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155話 よく聞け!

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バタンッ

と、扉を蹴破る、けたたましい音が聞こえる。

来るとはわかっていたが、あまりの音にキャロラインは驚いて、ビクッと震えた。

「ティア‼︎ティア‼︎」

そう叫びながら、リンドが先に焦った表情で入ってきた。

自分を助けにきてくれたと思ったのに、

開口一番はそれで、キャロラインはがっかりする。

しかも、私はソファに座ってるのに、見向きもしない。

部屋を歩き回って、ティアがいないと知ると、

クソッ

と壁を叩いて、やっとこちらに来た


「ティアは⁉︎ティアはどうなった⁉︎」

リンドは怒った顔で、キャロラインを睨んだ。

「私に聞かれてもわかりませんわ⁉︎

私も今気がついたところですし、その時にはもうこの状態で、誰もいませんでしたから…」

キャロラインはまるで自分が犯人かのように問い詰められ、腹が立って、負けじと睨み返して言った。

「やられた‼︎」

リンドは拳を強く握りしめ、歯噛みする。

「キャロライン嬢!急いでるから、手短に話す!よく聞け!」

キャロラインはすごい勢いに気圧されて、素直に頷く。

「ティアとの勝負の件、だめになったが、結婚はしない。

そちらの家の筆頭執事が、国からの多大な助成金を横領している証拠が出た。

国からの金に手をつけたことは重罪で、自領だけの問題ではすまないだろう。

責任をとって、あなたの父が断罪になるか、一族まで断罪になるか、それとも爵位の剥奪か…

とにかく大変なことになるのは間違いない。

だが、結婚を大人しくあきらめてくれるなら、

この一件、あなたの父にだけ伝え、内々で処分可能なように処理してやる。

どうする?」

あまりのことに黙ってしまう。

「悪いが早く決めてくれ!すぐティアを追わないといけないんだ!」

リンドは焦って怒鳴る。

「はっ、はい、申し訳ございません。…わかりました。結婚はやめますし、やめても何も致しません」 
 
と、急かされて、どんな答えが正しいのか考える間もなく、

ただリンドに気圧されて、返事をする。

「よかった!じゃ、もうすぐキースがくるから、待ってて!急ぐから、すまない!」


それだけ言うと、慌てて出て行ってしまった…

私は?私のことは?どうでもいいの?

縛られてるのに…外してもくれないで…

さすがのキャロラインも恐怖とぞんざいに扱われた悔しさと悲しさで、涙がこぼれた。
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