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ヒスイさん、過去編ですよ(前編)
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丘の上から眺める、広大な海が好きだった。
乳白色の砂浜から、鮮やかな群青色に変わるグラデーションが美しくーー
今思えば、彼女の天藍石の瞳がそっくりで、魅了されるのは、必然なことかもしれない。
海鮮市場はいつも賑やかで、人通りが多い。
「坊っちゃん、また城から抜け出して来たんですかい?」
馴染みのオヤジが、イカの串焼きを差し出しながら笑う。
「だって、おじさんのイカ焼き最高だから。兄上にも食べさせてあげたいんだ」
「嬉しいことをいってくれるねぇ~。今日は特別に無料で十本サービスしてやるよ!もうすぐ十二歳の誕生日だろ?」
「いいの?ありがとう!みんな喜ぶよ」
翡翠色の目を輝かせ、ロイドは素直に受けとる。
「ロイド様、これもどうぞ。私からも誕生日のお祝いです」
隣の露店の年配女性が、天の宝石が装飾されたチャームを差し出してきた。
深い青色が、太陽の光に反射して綺麗だ。
「いや、これはさすがに悪いよ。それにこれ、貴重な石じゃないか。渡す相手もまだいないし……」
このチャームは、好きな相手に渡して、受け取ってもらえれば、結婚できると言われるほど、恋人たちの間で大変人気な商品だ。
中でも、“海のしずく”は希少で、鉱山でもなかなか採れない。
目の前のチャームは、どう見ても海のしずくを使って、作られたものだ。
困惑して相手を見れば、優しく微笑んで、ロイドの手の平の上にチャームを乗せる。
「ロイド様なら、そのうち素敵な人が現れますよ。それにこれは、悪漢から助けてくれたお礼です」
そういえば数日前に、よそ者が女性からバッグを強奪した奴がいたな。
運良く目撃して、事なきを得たがーー
あの時の女性だったのか。言われて、今さら気づく。
女性にバッグを返し、すぐに悪漢を警備につきだしたから、女性の顔まで憶えてなかった。
「そんなの、当たり前だよ。みんなが幸せになるお手伝いをするのが、俺の仕事だから」
「くぅ~泣かせるねぇ。もう十本持ってけ!」
「いや、さすがにもういらない」
オヤジが泣きながら、追加でイカ焼きを渡そうとしてきたので、阻止する。
「あのお金は、夫の薬代が入った大切なものでした。おかげさまで、夫は回復に向かっております。恩に報いると思って、受け取ってください」
ここまで真剣に言われれば、断りにくい。
「う~分かった。ありがたく受けとるよ。いつか大切な人ができたら報告に来るから、それまで元気でいてね!」
「もちろん、楽しみにしております」
オヤジと女性に手をふり、その場をあとにした。
「急がなきゃ」
これ以上遅くなると、怒られるのは確実だ。
丘に繋いだ白馬に乗り、草原を駆け抜け、城へと急ぐ。
門番が苦笑いを浮かべながら、黙って開けてくれた。毎度のことなので、時間はかからない。
「ロイド、また城下町へ行っていたのかい?」
白金色の髪を後ろで緩く結び、茜色の瞳は切れ長で、醸し出す雰囲気は、我が兄ながら、女性のように美しい。
実際、女性に間違われてプロポーズされるのを、何度か目にしたことがある。
その度に、絶対零度の微笑みで、制裁を加えていた。相手は何故か紅潮していたが。
だから、容姿に関して口にしないようにしている。
「兄上。はい、お土産のイカ焼き」
兄、クロードに串焼きを三本、自分用に五本、父上には残りの三本を渡す予定だ。
「ありがとうーーじゃなくて、地学のコルデン先生が躍起になって探していたよ。クソガキ、おぼえてろよ、だってさ」
