 空蝉にでも教えてもらえ」
「それはですね…… 」
リンを空蝉に押し付けてお宝を拝む。
一つ目の袋には金銀の硬貨。
袋一杯に詰め込まれていた。
これだけでも相当な価値がある。
さあ二つ目を開けてみるか。
ずっしりと重い。
これは当たりかも知れない。
「おい誰か手伝ってくれ! 」
リンと空蝉以外の者に助けを求める。
「行くぞ! 」
勢いに任せてばら撒く。
ゴンと音がする。
「ま…… 眩しい」
金塊が姿を現した。
ついにお目見えした超大物。
これは凄い。
軽く億は超える。
ついに金銀財宝を拝むことができた。
この為に今まで苦労したのだ。
ようやく報われる時が来たのだ。
うーん。遠かった。長かった。
でも……
自分を信じて今日まで来たのだ。
さあお祝いをしようじゃないか。
「ねえゲンジ。もう一個あるよ」
「開けようよ。お兄ちゃん」
袋を開く。
「あれ軽いな。何だこれ? 」
ガラクタか?
袋の中に袋。
二重になっている。かなりのお宝かもしれない。
「よしみんな集まれ! 最後のお宝を拝むとしよう」
「何? 何? 」
袋を開けると今度は紙袋が見えた。
どれだけ厳重に保存されていたのか。
紙袋から箱が出てきた。
開けると今度は少し小さな箱が現れる。
最後に小さな木箱が出現。
「うおおお! 」
「何だこれは? めんどくさい! 」
木箱を開けると壺が現れた。
壺の蓋を外し中身を確認。
ようやくお宝の正体が見えた。
壺には白っぽい液体が。
手に取ったり舐めるのも危険だ。
臭いを嗅ぐが良く分からない。
これは鑑定してもらわなくては……
あれ…… どこかで見たことがある?
どこでだ?
確かそうだ。コテージの裏口通路に隠されるように置かれていたうちの一つだ。
まさかこれがお宝?
これが博士が言っていた莫大な価値を持ったお宝?
信じられないな。
ただの液体にしか見えないが……
「ゲンジ! 」
「ああ。一応これも戦利品だ。とりあえず預かっておこう」
「うん。それがいいよ」
皆同意する。
「ではみなさん元に戻しましょう」
空蝉が後片付けに入ろうとしたその時だった。
「ねえ! これなんだろう? 」
リンがとんでもない物を発見する。
そ…… それは……
ダメだ! その袋を開けてはいけない。
止めろ! 止めろ! 止めてくれ!
【続】
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