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72 フェアリーのいたずら?
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光が消え、目を開けてみると暗い。じゃなくて、私を抱えているジュウロウザに解放するように叩いて訴える。私はジュウロウザの胸板に押し付けられていた。
しかし、ジュウロウザの力が緩むことはない。
「これはこれは面妖な」
シンセイの不思議そうに困惑した声が聞こえてきた。
「キトウさん。力を緩めてください。光る輪が出ていませんか?」
すると、私は解放され、部屋の中央を見ることができた。
何これ?確かに光るサークルは出現した。しかし、その周りには金貨や宝石など多様な物が散乱していた。まるで光るサークルから飛び出たように。
「何処から金貨や宝石が出てきたのでしょう?」
「姫、光る輪からですぞ」
シンセイが教えてくれた。この大量の金貨と宝石をどうすればいいのだろう。ゲームでは何かが飛び出てきた記憶はない。
ん?そう言えば、ダンジョンの魔物を倒していたけど、そこから何かドロップした感じではなかったなぁ。それとも、私が気が付かなかっただけでドロップしたものを敢えて二人が無視していたのだろうか。
「これはどう致そうか?」
「集めてモナ殿の鞄に入れておけばいいだろう」
ジュウロウザが私の鞄の中にドロップした物を入れようと言っているが。
「キトウさん。氷竜のところにあった宝石や魔石を大量にもらっているので、これ以上は必要ないのでは?」
そう、氷竜の巣にあった氷竜が集めてきたと思われるキラキラの宝石や魔石を私が寝込んでいる間にジュウロウザが私の拡張収納の鞄にしまっていたのだ。
「あって困るものじゃないから、構わないだろ?」
困らないけど。困らないけどそんなに宝石があっても使わないし、何処かで換金する?
「それで、モナ殿あの光る輪はなんだ?」
ジュウロウザに言われて改めて光るサークルを視る。
【フェアリーの癒やし】
HP、MPを全回復できる。
ただし、フェアリーのいたずらに注意。
いたずら?もしかして、これがいたずら?
「えーっと。HPとMPが回復できます。それから、フェアリーのいたずらに注意とあります」
「いたずら?」
ジュウロウザがそう言いながら、散らばっている金貨と宝石に目を向ける。金貨と宝石はただの金貨と宝石なので、幻でも偽物でもない。
そのキラキラした物体をシンセイは足でかき集めている。ああ、沢山ありすぎて集められないものね。
私はテントに戻り、掃除用の箒を持ってきて、周りから掃き始めた。
「モナ殿ゴミではないのだが?」
ジュウロウザの呆れた声が聞こえたが、こんなに沢山ちまちま拾っていられない。それに、作った食事が冷めてしまう。今日は氷竜の肉を使ったシチューなのだ!少し味見をしたけど、鶏とも牛とも違う味わい。とろけるような美味しさとはこういうものなのか!というシチュー肉になった。
これも、ジュウロウザがいつの間にか私の鞄に入れていた物だ。
ジュウロウザ、グッジョブ!美味しいものは好きだ!
呆れが顔を見せるジュウロウザに私は言う。
「今日は氷竜の肉シチューです。私はお腹が空きました。怪しいモノは解決したので、早く食べたいです」
そう言うと、私が持っていた箒をジュウロウザに取られ、ゴミを掃き出した。
うん。お腹空いたよね。
氷竜の肉シチューは美味しかった。とてもとても美味しかった。
けれど、私はおかわりができなかった。多めに作ったはずなのに、侍と老将が競い合うようにおかわりをして、大鍋がすっからかんになってしまった。明日の分もあったのになぁ。
しかし、ボケ老人が全くもって普通だ。丸一日共に行動をしていたが、お決まりのセリフ『ばぁさん飯はまだかいのぅ』を全く聞かなかった。
一体どういうこと?その老将は目の前でお茶をすすっている。確かに昨日までは雨の中、おかしな事を喋っていたし、野菜売りのおばさんも『ボケ爺さん』と言っていた。
ただ、そのボケ老人が普通の老将に戻るきっかけがゲームではあった。それはシンセイの武器を渡してイベントが済んだあとに、老獪な爺さんになっていたのだ。あの勇者の証を使わずに、キャラの不具合性が矯正されていた。
なら、今の状態はなんだ?やはり、ゲームは所詮ゲームということなのだろうか。
はぁ。全くもってわからない。
「気になっておったのですが、姫と将はどのような関係か?夫婦ですかな?」
「「違う」ます」
すぐさま否定する言葉がジュウロウザと重なった。何処をどう見たら、夫婦にみえると?