先生は、地質や鉱山学を重点的に教えてくれる。カナン国にとって、鉱山は貴重な資源であり、財産だ。
「重要なのは分かっているけど、面白くないし、宿題多いし」
ロイドは頬をふくらませる。
「それはロイドが毎回逃げるからだろう?分かりやすく教えてくれるし、いい先生じゃないか」
そりゃあ、先生にとって、真面目で勉強熱心な生徒は、かわいいに違いない。
「ロイドが本気でやれば、私より優秀なのだから、もったいないよ」
クロードが、ロイドの母親譲りの銀糸の髪を、優しくなでる。
「俺、勉強より強くなりたい。コウヤ様のように!」
父、フレイムから、よく話題にのぼるコウヤは、父が十七歳の時にアカデミーに留学してきたらしい。
自由奔放で、周囲を巻き込んで、よくトラブルを起こしていたが、人望が厚く、器がでかくて、誰よりも強い信念を持っていたとか。
まだ会ったことはないが、誕生際には来てくれる予定だ。
「あー父上が聞いたら、泣くんじゃないかな。それより、父上が呼んでいたよ。さすがにその格好はまずいから、一度着替えておいで」
自分の格好を改めて確認すれば、足元は泥が跳ね、袖がほつれている。何処かで引っかけたらしい。
「分かった。すぐに着替えるから、兄上は先に行ってて」
部屋に戻り、衿元に銀の刺繍が入った白い衣装に着替えて、謁見の間に急いだ。お土産のイカ焼きを持って。
「父上、ただいま戻りました。イカ焼き、献上いたします」
片膝をついて、キメ顔でイカ焼きを差し出す息子に、フレイムは頭を抱えた。
「どうしました、父上。イカ焼き好きでしょう?毒味なら、俺が先に食べているから安心ですよ!」
ロイドが無邪気に笑う。
「お前がコウヤを尊敬しているのは知っているが、そこまで似なくていい」
フレイムが疲れた顔で、ため息をつく。隣で立つクロードは、終始、苦笑いだ。
「実はな……お前の十二歳の誕生際に、コウヤが出席できなくなった。どうも、奥方が体調をくずしたらしい」
フレイムは立派な金の顎ひげを触る。
落ち着かないときの、父の癖だ。
「そうですか……。なら、仕方ありませんね」
すごく残念だが、みんなを困らせたくはない。
「その代わり、奥方の体調がよくなったら、お前を桜華国に招待してくれるらしいぞ。コチョウ様似の、可愛い娘も紹介してくれるようだ」
「娘、ですか?」
それは聞いたことがなかった。
「ああ、名はヒナギクといって、今五歳らしい。奥方に似ているなら、将来美人になるのは間違いないぞ。何なら、婚約でも結んでおくか?いや、待てーーコウヤが許さないな」
「とりあえず、信頼を勝ち取ってこい。話はそれからだ」
父のなかでは、もうすでに婚約が成立しているらしい。
「そんなにコチョウ様は美人なのですか?母上よりも?」
クロードが質問する。
「違うぞ!フロゼはもちろん美人だ。今でも愛している!!」
フレイムが拳を握りしめ、力説する。
三年前、母が病気で他界してからも、側妃を娶る様子はなかった。
父が母を誰よりも愛していたのは、皆知っていたため、大臣たちも無理に進めてこない。
「コウヤの耳に入ったら大変だから、冗談でもやめてくれ。あいつは留学中、コチョウ様の姿絵を持って、よく泣いていたからな。誤解されたら洒落にならん」
なにか思い出したのか、フレイムが身震いする。
「そうではなくーーあいつの結婚式で初めて見たが、天藍石の瞳が印象的で、神秘的な美人だった」
「目の前で吐血されたときは驚いたが、いつものことだと、朗らかに笑っていたな。それと、見た目と違ってなかなか豪胆な人で、そばで右往左往するコウヤを拳で殴っていたときは、愉快痛快だった」
「あと、舞も見事だったぞ。一度見せてもらったが、空気が変わるというか、神域に近いような、なんとも不思議な空間だったよ」
