10 / 19
月影の閨 Ⅰ
しおりを挟む
レディレン教会は、地方にある教会にしては、やや中規模な佇まいだった。
地方も地方であれば管理する神官はおらず、時折来訪があって手入れと祈りがなされる程度。だが、レディレンには常駐する神官が一人いて、この地域の冠婚葬祭を一手に担っているらしい。
典型的な石造りの教会の扉をくぐると、左手には窓があり、窓の下には、石の一枚板が壁に嵌められている。そのテーブルにも長椅子にもなるだろう作りの上に、刺繍が施された布が置かれている。
帝国の布支度という慣習で、新婦がこれまでに作り上げた刺繍が施されている日用品の数々を嫁入りに際し披露するのだ。そして、その出来栄え__質、量によって新婦の評価、ひいては嫁ぎ先の評価となる。
ここ数ヶ月で出来る量などたかが知れている布支度は、果たしてどのような心象になったかは__あまり考えたくないものだ。
通常であれば、もっと用意できていておかしくはない。
キルシェもかつてはそれなりの量があったのだが、一度目の婚姻が無効になった際、すべて処分してしまった。
それは急に解雇されてしまう使用人らへの贖罪を兼ねた行為だったから、今後のことなど考えてなどいなかったのは言うまでもない。
__これからの行動や言動にかかってくるわよね……。
参列者には身内__使用人だけでなく、地域の者がかなり来ていた。そんな事情など、彼らには関係のないことだ。
帝国においては名士といわれるビルネンベルク侯爵家の者も来ているのだし、その者が後見人であったらしいということで、かなりの興味を持たれている中での挙式。そしてその挙式の後は、軽い宴席を提供することもあって、キルシェが思っていた以上のかなりの人手だった。
その誰しもが布支度を見たかは定かではないが、多くの者の目に触れたのは事実。リュディガーに恥をかかせるわけにはいかない。決意を新たにする出来事だった。
__評価がいたずらに高いよりはマシよね……。
恩師がよく言う言葉でもある。それを内心思って、苦笑を浮かべるキルシェは、ふぅ、とため息を零して見上げていた窓の外の月を見た。
新月へ向けて細くなっている月は、やっと昇ってきたところである。
冴え冴えとした夜空はまさに星月夜。帝都ほどの明るさがないここでは、標高が高いこともあって星々の数がかなり多い。
キルシェは星月夜を見ていた窓に映り込む部屋の蝋燭の明かりに焦点を移し、徐ろに背後を振り返る。
昨夜寝たのは、私室。なんだかんだ挙式のことを考えてしまって、疲れているはずなのに中々寝た心地がしなかった。別室で休んでいるはずのリュディガーの事が、ちらちら、と脳裏をよぎったのもある。
だが、今夜いるのは、私室の寝台よりも大きい寝台がある主寝室。
重厚な天幕を垂らす寝台を見て、キルシェは緊張を抱く。
とくとく、と早くなる心臓に戸惑い、寝台へ背中を向け、落ち着け、と自身へ言い聞かせていれば、がちゃり、と扉が開閉する音に身体が弾んだ。
振り返ると、寛いだ寝間着に着替えたリュディガーがそこにいて、キルシェは息を飲む。
昼の彼は龍騎士の第一礼装で、頸飾もつけた装い。得物も佩いたその佇まいは、一切の隙がない武官のそれで、地元の人が多い宴席のあいさつ回りから屋敷での夕食までその装いだった。
それが、額を出すように撫でつけて整えられていた髪型は、湯浴みを経たせいでくたり、と目元下まで__顎近くまで垂れ下がり、寛いだ服装も相まって艶っぽさがキルシェの動きを止めたのだ。
平均よりもかなり大柄なリュディガーが近づく様子に我に返り、キルシェはどぎまぎしながら、逃げるように窓の外を見る。
「あまり見えないだろう」
言いながら、リュディガーが横に並ぶ。それにさえ、心臓が暴れるキルシェは窓の外へさらに意識を向けようと勤めた。
「ほ、星は見えますし……月も……」
「だが、暗いだろう」
「え、ええ……。先生たちは、もう今日の宿には着きましたかね?」
ビルネンベルクと御者、その警護のアッシスは、昼の挙式と宴席に顔を出した後、そこで去っていってしまった。
