10 / 12
10
「「「元王女殿下の門出にカンパ~イ!!」」」
パーティーが始まって早々、マルフィナは肝が潰れた。
「いやあ~スカッとしたな!あの王女様!国王が親バカなのを良いことに、これまでずっっっっっとワガママ放題横暴し放題で振り回しやがって…」
「そうそう!俺たちのことを虫ケラ程度の存在だの好き勝手言ってくれてたなあ!今頃どうしてんだろうな。」
「田舎の土に塗れる虫ケラみたいな生活を送ってるんじゃないの?」
「「「あははははは!!!」」」
テオバルトの友人たちは立板に水を流すように、国王や王女の愚痴を吐き続けている。
彼らがどれだけ王族と深い関わりがあるのか、どれだけ権力があるのかは分からないが、もし外部の人間に聞かれていたら、社会的制裁どころで済む話なのだろうか。
(巻き込まれないように気を付けないと。)
「テオ!!」
いきなりテオバルトに飛びついたのは、彼の幼馴染シェリルだ。
「…あら、彼女は?」
シェリルはマルフィナに目をやると、テオバルトに尋ねる。
つい先程までマルフィナが彼の隣に立っていたところを、わざわざ密着してそう尋ねたのは、お前は部外者だとでも言いたげな様子だった。
どうやら性格はあまり良くないようだ。
「妻のマルフィナだよ。」
テオバルトはにこやかにそう返した。
「…そう。」
シェリルはそれだけ呟き、3人は友人パーティーの輪の中に入った。
「おっ!今回の主役ふたりのお出ましかい?」
「いいや、主役はマルフィナさ。僕は何もしてないよ。」
なんだか王女が破滅した原因を、マルフィナひとりに押し付けようとしているように聞こえる。
彼女は慌てて弁解した。
「いえ、そんな。わたくしはただ自分を変えたくて努力しただけです。まさか王女殿下の身にあんなことが降りかかるだなんて、想像もしてませんでした。」
「ご謙遜を!もし君が変わってなければ、王女様が『あら、ごめんなさ~い』の一言で済ませて、王様のお咎めも無かっただろうよ!」
どうあってもマルフィナが原因になるようだ。
「本当にお疲れ様、テオバルト!婚約関係がなくなった後でもあのお姫様に振り回されるなんて、これから先どうなるのか心配だったけど。これでようやく解放されたな。」
「ああ、マルフィナには感謝しかないよ。」
そう微笑んで頭を撫でるテオバルトに、マルフィナは淑やかに一礼する。
それを横目に、シェリルは口を挟んだ。
「ふ~ん…でもふたりの結婚って、あのお姫様が取り付けたんでしょ?」
「え?ああ…そうだったな、お二人さん。」
「だったらお姫様がいなくなった今、ふたりが婚姻関係を続ける意味って何?」
その場の空気が凍りついた。
「意味とかじゃないよ。貴族家同士の結婚と変わらない。それにほら、王命を覆すことは君にだって出来ないだろう?」
「…そう。」
フォローを入れるテオバルトに、彼女は頷いた。
「い、いやあ、しかし、みんなも俺も、初めて貴族学校で会った頃からえらく変わったなあ。」
場の空気を変えようと、ひとりの男がしどろもどろで新しい話題を切り出す。
するとシェリルがそれに乗っかった。
「あーっ、そうそう!あの頃はすっごい楽しかったよね!ボブったら合宿で伝説を作るんだーなんて言って、マドンナの子に」
「オイ!わざわざ蒸し返すな!」
会場は笑いに包まれる。
「そういえばユリスも学園祭で…」
「それって◯◯◯のこと?」
「あははは!」
友人たち全員が、思い出話で盛り上がっている。
話に入れず黙りこくるマルフィナを横目に、シェリルは勝ち誇ったように微笑んだ。
彼女はマルフィナが除け者になるよう、わざと友人グループでしか通じない昔話に加担したのだ。
だが彼らとなるべく関わりたくないマルフィナは、そのことに気付いて感謝しながら、ただ時間が過ぎるのを待った。
パーティーが始まって早々、マルフィナは肝が潰れた。
「いやあ~スカッとしたな!あの王女様!国王が親バカなのを良いことに、これまでずっっっっっとワガママ放題横暴し放題で振り回しやがって…」
