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25章-4 冬期休暇-悪魔という存在
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「オルクスがわがままを言っただけだ」
カイルが笑顔のまま厳しい口調で話す。
グレイはと言うと、女神ナディアの策略で飼い犬のような姿にされ、カワイイとよしよしとされ、ゴリ押しで獣王神の加護を得たということを自分の口からは説明したくなかったので、貝のように口を噤んでいる。
何を話したくないかとは、勿論獣化というにはお粗末な姿で、女神に可愛いと言われながら撫ぜられたことだ。グレイ的には恥ずかしすぎることだった。
「わがままですか?」
「神の加護が欲しいと初代様に言っていたな」
カイルの言葉を繰り返すスーウェンにリオンが詳しくは知らないが、目の前で聞いたことを話す。しかし、神の加護といっても、スーウェンからしてみれば、白き神の加護を得ているために、他の神からの加護をうけるのは絶望的だとライターから言われているので、まだ加護を得ていないオルクスが羨ましいほどであった。
「で、カイルはいったい何が気に入らないのだ?」
リオンは表面上は笑顔だが、機嫌が悪い感じを隠しもしないカイルに疎ましげな視線をむける。
「オルクスは獣王神の加護を得たいだけだろう?」
確かに極論からいえばリオンの言うとおりだ。それの何がカイルは気に入らないのか。
「え?じゅうおうしんって何?」
リオンの言葉に反応したのは神からの加護を願っているものの、与えられた加護に不満を持っていたルークだ。
「ルーちゃん獣王神は獣人の神様だから、ルーちゃんが加護をもらうことはないとおもうの」
ルークの質問にニコニコとしたシェリーが答える。そして、決して隣の部屋で飲み会をしているとは言わない。
「え?じゃその神様は人族に加護を与えないってこと?」
獣王神フォルテが決して人族に加護を与えないのかと言えば否だ。ルークの目の前にいるシェリーはその獣王神フォルテの加護を得ている。といっても、獣化するとかではなく、身体能力の向上というありふれたものだ。
「絶対ということではないのよ。獣人でもあまり加護を与えない神様なの」
獣人ですら加護をあまり与えられることがないというのに、人族で加護を得るというのは相当獣王神に気に入られたということに等しい。例えで言うとなれば、神気にも屈せず共に酒を飲み交わす豪快さ。そう黒狼クロードのように。
シェリーの言葉を聞いたルークは『そんなんだー』と諦めてくれたようだ。ルークにとって今一番加護を得たい神ではなかったからだろう。これが、剣神と魔神の話であれば、ルークもオルクスと同様にわがままを言ったかもしれない。
しかし、違う事が気になったようで、ルークは表面上はニコニコと笑みを浮かべているカイルに視線を向けて尋ねた。
「カイルさん。剣に認められるとはどういうことですか?」
炎王には扱えてルークには剣を扱うことができない理由。以前、シェリーとカイルの言葉から炎王はワザとルークには扱えない魔剣を渡したと話していた。その話を知らないルークは、魔剣を使い方を知りたいというのは、当たり前のことだ。
「魔剣だからね。魔剣に主と認めさせないと扱えないのは基本だね。普通であれば冒険者のBランクは必要だけど、その魔剣はレッドドラゴンから作られたということは、レッドドラゴン倒せる実力がないと厳しいと思うよ」
カイルのその言葉にルークは項垂れる。今の自分にドラゴンを倒せる実力があるかと問われれば、ないと答えるだろう。
「だから、その魔剣を扱えるようになる頃になれば、自然と神の加護も得るようになっていることと思うよ」
この言い方だと、それほどの努力をしなければ、神からの加護を得ることはできないと言われているようだ。
「そっかー。まずはこの魔剣から火が出るようになればいいんだね」
少し違うが、魔剣からみとめられる実力がつけばという話だ。ルークなりに解釈できたので、早々と夕食を食べ終わり部屋に戻ると言い、魔剣を持ってダイニングを出ていった。
「で、カイルはいったい何が気に入らないのだ?」
ルークが居なくなったことで、同じセリフをリオンが繰り返して言った。
それはオルクスに対して何が気に入らいのだという意味だ。
「加護を得たいためにシェリーを守ると軽口で言ったことだ」
確かにオルクスはそのような言葉を口にしていた。しかし、カイルはキッチンにおりその場に居なかったはずだが、声だけは聞こえていたということなのだろう。
不機嫌に言葉にするカイルの横では、ルークが居なくなったことで、ニコニコ顔から一転、無表情で食事をとっているシェリーがいる。
「しかし、オルクスがそのように積極的に神からの加護を得たいと思っていたことに私は意外だと思ってしまいますね」