「日暮れ前には着いただろう。アッシスもいるし。__大ビルネンベルク公も、途中まではご一緒だということだから」
「そうですね」
「まさかお越しになっていたとは思わなかったが……」
「ええ。本当にあれには、驚かされました」
教会での神官を前にした婚儀の際、夫婦の契を結んで振り返ったところで、列席者の中にビルネンベルク家の宗主・大ビルネンベルク公が何食わぬ顔で居たのだ。
大ビルネンベルク公は、帝国において建国に携わった者として、もはや伝説に近い逸話の持ち主である。国家の重鎮といえばこの方で、これにはキルシェのみならず、彼に師事したリュディガーでさえ言葉を失うほどの驚き。
大ビルネンベルク公は身分を伏せ、市井に紛れて生活をしている。身内であるビルネンベルクもまた宗主の所在は預かり知らぬもので、当然彼の来訪を知らなかったそう。いつものこと、と驚きながらも苦笑を浮かべていた。
リュディガーらの帝都での挙式に顔を出すのは騒ぎになるから、とここでの挙式にわざわざ来訪したのだそう。
そして、宴席で地元の者と会話を交わし、その合間合間で、もともとビルネンベルク家の使用人だったヘルムートとリリーに挨拶し、ナハトリンデン家の執事や家政婦といった主要な面々にも目通りし、ビルネンベルクとともに去っていった。
偉人も偉人に遭遇した__と自覚のある者は限られているが__者の影響でか、そのあとの屋敷がどこかそわそわと落ち着きなくなったのは言うまでもない。
「__本当に強行軍を強いてしまって、申し訳ないな……」
「ええ、そうね……」
ほぼとんぼ返りの日程だ。
ビルネンベルクの権威を惜しみなく示して、ビルネンベルクとは縁故の存在が、ここの新しい領主一家だと知らしめるためだけに来たと言ってもいい。
キルシェの評価は低いかも知れないが、ビルネンベルクとの縁があるという点では価値がある。
__ビルネンベルクの家名も背負っているようなもの……。
いやしかし、ビルネンベルクの家名があろうがなかろうが、自慢の領主にならねばならないことには違いはないか__と、内心思い、はぁ、とため息を零しながら窓の外を見る。
細まった月の光が綺麗でとても冴えて見えたから、思わず手をかざすようにして指先に当たる月影を見入った。刹那、大きな手が伸ばした手首を取る。
油断していたところにおきた出来事で、気がつけばもう一方の逞しい腕が腰へと回されて抱き込まれるような形になっていた。
すっかり意識しなくなっていた心臓の音は、明らかに早く細かく、強く打っている。それは彼にも聞こえているはずだ。
「あ、の……」
「あのときも……思わずこうした」
やっと絞り出した声に、リュディガーはくつり、と笑いをかすかに含んだ声で言った。
「あの、とき……?」
「蛍を観に行った時だ。君が、蛍が飛んでいった先の天空の月にそのまま吸い込まれそうで、思わずその手を掴んだ。__今もまさにそう見えた」
「えぇ?」
観蛍の件は、三年前の出来事だ。
蛍というものを見たことがなくて、彼が折を見て連れて行ってくれたのだ。そこで確かに、言われてみれば蛍を追って手を伸ばした時、その手を急に彼が取ったことがあったように思う。
「でも、まさかそんな。大げ__」
「大げさだと言うか? しょうがないだろう、実際に見えたんだから。当時も__今も」
キルシェが振り仰ぐようにして頑強な身体から身を離そうと身動ぎすれば、いくらか自由を得られたが、それは本当に僅かだった。
怪訝にしながら見上げるリュディガーは、目元が苦しそうに歪められていて、キルシェは思わず目を見張る。
「やっと……やっと、所帯を君と築けたその戸口に立てたばかりなのに……また離れてしまうのか、と今、本当に肝が冷えるどころか潰れた……」
それはいくらか絞り出すような言い方であった。
「やっとなんだ……私には……」
肩口に顔を埋めるようにして、さらに絞り出す声。そして再び太い腕が全身を包み込む。
__やっと……。それは、私だって……。
キルシェは拒絶した一回目の求婚の出来事から、今日に至るまで__別離していた最中も、彼のことを想ったことがある。
