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69話 姉上の罪

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——バタンッ

「重要なことは…これで終わりだよ…」

ルーカスは分厚い日記を乱暴に閉じると、暗い顔で微笑みながら言った。

「ルーカス…これは…あなた、あっ、あなたがカトリーナの…⁉︎」

エレナはあまりの衝撃に言葉にならなかった。

「…たぶんね」

すでに何度も読んだルーカスは、もうその事実は覆しようもない事実なのだと受け入れていた。

「あっ、あのふわふわの金色の髪…!
あなたと同じだった…まさか…本当に…?」

「…まぁ、本当に姉かどうか、それは僕にとってはどうでもいいことだよ。

お互い会ったこともないし、もしこの日記に書かれていることが本当だったとしても、血が繋がってるってだけの他人だ。

僕の姉上はここにいる姉上一人だけだよ!」

ルーカスは怒ったように言う。

「ルーカス…
びっくりしただろう?大変だったね?

こういうことは、ゆっくり考えればいい。どうしたいか、それは徐々に冷静になった時にわかるはずだよ。

カトリーナは酷いことをしてきたが、その罪と、君がどうしたいかは別問題だ。
こっちのことは気にせず、よく考えるといい」

フェリスはルーカスの背中をさすると、優しくそう言った。

「フェリス殿下…ありがとう…ございます」

ルーカスは目頭が熱くなったが、涙が落ちるのを我慢した。

「フェリスの言う通りだな。
ルーカス、お前がどんな答えを出しても誰も責めたりしない。自分の気持ちを一番に考えることだ」

アークも真剣な目でルーカスに言った。

「はい、ありがとうございます」

ルーカスは、こいつもたまには優しいこと言うじゃないかと小憎らしいことを考えていた。

「ルーカス?私もそう思ってるわ。どんなルーカスもいつだって大好きだから、私のことは気にしないで、あなたの一番いい答えを見つけてね?」

「姉上…」

大好きと言う言葉に反応したルーカスはエレナを見つめたが、隣のアークの目が光ったのを見て、慌てて目を逸らした。


潔く諦めるって決めたんだ!


ルーカスはそう思うと、話を変えた。

「僕のことはまた追々考えます。
今重要なのは光魔法の他に闇魔法を使えるということです。

これで生徒や民衆を扇動し、王妃や婚約者の座を獲得してきただけでなく、姉上やフェリス殿下の殺害にも使われていたのかもしれません。

まだこの力を持っている限り、終わったわけではないのです」

「その通りだな。…しかし、ここに出てくる魔女とは一体…初めて聞いたな。この魔女なら力を取り上げられるのかもしれんが…」

アークは腕組みをすると眉を顰めて悩んだ。

「…そうだね…この魔女を…探さないといけないね」

フェリスは俯きながら、静かに言った。

「でも突然現れたって書いてたから、こちらからは探しに行けないのかしら」

エレナは不安な顔をして言った。

「わからないなぁ…
ちょっと王宮の書庫を調べてみよう。
何かわかるかもしれない。

ルーカスは魔法研究所の所長に何か知らないか尋ねてみてくれないか?」

「分かりました」

アークの頼みをルーカスは快く引き受けた。

もう姉上を守るのはこの人の役目なんだ。
俺に出来ることは、姉上のために、この人に協力してやることだけ。

ルーカスはそう自分を奮い立たせて、王宮を後にした。
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