「そうそう!俺たちのことを虫ケラ程度の存在だの好き勝手言ってくれてたなあ!今頃どうしてんだろうな。」
「田舎の土に塗れる虫ケラみたいな生活を送ってるんじゃないの?」
「「「あははははは!!!」」」
テオバルトの友人たちは立板に水を流すように、国王や王女の愚痴を吐き続けている。
彼らがどれだけ王族と深い関わりがあるのか、どれだけ権力があるのかは分からないが、もし外部の人間に聞かれていたら、社会的制裁どころで済む話なのだろうか。
(巻き込まれないように気を付けないと。)
「テオ!!」
いきなりテオバルトに飛びついたのは、彼の幼馴染シェリルだ。
「…あら、彼女は?」
シェリルはマルフィナに目をやると、テオバルトに尋ねる。
つい先程までマルフィナが彼の隣に立っていたところを、わざわざ密着してそう尋ねたのは、お前は部外者だとでも言いたげな様子だった。
どうやら性格はあまり良くないようだ。
「妻のマルフィナだよ。」
テオバルトはにこやかにそう返した。
「…そう。」
シェリルはそれだけ呟き、3人は友人パーティーの輪の中に入った。
「おっ!今回の主役ふたりのお出ましかい?」
「いいや、主役はマルフィナさ。僕は何もしてないよ。」
なんだか王女が破滅した原因を、マルフィナひとりに押し付けようとしているように聞こえる。
彼女は慌てて弁解した。
「いえ、そんな。わたくしはただ自分を変えたくて努力しただけです。まさか王女殿下の身にあんなことが降りかかるだなんて、想像もしてませんでした。」
「ご謙遜を!もし君が変わってなければ、王女様が『あら、ごめんなさ~い』の一言で済ませて、王様のお咎めも無かっただろうよ!」
どうあってもマルフィナが原因になるようだ。
「本当にお疲れ様、テオバルト!婚約関係がなくなった後でもあのお姫様に振り回されるなんて、これから先どうなるのか心配だったけど。これでようやく解放されたな。」
「ああ、マルフィナには感謝しかないよ。」
そう微笑んで頭を撫でるテオバルトに、マルフィナは淑やかに一礼する。
それを横目に、シェリルは口を挟んだ。
「ふ~ん…でもふたりの結婚って、あのお姫様が取り付けたんでしょ?」
「え?ああ…そうだったな、お二人さん。」
「だったらお姫様がいなくなった今、ふたりが婚姻関係を続ける意味って何?」
その場の空気が凍りついた。
「意味とかじゃないよ。貴族家同士の結婚と変わらない。それにほら、王命を覆すことは君にだって出来ないだろう?」
「…そう。」
フォローを入れるテオバルトに、彼女は頷いた。
「い、いやあ、しかし、みんなも俺も、初めて貴族学校で会った頃からえらく変わったなあ。」
場の空気を変えようと、ひとりの男がしどろもどろで新しい話題を切り出す。
するとシェリルがそれに乗っかった。
「あーっ、そうそう!あの頃はすっごい楽しかったよね!ボブったら合宿で伝説を作るんだーなんて言って、マドンナの子に」
「オイ!わざわざ蒸し返すな!」
会場は笑いに包まれる。
「そういえばユリスも学園祭で…」
「それって◯◯◯のこと?」
「あははは!」
友人たち全員が、思い出話で盛り上がっている。
話に入れず黙りこくるマルフィナを横目に、シェリルは勝ち誇ったように微笑んだ。
彼女はマルフィナが除け者になるよう、わざと友人グループでしか通じない昔話に加担したのだ。
だが彼らとなるべく関わりたくないマルフィナは、そのことに気付いて感謝しながら、ただ時間が過ぎるのを待った。
あなたにおすすめの小説
幼馴染が最優先な婚約者など、私の人生には不要です。
たると
恋愛
シュタイン伯爵家の長女エルゼは、公爵子息フィリップに恋をしていた。
彼の婚約者として選ばれた時は涙を流して喜んだが、その喜びもいまは遠い。
『君は一人でも大丈夫だろう。この埋め合わせは必ずする。愛している』
「……『愛している』、ですか」
いつも幼馴染を優先するアルベルトに、恋心はすっかり冷めてしまった。
「退屈な女だ」と婚約破棄されたので去りましたが、翌日から国政が止まったそうです。え、私はもう存じませんけど?