二度と交わるはずもないのに、拒絶したくせに、何を今更、と自分を詰って__。
__それがこんな形に収まるなんて、思いもしなかった。
急に胸が苦しくなる。
気恥ずかしさではなく、ただただ目の前の彼が愛しくて。
「私は、ここにいます」
「キルシェ……」
細い腰に回された腕が引き寄せられるようにして、口付けられた。
地方も地方であれば管理する神官はおらず、時折来訪があって手入れと祈りがなされる程度。だが、レディレンには常駐する神官が一人いて、この地域の冠婚葬祭を一手に担っているらしい。
典型的な石造りの教会の扉をくぐると、左手には窓があり、窓の下には、石の一枚板が壁に嵌められている。そのテーブルにも長椅子にもなるだろう作りの上に、刺繍が施された布が置かれている。
帝国の布支度という慣習で、新婦がこれまでに作り上げた刺繍が施されている日用品の数々を嫁入りに際し披露するのだ。そして、その出来栄え__質、量によって新婦の評価、ひいては嫁ぎ先の評価となる。
ここ数ヶ月で出来る量などたかが知れている布支度は、果たしてどのような心象になったかは__あまり考えたくないものだ。
通常であれば、もっと用意できていておかしくはない。
キルシェもかつてはそれなりの量があったのだが、一度目の婚姻が無効になった際、すべて処分してしまった。
それは急に解雇されてしまう使用人らへの贖罪を兼ねた行為だったから、今後のことなど考えてなどいなかったのは言うまでもない。
__これからの行動や言動にかかってくるわよね……。
参列者には身内__使用人だけでなく、地域の者がかなり来ていた。そんな事情など、彼らには関係のないことだ。
帝国においては名士といわれるビルネンベルク侯爵家の者も来ているのだし、その者が後見人であったらしいということで、かなりの興味を持たれている中での挙式。そしてその挙式の後は、軽い宴席を提供することもあって、キルシェが思っていた以上のかなりの人手だった。
その誰しもが布支度を見たかは定かではないが、多くの者の目に触れたのは事実。リュディガーに恥をかかせるわけにはいかない。決意を新たにする出来事だった。
__評価がいたずらに高いよりはマシよね……。
恩師がよく言う言葉でもある。それを内心思って、苦笑を浮かべるキルシェは、ふぅ、とため息を零して見上げていた窓の外の月を見た。
新月へ向けて細くなっている月は、やっと昇ってきたところである。
冴え冴えとした夜空はまさに星月夜。帝都ほどの明るさがないここでは、標高が高いこともあって星々の数がかなり多い。
キルシェは星月夜を見ていた窓に映り込む部屋の蝋燭の明かりに焦点を移し、徐ろに背後を振り返る。
昨夜寝たのは、私室。なんだかんだ挙式のことを考えてしまって、疲れているはずなのに中々寝た心地がしなかった。別室で休んでいるはずのリュディガーの事が、ちらちら、と脳裏をよぎったのもある。
だが、今夜いるのは、私室の寝台よりも大きい寝台がある主寝室。
重厚な天幕を垂らす寝台を見て、キルシェは緊張を抱く。
とくとく、と早くなる心臓に戸惑い、寝台へ背中を向け、落ち着け、と自身へ言い聞かせていれば、がちゃり、と扉が開閉する音に身体が弾んだ。
振り返ると、寛いだ寝間着に着替えたリュディガーがそこにいて、キルシェは息を飲む。
昼の彼は龍騎士の第一礼装で、頸飾もつけた装い。得物も佩いたその佇まいは、一切の隙がない武官のそれで、地元の人が多い宴席のあいさつ回りから屋敷での夕食までその装いだった。
それが、額を出すように撫でつけて整えられていた髪型は、湯浴みを経たせいでくたり、と目元下まで__顎近くまで垂れ下がり、寛いだ服装も相まって艶っぽさがキルシェの動きを止めたのだ。
平均よりもかなり大柄なリュディガーが近づく様子に我に返り、キルシェはどぎまぎしながら、逃げるように窓の外を見る。
「あまり見えないだろう」
