【完結】訳あり令嬢と騎士の訳ありな挙式

丸山 あい

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月影の閨 Ⅲ*

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 リュディガーは、大柄だ。それに見合って手も大きく、指も長く太い。

 __あの指が……。

 大好きな彼の手。

 胼胝たこのある無骨な筋張った手は、リュディガーを異性として意識するようになってから、キルシェにとって色気があるように見えていた。

 __あの手が……触れている……。

 足の力が入らなくなって、リュディガーが腕で器用に足を開かせる。

「あ……ん……んっ……」

 抵抗が減って、より深く動く指。

 ゆっくりと内壁を押し、中を広げるように円を描く動きになりながら、さらに奥まで入り込んでくる。そして、いくらか奥を押し広げるように押してから、引き抜き切るぎりぎりまで浅く下がり、再び奥まで__。

 くちゅくちゅ、と音を立てる秘部。ゆっくり動く指のせいで、よりねっとり、とした響きにも聞こえる。

「んっ……ぁっぁ……」

「力を抜いて……」

 内部の違和感が増した。もう一指増えたようだ。動いがより複雑な瞬間があって、腰が震えてしまう。

 リュディガーの身体にもたれかかっていくしかない。

「ぃっ……あああっ!」

 首筋を嬲っていたリュディガーが、突然、空いていたもう一方の胸の頂を口に含んで軽く食んだ。

 キルシェは突然の快感に身体を撓らせるように弾ませる。口に含んだまま、乳房の脂肪を舌で頂点へ押し上げるように嬲られ、秘部からの快感だけでなく、胸への増した愛撫からの快感に、身悶えるしかなかった。

 リュディガーと密着する腰辺りに硬い感触があたっていることに気づいた。石とは違って、いくらかの弾力があるそれ。

 なんだろう、とぼんやりとそれを認識していれば、胸を愛撫していた口が離れた。

「キルシェ……愛してる……」

「リュディ__」

 キルシェの言葉は、リュディガーによって飲み込まれてしまった。

 覆いかぶさるように体重を掛けられ、支える力などなくなっていたキルシェは寝台に横たわるしかない。

 太ももあたりにあたる、弾力がある硬いものは、ぐりぐり、と押し付けられているようで、それでキルシェはそれが何なのかを察した。そして、秘裂の内部、膣の内壁を押すように相変わらず動く指。それは、間違いなくリュディガーを受け入れる為に、彼が意図して解しているのだと悟る。

 __ここに……入る……。

 想像して、ぞくり、とした。

「あ……ぁ……んっ……ぁっ……」

 唇が離れ、膣を広げる指が、浅く深く出入りしながら内壁を押す動きになった。粘性の高い水の音で、どれほど濡れているのかがわかる。

「あぁんっ……ん……」

 首筋を舌が這い、再び胸へと至って乳首を吸われる。わざとらしい音を立てて。舌で転がされ、勝手に腰がよじれて動いてしまうのだが、膣に入っている指のせいで、それもまた自分で刺激を増やしてしまうことになった。

「ぃ……! いやっ……あ……ん……っ」

 指の動きがいくらか早くなってきて、卑猥な水の音とともに増してくる快感に、どうにも逃げ場がない状況。どうしていいかもわからないキルシェは、ぎゅっ、と耐えていたのだが、唐突に胸の愛撫が止み、次いで膣を嬲っていた指の動きがゆるくなり、最終的に秘裂をなぞるようにしながら抜かれてしまった。

「あ、ん……」

 はぁ、と肩で息をしていると、リュディガーの身体も離れていき、夜気の冷たさに晒された自身を抱いた。

 それを見つめていたリュディガーの太い腕が身体の下に差し込まれる。何を、と身構えていれば、小さく口元で笑みをつくる彼は、寝台の中央へと軽々と移動させた。

 その際、するり、と寝間着から身体はうまい具合に脱げてしまって全裸となっているキルシェ。改めて寝かされた寝具の冷たさが、火照った身体には心地良く、小さくため息を吐く。しかし、すぐさま身を固くした。大きなリュディガーが、キルシェの足元ににじり寄ったのだ。