確かに。そんな二人から生まれた姫君なら、会ってみたいーーと、
初めてロイドが、女性に興味を抱いた瞬間だった。
ごめんなさい、まだ過去の話は続きます(^_^)
乳白色の砂浜から、鮮やかな群青色に変わるグラデーションが美しくーー
今思えば、彼女の天藍石の瞳がそっくりで、魅了されるのは、必然なことかもしれない。
海鮮市場はいつも賑やかで、人通りが多い。
「坊っちゃん、また城から抜け出して来たんですかい?」
馴染みのオヤジが、イカの串焼きを差し出しながら笑う。
「だって、おじさんのイカ焼き最高だから。兄上にも食べさせてあげたいんだ」
「嬉しいことをいってくれるねぇ~。今日は特別に無料で十本サービスしてやるよ!もうすぐ十二歳の誕生日だろ?」
「いいの?ありがとう!みんな喜ぶよ」
翡翠色の目を輝かせ、ロイドは素直に受けとる。
「ロイド様、これもどうぞ。私からも誕生日のお祝いです」
隣の露店の年配女性が、天の宝石が装飾されたチャームを差し出してきた。
深い青色が、太陽の光に反射して綺麗だ。
「いや、これはさすがに悪いよ。それにこれ、貴重な石じゃないか。渡す相手もまだいないし……」
このチャームは、好きな相手に渡して、受け取ってもらえれば、結婚できると言われるほど、恋人たちの間で大変人気な商品だ。
中でも、“海のしずく”は希少で、鉱山でもなかなか採れない。
目の前のチャームは、どう見ても海のしずくを使って、作られたものだ。
困惑して相手を見れば、優しく微笑んで、ロイドの手の平の上にチャームを乗せる。
「ロイド様なら、そのうち素敵な人が現れますよ。それにこれは、悪漢から助けてくれたお礼です」
そういえば数日前に、よそ者が女性からバッグを強奪した奴がいたな。
運良く目撃して、事なきを得たがーー
あの時の女性だったのか。言われて、今さら気づく。
女性にバッグを返し、すぐに悪漢を警備につきだしたから、女性の顔まで憶えてなかった。
「そんなの、当たり前だよ。みんなが幸せになるお手伝いをするのが、俺の仕事だから」
「くぅ~泣かせるねぇ。もう十本持ってけ!」
「いや、さすがにもういらない」
オヤジが泣きながら、追加でイカ焼きを渡そうとしてきたので、阻止する。
「あのお金は、夫の薬代が入った大切なものでした。おかげさまで、夫は回復に向かっております。恩に報いると思って、受け取ってください」
ここまで真剣に言われれば、断りにくい。
「う~分かった。ありがたく受けとるよ。いつか大切な人ができたら報告に来るから、それまで元気でいてね!」
「もちろん、楽しみにしております」
オヤジと女性に手をふり、その場をあとにした。
「急がなきゃ」
これ以上遅くなると、怒られるのは確実だ。
丘に繋いだ白馬に乗り、草原を駆け抜け、城へと急ぐ。
門番が苦笑いを浮かべながら、黙って開けてくれた。毎度のことなので、時間はかからない。
「ロイド、また城下町へ行っていたのかい?」
白金色の髪を後ろで緩く結び、茜色の瞳は切れ長で、醸し出す雰囲気は、我が兄ながら、女性のように美しい。
実際、女性に間違われてプロポーズされるのを、何度か目にしたことがある。
その度に、絶対零度の微笑みで、制裁を加えていた。相手は何故か紅潮していたが。
だから、容姿に関して口にしないようにしている。
「兄上。はい、お土産のイカ焼き」
兄、クロードに串焼きを三本、自分用に五本、父上には残りの三本を渡す予定だ。
「ありがとうーーじゃなくて、地学のコルデン先生が躍起になって探していたよ。クソガキ、おぼえてろよ、だってさ」
先生は、地質や鉱山学を重点的に教えてくれる。カナン国にとって、鉱山は貴重な資源であり、財産だ。
「重要なのは分かっているけど、面白くないし、宿題多いし」
