6年後に戦地から帰ってきた夫が連れてきたのは妻という女だった

白雲八鈴

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炎国への旅路編

4話 マリアが嫁!

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「実はあれから3年も経つのに炎国に行けていないのです。炎国に旅行に行こうと思えば3ヶ月は掛かると聞きました。私がいますので、マルス帝国までは転移で行けますが、それ以降は地道で馬車移動ですし、ギラン共和国に行ってからも島国の炎国に渡る船が出るまでに時間が掛かると聞きましたし・・・。」

 少女は私を見て、またしてもため息を吐かれました。

「世界からの恩恵を無駄に使っているのに肝心な物に使おうとしないのですね。」

 無駄ってなんですか。またしても後ろから『この糞餓鬼を殺りましょう。』と聞こえてきます。

「時々、王都の外で見かけますが、武器の性能は向上をしているように思いましたが、貴女が足として使っているスクーターを改良しようと思わないのですか?
 あのスクーターは浮いていますよね。なぜ、それを馬車に付けて空を飛ぶ方の騎獣に引かせようと思わなのですか?」

「え?」

 目からウロコです。馬車が空を飛ぶ!障害物も気にせずに進めるということですか。街道も街も気にせずに進めるということです。気にするのは天候のみ。凄いです。

「それと後ろの金狼獣人の方。」

 少女はマリアに話し掛けます。

「私ですか?」

「ええ、貴女は金狼族の長の娘でしょう?以前、長に会った時に青狼族の長の嫁に娘を出したと言って・・・モゴ。」

 後ろにいたマリアがいつの間にか少女の口を押さえていました。さっき少女は何て言っていました?マリアが青狼族の長の嫁?マリアが結婚していたなんて初めて知ったのですが。

「マリア。結婚していたの?」

 マリアに聞いてみると、少女の口から手を離し、私のところに駆け寄り床に膝をついて私の手を握ってきました。

「このマリアは奥様一筋です。あんな旦那様を伴侶と思ったことは一度もありません。」

 ん?旦那様?マリアは私の側にずっといるのに家庭を顧みない妻にしているのでは!

「ユーフィアさん。勘違いしているようなので補足をしますが、青狼族の長は第6師団長さんです。」

「えー!」
「この糞餓鬼!奥様にいらない事をいうな!」

 ど、どうしましょう。こんな新事実を今、知ってしまったなんて!

「マリア、ごめんなさい。まさかクストとマリアが結婚していたなんて。」

「奥様、マリアは旦那様と結婚はしていませんので安心してください。確かに青狼族の長の嫁として父には送り出されましたが、結婚する前に奥様を旦那様が連れて来ましたので、それからマリアは奥様一筋です。」

 そうなのですか。私一筋と言われても、それはそれで問題のような気がします。

「そのマリアさんでしたか、その金狼族の長の血族の方に頼めばよろしいのでは、ないのですか?」

「何をですか?」

 マリアに頼む?

「貴女、本当に興味があるものしか知らないのですね。よくこの十数年間、ナヴァル家であり青狼族の長の奥方をやってこれましたね。」

 う。確かにナヴァル家の事は色々やってきましたが、ルジオーネさんがよく口にする我が一族と言っている青狼族の事には関わりを持つことはありませんでした。

「転移門の使用許可ですよ。族長の直系の血の繋がりのあるものしか使えないと聞きましたので、青狼族の師団長さんがメイルーンの転移門を開けて、金狼獣人のマリアさんが首都ミレーテの転移門の許可を出せば、一気にギラン共和国まで行けますよ。」

 なんてことでしょう!転移門なんて物が存在していたなんて知りませんでした。

「ついでに首都のフィーリス商会に行って商船に乗せてもらうように頼めばいいのです。数日置きに商船が出ているので、それほど待つ必要はありません。」

 いきなり知らない人が商船に乗せて欲しいと言って乗せてもらえないと思うのですが?そんなこと頼めるのでしょうか?

「流石に商船に乗せて欲しいだなんて無理でしょう?」

「金狼獣人のマリアさんが居れば大丈夫です。そうですよね。」

 え?金狼族の長の娘というだけで、そんなワガママが通るのですか?

「ええ。大丈夫です。マリアはユーフィア様の為になら、それぐらい大した事はないですよ。これなら、休暇が一月もあれば十分でしょう。転移門の許可はいつでもだせますし、父に頼んで商船に乗れるように手配をしましょう。」

 3ヶ月必要な旅が1ヶ月で済むなんて、やっぱりここに来て相談してよかったです。私には思いつかないことや、知らないことも教えてもらえましたし。

「1ヶ月後に行けばいいです。」

 少女が行く時期を指定してきました。

「なぜですか?」

「暖かくなりましたので、これから準備をして数カ月かけて旅にでる予定をしています。それなら、師団長さんが王都を離れても文句を言われないでしょう。」

 そして、少女は目を瞑り何かを思い出すように言葉を放った『炎国の桜は美しいです。』と

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