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70話 最終手段
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王の腹から止めどなく溢れる血を見たクロードは、
「やっと終われますね。
ようやくだ…ようやく、この時が来た」
そう言うと、
おもむろに、王の血が滴る剣を、
自分に向けた。
それを見たルシードは目を瞠り、アリアは口を手で覆って驚いた!
「兄上⁈何をなさってるんですか⁈」
そう言いながら、慌ててルシードが駆け寄ろうとするが、
「来るなっっ!!ルシード!!」
と、いつも優しく穏やかな兄に、
大きな怒声を浴びせられたルシードは、
ビクッとなって立ち止まる。
「こんなに沢山の人たちを巻き込んで申し訳ない。
この方法は……最終手段だった…」
クロードは静かに話し始めた。
「私は、もしもの時のために、
いつでも民衆が立ち上がれるよう組織を作っていた。
私が薬物を売り捌いているうちに、
いつか捕まるようなことがあれば、
自分たちで立ち上がって王を倒し、
ルシードを王に立てて、国を立て直すよう、
その覚悟をさせ、準備をすすめてきた。
しかし、争えば犠牲者は必ず出る。
だから、自分が皆を守れなくなった時のための
最終手段だった…
しかし、アリアがこの国に来てくれて、
少しずつ国は良くなり、
その準備の必要もなかったかと胸を撫で下ろそうとしていたんだ。
本当にアリアのおかげで、自分も含めて
この国の人々全てに光が挿したと思った。
しかし、結局父に大事な国の金は使われ、
挙句に助けてくれた恩人のアリアにまで無体を働いて…
…やはりやるしかない、いや、もっと早くこうするべきだったと後悔したよ。
…私はずっとこうしたかったんだ…
ずっとこうしたかったんだ…」
クロードの頬には涙が伝い始めた。
「こんな汚らわしい血はもう終わりにしたかった。
ルシード、君もマルシェも、1番下の小さな弟もみんな側室になられた方の連れ子で、
王族の血は引いていない…
綺麗な血だ。
この汚らしい男の血が流れているのは私だけなんだよ。
私にこの男の血が流れているのだと思うと、
いつもいつも気持ち悪くて吐きそうだった。
どんなに国のことを思っていても、
自分がいつかこんな風になってしまうんじゃないかと、
怖くて仕方なかった。
……こんな血は、ここで終わりにしないといけない。
王には、ルシード、君がなってほしいとずっと思っていた。
この国のことを愛している君にこそ、この国を託したい。
アリアが王妃になり、君たちが力を合わせてくれれば、これ以上の幸せはない。
それを想像するだけで、私は心置きなく…死ねる」
そう言うと、ルシードに止められないうちに、
クロードは、また、何の躊躇いもなく、
自分の腹に剣を突き立てる。
…そのままガクンッと膝を突き、
横になって、倒れた。
「やっと終われますね。
ようやくだ…ようやく、この時が来た」
そう言うと、
おもむろに、王の血が滴る剣を、
自分に向けた。
それを見たルシードは目を瞠り、アリアは口を手で覆って驚いた!
「兄上⁈何をなさってるんですか⁈」
そう言いながら、慌ててルシードが駆け寄ろうとするが、
「来るなっっ!!ルシード!!」
と、いつも優しく穏やかな兄に、
大きな怒声を浴びせられたルシードは、
ビクッとなって立ち止まる。
「こんなに沢山の人たちを巻き込んで申し訳ない。
この方法は……最終手段だった…」
クロードは静かに話し始めた。
「私は、もしもの時のために、
いつでも民衆が立ち上がれるよう組織を作っていた。
私が薬物を売り捌いているうちに、
いつか捕まるようなことがあれば、
自分たちで立ち上がって王を倒し、
ルシードを王に立てて、国を立て直すよう、
その覚悟をさせ、準備をすすめてきた。
しかし、争えば犠牲者は必ず出る。
だから、自分が皆を守れなくなった時のための
最終手段だった…
しかし、アリアがこの国に来てくれて、
少しずつ国は良くなり、
その準備の必要もなかったかと胸を撫で下ろそうとしていたんだ。
本当にアリアのおかげで、自分も含めて
この国の人々全てに光が挿したと思った。
しかし、結局父に大事な国の金は使われ、
挙句に助けてくれた恩人のアリアにまで無体を働いて…
…やはりやるしかない、いや、もっと早くこうするべきだったと後悔したよ。
…私はずっとこうしたかったんだ…
ずっとこうしたかったんだ…」
クロードの頬には涙が伝い始めた。
「こんな汚らわしい血はもう終わりにしたかった。
ルシード、君もマルシェも、1番下の小さな弟もみんな側室になられた方の連れ子で、
王族の血は引いていない…
綺麗な血だ。
この汚らしい男の血が流れているのは私だけなんだよ。
私にこの男の血が流れているのだと思うと、
いつもいつも気持ち悪くて吐きそうだった。
どんなに国のことを思っていても、
自分がいつかこんな風になってしまうんじゃないかと、
怖くて仕方なかった。
……こんな血は、ここで終わりにしないといけない。
王には、ルシード、君がなってほしいとずっと思っていた。
この国のことを愛している君にこそ、この国を託したい。
アリアが王妃になり、君たちが力を合わせてくれれば、これ以上の幸せはない。
それを想像するだけで、私は心置きなく…死ねる」
そう言うと、ルシードに止められないうちに、
クロードは、また、何の躊躇いもなく、
自分の腹に剣を突き立てる。
…そのままガクンッと膝を突き、
横になって、倒れた。
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