 足元で膝立ちになって、じっと見つめてくるリュディガー。大きな体は見とれるほど均整の取れたもので、武人らしい実用的な筋肉の発達をしている。大柄だから、ひとつひとつの筋肉が大きく見え、引き締まっているが柔らかくも見え、それでいて、荒々しくも映る。

 ごくり、と生唾を飲んで、筋肉を辿って下へと視線を落とすと、意図しないものがあって思わず息を詰めてしまう。

 割れた腹筋の下、反り返る怒張__リュディガーは僅かの間に全裸になっていた。

 怒張は、彼の指などとは比べるべくもないほど太く大きい。

 血管が表面に浮いて、ひくり、と動くのが生々しい。

 息を詰めて身を固めていると、彼の膝が、キルシェの膝の間に割って入り、太い身体までをも割り込んできた。そして、顔の片手をついて支えにし、リュディガーの身体が覆いかぶさるように動く。そうなると、視界から怒張が隠された。

「初めてだから、あまり見ないほうがいい」

 苦笑を浮かべるリュディガー。

 膝の間に割り込んだ太い身体。否応なく、局部が晒された状況に隠すこともできずにいれば、細腰をなぞるように優しく撫でる手に、ぞくぞく、と身体が反応してしまう。ただ撫でられているだけで、これほど身体がざわめくことにキルシェは戸惑った。

「本当に、細いな……君は……」

 自身を掻き抱くようにしていた手の片方を、もう一方の手が取って自身の頬に擦り付ける。

「壊してしまわないか、心配だが……」

 うっとり、と頬ずりしていた彼が視線を交えた。

「んっ……」

 秘裂に何か__指ではない何かが触れた。熱を持ったそれ。指よりも太く、先端のあるもの。

 どきどき、と心臓が早鐘を打つ。強く早いそれは、耳に響くほど。

「__いいか?」

 見つめてくる彼の目は熱に浮かされたようで、その奥に強い彼の劣情が見え隠れしているようにキルシェには映った。

 何と答えたらいいのかわからない。

 嫌なはずがない。

 大好きな人に求められているのだ。

 だが、怖さもある。

 一瞬見えた彼の怒張の大きさは、今彼が頬ずりする手の手首ほどもあるのではなかろうか。それが、果たして入るのか。受け入れられるのか。

 __世の中の夫婦って……初夜って……どうなの、かしら……。

「ぁっ……」

 ひくり、と動いた怒張が秘裂に触れる先端で押した。にゅるり、としとどに濡れた愛液で先端が滑って、刺激に対して油断していたキルシェの身体が跳ねてしまう。

 秘裂をなぞっていた指と明確に太さに差があることを知り、指こそ受け入れたが、どうなのだろう、と余計に不安になる。

「たぶん、怖いよな……」

 自嘲気味に言うリュディガーに、キルシェは否定どころか、何も答えることができない。

 リュディガーは頬ずりしていた手を離し、今度は彼がキルシェの頬を優しく包んだ。

「無理そうなら、そこで止める」

 真摯な表情で、親指の腹で頬を撫でるリュディガー。

「痛かったら素直に言ってくれ。止められる自信はある」

 こんな状況でも、誠実で__これほどまでに、労られ、愛されているのだと、胸の深いところから彼への春めいた気持ちが湧いてくる。
 
 __リュディガーでよかった……。

 自分を愛してくれるのも、自分が愛するのも。

 __愛しいのだもの……。

 緊張が、ゆるく解けていく。

 キルシェは小さく深呼吸をしてから、自身を掻き抱いていた手をどかしてシーツへ降ろし、頬に触れている大きな手をもう一方で触れる。

 目をいくらか見開くリュディガーに、キルシェは柔らかく笑みを向けることができた。

「__来て……リュディガー」
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