ロイドは頬をふくらませる。
「それはロイドが毎回逃げるからだろう?分かりやすく教えてくれるし、いい先生じゃないか」
そりゃあ、先生にとって、真面目で勉強熱心な生徒は、かわいいに違いない。
「ロイドが本気でやれば、私より優秀なのだから、もったいないよ」
クロードが、ロイドの母親譲りの銀糸の髪を、優しくなでる。
「俺、勉強より強くなりたい。コウヤ様のように!」
父、フレイムから、よく話題にのぼるコウヤは、父が十七歳の時にアカデミーに留学してきたらしい。
自由奔放で、周囲を巻き込んで、よくトラブルを起こしていたが、人望が厚く、器がでかくて、誰よりも強い信念を持っていたとか。
まだ会ったことはないが、誕生際には来てくれる予定だ。
「あー父上が聞いたら、泣くんじゃないかな。それより、父上が呼んでいたよ。さすがにその格好はまずいから、一度着替えておいで」
自分の格好を改めて確認すれば、足元は泥が跳ね、袖がほつれている。何処かで引っかけたらしい。
「分かった。すぐに着替えるから、兄上は先に行ってて」
部屋に戻り、衿元に銀の刺繍が入った白い衣装に着替えて、謁見の間に急いだ。お土産のイカ焼きを持って。
「父上、ただいま戻りました。イカ焼き、献上いたします」
片膝をついて、キメ顔でイカ焼きを差し出す息子に、フレイムは頭を抱えた。
「どうしました、父上。イカ焼き好きでしょう?毒味なら、俺が先に食べているから安心ですよ!」
ロイドが無邪気に笑う。
「お前がコウヤを尊敬しているのは知っているが、そこまで似なくていい」
フレイムが疲れた顔で、ため息をつく。隣で立つクロードは、終始、苦笑いだ。
「実はな……お前の十二歳の誕生際に、コウヤが出席できなくなった。どうも、奥方が体調をくずしたらしい」
フレイムは立派な金の顎ひげを触る。
落ち着かないときの、父の癖だ。
「そうですか……。なら、仕方ありませんね」
すごく残念だが、みんなを困らせたくはない。
「その代わり、奥方の体調がよくなったら、お前を桜華国に招待してくれるらしいぞ。コチョウ様似の、可愛い娘も紹介してくれるようだ」
「娘、ですか?」
それは聞いたことがなかった。
「ああ、名はヒナギクといって、今五歳らしい。奥方に似ているなら、将来美人になるのは間違いないぞ。何なら、婚約でも結んでおくか?いや、待てーーコウヤが許さないな」
「とりあえず、信頼を勝ち取ってこい。話はそれからだ」
父のなかでは、もうすでに婚約が成立しているらしい。
「そんなにコチョウ様は美人なのですか?母上よりも?」
クロードが質問する。
「違うぞ!フロゼはもちろん美人だ。今でも愛している!!」
フレイムが拳を握りしめ、力説する。
三年前、母が病気で他界してからも、側妃を娶る様子はなかった。
父が母を誰よりも愛していたのは、皆知っていたため、大臣たちも無理に進めてこない。
「コウヤの耳に入ったら大変だから、冗談でもやめてくれ。あいつは留学中、コチョウ様の姿絵を持って、よく泣いていたからな。誤解されたら洒落にならん」
なにか思い出したのか、フレイムが身震いする。
「そうではなくーーあいつの結婚式で初めて見たが、天藍石の瞳が印象的で、神秘的な美人だった」
「目の前で吐血されたときは驚いたが、いつものことだと、朗らかに笑っていたな。それと、見た目と違ってなかなか豪胆な人で、そばで右往左往するコウヤを拳で殴っていたときは、愉快痛快だった」
「あと、舞も見事だったぞ。一度見せてもらったが、空気が変わるというか、神域に近いような、なんとも不思議な空間だったよ」
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