「俺はモナ殿の守護者だ」
「キトウさんに護衛をしてもらっています」
そう、カスステータスの私をジュウロウザに守ってもらっているだけ、そして、地獄モードに至らないために、ジュウロウザに私の運を分けているだけだ。
地獄モードになったら私は生きていけないからね。LUK-10000000は避けなければならない。
しかし、ジュウロウザの力が緩むことはない。
「これはこれは面妖な」
シンセイの不思議そうに困惑した声が聞こえてきた。
「キトウさん。力を緩めてください。光る輪が出ていませんか?」
すると、私は解放され、部屋の中央を見ることができた。
何これ?確かに光るサークルは出現した。しかし、その周りには金貨や宝石など多様な物が散乱していた。まるで光るサークルから飛び出たように。
「何処から金貨や宝石が出てきたのでしょう?」
「姫、光る輪からですぞ」
シンセイが教えてくれた。この大量の金貨と宝石をどうすればいいのだろう。ゲームでは何かが飛び出てきた記憶はない。
ん?そう言えば、ダンジョンの魔物を倒していたけど、そこから何かドロップした感じではなかったなぁ。それとも、私が気が付かなかっただけでドロップしたものを敢えて二人が無視していたのだろうか。
「これはどう致そうか?」
「集めてモナ殿の鞄に入れておけばいいだろう」
ジュウロウザが私の鞄の中にドロップした物を入れようと言っているが。
「キトウさん。氷竜のところにあった宝石や魔石を大量にもらっているので、これ以上は必要ないのでは?」
そう、氷竜の巣にあった氷竜が集めてきたと思われるキラキラの宝石や魔石を私が寝込んでいる間にジュウロウザが私の拡張収納の鞄にしまっていたのだ。
「あって困るものじゃないから、構わないだろ?」
困らないけど。困らないけどそんなに宝石があっても使わないし、何処かで換金する?
「それで、モナ殿あの光る輪はなんだ?」
ジュウロウザに言われて改めて光るサークルを視る。
【フェアリーの癒やし】
HP、MPを全回復できる。
ただし、フェアリーのいたずらに注意。
いたずら?もしかして、これがいたずら?
「えーっと。HPとMPが回復できます。それから、フェアリーのいたずらに注意とあります」
「いたずら?」
ジュウロウザがそう言いながら、散らばっている金貨と宝石に目を向ける。金貨と宝石はただの金貨と宝石なので、幻でも偽物でもない。
そのキラキラした物体をシンセイは足でかき集めている。ああ、沢山ありすぎて集められないものね。
私はテントに戻り、掃除用の箒を持ってきて、周りから掃き始めた。
「モナ殿ゴミではないのだが?」
ジュウロウザの呆れた声が聞こえたが、こんなに沢山ちまちま拾っていられない。それに、作った食事が冷めてしまう。今日は氷竜の肉を使ったシチューなのだ!少し味見をしたけど、鶏とも牛とも違う味わい。とろけるような美味しさとはこういうものなのか!というシチュー肉になった。
これも、ジュウロウザがいつの間にか私の鞄に入れていた物だ。
ジュウロウザ、グッジョブ!美味しいものは好きだ!
呆れが顔を見せるジュウロウザに私は言う。
「今日は氷竜の肉シチューです。私はお腹が空きました。怪しいモノは解決したので、早く食べたいです」
そう言うと、私が持っていた箒をジュウロウザに取られ、ゴミを掃き出した。
うん。お腹空いたよね。
氷竜の肉シチューは美味しかった。とてもとても美味しかった。
けれど、私はおかわりができなかった。多めに作ったはずなのに、侍と老将が競い合うようにおかわりをして、大鍋がすっからかんになってしまった。明日の分もあったのになぁ。
しかし、ボケ老人が全くもって普通だ。丸一日共に行動をしていたが、お決まりのセリフ『ばぁさん飯はまだかいのぅ』を全く聞かなかった。
一体どういうこと?その老将は目の前でお茶をすすっている。確かに昨日までは雨の中、おかしな事を喋っていたし、野菜売りのおばさんも『ボケ爺さん』と言っていた。
ただ、そのボケ老人が普通の老将に戻るきっかけがゲームではあった。それはシンセイの武器を渡してイベントが済んだあとに、老獪な爺さんになっていたのだ。あの勇者の証を使わずに、キャラの不具合性が矯正されていた。
なら、今の状態はなんだ?やはり、ゲームは所詮ゲームということなのだろうか。
はぁ。全くもってわからない。
「気になっておったのですが、姫と将はどのような関係か?夫婦ですかな?」
「「違う」ます」
すぐさま否定する言葉がジュウロウザと重なった。何処をどう見たら、夫婦にみえると?
「俺はモナ殿の守護者だ」
「キトウさんに護衛をしてもらっています」
そう、カスステータスの私をジュウロウザに守ってもらっているだけ、そして、地獄モードに至らないために、ジュウロウザに私の運を分けているだけだ。
地獄モードになったら私は生きていけないからね。LUK-10000000は避けなければならない。
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