にたまご
恋愛
公爵令嬢クラーラは、ユリウス王太子殿下に婚約を破棄された。
「退屈な女だ」「何の取り柄もない」と。
否定はしない。
けれど殿下が知らないだけで、通商条約も予算案も外交書簡も、この国の政務の大半を六年間匿名で回していたのは──この「退屈な女」だ。
婚約破棄の翌朝、宰相補佐官のレオンが焼き菓子と四十二件の緊急報告を携えて公爵邸を訪れる。
「貴女がいなくなった王宮は、控えめに申し上げて、地獄です」
──存じません。私はもう、ただの無職ですので。
第一王子様が最後に選んだのは、妹ではなく私だったようです
睡蓮
恋愛
姉であるオルシナと、妹のマリーシア。マリーシアは小さな時から周囲の人物を次々と味方につけ、オルシナの事を孤立させていった。マリーシアに対しては誰もがちやほやと接してくるのに、オルシナに対しては冷たい態度を取る者がほとんどで、それがこれから先も続くものと思われていた。そんな中、二人のもとに一通の手紙が届く。差出人はフォルグ第一王子であり、二人のうちのいずれかを婚約者として迎え入れるということが書かれていた…。
あなたの隣に私は必要ですか?
らんか
恋愛
政略結婚にて、3年前より婚約し、学園卒業と共に嫁ぐ予定であったアリーシア。
しかし、諸事情により結婚式は延期され、次の結婚式の日取りさえなかなか決められない状況であった。
そんなアリーシアの婚約者ルートヴィッヒは、護衛対象である第三王女ミーアの傍を片時も離れようとしない。
月1回の婚約者同士のお茶会もすぐに切り上げてしまい、夜会へのエスコートすらしてもらった事がない。
そんな状況で、アリーシアは思う。
私はあなたの隣に必要でしょうか? あなたが求めているのは別の人ではないのでしょうかと。
* 短編です。4/4に完結します。
ご感想欄は都合により、閉じさせて頂きます。
世継ぎは他の妃が産めばいい——子を産めない私ですが、帝の寵愛を独占して皇后になりました
由香
恋愛
後宮に入る女の価値は、ただ一つ。
——皇子を産めるかどうか。
けれど私は、産めない。
ならば——
「世継ぎは他の妃に任せます。私は、陛下に愛される女になります」
そう言い放ったその日から、すべてが狂い始めた。
毒を盛られても、捨てられず。
皇子が生まれても、選ばれたのは私だった。
「お前は、ここにいろ」
これは、子を産めない女が
ただ一つの武器“寵愛”だけで頂点に立つ物語。
そして——
その寵愛は、やがて狂気に変わる。
あなたにわたくしは相応しくないようです
らがまふぃん
恋愛
物語の中だけの話だと思っていました。
現実に起こることでしたのね。
※本編六話+幕間一話と後日談一話の全八話、ゆるゆる話。何も考えずにお読みください。
HOTランキング入りをしまして、たくさんの方の目に触れる機会を得られました。たくさんのお気に入り登録など、本当にありがとうございました。
完結表示をしようとして、タグが入っていなかったことに気付きました。何となく今更な感じがありますが、タグ入れました。
触れても伝わらない
河原巽
恋愛
王都から離れた地方で暮らしていた猫の獣人マグラは支部長自らの勧誘を受け、王立警護団第四支部に入団する。
入団初日、支部の詰所で甘い香りを放つエレノアと出会うが、同時に男の匂いをべったりと付けている彼女に苛立ちを覚えるマグラ。
後日、再会した彼女にはやはり不要な匂いが纏わり付いている。心地よい彼女の香りを自分だけのものだと主張することを決意するが、全く意図は通じない。
そんなある日の出来事。
拙作「痛みは教えてくれない」のマグラ(男性)視点です。
同一場面で会話を足したり引いたりしているので、先に上記短編(エレノア視点)をお読みいただいた方が流れがわかりやすいかと思います。
別サイトにも掲載しております。
熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。
しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。
「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」
身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。
堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。
数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。
妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。