言いながら、リュディガーが横に並ぶ。それにさえ、心臓が暴れるキルシェは窓の外へさらに意識を向けようと勤めた。
「ほ、星は見えますし……月も……」
「だが、暗いだろう」
「え、ええ……。先生たちは、もう今日の宿には着きましたかね?」
ビルネンベルクと御者、その警護のアッシスは、昼の挙式と宴席に顔を出した後、そこで去っていってしまった。
「日暮れ前には着いただろう。アッシスもいるし。__大ビルネンベルク公も、途中まではご一緒だということだから」
「そうですね」
「まさかお越しになっていたとは思わなかったが……」
「ええ。本当にあれには、驚かされました」
教会での神官を前にした婚儀の際、夫婦の契を結んで振り返ったところで、列席者の中にビルネンベルク家の宗主・大ビルネンベルク公が何食わぬ顔で居たのだ。
大ビルネンベルク公は、帝国において建国に携わった者として、もはや伝説に近い逸話の持ち主である。国家の重鎮といえばこの方で、これにはキルシェのみならず、彼に師事したリュディガーでさえ言葉を失うほどの驚き。
大ビルネンベルク公は身分を伏せ、市井に紛れて生活をしている。身内であるビルネンベルクもまた宗主の所在は預かり知らぬもので、当然彼の来訪を知らなかったそう。いつものこと、と驚きながらも苦笑を浮かべていた。
リュディガーらの帝都での挙式に顔を出すのは騒ぎになるから、とここでの挙式にわざわざ来訪したのだそう。
そして、宴席で地元の者と会話を交わし、その合間合間で、もともとビルネンベルク家の使用人だったヘルムートとリリーに挨拶し、ナハトリンデン家の執事や家政婦といった主要な面々にも目通りし、ビルネンベルクとともに去っていった。
偉人も偉人に遭遇した__と自覚のある者は限られているが__者の影響でか、そのあとの屋敷がどこかそわそわと落ち着きなくなったのは言うまでもない。
「__本当に強行軍を強いてしまって、申し訳ないな……」
「ええ、そうね……」
ほぼとんぼ返りの日程だ。
ビルネンベルクの権威を惜しみなく示して、ビルネンベルクとは縁故の存在が、ここの新しい領主一家だと知らしめるためだけに来たと言ってもいい。
キルシェの評価は低いかも知れないが、ビルネンベルクとの縁があるという点では価値がある。
__ビルネンベルクの家名も背負っているようなもの……。
いやしかし、ビルネンベルクの家名があろうがなかろうが、自慢の領主にならねばならないことには違いはないか__と、内心思い、はぁ、とため息を零しながら窓の外を見る。
細まった月の光が綺麗でとても冴えて見えたから、思わず手をかざすようにして指先に当たる月影を見入った。刹那、大きな手が伸ばした手首を取る。
油断していたところにおきた出来事で、気がつけばもう一方の逞しい腕が腰へと回されて抱き込まれるような形になっていた。
すっかり意識しなくなっていた心臓の音は、明らかに早く細かく、強く打っている。それは彼にも聞こえているはずだ。
「あ、の……」
「あのときも……思わずこうした」
やっと絞り出した声に、リュディガーはくつり、と笑いをかすかに含んだ声で言った。
「あの、とき……?」
「蛍を観に行った時だ。君が、蛍が飛んでいった先の天空の月にそのまま吸い込まれそうで、思わずその手を掴んだ。__今もまさにそう見えた」
「えぇ?」
観蛍の件は、三年前の出来事だ。
蛍というものを見たことがなくて、彼が折を見て連れて行ってくれたのだ。そこで確かに、言われてみれば蛍を追って手を伸ばした時、その手を急に彼が取ったことがあったように思う。
「でも、まさかそんな。大げ__」
「大げさだと言うか? しょうがないだろう、実際に見えたんだから。当時も__今も」
キルシェが振り仰ぐようにして頑強な身体から身を離そうと身動ぎすれば、いくらか自由を得られたが、それは本当に僅かだった。
怪訝にしながら見上げるリュディガーは、目元が苦しそうに歪められていて、キルシェは思わず目を見張る。
「やっと……やっと、所帯を君と築けたその戸口に立てたばかりなのに……また離れてしまうのか、と今、本当に肝が冷えるどころか潰れた……」
