元婚約者からの嫌がらせでわたくしと結婚させられた彼が、ざまぁしたら優しくなりました。ですが新婚時代に受けた扱いを忘れてはおりませんよ?

3333(トリささみ)

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「「「元王女殿下の門出にカンパ~イ!!」」」

 パーティーが始まって早々、マルフィナは肝が潰れた。

「いやあ~スカッとしたな!あの王女様!国王が親バカなのを良いことに、これまでずっっっっっとワガママ放題横暴し放題で振り回しやがって…」
「そうそう!俺たちのことを虫ケラ程度の存在だの好き勝手言ってくれてたなあ!今頃どうしてんだろうな。」
「田舎の土に塗れる虫ケラみたいな生活を送ってるんじゃないの?」
「「「あははははは!!!」」」

 テオバルトの友人たちは立板に水を流すように、国王や王女の愚痴を吐き続けている。
 彼らがどれだけ王族と深い関わりがあるのか、どれだけ権力があるのかは分からないが、もし外部の人間に聞かれていたら、社会的制裁どころで済む話なのだろうか。

(巻き込まれないように気を付けないと。)
「テオ!!」

 いきなりテオバルトに飛びついたのは、彼の幼馴染シェリルだ。

「…あら、彼女は?」

 シェリルはマルフィナに目をやると、テオバルトに尋ねる。
 つい先程までマルフィナが彼の隣に立っていたところを、わざわざ密着してそう尋ねたのは、お前は部外者だとでも言いたげな様子だった。
 どうやら性格はあまり良くないようだ。

「妻のマルフィナだよ。」

 テオバルトはにこやかにそう返した。

「…そう。」

 シェリルはそれだけ呟き、3人は友人パーティーの輪の中に入った。

「おっ!今回の主役ふたりのお出ましかい?」
「いいや、主役はマルフィナさ。僕は何もしてないよ。」

 なんだか王女が破滅した原因を、マルフィナひとりに押し付けようとしているように聞こえる。
 彼女は慌てて弁解した。

「いえ、そんな。わたくしはただ自分を変えたくて努力しただけです。まさか王女殿下の身にあんなことが降りかかるだなんて、想像もしてませんでした。」
「ご謙遜を!もし君が変わってなければ、王女様が『あら、ごめんなさ~い』の一言で済ませて、王様のお咎めも無かっただろうよ!」

 どうあってもマルフィナが原因になるようだ。

「本当にお疲れ様、テオバルト!婚約関係がなくなった後でもあのお姫様に振り回されるなんて、これから先どうなるのか心配だったけど。これでようやく解放されたな。」
「ああ、マルフィナには感謝しかないよ。」

 そう微笑んで頭を撫でるテオバルトに、マルフィナは淑やかに一礼する。
 それを横目に、シェリルは口を挟んだ。

「ふ~ん…でもふたりの結婚って、あのお姫様が取り付けたんでしょ?」
「え?ああ…そうだったな、お二人さん。」
「だったらお姫様がいなくなった今、ふたりが婚姻関係を続ける意味って何?」

 その場の空気が凍りついた。

「意味とかじゃないよ。貴族家同士の結婚と変わらない。それにほら、王命を覆すことは君にだって出来ないだろう?」
「…そう。」

 フォローを入れるテオバルトに、彼女は頷いた。

「い、いやあ、しかし、みんなも俺も、初めて貴族学校で会った頃からえらく変わったなあ。」

 場の空気を変えようと、ひとりの男がしどろもどろで新しい話題を切り出す。
 するとシェリルがそれに乗っかった。

「あーっ、そうそう!あの頃はすっごい楽しかったよね!ボブったら合宿で伝説を作るんだーなんて言って、マドンナの子に」
「オイ!わざわざ蒸し返すな!」

 会場は笑いに包まれる。

「そういえばユリスも学園祭で…」
「それって◯◯◯のこと?」
「あははは!」

 友人たち全員が、思い出話で盛り上がっている。
 話に入れず黙りこくるマルフィナを横目に、シェリルは勝ち誇ったように微笑んだ。
 彼女はマルフィナが除け者になるよう、わざと友人グループでしか通じない昔話に加担したのだ。
 だが彼らとなるべく関わりたくないマルフィナは、そのことに気付いて感謝しながら、ただ時間が過ぎるのを待った。
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