スーウェンがオルクスの行動が意外だと口にした。どちらかと言うとオルクスは何も考えず敵に突っ込んでいき、周りを振り回すタイプだからだ。
カイルが笑顔のまま厳しい口調で話す。
グレイはと言うと、女神ナディアの策略で飼い犬のような姿にされ、カワイイとよしよしとされ、ゴリ押しで獣王神の加護を得たということを自分の口からは説明したくなかったので、貝のように口を噤んでいる。
何を話したくないかとは、勿論獣化というにはお粗末な姿で、女神に可愛いと言われながら撫ぜられたことだ。グレイ的には恥ずかしすぎることだった。
「わがままですか?」
「神の加護が欲しいと初代様に言っていたな」
カイルの言葉を繰り返すスーウェンにリオンが詳しくは知らないが、目の前で聞いたことを話す。しかし、神の加護といっても、スーウェンからしてみれば、白き神の加護を得ているために、他の神からの加護をうけるのは絶望的だとライターから言われているので、まだ加護を得ていないオルクスが羨ましいほどであった。
「で、カイルはいったい何が気に入らないのだ?」
リオンは表面上は笑顔だが、機嫌が悪い感じを隠しもしないカイルに疎ましげな視線をむける。
「オルクスは獣王神の加護を得たいだけだろう?」
確かに極論からいえばリオンの言うとおりだ。それの何がカイルは気に入らないのか。
「え?じゅうおうしんって何?」
リオンの言葉に反応したのは神からの加護を願っているものの、与えられた加護に不満を持っていたルークだ。
「ルーちゃん獣王神は獣人の神様だから、ルーちゃんが加護をもらうことはないとおもうの」
ルークの質問にニコニコとしたシェリーが答える。そして、決して隣の部屋で飲み会をしているとは言わない。
「え?じゃその神様は人族に加護を与えないってこと?」
獣王神フォルテが決して人族に加護を与えないのかと言えば否だ。ルークの目の前にいるシェリーはその獣王神フォルテの加護を得ている。といっても、獣化するとかではなく、身体能力の向上というありふれたものだ。
「絶対ということではないのよ。獣人でもあまり加護を与えない神様なの」
獣人ですら加護をあまり与えられることがないというのに、人族で加護を得るというのは相当獣王神に気に入られたということに等しい。例えで言うとなれば、神気にも屈せず共に酒を飲み交わす豪快さ。そう黒狼クロードのように。
シェリーの言葉を聞いたルークは『そんなんだー』と諦めてくれたようだ。ルークにとって今一番加護を得たい神ではなかったからだろう。これが、剣神と魔神の話であれば、ルークもオルクスと同様にわがままを言ったかもしれない。
しかし、違う事が気になったようで、ルークは表面上はニコニコと笑みを浮かべているカイルに視線を向けて尋ねた。
「カイルさん。剣に認められるとはどういうことですか?」
炎王には扱えてルークには剣を扱うことができない理由。以前、シェリーとカイルの言葉から炎王はワザとルークには扱えない魔剣を渡したと話していた。その話を知らないルークは、魔剣を使い方を知りたいというのは、当たり前のことだ。
「魔剣だからね。魔剣に主と認めさせないと扱えないのは基本だね。普通であれば冒険者のBランクは必要だけど、その魔剣はレッドドラゴンから作られたということは、レッドドラゴン倒せる実力がないと厳しいと思うよ」
カイルのその言葉にルークは項垂れる。今の自分にドラゴンを倒せる実力があるかと問われれば、ないと答えるだろう。
「だから、その魔剣を扱えるようになる頃になれば、自然と神の加護も得るようになっていることと思うよ」
この言い方だと、それほどの努力をしなければ、神からの加護を得ることはできないと言われているようだ。
「そっかー。まずはこの魔剣から火が出るようになればいいんだね」
少し違うが、魔剣からみとめられる実力がつけばという話だ。ルークなりに解釈できたので、早々と夕食を食べ終わり部屋に戻ると言い、魔剣を持ってダイニングを出ていった。
「で、カイルはいったい何が気に入らないのだ?」
ルークが居なくなったことで、同じセリフをリオンが繰り返して言った。
それはオルクスに対して何が気に入らいのだという意味だ。
「加護を得たいためにシェリーを守ると軽口で言ったことだ」
確かにオルクスはそのような言葉を口にしていた。しかし、カイルはキッチンにおりその場に居なかったはずだが、声だけは聞こえていたということなのだろう。
不機嫌に言葉にするカイルの横では、ルークが居なくなったことで、ニコニコ顔から一転、無表情で食事をとっているシェリーがいる。
「しかし、オルクスがそのように積極的に神からの加護を得たいと思っていたことに私は意外だと思ってしまいますね」
スーウェンがオルクスの行動が意外だと口にした。どちらかと言うとオルクスは何も考えず敵に突っ込んでいき、周りを振り回すタイプだからだ。
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