それはいくらか絞り出すような言い方であった。
「やっとなんだ……私には……」
肩口に顔を埋めるようにして、さらに絞り出す声。そして再び太い腕が全身を包み込む。
__やっと……。それは、私だって……。
キルシェは拒絶した一回目の求婚の出来事から、今日に至るまで__別離していた最中も、彼のことを想ったことがある。
二度と交わるはずもないのに、拒絶したくせに、何を今更、と自分を詰って__。
__それがこんな形に収まるなんて、思いもしなかった。
急に胸が苦しくなる。
気恥ずかしさではなく、ただただ目の前の彼が愛しくて。
「私は、ここにいます」
「キルシェ……」
細い腰に回された腕が引き寄せられるようにして、口付けられた。
0
あなたにおすすめの小説
転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。
ラム猫
恋愛
異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。
『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。
しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。
彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
『龍の生け贄婚』令嬢、夫に溺愛されながら、自分を捨てた家族にざまぁします
卯月八花
恋愛
公爵令嬢ルディーナは、親戚に家を乗っ取られ虐げられていた。
ある日、妹に魔物を統べる龍の皇帝グラルシオから結婚が申し込まれる。
泣いて嫌がる妹の身代わりとして、ルディーナはグラルシオに嫁ぐことになるが――。
「だからお前なのだ、ルディーナ。俺はお前が欲しかった」
グラルシオは実はルディーナの曾祖父が書いたミステリー小説の熱狂的なファンであり、直系の子孫でありながら虐げられる彼女を救い出すために、結婚という名目で呼び寄せたのだ。
敬愛する作家のひ孫に眼を輝かせるグラルシオ。
二人は、強欲な親戚に奪われたフォーコン公爵家を取り戻すため、奇妙な共犯関係を結んで反撃を開始する。
これは不遇な令嬢が最強の龍皇帝に溺愛され、捨てた家族に復讐を果たす大逆転サクセスストーリーです。
(ハッピーエンド確約/ざまぁ要素あり/他サイト様にも掲載中)
もし面白いと思っていただけましたら、お気に入り登録・いいねなどしていただけましたら、作者の大変なモチベーション向上になりますので、ぜひお願いします!
「転生したら推しの悪役宰相と婚約してました!?」〜推しが今日も溺愛してきます〜 (旧題:転生したら報われない悪役夫を溺愛することになった件)
透子(とおるこ)
恋愛
読んでいた小説の中で一番好きだった“悪役宰相グラヴィス”。
有能で冷たく見えるけど、本当は一途で優しい――そんな彼が、報われずに処刑された。
「今度こそ、彼を幸せにしてあげたい」
そう願った瞬間、気づけば私は物語の姫ジェニエットに転生していて――
しかも、彼との“政略結婚”が目前!?
婚約から始まる、再構築系・年の差溺愛ラブ。
“報われない推し”が、今度こそ幸せになるお話。
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛
三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。
「……ここは?」
か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。
顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。
私は一体、誰なのだろう?
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる